幼女救世主伝説-王様、私が宰相として国を守ります。そして伝説へ~

琉奈川さとし

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魔族大戦

第九十二話 魔族の一面

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 私はレミィの背中にしがみついて空を飛んでいく。風が気持ちいのがいいが、流石に私は人間なので空を飛ぶことになれてないので、怖くて彼女に必死につかまる。レミィはそれに気づいたのか優しい口調で言った。

「大丈夫―? ミサちゃん。落っこちないように力いっぱい私にしがみつくといいよー」
「わ、わかった」

 と言っても私はおんぶされた形になるので、手を回すと、私は子どものため腕を交差することが出来ずに、おっぱいに対し揉み上げるように、もぎゅっと握った。

「きゃ!?」
「ご、ごめん」

「う、ううん、平気」
「大丈夫? 痛くない?」

「……、ちょっと興奮しちゃった」
「えっ!?」

「な、なんでもない!」

 レミィのおっぱいは張りが良くてボリュームが大きい、や、やわらかい……。で、でも女同士だし、セーフだよねセーフ。ポリコレは騒がないよね!? よし! ならよし! でもいい機会だから、しっかり揉んでおこう。

「あっ……!」
「ご、ごめん!」

「ううん、大丈夫、大丈夫」

 ふむ、恥じらいがあるのかの? ふふん、きゃわゆい奴め。いかんいかん、親父臭くなってきたぞ。好感度がまた下がる。私はごまかすためレミィに質問をした。

「ねえ、レミィ、貴女とレクスの関係って聞いてもいい?」
「え? 何、突然」

「いや、えーとなんか親しそうだから、さ」
「ああ、別に隠すことでもないしね。あいつ、レクスは私の双子の兄よ」

「え? そうなんだ」

 てっきり、好きなんだと思ってた。なんだ、そういう関係なのか。なるほどなるほど。レミィは照れた口調で語り始める。

「レクスってさあ、むっかしから、真面目のくせに抜けてる感じがあってさ、お兄ちゃんは私が付いてないとほんと駄目なんだから。お兄ちゃんはね、まあ、魔族としては優秀なんだけど、どうも、雑っていうかさ、他人の気持ちを考えないことがあってねー。

 お兄ちゃんには私がいないと、女の子とまともに会話できるかどうかすら、危ういしさ、ほんと駄目なお兄ちゃんなんだから……」
「おにぃちゃん!?」

「な、なんでもない! ほら、あそこで働いているのが捕虜にしたやつだ、ミサ、降りるよ」
「うん!」

 私は必死におっぱいを揉み……じゃなく、つかみ、地上に降りた。

 地上に降り立つと、農場が広がっていく、そこに男たちが農作業をしていた。黙々と働き、強制労働とは言われたものの、見張りの魔族はいるが、特に厳しく、鞭を打ったり、きつい仕事をしている様子はない。

 男たちの中に、見知ったものがいた。彼は親衛隊隊員だ。だから、私は聞いてみた。

「おーい、私、ミサ。元気してるー?」
「こ、これは宰相閣下! 無事でしたか!?」

「ええ、元気元気、貴方たちも元気そうね」
「まあ、ね。魔族につかまり、どうなるかと思いましたが、特に虐待されることも無く、こうやって汗水流しております」

「そう……」

 私たちのやり取りに横にいたレミィは言った。

「別にお前らを憎くてやってるわけじゃないからな、私たち、いや、魔王様は。ヴェルドーはニンゲンに含むところがあるようだが」
「なるほどね」

 私は納得がいったので思い切って知り合いの親衛隊員にきいてみた。

「ねえ、ジョセフどうなったか知らない?」
「ああ、カササギ隊の隊長ですか? あっちで働いていますよ」

「ありがと。健康に気を付けてね」
「精進します」

 私はジョセフの元へと向かった。彼はどうやら女魔族を口説いていて、それを見たレミィは怒った。

「おい、貴様、またやっているのか?」
「これはこれはレミィ嬢、相変わらずお美しい」

「うるさい、だまれ、貴様は他の男と比べて、まるで、やる気がないのか!」
「やってるじゃないですか、仕事は。ただ女性を目の前にして口説かないのは余りにも男として失礼、ということで、一緒に休憩しませんか、レミィ殿?」

「だれが!」

 そう言ってレミィはそっぽ向いた。まーあたジョセフのナンパが始まった。こいつこんな事態でも変わらないな、魔族でも女ならだれでもいいんか。私はジョセフに忠告した。

「ちょっとジョセフ」
「ああ、宰相閣下、お元気そうで何よりです」

「あんた、いい加減にしなさいよ、アンタが変なことすると他の捕虜たちに迷惑が掛かったらどうするの、今の所無事に労働させられているようだけど、魔族たちの機嫌損ねたらどうするの」

「私はただ愛でているだけですよ、美しき女性たちを」
「それが迷惑かかるの、ちょっとはわきまえなさいよ」

「努力はしますよ、努力は。しかし、男と女というものは……」
「もういい! ルーカス知らない?」

「ああ、隊長ですか? どうやらつかまってないみたいですね」
「そう……」

 捕虜になってない、もしかして、彼はもう……。私が不安げにすると、ジョセフは笑顔で言った。

「隊長なら生きてますよ、あの人は死んでも死なない人ですから」
「わ、わかってるわよ! とりあえずあなたたちは虐待されてないようだし、意外と楽しそうに暮らしているので良かったわ」

「まあそうですね。ジェラード卿はどうなったかは気になるところですが……」
「……」

 彼はきっと生きている。絶対そうだ、私と約束したもん、私を置いて死んだりしないって。だから信じてる。きっと生きている。彼ならきっと……!

 私がジョセフと会話し、皆のことを魔族はまともに扱ってくれているとよくわかって、安心した。話が途切れて帰ろうかと思うと、彼はキャベツを私に渡した。

「えっ!?」
「農作業はいいですよ、生きているって感じで。どうぞ私が収穫したものです。ミサ様も食べてください」

「あ、ありがとう……」
「ついでにレミィ殿もどうぞ」

「い、いらん。ニンゲンに施しを受けたくない!」
「じゃあプレゼントです、美しい貴女に」

「ちっ。まあいい、捕虜の農耕作業が上手くいっているか調べる必要があるからな。仕方ないから、うけとってやる」
「どうも。あと感想聞かせてくださいね」

「ふん!」

 そう言ってレミィと私は彼からキャベツなど野菜を受け取り、かごに入れた。私は疑問が浮かんだのでレミィにきいた。

「ねえ、何で男たちに農作業させるの?」
「ニンゲンは陰湿で、怠け者だ。私たちがしっかりと導き、健全な体と心をもつよう、指導しなければならない。農作業はいい。大地の恵みや、日差しを浴びることで、生き物は健康に育つ。そのためだ」

「なるほど」

 魔族なりの哲学があるのか。私は何か彼らの一面を知って安心した。別に怖い人たちじゃないんだ。でもなんで攻めてきたんだろう。それをやんわりと聞いたが、レミィは魔王様の命だという。よくわからん、魔王に会ってみたいな、いつか。何故戦争をしたか、これは重要なことだから。

 私はレミィと談笑していると、彼女は美しい白髪はくはつをきらめかせながら笑顔で語った。

「やっぱりさ、みんなが幸せになる方法があればいいね。ニンゲンも魔族も」
「えっ……!?」

 意外だった、彼らはヴェルドーのように人間を憎んでいると思ってた。理由はわからないけど。私はじんと彼女の言葉を胸にしまっておきながら言った。

「そうだね、みんなが争わなくて済むならそれが一番だね」
「ええ、そう思う……」

 さわやかな風が吹く、温かな農場の景色に見ほれながら、この戦争の答えを私は探したのだった。
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