たれやも通ふ萩の下道(したみち)

 平和憲法のもと、象徴天皇として即位された今上天皇(明仁)の御代、平成の世は終わろうとしている。
 歴史を紐解けば、日本という国は、天皇とともに歩んで来た、と言っていい。
 しかし、その天皇も、順風だけで続いてきたわけではない。
 幾度となく、天皇家は苦難の時代を経験してきた。
 あるいは、今の時代こそ、まさにその時かもしれない。
 順徳天皇の生涯を追っていくと、そのことを考えずにはいられなかった。
 いや、そう思わないでも、なんと不遇な生涯であったことか。
 筆者は、第八十四代天皇、順徳院に捧げる哀悼の物語として、これを書き上げた。
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