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紅い月のもとで
第十四話 紅い月のもとで④
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老婆が部屋の中の獲物を眺めるが、違和感を覚えたようだ。体の線が細い。暗がりの中目を凝らし、そこには僕の姿はなく、銀髪の少女がいた。
「なっ!? エインヘリャルはどこに行った!」
ばあさんの戸惑いにメリッサが静かに笑った。その瞬間僕は奴に声をかけた。
「ここだよ」
僕は空き家の屋根から降り老婆の後ろを取った、そして考える暇すら与えず、すぐさま老婆の後頭部を武器で殴りつけた!
「があああ――!」
僕は左手に軍用シャベルを持っていた。シャベルは第一次世界大戦のとき塹壕を掘るように兵士が携帯していたが、狭い空間の塹壕での白兵戦に活躍し、狭い場所でも振り回しやすく、訓練の必要性があまりなく、使い勝手のいい武器として猛威を振るっていた。
第二次世界大戦のときのスターリングラード攻防戦で、ソ連の赤軍は執拗にシャベルを応用した近接戦で、ドイツ軍を大きく混乱させた。今でも共産圏の特殊部隊ではシャベル格闘術を習得させている。
最近の軍用シャベルは組み立て式もあり、長さを調節できるようになっている。シャベルの剣先はするどく研がれており肉に食い込む。
重さもちょうどいいバランスで持ちやすく1.4kg。利き腕じゃない左手の片手一本でも十分振り回せる。僕は余裕をもって告げる。
「婆さん。あんたの自慢のヴァルキュリアの目は、視認できなければ意味がない。加えて一発頭部に打撃を加えれば、自慢の脚力も脳しんとうで役に立たない」
僕は老婆の頭部のこめかみに向けて、まっすぐシャベルを振り下ろす。シャベルの先の重さが剣先をぶれさせず、最短距離の軌道で老婆の頭部を襲う。頭の薄い肉の感触と硬い骨の感触、生の人間を打ち付けて手がしびれるが僕は怒りを込めて殴り続けた!
「ぐああ――っ!」
老婆はもがき苦しむ、頭蓋骨が砕けたのだろう、手に骨が壊れた感触があった。それにしても、面白いように当たる。僕は何度もシャベルを老婆に打ち付け、そのたび血が飛び散り、肉の破片が辺りにまき散らされた。
余りの激痛に奴は恐怖で何もできずうずくまって、喚き散らすばかり、そして、もはや半狂乱となって叫びだす。
「ひいいいいいい!」
戦闘意欲を失った老婆は光のショートソードを捨てて、逃げ出していった。まずい、ここで逃げられては困る。
「待て!」
僕は叫んだ、対して老婆はふらふらの足取りで必死に逃げていった。すかさず僕は後を追った、追いついたころ、老婆に向かった先は路地裏の狭い小屋でそこには天井はない。中には髪の赤い少女が目を伏せており、その目から血の涙を流して座っていた。スカートの先に足はない、その娘に老婆は懇願した。
「ヴァルキュリア! 助けておくれ! このままだと殺される!」
赤い髪の少女は老婆の頭を優しそうにそっとなでた。対する僕は無言で間合いを詰め、シャベルを老婆の頭に振り下ろす。ジャストだ、よくもメリッサをあんな姿にしてくれたな……! あの美しい少女を! 怒りのあまり何度も何度もシャベルで殴りつけた。
ヴァルキュリアはエインヘリャルにたいして無抵抗だ。ロープで縛るなりして、動けなくすればいいものを、よくも! お前を絶対に許さん! 地獄に落ちろ! 感情のままシャベルを振り下ろし続ける。手に伝わる柔らかい脳みその感触、これは脳内まで届いているだろう。それでも怒りに任せて打ち据え続けた。
「もうやめて、死んでいるわ」
赤い髪のヴァルキュリアが話したようだ。僕はふと我に返り、少女を見つめた。
「君も恨みがあるだろう。目と足を奪われて」
僕は彼女に話しかけてみた。すると赤い少女は静かな声でさっき僕が言った言葉を否定する。
「勘違いしてる。私が自分から目と足を差し出したの。老いた体では戦闘においてかなりハンデになるから」
「――何? すると君は勝つために、この老婆に自分の体を差し出したのか? 何故そこまで……」
ヴァルキュリアにも痛覚がある、目と足を失う痛みはこらえきれないものだっただろう。何をそうまでして勝ちたいのかが僕にはいまいち理解できなかった。
「それは貴方のヴァルキュリアに聞いてみるといいわ。きっと私と気持ちが一緒だから」
メリッサに? どういうことだ、答えを教えることもなく赤いヴァルキュリアと老婆が光に包まれた。彼女が消える前に僕は端的に尋ねた。
「最後に聞きたい、名前は?」
「このおばあさんの名前は……」
「そんなババアどうでもいい。それより君の名前だ」
僕の言葉に赤い少女は不思議そうにする。
「どうして私の名前を聞くの? ナンパかしら、でもいいわ、教えてあげる。私の名前はクレア・ヴァルキュリア」
「そうかありがとう。僕がヴァルハラに行ったとき、記憶している名前が少ないと寂しいと思って」
僕のささやかな優しさの贈り物で赤い少女が爽やかに笑った。
「変な人。でもありがとう。私の名前、記憶してくれるのね。でも、私は貴方がヴァルハラに来ないことを願っているわ、──さようなら」
そう言うと、赤いヴァルキュリアと老婆は消え去った。──終わったんだ。そうして、すっと気持ちが落ちついてくる、すると突然、右手から激痛が走った。
「いたた、あたたった!」
忘れていたが、あまりの痛みに僕は地面へとへたり込んでしまった。
「佑月!」
どうやらメリッサが僕の方に駆け付けてくれた。
「戦闘中は興奮しているから痛みをあまり感じない。でも感情が落ち着いてくると、通常の痛みを感じてくる。お前も普通の人間と同じだ、でも、落ち着け。大丈夫だから」
メリッサが僕を抱きかかえながら、右手の痛みを和らげるために優しく右腕を撫でてくれた。おかげで、少し痛みが引いてくる、不思議な少女だ。彼女に触れられると、何故だか心が鎮まる。
「これでやっと二人目だな。次はもうちょっと上手くやれ。私の身が持たないぞ」
メリッサは苦い笑みを浮かべて、優しく僕をさとす。二人とも血まみれになりながら、紅い月のもと、朱く照らされて月明かりの示すまま、ゆっくりとゆっくりと足をそろえて宿へ帰って行った。今日も何とか生き延びた、──そう、メリッサと……。
「なっ!? エインヘリャルはどこに行った!」
ばあさんの戸惑いにメリッサが静かに笑った。その瞬間僕は奴に声をかけた。
「ここだよ」
僕は空き家の屋根から降り老婆の後ろを取った、そして考える暇すら与えず、すぐさま老婆の後頭部を武器で殴りつけた!
「があああ――!」
僕は左手に軍用シャベルを持っていた。シャベルは第一次世界大戦のとき塹壕を掘るように兵士が携帯していたが、狭い空間の塹壕での白兵戦に活躍し、狭い場所でも振り回しやすく、訓練の必要性があまりなく、使い勝手のいい武器として猛威を振るっていた。
第二次世界大戦のときのスターリングラード攻防戦で、ソ連の赤軍は執拗にシャベルを応用した近接戦で、ドイツ軍を大きく混乱させた。今でも共産圏の特殊部隊ではシャベル格闘術を習得させている。
最近の軍用シャベルは組み立て式もあり、長さを調節できるようになっている。シャベルの剣先はするどく研がれており肉に食い込む。
重さもちょうどいいバランスで持ちやすく1.4kg。利き腕じゃない左手の片手一本でも十分振り回せる。僕は余裕をもって告げる。
「婆さん。あんたの自慢のヴァルキュリアの目は、視認できなければ意味がない。加えて一発頭部に打撃を加えれば、自慢の脚力も脳しんとうで役に立たない」
僕は老婆の頭部のこめかみに向けて、まっすぐシャベルを振り下ろす。シャベルの先の重さが剣先をぶれさせず、最短距離の軌道で老婆の頭部を襲う。頭の薄い肉の感触と硬い骨の感触、生の人間を打ち付けて手がしびれるが僕は怒りを込めて殴り続けた!
「ぐああ――っ!」
老婆はもがき苦しむ、頭蓋骨が砕けたのだろう、手に骨が壊れた感触があった。それにしても、面白いように当たる。僕は何度もシャベルを老婆に打ち付け、そのたび血が飛び散り、肉の破片が辺りにまき散らされた。
余りの激痛に奴は恐怖で何もできずうずくまって、喚き散らすばかり、そして、もはや半狂乱となって叫びだす。
「ひいいいいいい!」
戦闘意欲を失った老婆は光のショートソードを捨てて、逃げ出していった。まずい、ここで逃げられては困る。
「待て!」
僕は叫んだ、対して老婆はふらふらの足取りで必死に逃げていった。すかさず僕は後を追った、追いついたころ、老婆に向かった先は路地裏の狭い小屋でそこには天井はない。中には髪の赤い少女が目を伏せており、その目から血の涙を流して座っていた。スカートの先に足はない、その娘に老婆は懇願した。
「ヴァルキュリア! 助けておくれ! このままだと殺される!」
赤い髪の少女は老婆の頭を優しそうにそっとなでた。対する僕は無言で間合いを詰め、シャベルを老婆の頭に振り下ろす。ジャストだ、よくもメリッサをあんな姿にしてくれたな……! あの美しい少女を! 怒りのあまり何度も何度もシャベルで殴りつけた。
ヴァルキュリアはエインヘリャルにたいして無抵抗だ。ロープで縛るなりして、動けなくすればいいものを、よくも! お前を絶対に許さん! 地獄に落ちろ! 感情のままシャベルを振り下ろし続ける。手に伝わる柔らかい脳みその感触、これは脳内まで届いているだろう。それでも怒りに任せて打ち据え続けた。
「もうやめて、死んでいるわ」
赤い髪のヴァルキュリアが話したようだ。僕はふと我に返り、少女を見つめた。
「君も恨みがあるだろう。目と足を奪われて」
僕は彼女に話しかけてみた。すると赤い少女は静かな声でさっき僕が言った言葉を否定する。
「勘違いしてる。私が自分から目と足を差し出したの。老いた体では戦闘においてかなりハンデになるから」
「――何? すると君は勝つために、この老婆に自分の体を差し出したのか? 何故そこまで……」
ヴァルキュリアにも痛覚がある、目と足を失う痛みはこらえきれないものだっただろう。何をそうまでして勝ちたいのかが僕にはいまいち理解できなかった。
「それは貴方のヴァルキュリアに聞いてみるといいわ。きっと私と気持ちが一緒だから」
メリッサに? どういうことだ、答えを教えることもなく赤いヴァルキュリアと老婆が光に包まれた。彼女が消える前に僕は端的に尋ねた。
「最後に聞きたい、名前は?」
「このおばあさんの名前は……」
「そんなババアどうでもいい。それより君の名前だ」
僕の言葉に赤い少女は不思議そうにする。
「どうして私の名前を聞くの? ナンパかしら、でもいいわ、教えてあげる。私の名前はクレア・ヴァルキュリア」
「そうかありがとう。僕がヴァルハラに行ったとき、記憶している名前が少ないと寂しいと思って」
僕のささやかな優しさの贈り物で赤い少女が爽やかに笑った。
「変な人。でもありがとう。私の名前、記憶してくれるのね。でも、私は貴方がヴァルハラに来ないことを願っているわ、──さようなら」
そう言うと、赤いヴァルキュリアと老婆は消え去った。──終わったんだ。そうして、すっと気持ちが落ちついてくる、すると突然、右手から激痛が走った。
「いたた、あたたった!」
忘れていたが、あまりの痛みに僕は地面へとへたり込んでしまった。
「佑月!」
どうやらメリッサが僕の方に駆け付けてくれた。
「戦闘中は興奮しているから痛みをあまり感じない。でも感情が落ち着いてくると、通常の痛みを感じてくる。お前も普通の人間と同じだ、でも、落ち着け。大丈夫だから」
メリッサが僕を抱きかかえながら、右手の痛みを和らげるために優しく右腕を撫でてくれた。おかげで、少し痛みが引いてくる、不思議な少女だ。彼女に触れられると、何故だか心が鎮まる。
「これでやっと二人目だな。次はもうちょっと上手くやれ。私の身が持たないぞ」
メリッサは苦い笑みを浮かべて、優しく僕をさとす。二人とも血まみれになりながら、紅い月のもと、朱く照らされて月明かりの示すまま、ゆっくりとゆっくりと足をそろえて宿へ帰って行った。今日も何とか生き延びた、──そう、メリッサと……。
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