幼女救世主伝説-王様、私が宰相として国を守ります。そして伝説へ~

琉奈川さとし

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魔族大戦

第百五十五話 停戦交渉

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 ウィンダミア丘の戦いのあと、さしたる成果も上げられずに魔族軍がウスター要塞に逃げ込まれるのを防がなければならない。私たち統一軍は積極的に追撃戦を行うものの、抵抗が激しく思うように上手くいかなかった。

 ウィンダミアの地は抑えられたものの、当の敵の戦力が温存されたままではかなり苦しくなってくる。私たちがウスター要塞が建設されているという場所まで来ると驚くべき光景を目にした。

 要塞はすべて完成されていた。対坑道戦を配慮しつつ、大砲の射角を確保するため城壁はほどほどの高さで厚くしており、側面からの大砲の攻撃対策として、バスティオンという角に突出した城壁部分が備えられていた要塞建築を用いられている。

 これは攻囲側より大砲の射程を確保しつつ、角同士から十字砲火を可能とし、砲撃の死角となる部分を消した、ルネッサンス期から近世ヨーロッパで用いられた当時の弾道学や砲術から導き出された火砲要塞だ。

 特徴は星形の要塞で、日本で言えばオランダの要塞を模した北海道の五稜郭が有名だ。ルネッサンス期ではオランダ及びイタリアで大国同士の戦争が相次いで起こり、国家予算、国の威信をかけて建てられたもので、当時の技術では包囲側より要塞側の方が有利だった。

 この要塞技術は近代まで同じ傾向で改良が進められ、攻略にはおびただしい人命と時間が必要とされた。

 ナポレオンは砲兵科出身ということもあり、こういった消耗が激しい攻囲戦もしくは火砲戦ではなく、できるなら機動戦による早期決着を試みた。

 それに影響を受けた、『戦争論』を執筆したクラウゼヴィッツが決戦殲滅志向の軍事戦略を体系づけて、改良または批判されつつ今に至る。

 資料ではこの要塞みたいな形を見たことあったけど、実物を見て愕然がくぜんとしてしまった。砲術顧問兼学者のナターシャも同様だった。

「これは……。早期決着は不可能ですわね」
「やはり、貴女から見てもそう? ナターシャ」

「私からすれば、なぜ貴女の方こそこの要塞の恐ろしさを理解しているか不思議ですわ。これは要塞に物資がないならともかく、万全の態勢を取っていれば、何年も包囲に耐えきれる要塞戦術です。

 私たちの勝利に捧げるものは、数万人、あるいは十万にもおよぶ兵の命。膨大な物資やお金。そして長い長い貴重な時間」
「ナターシャ、今のことを包み隠さず、ジェラードや司令部に申し立てて」

「よろしいのかしら? いうなれば、部下を殺したければ、どうぞ攻めなさいといったことですわよ」
「ええ、いいわ。あとは私が何とかする」

 私は歴史を知っているから、要塞戦の泥沼を理解している。ただ……、ジェラードたちはわかってくれるかしら。

 私たちテットベリー軍団は、親衛隊を含めた、チチェスター地方攻略本軍と合流し、統合司令部を立ち上げて作戦会議を繰り返した。会議では議論が真っ二つに割れてしまう。

「ウスター要塞を攻略すべきだ!」

 テーブルをたたき、交戦を主張したのはルーカスやジョセフなど、親衛隊たちだ。ルーカスは本軍を実質統率する立場にあり、ウェストヘイムで時間をかけて戦ってきた。だからこそ譲れないものがあった。

「我々は多大なる犠牲を払ってきた。私の部下である親衛隊員の多くの命が失われ、長い月日をかけて戦ってきた。いまさら、相手の要塞が強固だからといって引いてたまるものか」

 ルーカスに同調するのはジョセフだった。

「隊長の言う通りです。隊長と共に、我々はなんども勇気と誇りと正義を掲げ、数々の勝利を重ねてきました。いま、ウスター要塞を攻略せねば、どんどん魔族たちはつけ上がり、むしろ、防御態勢を強めていくでしょう。

 ウィンダミアで勝利した今がチャンスなのです!」

 それに反論するのが、元傭兵、もしくは外部の軍人たち。特にダスティン大佐とオークニー男爵は反対に回った。ダスティンはこちらもテーブルを叩きながら怒り交じりに言葉を投げかける。

「じゃあ何か、お前さんがたが犠牲を払ったから、俺たちや部下たちに死ねっていうのか! 見てわからないか! ウィンダミアは勝利じゃない、敵の戦術的撤退だ。

 相手は戦力を温存しつつ、俺たちの人命や物資を消耗させていった。陣地は確保したのに士気は上がっていない。何の利益にもなっていない。このまま攻めても、無駄死にだ!」

 「なんだと!」とルーカスが立ち上がるのをオークニー男爵がなだめつつ考えを述べた。

「私の見る限り、要塞攻略を可能にするための物資は足りていませんし、兵は連戦で疲労がたまっています。まずは包囲をして、時間をかけて攻略すれば相手も物資を消耗するのは同様ですから、強襲など、短気な行動は慎んで、腰を据えて当たるべきかと」

 その言葉に異を唱えたのはジェラードだった。

「我々テットベリー軍が戦いに堪えうる組織を作るのに半年ほどかかっている。あの巨大なウスター要塞を攻略するには20万ほどの兵が必要だ。

 我々西部戦線の総兵力は15万ほどだぞ。一要塞に20万かけるとなると大陸西部だけで50万以上の兵が必要だ。それらの装備や物資、訓練なども考えて、そろえるだけで一年から数年かかる。そこから攻囲するとなると、さらに数年。その間、民たちに負担を強いるのか?

 現在ネーザンの経済は好転してるとはいえ、いつ民衆が騒ぎ立てるかわからん。長期戦になればなるほど、そのあとの各国を取り返すのに何十年かけるつもりだ」

 そうだよね……。私もジェラードの意見と同じだった。彼は議員期間もあるから、政治にも通じている。政府に戦う気があっても民衆が長い戦争期間に耐えるのは非常に難しい。

 自由は制限されているし、経済も制限される。いつ自分や家族が死ぬとも限らない不安にまみれた生活を何年も耐えられない。私たちはまんまと魔王エターリアのファビアン戦略にやられたのだ。

 ファビアン戦略とは第二次ポエニ戦争、古代共和国ローマの独裁官ファビウスが、天才将軍ハンニバルに対抗してとった戦略だ。昔、カルタゴの将軍ハンニバルはアルプス越えでイタリア半島を奇襲し、当時地中海最高の歩兵を持っていたローマに連戦連勝を重ねた。

 特に一回の戦いで1.5倍ほどのローマ軍の兵力相手に包囲殲滅を行い、ローマ軍の6万ほどが死傷者となったとされる、カンネーの戦いが有名だ。

 のちにローマの盾と呼ばれるファビウスはハンニバルの天才性と強さを見抜き、早々と決戦を避けて持久戦に持ち込むことを提唱していた。

 しかし、持久戦は民衆たちを納得させるのは難しい。持久戦を取った彼をのろまのファビウスと民衆はあざけり、彼が任期で職を解かれた後、ローマはハンニバルとの決戦を挑み、結果カンネーの戦いで惨敗。

 その時の執政官が死亡し、ローマ兵の大半が死ぬという悲劇を生んだ。

 このカンネーの戦いは士官学校で習うほどの有名な戦いだけど、この後の独裁官になったファビウスの活躍はあまり有名ではない。

 ファビウスは、ハンニバルが長期遠征で補給が難しいことを理解し、占領地になるところの物資を引き払って兵站を困難にさせた。

 また、ハンニバルの強さは個人的カリスマ性と彼の指揮能力に頼っていることから、カンネー以降決定的な勝利をあたえず、ハンニバルとの直接の戦いを避け、主にハンニバルが指揮をしていないカルタゴ軍を徹底的に叩いていき、彼がこれ以上強大にならないように徐々に追い詰めていった。

 ハンニバルはボディーブローを食らい、ローマを落とすことが出来ずにどんどん将兵が消耗して占領地も減っていった。

 そのあと、老将ファビウスの次に現れたローマの天才将軍スキピオが当のカルタゴ本国を攻めて、ハンニバルはイタリア半島から呼び戻しを受け、昔と違い、寄せ集めの軍隊しか集められなかったハンニバルはザマの戦いで逆にスキピオに包囲殲滅を受けてローマの勝利に終わる。

 こういった決戦を避けて持久戦に持ち込み、相手に勝利をあたえない戦略をファビアン戦略という。ナポレオンもこのファビアン戦略をロシアにとられて敗れている。私たちはそのファビアン戦略を魔王エターリアにやられたのだ。

 こっちの方が優勢にもかかわらず、陣地をとっても、兵站へいたんを叩かれ、思うような決定的勝利をつかめず、ずるずると打撃を受けていき、今、強固な要塞に勝利を挫折しつつある。

 なら、潮時か……。

「みんな聞いて、私は宰相として、ここで魔王軍との停戦を唱えるわ」

「なんですって!?」

 皆が驚き私の方を見た。しかし私の決意は変わらなかった。

「今の状態は、現在西部戦線の戦力で可能な限りの戦果を出した、攻勢の限界点よ。これ以上ずるずると引きずると、逆転しかねない。なら、今のうちに魔王軍と停戦交渉を行い、有利なうちにいったん戦いを辞めるよう外交解決をのぞむわ」

「し、しかし、このまま手ぶらでは……」

 とジョセフは反論をしようとするが、

「いえ、いま、西部戦線はウェストヘイムの3分の1を取り返している。手ぶらじゃない」

 と私は答えた。それにルーカスが食って掛かる。

「しかし閣下、ウスター要塞を攻略すれば、ウェストヘイムを奪還できるのですよ」
「できればの話ね。そのために甚大なる犠牲を国は望まない。勝つべき時に勝って、負けるときに負けない戦いが一番ベターよ。

 戦争が継続できないほど、打撃を受けてしまえばさらに時間は浪費し、諸国を魔族から取り返すことが不可能になるかもしれない。ここは辛抱が重要よ」

 また、さらにオークニー男爵は私に尋ねた。

「私たちのコルチェスター地方はどうします? あそこは魔王軍にとって補給の生命線、ここを手放さないと彼らが納得するとは思えません。まさか私の故郷を犠牲にすると?」
「それは私に一任して。悪いようにしないし、上手くいく妙案みょうあんがあるから」

 辺りはしんと静まった。私が周りを見渡し、彼らの目を見た。現状を一番理解していたジェラードがこの沈黙に応えた。

「ここは宰相閣下に任せよう。我々はよくやった。次はもっとうまくやる、それだけだ」
「おおっ!」

 と、悔しさを噛みしめながら、士官たちは賛同してくれた。彼らは戦友だ。決して彼らの意思を無駄にしない。あとは私の双肩にかかっている。

 私は元エターリアの相談役だったミリシアを連れて、ウスター要塞へと交渉へ乗り込んだ。エターリアは私の思惑を理解しているのか、あっさり要塞内部に引き入れる。

 そして停戦交渉が行われることとなった。

「まず、魔王様、お久しぶりでございます。長い間、連絡もよこさず、貴女のもとを去ったことをお許しください」

 私の言葉にテーブルの前で腕を組んでいたエターリアは碧の髪をかき上げて不敵に笑った。

「子どものすること、いちいち気にしていない。私が引っ掛かっているのは、横にいる女性だ」
「あら、エターリア。出て行けって言ったのは貴女でしょ、もしかして今更私の肌が恋しいとかかしら?」

 とミリシアの言葉にエターリアの隣で座っているブルッツェンがゴホンと咳払いをする。

「それは後々にうかがうとして、聞く限り、ネーザンは我々との停戦をお望みとか、宰相殿?」
「ええ、そうです。我々はこれ以上の戦いを望まない。お互い死力を尽くして、戦い合ったのです。これ以上民を苦しめるよりも、民の喜ぶことをしませんと」

「魔族と手を結ぶと?」
「手を結ぶのではなく、停戦です。未来のことはわかりませんが、今はお互い疲れをいやすとき。無駄に将兵を死なせては、後々の歴史家にあざけられるかと」

 ここでブルッツェンと私との会話に、エターリアが痛い所をついてくる。

「つまり、我々魔族を交渉に値する国を持っていると認めるのだな。そなたらの司祭たちがぼけた頭で唱える、魔界の封印を解いてやってきた蛮族ではなく、国の権利を持つ民族だと、そなたは認めるのか?」

 これは重要な問題だ。私たち人間側は彼らを民族として認めず、どこかの野蛮な動物だと実質唱えていた。私たち政治家はともかく、宗教家にとって教えと違うからいろいろと問題が起こりそうだった。

 だが、私はそれを承知の上で彼女に応えた。

「貴女がたの交渉権を認めます。また民族自決権を認め、人権も認めます。財産権も認めます」
「ほう、なら、今ある領地も認めてくれるのか?」

「それはまた別の話です。何も言葉だけが交渉じゃない、銃や剣をもってのやり方もあります」
「なるほど、それを含めての権利か。よくわかった。それについてはこちら側に異存はない。で、どこで停戦とする領土に線を引くかだ」

「それはここ、大陸西部はウスターより西北は魔族側の占有地として認めます」
「話しにならないな」

「と、申しますと」
「コルチェスター地方は我々の衣食住を担保する重要な地域だ。これを明け渡すつもりはない」

「あそこは自治領土とします。彼らは古い歴史から自由を奪われてきました。彼らの権利も認めないと。長い歴史から流れた血に応えなければならない」
「我々魔族には関係ない。ウェストヘイムの貴族どもが野蛮にも虐げていただけだ。我々魔族はむしろ解放者だ」

「しかし、今は私たち統一軍が保持しております」
「別に私はこのまま戦ってもいいのだぞ、丹精込めて作り上げたこのウスター要塞の力を試してみたいものだ。──そなたらの血を持ってな」

「別に死ぬのは私たちだけではありません。魔族も同じです」
「果たしてそうかな、やせ我慢はよしたらどうだ、ミサ? 堂々と敵地に乗り込む度胸は買うが、ここは私たち魔族の要塞。言葉を間違えれば、幼女と言えども、無事に帰れるか保証しかねるな」

 私とエターリアの話が平行線になってきて、どんどん気まずくなる中、ミリシアが突然立ち上がって、エターリアを冷たい目で見降ろしながら言った。

「我々統一軍には、大量の血が貯蔵されているわ。一千万という民の血がね」
「なっ!?」

 彼女の言葉に魔族側は動揺し始めた。何を言ってるの、ミリシア。私が止めようとするも彼女は止まらなかった。

「ええ、これ以上の戦争がお望みなら、どちらかが亡ぶまでやりましょう。確かに私たちは甘かったわ。こんな要塞ぐらい、数十万人の人間を犠牲にすればいいだけですもの。なんなら、民たちの死体を踏み台にして、要塞の城壁にしがみつけばいい。

 そうすれば、ここにいる魔族を一兵残らず殺せるもの。いいわ、貴女が血が望みならどうぞ、エターリア。私は犠牲なんてこれっぽっちも怖くない。

 だって私は彼の妹ですもの。ねえ、そうよね、エターリア?」
「ま、まて、落ち着け、ミリシア。早まるな、落ち着いて話そう!」

 エターリアは彼女の脅迫に動揺して、うろたえている。どういうこと? ブルッツェンが顔を青ざめながらミリシアをなだめた。

「お待ちください、ミリシア様、ここはいったん我々はあなた方の提案を持ち帰ります。よく、周りの者と話し合ったうえ、熟慮してお答えします。よろしいでしょうか?」
「わかったわ、ブルッツェン。好きになさい。ミサ、帰るわよ」

「えっ、え、ちょっと!?」

 ミリシアがこの場を去ろうとしたことで、私は急いで追いかけた。

「ちょ、ちょっとミリシア? いまの……」
「どうしたの、ミサ?」

 といつものにこやかなミリシアに戻っており、私には何が何だかわからなかった。数日がたって、魔族側から使者が来て、停戦に応じる方向でまとめたいという返事だった。

 停戦条件を詰めてこれから交渉したいとのことだ。ミリシアのことが気になるけど、とりあえず、私は宰相としての大仕事を取りまとめることにした。
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