幼女救世主伝説-王様、私が宰相として国を守ります。そして伝説へ~

琉奈川さとし

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魔族大戦

第八十六話 ウェストヘイム王城戦

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 私とジョセフは親衛隊を率いて、ウェストヘイム王城フェニックスヒルに行くことにした。緊急事態ということで、ウェストヘイム王は王都の王宮から離れ、防衛設備の整った、王城に着座することとなったようである。

 私は城の中で、ウェストヘイム騎士たちに案内され、謁見室に行った。

「お久しぶりでございます。ウェストヘイム国王陛下、統一国宰相、ミサ・エチゴ・オブ・リーガンでございます」
「ん、ご苦労であった。こたびの魔族との戦いでお疲れであろう、このフェニックスヒルで、ゆるりと体を休めるがよい」

「はっ、して、現在のウェストヘイムの状況をお尋ねいたしたいと思います」

 ウェストヘイム王の騎士が軍事状況を説明し始める。

「現在、魔族の主力はワックスリバーで釘付けになっております。今だレッドヴァレイ要塞の統一軍は粘り強く抵抗を続け、魔族どもは制圧に苦しんでおります。また、魔族の先兵はこちらウェストヘイムにも侵入を続けておる状況です。

 まだ小規模でありますが、いずれ、本格的にこのウェストヘイムに侵略を試みるでしょう。ここは我ら統一軍が一致団結して、魔族に当たることが肝要かんようかと存じます」
「まだ持っておりますか、レッドヴァレイは?」

「報告によると宰相閣下の迅速な指示で、指揮系統が統一して、ゲリラ戦法に切り替えることで、うまく、魔族との戦いが繰り広げられたとのこと。流石はミサ様ですな」
「いえ、統一国の宰相でありながら、騎士たちと戦えず、己の無力さを恥じております」

 私の答えにウェストヘイム王妃であるミシェル妃が私を慰めた。

「そなたのせいではあるまい。女子おなごでありながらよく気丈に、かつ、冷静に判断を下せた。ウェリントンも喜んでいるであろう」
「はっ、もったいなきお言葉」

 大体の話し合いをして最後にウェストヘイム国王が私に言った。

「いずれ、魔族がこの国にも本格的に襲来する恐れがある以上、この城にて宰相殿も私を助言してくれないか。戦線を引き直す意味でも、そうしてもらうとありがたい」
「ははっ、統一王陛下と連絡を取り、そう致すよう、調整します」

「うむ、頼むぞ、ミサ殿」
「ははっ」

 私は謁見室を後にして、この城の豪華な客室に泊まることになった。ジョセフと今後の事と、現状を話し合う。

「ジョセフ、どう? ルーカスの様子は、耳に入ってる?」
「まあ、なにせ、装備面で不利ですからね。隊長は上手くやってますよ、器用に時間を稼いでいます」

「感想じゃなくて報告が聞きたいのだけど」
「ああ、今入ってきた情報によると、レッドヴァレイ要塞を他の士官たちに任せて、ウェストヘイムに入ったそうです、ひと段落ついたそうなので」

「それを早く言ってよ、で、どう、段落ついたの?」
「要塞は落ちますね、でも時間を稼いだのと、魔族との戦闘経験が出来て、ワックスリバーおよび、ウェストヘイム戦で、長時間戦えるのではないかとのことです。まともに戦っては惨敗ですからね。今のままだと」

「どうにか装備技術を発展させる必要がありそうね」
「そうですね、いずれ兵からも詳細な戦闘記録が上がってきて、まあ、そこら辺もクリアできるでしょう、だから今は……」

「──時間を稼ぐ、そうね?」
「ええ、私も今回はウェストヘイムのレディたちと、夢のひと時を楽しめそうです」

「そんな暇与えないわよ、私」
「暇は作るものですよ、軍人的にね」

「あっそう、ルーカスに何とかここウェストヘイムに来てくれないか伝えて」
「ええ、いいですが、どうしてです?」

「戦線を引き直すのよ、さっきの話聞いてたの? 親衛隊隊長の指揮が必要でしょう?」
「ああ、伝えておきます」

「それと、陛下たち、アレキザンダー様ね。東部戦線どうなの?」
「どうやら、エジンバラ王と合流して、エジンバラ国境に戦線を引き直すそうです。何か伝える必要あります?」

「私はどうすればいいか聞いておいて。ネーザン国内に戻った方がいいか、このままウェストヘイムで戦いを分析するか」
「それなら、ここで魔族の情報が集まるまで、とどまった方がいいんじゃないんですか、後々政治的に大掛かりに動かさなきゃならないでしょ、ネーザンがキーですから、この大戦争は」

「なら、陛下に許可をとって頂戴、あくまで私はテットベリーの視察で北方に出向いただけだから、成り行き上要塞で責任者になったけど、本来宰相がしゃしゃり出るべきではないから、統帥権のある陛下にきかないといけないわ」
「了解しました」

 そう言って、ジョセフは部屋から出ていった。次の日、報告と同時にウェストヘイムのご婦人の良さを伝えられた。夜的な意味で。いらんわ、そんな情報。

 のちにルーカスがこちらにやってきた。私は笑顔で迎えた。

「おつかれさま、よくやってくれたわ、こんな状況で」
「いえ、我が親衛隊は陛下にも、閣下にも十二分に恩恵を受けております、それにささやかなご恩返しができて誇らしいです」

「頼もしい言葉ね、どう魔族との戦いは」
「勝つことは難しいでしょう、今の状況では。だがいつの日か宰相閣下が道を開いていただけると信じております」

「わかったわ、最善を尽くして。とりあえず戦況報告にウェストヘイム国王陛下に共に謁見しましょう」
「かしこまりました」

 私はルーカスとジョセフを連れて、謁見室におもむいた。

「ウェストヘイム国王陛下、こちら親衛隊隊長、ルーカス・マンレイクです。我がネーザンきっての騎士です」

「ウェストヘイム国王陛下、ルーカス・マンレイクです。お初にお目にかかり光栄でございます。この度は──」

 その時だった。にわかに叫び声が聞こえてきた。ウェストヘイム王が「なんだ、騒がしい!?」と騎士たちに尋ねたところ、兵が謁見室に入ってきた。ウェストヘイム王は苦々しそうに言った。

「なんだ、ミサ宰相殿との会見中だぞ、無作法ではないか」
「申し訳ございません。魔族が……魔族が現れました……!」

「何だと!?」

 私たちが城の空洞の窓に集まると、うっすらと遠くに、魔族たちと獅子に乗った大男が確認できた。私は思わず口に出してしまう。

「あれは……! ヴェルドー!?」

 なぜ、この王城までやってこれたの、しかも兵を連れて、いったいどうやって……!?
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