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世界統一編
第四十五話 リヴィングストンの陰謀
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「ミサ様! 朝ですよー!」
気持ちよく寝ているのに何よー、もう、眠いのに……。
「あと六時間だけ……」
「そんなの夜になっちゃいますよ!」
ええ、良いじゃん夜になっても、疲れてるんだから……。私はそれにめんどくさく答える。
「そのうち起きるから……、そのうちね……」
その瞬間いきなり少年の声が大きく響いた。
「そういう悪い娘にはこうです!」
「きゃっ!? 何!」
いきなり布団をはぎとられてびっくりしてしまった。え、何々どういうこと!? 寝ぼけまなこで、少年を見ると、誰かわかった。昨日、私に仕えるって言った、国務大臣の三男、レオだ。
レオは可愛らし気に笑みを浮かべた。
「だめですよ、お仕事にいかなきゃ、ミサ様」
「れ、レオ!」
私は驚いたままで、どうしていいかわからず、きょろきょろと私の部屋を見まわした。
「……あ、あれ、私の部屋、綺麗になってる……」
「もう、ミサ様ったらだらしないんだから、僕がかたづけておきました。食べかけのケーキとか、読みかけの本とか、そこら中に転がっていた、ワイン瓶を」
「……あ、ありがとう……。私どうも、自分の部屋を片付けるの苦手で……」
「わかってます、お忙しいし、疲れてるんですよね、これからは僕がやっときますから、ミサ様は国のこと、頑張ってくださいね!」
「う、うん……」
男の子に自分の部屋が汚いのを見られて恥ずかしかったのと、いろいろつつかれるのは少し抵抗があったけど、いかんせん私は致命的にだらしないところがあるから、とりあえず私はいいかなって思った。
仕事場は片づけるんだけど、自分の部屋が片付けられないんだよね……。はあ、自分が情けない……。
レオが外に出ている間、私は寝巻から着替えをすまして、支度をすると、ドアをノックされた。
「ミサ様、よろしいですかー?」
「うん、入っていいよー」
私がそう言うと、レオはティーセットを持ってきてくれた。わお、私の執事より気が利く。
「ミサ様、食事の前に、軽く、お茶を用意しましたよ」
「あ、ありがとう……」
そして私はテーブルに座り、レオがハーブティーを入れてくれる、いい香り……。寝起きに軽くハーブティーをとると頭がすっきりして気分がいいのよね。空きっ腹のときに、頭がしゃっきりして、食欲がそそって頭が活発化するから。
私は彼が入れてくれた、ハーブティーを口にすると、ふと気が付いた。
「あれ、これって……?」
「あ、はい、キッチンにあったカモミールですよ、もしかしてお嫌いでしたか?」
「ううん、そうじゃない、そうじゃないの、好きだよ、これ」
そう言えばジェラードの屋敷に行ったときにカモミールの葉を分けてもらったのだった。私の屋敷でそのままにしておいて、放置していたから、すっかり忘れてた。
うーん頭がすっきりして落ち着く、何か気分が良くなってきた。あっ、でもこれ……。その瞬間、私が少し変な表情をしてしまったのだろう、レオは不安がって聞いてきた。
「どうかなさいましたか、ミサ様?」
「あ、いや、前飲んだ味と、違うかなって」
「え、そうなんですか、そっちの方が好きですか!?」
「えっと……」
「ぜひ、どこで飲んだか教えてください、僕、ミサ様に美味しいお茶を飲んでほしいんです!」
彼が熱心に聞いてくれるのでとても嬉しかった、そんなにも私に対して優しくしてくれるんだ。だから私は喜んで言った。
「ジェラード、テットベリー伯の屋敷でよ、彼の領地の名産だから、カモミールは」
「そうなんですか! 後で時間があるときに、おいしいカモミールの入れ方を勉強してきますね!」
「ふふ、ありがと」
私のために尽くしてくれる人がいるってこんなにもうれしいことなんだ、私、最近誰かに尽くしてばっかりだから、こういう些細な優しさがとても嬉しかった。
カモミールをのんだ後、食事を楽しんだ、レオは私の食事の好みを事細かに聞いてきて、次はもっとおいしい食事を楽しんでほしいとのことだ。ありがたいな、本当。普段の生活が充実してないと、仕事なんてできないからね。レオが来てくれてほんとに嬉しい。
食事をすますと、私は王宮へと向かった。実は私、朝が苦手でぐずぐずして、疲れたときは、遅刻とかよくする方だけど、レオのおかげで、今日は、時間通りにぴったりに来られた。別に私は宰相だから、遅刻しようと、いつ来ようと、何も言われないけど、気分良く通勤できたことにレオに感謝だ。
私は王宮にレオを連れて行った。彼の社会勉強のためだ、貴族たちや、大人と話すことで、彼の鋭敏な頭脳を磨くことができる。たぶんレオなら、同年代の子どもと話すより、大人の方が話が合うだろう、精神年齢高そうだから。
日本の悪いところは、子どもを隔離してしまうことだ、もっと社会勉強をしないと、社会のことを知らずに大人になって、社会不適合者になってしまい、引きこもりとかになってしまう。
年を重ねた大人たちと触れ合うことは子どもにとって勉強になる、もちろん大人には悪い人がいるけど、それは子どもも同じだ。閉鎖的な空間の中だけで過ごすと、子どもの豊かな感受性の広がりが閉ざされていき、いじめなど、信じられないことが起きる。
まあ、王宮じゃあ、私の敵はいても、私の連れの子どもに変なことする奴はなかなかいないだろう。いたらとっちめてやる。
私はレオにいろいろ言い含めて、彼は熱心に聞いてくれた。きっとこの子は大物になる。そういう期待を胸に、一緒に王宮に入った。
ディアミスの間でばったりジャスミンに出会った。彼は恭しく私に挨拶した。
「閣下、おはようございます」
「おはようジャスミン」
「今日は、元気でいらっしゃいますね」
「あら、皮肉? ふふ、まあ、この子のおかげでね」
ジャスミンはレオを見て不思議そうにした。
「この子は……?」
「マンチェスター卿の息子さんのレオ、ほら、彼は私の右腕のジャスミンよ、あいさつして」
「はい!」
そうして丁寧に貴族の礼をしてレオはジャスミンに言った。
「レオです、父上がお世話になっております。このたび、ミサ宰相閣下のおそばにお仕えさせていただくようになりました。ジャスミン様、僕は子どもゆえ、いろいろ、無作法なところはあると思いますが、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします!」
「これはこれは、丁寧なあいさつを。ジャスミンと申します。以後お見知りおきを」
「ありがとうございます!」
挨拶が済んだことで、私はジャスミンに言った。
「ねえ、ジャスミン。この子に、ちょっと王宮内を案内してあげてくれない? 私より貴方の方が、王宮のこと詳しいでしょ、いろいろと。私、宰相だしさ、あれじゃない? お願い」
「かしこまりました、レオ君、こちらにおいで」
「はい!」
私は宰相である以上、特に今は敵意を持つ貴族が多いから、側にいると、レオに敵意を持つ者もいるからという配慮だ。ジャスミンは私の派閥とはいえ、ただの官僚だし、いちいち突っかかることはないだろう。
もちろんジャスミンはレオの後ろ盾は私だと伝えるだろうけど、私が紹介するのと、クッションを置くのとで人の印象が変わってくる。第一印象大切だからね。貴族たちとなじめるよう願ってだ。
私が仕事に入って、昼頃だ、昼食をとろうかと思っていた時、ジャスミンが青い顔をしていたのでびっくりした。まさかレオに何かが……!
「閣下! 一大事です」
「レオに何かあったの!?」
「いえ、違います、それより恐ろしいことです、いや、むしろ幸運と言ったほうがいいのかもしれません」
「どうかしたの?」
「王宮貴族たちが閣下を害する密儀を行ったそうです」
「なんだ、朗報じゃない、むしろ先に手を打てるから。想定内よ。場所は?」
「カンビアス卿の別荘、リヴィングストンの屋敷です」
「なんですって!? 詳しく話してちょうだい」
「実は、王宮貴族たちが集まるパーティーがもよおされた時です、とある貴族が、酒に酔って、閣下を襲うと言って、それに周りの者がはやし立てて、あれこれ兵を挙げるだの、言い始めたのです」
「その中にカンビアスはいたの!?」
「いえ、彼はあくまでその別荘を貸しただけだそうです」
「ややこしいわね」
「さらにややこしいのが、そのパーティーに参加した者の面々です。この密儀を聞いたある貴族が、先の襲撃事件の顛末を知っているため、慌てて閣下にお知らせしないとと密告したようなのです」
「で、誰がいたの?」
「こちらの書類をご覧ください」
書類を横に広げ、私は驚いてしまった。これは……! パーティーの参加メンバーに侯爵や、伯爵、その他大物の王宮貴族の面々の名が連なれていたからだ。──うかつなことを! 私はそこまで王宮貴族と対立する気はなかったのに。
酒の席とは言え、これは大事件だ。特に上級貴族がかかわっている以上、王政を揺るがす原因となる。私は思案した後、ジャスミンに言った。
「ジャスミン、明日、陛下に謁見するわ。準備を整えてちょうだい」
「かしこまりました」
私は顔を引き締め、打ち合わせを閣僚たちととって、事態の収拾に追われた。
気持ちよく寝ているのに何よー、もう、眠いのに……。
「あと六時間だけ……」
「そんなの夜になっちゃいますよ!」
ええ、良いじゃん夜になっても、疲れてるんだから……。私はそれにめんどくさく答える。
「そのうち起きるから……、そのうちね……」
その瞬間いきなり少年の声が大きく響いた。
「そういう悪い娘にはこうです!」
「きゃっ!? 何!」
いきなり布団をはぎとられてびっくりしてしまった。え、何々どういうこと!? 寝ぼけまなこで、少年を見ると、誰かわかった。昨日、私に仕えるって言った、国務大臣の三男、レオだ。
レオは可愛らし気に笑みを浮かべた。
「だめですよ、お仕事にいかなきゃ、ミサ様」
「れ、レオ!」
私は驚いたままで、どうしていいかわからず、きょろきょろと私の部屋を見まわした。
「……あ、あれ、私の部屋、綺麗になってる……」
「もう、ミサ様ったらだらしないんだから、僕がかたづけておきました。食べかけのケーキとか、読みかけの本とか、そこら中に転がっていた、ワイン瓶を」
「……あ、ありがとう……。私どうも、自分の部屋を片付けるの苦手で……」
「わかってます、お忙しいし、疲れてるんですよね、これからは僕がやっときますから、ミサ様は国のこと、頑張ってくださいね!」
「う、うん……」
男の子に自分の部屋が汚いのを見られて恥ずかしかったのと、いろいろつつかれるのは少し抵抗があったけど、いかんせん私は致命的にだらしないところがあるから、とりあえず私はいいかなって思った。
仕事場は片づけるんだけど、自分の部屋が片付けられないんだよね……。はあ、自分が情けない……。
レオが外に出ている間、私は寝巻から着替えをすまして、支度をすると、ドアをノックされた。
「ミサ様、よろしいですかー?」
「うん、入っていいよー」
私がそう言うと、レオはティーセットを持ってきてくれた。わお、私の執事より気が利く。
「ミサ様、食事の前に、軽く、お茶を用意しましたよ」
「あ、ありがとう……」
そして私はテーブルに座り、レオがハーブティーを入れてくれる、いい香り……。寝起きに軽くハーブティーをとると頭がすっきりして気分がいいのよね。空きっ腹のときに、頭がしゃっきりして、食欲がそそって頭が活発化するから。
私は彼が入れてくれた、ハーブティーを口にすると、ふと気が付いた。
「あれ、これって……?」
「あ、はい、キッチンにあったカモミールですよ、もしかしてお嫌いでしたか?」
「ううん、そうじゃない、そうじゃないの、好きだよ、これ」
そう言えばジェラードの屋敷に行ったときにカモミールの葉を分けてもらったのだった。私の屋敷でそのままにしておいて、放置していたから、すっかり忘れてた。
うーん頭がすっきりして落ち着く、何か気分が良くなってきた。あっ、でもこれ……。その瞬間、私が少し変な表情をしてしまったのだろう、レオは不安がって聞いてきた。
「どうかなさいましたか、ミサ様?」
「あ、いや、前飲んだ味と、違うかなって」
「え、そうなんですか、そっちの方が好きですか!?」
「えっと……」
「ぜひ、どこで飲んだか教えてください、僕、ミサ様に美味しいお茶を飲んでほしいんです!」
彼が熱心に聞いてくれるのでとても嬉しかった、そんなにも私に対して優しくしてくれるんだ。だから私は喜んで言った。
「ジェラード、テットベリー伯の屋敷でよ、彼の領地の名産だから、カモミールは」
「そうなんですか! 後で時間があるときに、おいしいカモミールの入れ方を勉強してきますね!」
「ふふ、ありがと」
私のために尽くしてくれる人がいるってこんなにもうれしいことなんだ、私、最近誰かに尽くしてばっかりだから、こういう些細な優しさがとても嬉しかった。
カモミールをのんだ後、食事を楽しんだ、レオは私の食事の好みを事細かに聞いてきて、次はもっとおいしい食事を楽しんでほしいとのことだ。ありがたいな、本当。普段の生活が充実してないと、仕事なんてできないからね。レオが来てくれてほんとに嬉しい。
食事をすますと、私は王宮へと向かった。実は私、朝が苦手でぐずぐずして、疲れたときは、遅刻とかよくする方だけど、レオのおかげで、今日は、時間通りにぴったりに来られた。別に私は宰相だから、遅刻しようと、いつ来ようと、何も言われないけど、気分良く通勤できたことにレオに感謝だ。
私は王宮にレオを連れて行った。彼の社会勉強のためだ、貴族たちや、大人と話すことで、彼の鋭敏な頭脳を磨くことができる。たぶんレオなら、同年代の子どもと話すより、大人の方が話が合うだろう、精神年齢高そうだから。
日本の悪いところは、子どもを隔離してしまうことだ、もっと社会勉強をしないと、社会のことを知らずに大人になって、社会不適合者になってしまい、引きこもりとかになってしまう。
年を重ねた大人たちと触れ合うことは子どもにとって勉強になる、もちろん大人には悪い人がいるけど、それは子どもも同じだ。閉鎖的な空間の中だけで過ごすと、子どもの豊かな感受性の広がりが閉ざされていき、いじめなど、信じられないことが起きる。
まあ、王宮じゃあ、私の敵はいても、私の連れの子どもに変なことする奴はなかなかいないだろう。いたらとっちめてやる。
私はレオにいろいろ言い含めて、彼は熱心に聞いてくれた。きっとこの子は大物になる。そういう期待を胸に、一緒に王宮に入った。
ディアミスの間でばったりジャスミンに出会った。彼は恭しく私に挨拶した。
「閣下、おはようございます」
「おはようジャスミン」
「今日は、元気でいらっしゃいますね」
「あら、皮肉? ふふ、まあ、この子のおかげでね」
ジャスミンはレオを見て不思議そうにした。
「この子は……?」
「マンチェスター卿の息子さんのレオ、ほら、彼は私の右腕のジャスミンよ、あいさつして」
「はい!」
そうして丁寧に貴族の礼をしてレオはジャスミンに言った。
「レオです、父上がお世話になっております。このたび、ミサ宰相閣下のおそばにお仕えさせていただくようになりました。ジャスミン様、僕は子どもゆえ、いろいろ、無作法なところはあると思いますが、ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします!」
「これはこれは、丁寧なあいさつを。ジャスミンと申します。以後お見知りおきを」
「ありがとうございます!」
挨拶が済んだことで、私はジャスミンに言った。
「ねえ、ジャスミン。この子に、ちょっと王宮内を案内してあげてくれない? 私より貴方の方が、王宮のこと詳しいでしょ、いろいろと。私、宰相だしさ、あれじゃない? お願い」
「かしこまりました、レオ君、こちらにおいで」
「はい!」
私は宰相である以上、特に今は敵意を持つ貴族が多いから、側にいると、レオに敵意を持つ者もいるからという配慮だ。ジャスミンは私の派閥とはいえ、ただの官僚だし、いちいち突っかかることはないだろう。
もちろんジャスミンはレオの後ろ盾は私だと伝えるだろうけど、私が紹介するのと、クッションを置くのとで人の印象が変わってくる。第一印象大切だからね。貴族たちとなじめるよう願ってだ。
私が仕事に入って、昼頃だ、昼食をとろうかと思っていた時、ジャスミンが青い顔をしていたのでびっくりした。まさかレオに何かが……!
「閣下! 一大事です」
「レオに何かあったの!?」
「いえ、違います、それより恐ろしいことです、いや、むしろ幸運と言ったほうがいいのかもしれません」
「どうかしたの?」
「王宮貴族たちが閣下を害する密儀を行ったそうです」
「なんだ、朗報じゃない、むしろ先に手を打てるから。想定内よ。場所は?」
「カンビアス卿の別荘、リヴィングストンの屋敷です」
「なんですって!? 詳しく話してちょうだい」
「実は、王宮貴族たちが集まるパーティーがもよおされた時です、とある貴族が、酒に酔って、閣下を襲うと言って、それに周りの者がはやし立てて、あれこれ兵を挙げるだの、言い始めたのです」
「その中にカンビアスはいたの!?」
「いえ、彼はあくまでその別荘を貸しただけだそうです」
「ややこしいわね」
「さらにややこしいのが、そのパーティーに参加した者の面々です。この密儀を聞いたある貴族が、先の襲撃事件の顛末を知っているため、慌てて閣下にお知らせしないとと密告したようなのです」
「で、誰がいたの?」
「こちらの書類をご覧ください」
書類を横に広げ、私は驚いてしまった。これは……! パーティーの参加メンバーに侯爵や、伯爵、その他大物の王宮貴族の面々の名が連なれていたからだ。──うかつなことを! 私はそこまで王宮貴族と対立する気はなかったのに。
酒の席とは言え、これは大事件だ。特に上級貴族がかかわっている以上、王政を揺るがす原因となる。私は思案した後、ジャスミンに言った。
「ジャスミン、明日、陛下に謁見するわ。準備を整えてちょうだい」
「かしこまりました」
私は顔を引き締め、打ち合わせを閣僚たちととって、事態の収拾に追われた。
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