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五 物部守屋、死す
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(もののべのもりや、しす)
誰かが訪う音がしていた。
自分が病に伏して久しいことを知りながらの来訪とすれば、それは、大事であろう。
しかし、起き上がれなかった。
目眩である。
静かに開けられた襖から、現れたのは、迹見赤檮であった。
「申し訳ございません。火急にて」
「構わぬ」
守屋は寝たまま、答えた。
「恐れながら申し上げます。大臣様(馬子)が、仏舎を建立したとのことにございます。それに加え、疱瘡の蔓延は、仏像を捨てた祟りである、と大王(敏達天皇)に報じたとのことです。その証拠に、大臣や配下の東漢の者らには、疱瘡に罹った者は、ほとんど居らぬ、と豪語しております」
「ふっ、たわけが。して大王は」
「それが」
赤檮は言葉に詰まった。
「何だ、言え」
「それが、仏教を認める、と仰せられたとのことでございます」
「なにいい」
咄嗟に、守屋が状態を起こした。
「血迷われたのか」
「それに輪をかけて、大臣様が、仏教による梵唄とやらを執り行う用意にて、大勢の渡来仏僧探しを始めたとのことにございます」
敏達天皇も守屋同様、疱瘡を患い、重篤であった。
その苦痛から逃れるためには、蛮神であろうが何であろうが、縋ろうと考えたのではなかろうか。
「すぐに、馬を」
「探し出せるかどうか、時を要するかとは存じまするが、あらゆる手を講じます」
馬子は、広瀬宮を後にした。
病気平癒のための声明を唱える儀式を執り行う提案を大王にしたのである。
しかし馬子は、もとより仏僧を探すつもりなど無かった。
もはや、手遅れ。
敏達天皇の顔は発疹で目鼻すら確認できないほどであった。
風前の灯。
この仏僧集めの勅を、仏教容認と捉えるべきと、馬子は判断した。
はたして、馬子の予感は的中した。
この三日後、五八五年九月十四日、遂に敏達天皇は崩御されてしわまれたのである。
「炊屋姫(後の推古天皇)、此れに乗じて、敵はどう出てくるか。早々に殯の宮にこもることが最善と思います」
「さよう。まさかに、殯の宮に押し入ることは、さすがに誰にもできますまい」
これは、天皇崩御直後の、馬子と炊屋姫の密談であった。
そして、十四日の内に、炊屋姫は広瀬宮を殯宮として、殯に入られたのである。
炊屋姫が殯の宮に籠もられた、という報せを受け、穴穂部皇子は、密かに守屋宅に向かった。
機を伺っていた両者は、後手に回った形となった。
しかし、これで、諦めるわけには行かなかった。
「大臣(馬子)にならい、穴穂部の誄の作法は、仏教のやり方に準ずることといたそうではないか」
穴穂部皇子の案である。
「それは良きお考え、馬子も否とは言えないでしょう」
「しかるに、こちら(穴穂部)からは、余が仏僧十名を引き連れて、殯宮に向かう。守屋殿は、先に入られていましょうから、そちらでお待ちくだされ」
「まず、馬子が先に誄を行い、大伴大連(糠手子)がご不在ゆえ、我が次になろうと思います。もっとも、馬子は我が病で来られないとお思いかも知れませぬが」
「そうなろう。穴穂部は、その後、間もなくの入宮であろう」
穴穂部皇子が引き連れる十名は、僧の成りをした兵である。
広瀬宮は、堀に囲まれていて、入り口は正門のみである。
当然の如く、その正門は兵で護られている。
そこを突破する必要があった。
いや、穏やかに通り過ぎることができれば、それに越したことはないが、万が一は戦うしかない、と穴穂部皇子は覚悟していた。
「ただ、二人(炊屋皇后と蘇我馬子)を殺めることができれば良い」
守屋は頷く。
こうして、九月十九日、殯の儀式開始を迎えたのである。
殯の間は、なぜか緊迫した空気が流れていた。
棺が置かれた神域には、一人ずつ進み出て、入り、各家の作法にて、誄を奏上する。
まず、大臣(馬子)である。
馬子は、蘇我家の作法に加えて、阿弥陀経を転読した。
それを待つ間も、守屋大連には大変は労苦であった。
何しろ高熱が下がっていないのである。
下襲を多く着込んでいるものの体は小刻みに震えていた。
戻ってきた馬子が、守屋に声を掛けた。
「これは大連殿、大事ござらぬか」
守屋は、一つ辞儀をして、返した。
「誄の奏上だけはと思いまして、参上仕りました。大臣様には、変わらず息災のご様子にて何よりでございます」
守屋は言い終わると上目遣いに馬子を睨んだ。
「おかげにて、病にもかかりません」
「それは何より。して、なにゆえ、この殯にて、弓矢を携えておられるのか」
「ああ、これはのう、蘇我の作法でございます。それより、ご無理なさいますな、大連殿。先ほどから、大変な震えでございますな。それに大汗。さあさ、進まれなされませ」
馬子は守屋を促し、下に戻り控えた。
そして、守屋が誄を奏上し、下に戻ってきたときであった。
「待たれよ。待たれ」
邸の入り口が急に騒がしくなり、その騒動が殯の間まで響いてきた。
守屋は、満を持して、懐に手を入れ、短刀を確かめた。
しかし、馬子の動きは早かった。
立ち上がるや、すぐに入り口に駆け出した。
そこに入ってきたのは、穴穂部皇子である。
刀を振りかざして、一人。
いや、予定では、四、五名で入ってくるはずであった。
外で乱闘中であるか、あるいは、討たれたのだろう。
馬子が廊下に出ると、すぐに穴穂部皇子の姿を認めた。
二人の動きが止まった。
先に口を開いたのは、馬子である。
「これは、穴穂部皇子様、なにゆえ、刀など、持たれておりますのか」
「これは、神事の刀。穴穂部の新しき作法にて、持参した。それよりも大臣殿こそ、弓などを構えて物騒な」
馬子は、それには応えずに、立膝を付き、背中の箙から矢を抜き、弓につがえて構えた。
「出合え」
そして、そう一声、号令を掛けた。
兵士たちの足音が聞こえる前に、穴穂部皇子は馬子めがけて突進した。
「うぬあああ」
馬子は動じない。
十分に引きつけてから、弓を弾いた。
馬子が放った矢は、穴穂部皇子の右胸から斜めに入り、左の背中に貫通した。
皇子は前のめりに倒れる。
馬子は空かさず、皇子の手から刀をもぎ取り、殯の間の方に歩んでいった。
目算が外れたことを悟った守屋は立ち上がった。
そして、炊屋姫の方に歩み寄りながら、短刀を懐から出す。
「大連殿、待たれ」
馬子が大声で制した。
守屋の足が一瞬止まる。
馬子は、刀を振りかざし、走り寄った。
この時点で、勝負は決していた。
短刀は、炊屋姫を殺めるためのもので、長太刀の者と戦うつもりはなかった。
さらに、病に侵された体で戦える相手ではないのだ。
しかし、この期に及んで、だだ一太刀の爪痕を残さずは、大和の豪将、物部氏の家名の恥であった。
守屋は向き直り、馬子を見据えた。
物凄い威圧感であった。
守屋の目線である。
馬子は、自然と動きを止めた。
本来、そこで、刀を構え直すべきであった。
その隙を突いて守屋が、間をおかず動いた。
脱兎のごとき突進。
馬子は、刀を右側に構えたままだったため、その動きに反応できなかった。
脇腹を切られた。
しかし、豪将もそれで力尽きた。
切りつけた直後の反動で、前のめりに転倒したのであった。
健常であれば、このような失態はあり得なかった。
駆け寄った、馬子が守屋の背中に止めを刺した。
炊屋皇后は着座したままだった。
これが、丁未の乱の顛末である。
この乱で討たれた重要人物は、物部守屋だけではなかった。
穴穂部皇子も、亡くなられたのである。
そして、これは崇仏廃仏の戦いなどではなかった。
皇統奪還の戦いであった。
仏教は利用されたのである。
誰かが訪う音がしていた。
自分が病に伏して久しいことを知りながらの来訪とすれば、それは、大事であろう。
しかし、起き上がれなかった。
目眩である。
静かに開けられた襖から、現れたのは、迹見赤檮であった。
「申し訳ございません。火急にて」
「構わぬ」
守屋は寝たまま、答えた。
「恐れながら申し上げます。大臣様(馬子)が、仏舎を建立したとのことにございます。それに加え、疱瘡の蔓延は、仏像を捨てた祟りである、と大王(敏達天皇)に報じたとのことです。その証拠に、大臣や配下の東漢の者らには、疱瘡に罹った者は、ほとんど居らぬ、と豪語しております」
「ふっ、たわけが。して大王は」
「それが」
赤檮は言葉に詰まった。
「何だ、言え」
「それが、仏教を認める、と仰せられたとのことでございます」
「なにいい」
咄嗟に、守屋が状態を起こした。
「血迷われたのか」
「それに輪をかけて、大臣様が、仏教による梵唄とやらを執り行う用意にて、大勢の渡来仏僧探しを始めたとのことにございます」
敏達天皇も守屋同様、疱瘡を患い、重篤であった。
その苦痛から逃れるためには、蛮神であろうが何であろうが、縋ろうと考えたのではなかろうか。
「すぐに、馬を」
「探し出せるかどうか、時を要するかとは存じまするが、あらゆる手を講じます」
馬子は、広瀬宮を後にした。
病気平癒のための声明を唱える儀式を執り行う提案を大王にしたのである。
しかし馬子は、もとより仏僧を探すつもりなど無かった。
もはや、手遅れ。
敏達天皇の顔は発疹で目鼻すら確認できないほどであった。
風前の灯。
この仏僧集めの勅を、仏教容認と捉えるべきと、馬子は判断した。
はたして、馬子の予感は的中した。
この三日後、五八五年九月十四日、遂に敏達天皇は崩御されてしわまれたのである。
「炊屋姫(後の推古天皇)、此れに乗じて、敵はどう出てくるか。早々に殯の宮にこもることが最善と思います」
「さよう。まさかに、殯の宮に押し入ることは、さすがに誰にもできますまい」
これは、天皇崩御直後の、馬子と炊屋姫の密談であった。
そして、十四日の内に、炊屋姫は広瀬宮を殯宮として、殯に入られたのである。
炊屋姫が殯の宮に籠もられた、という報せを受け、穴穂部皇子は、密かに守屋宅に向かった。
機を伺っていた両者は、後手に回った形となった。
しかし、これで、諦めるわけには行かなかった。
「大臣(馬子)にならい、穴穂部の誄の作法は、仏教のやり方に準ずることといたそうではないか」
穴穂部皇子の案である。
「それは良きお考え、馬子も否とは言えないでしょう」
「しかるに、こちら(穴穂部)からは、余が仏僧十名を引き連れて、殯宮に向かう。守屋殿は、先に入られていましょうから、そちらでお待ちくだされ」
「まず、馬子が先に誄を行い、大伴大連(糠手子)がご不在ゆえ、我が次になろうと思います。もっとも、馬子は我が病で来られないとお思いかも知れませぬが」
「そうなろう。穴穂部は、その後、間もなくの入宮であろう」
穴穂部皇子が引き連れる十名は、僧の成りをした兵である。
広瀬宮は、堀に囲まれていて、入り口は正門のみである。
当然の如く、その正門は兵で護られている。
そこを突破する必要があった。
いや、穏やかに通り過ぎることができれば、それに越したことはないが、万が一は戦うしかない、と穴穂部皇子は覚悟していた。
「ただ、二人(炊屋皇后と蘇我馬子)を殺めることができれば良い」
守屋は頷く。
こうして、九月十九日、殯の儀式開始を迎えたのである。
殯の間は、なぜか緊迫した空気が流れていた。
棺が置かれた神域には、一人ずつ進み出て、入り、各家の作法にて、誄を奏上する。
まず、大臣(馬子)である。
馬子は、蘇我家の作法に加えて、阿弥陀経を転読した。
それを待つ間も、守屋大連には大変は労苦であった。
何しろ高熱が下がっていないのである。
下襲を多く着込んでいるものの体は小刻みに震えていた。
戻ってきた馬子が、守屋に声を掛けた。
「これは大連殿、大事ござらぬか」
守屋は、一つ辞儀をして、返した。
「誄の奏上だけはと思いまして、参上仕りました。大臣様には、変わらず息災のご様子にて何よりでございます」
守屋は言い終わると上目遣いに馬子を睨んだ。
「おかげにて、病にもかかりません」
「それは何より。して、なにゆえ、この殯にて、弓矢を携えておられるのか」
「ああ、これはのう、蘇我の作法でございます。それより、ご無理なさいますな、大連殿。先ほどから、大変な震えでございますな。それに大汗。さあさ、進まれなされませ」
馬子は守屋を促し、下に戻り控えた。
そして、守屋が誄を奏上し、下に戻ってきたときであった。
「待たれよ。待たれ」
邸の入り口が急に騒がしくなり、その騒動が殯の間まで響いてきた。
守屋は、満を持して、懐に手を入れ、短刀を確かめた。
しかし、馬子の動きは早かった。
立ち上がるや、すぐに入り口に駆け出した。
そこに入ってきたのは、穴穂部皇子である。
刀を振りかざして、一人。
いや、予定では、四、五名で入ってくるはずであった。
外で乱闘中であるか、あるいは、討たれたのだろう。
馬子が廊下に出ると、すぐに穴穂部皇子の姿を認めた。
二人の動きが止まった。
先に口を開いたのは、馬子である。
「これは、穴穂部皇子様、なにゆえ、刀など、持たれておりますのか」
「これは、神事の刀。穴穂部の新しき作法にて、持参した。それよりも大臣殿こそ、弓などを構えて物騒な」
馬子は、それには応えずに、立膝を付き、背中の箙から矢を抜き、弓につがえて構えた。
「出合え」
そして、そう一声、号令を掛けた。
兵士たちの足音が聞こえる前に、穴穂部皇子は馬子めがけて突進した。
「うぬあああ」
馬子は動じない。
十分に引きつけてから、弓を弾いた。
馬子が放った矢は、穴穂部皇子の右胸から斜めに入り、左の背中に貫通した。
皇子は前のめりに倒れる。
馬子は空かさず、皇子の手から刀をもぎ取り、殯の間の方に歩んでいった。
目算が外れたことを悟った守屋は立ち上がった。
そして、炊屋姫の方に歩み寄りながら、短刀を懐から出す。
「大連殿、待たれ」
馬子が大声で制した。
守屋の足が一瞬止まる。
馬子は、刀を振りかざし、走り寄った。
この時点で、勝負は決していた。
短刀は、炊屋姫を殺めるためのもので、長太刀の者と戦うつもりはなかった。
さらに、病に侵された体で戦える相手ではないのだ。
しかし、この期に及んで、だだ一太刀の爪痕を残さずは、大和の豪将、物部氏の家名の恥であった。
守屋は向き直り、馬子を見据えた。
物凄い威圧感であった。
守屋の目線である。
馬子は、自然と動きを止めた。
本来、そこで、刀を構え直すべきであった。
その隙を突いて守屋が、間をおかず動いた。
脱兎のごとき突進。
馬子は、刀を右側に構えたままだったため、その動きに反応できなかった。
脇腹を切られた。
しかし、豪将もそれで力尽きた。
切りつけた直後の反動で、前のめりに転倒したのであった。
健常であれば、このような失態はあり得なかった。
駆け寄った、馬子が守屋の背中に止めを刺した。
炊屋皇后は着座したままだった。
これが、丁未の乱の顛末である。
この乱で討たれた重要人物は、物部守屋だけではなかった。
穴穂部皇子も、亡くなられたのである。
そして、これは崇仏廃仏の戦いなどではなかった。
皇統奪還の戦いであった。
仏教は利用されたのである。
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