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世界統一編
第三十一話 男の純情
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「ちょっとぉ、ミサに引っ付きすぎよ、この娘、困ってるじゃない。控えなさいよ、ジェラード、私のミサに手をつけようなんて千年早いんだから、勝ったのはすごいけど、調子に乗りすぎよー。離れなさい! 離れなさいよ!」
またもやメアリーが私とジェラードがみんなの拍手を受けている状態を、ぶちぶち言い始める。べ、別に私、嫌じゃないけど、まあ、みんなに誤解されたら困るけど……。ジェラードはそれを軽く笑い飛ばしながら言った。
「姫君、こういう時は、愛しの君と一緒にいるのを邪魔するべきでありませんよ、勝利の至福のひと時を、男と女が分かち合うのが高貴なる者の、騎士とレディーの運命でございます」
「何が愛しの君よ、ロリコン! 変態! ミサはあんたの遊びにつき合わせてるんじゃないよ、色男だからって、私認めないからね!」
負けじとメアリーが毒づく。しかしかえって、ジェラードは嬉しそうにしてる。
「マイ・プリンセス。貴女が、神に導かれし私たちの仲に、横槍を入れるのは、たとえ姫君でも許されぬこと。このジャウストの勝利は私とミサの二人の運命でございます」
ええ⁉ ジェラード、本気で言ってるの!? わかんないよ、男心が。私貴方にとってそういう女性ってこと? 本当!?
だがメアリーはジト目で言い始めた。
「そういう奴に限って、裏で女遊びしてるんだから。私にはわかるんだからね! ミサをダシにして純情をよそいつつ、投げ込まれたハンカチの中の美しい令嬢のもとに忍び寄って、夜を共にする気でしょ。
私にはわかってるんですから!」
「どうやらプリンセスは宮廷劇を見すぎたようですな。私のミサへの純粋なる愛を理解できないとは」
「うるさいうるさい! こっちくんな、ロリコン伯爵! 私のミサには手を出させないんだからね! 帰れ、帰れ!」
私への純情……え、そうなの……? でもメアリーは違うって言ってるし、わかんないよ……。
そう私が葛藤していると、ジェラードは私に丁寧に礼をする。
「それでは愛しの我が君、またお会いしましょう。今日は邪魔が入った模様。静かな場所でお互いに恋を語らいましょう」
「え、あ、はい……」
私と彼とのやり取りにメアリーは、
「誰が邪魔よ、言いやがったな、こんちくしょー。いいから帰れ、しっ! しっ!」
そう言って何度も手で払う。ジェラードは笑いながら去って行った。流石に彼にひどいと思ったのでメアリーに文句を言う。
「ひどいよー、メアリー。本気とは思ってないけど、あんな言い方、よくないよ。今日の主役だよ、彼」
「ミサ……。男ってね、ああ言いながら、よそできれいな女を作って、楽しむんだよ、男ってそうだから、だまされちゃダメ! 私の言うことを信じなさい。散々こういう話を周りから聞かされたんだから。わかった?」
ええ、そうなの? わかんないや、恋の事なんて。はあ……。私はとりあえずメアリーの言葉にうなずいて周りを見渡した。
そうすると王の席にウェリントンがいない! ええ、なんでいないの、どういうこと? 私は何かあったのかと思って、彼のおつきの宮廷貴族に聞いて回ると、どうやら、ジェラードの試合の後、無表情で席を外したらしい。
まだまだ、試合があるし、王がいないと、この祭りに支障が出る。これは重大な事件だ。周りも動揺し始めている。彼を探して連れ戻さないと。でも気分が悪くなったのかなあ、血とか出るし、でも彼は男性だし、そういうことは慣れていると思うんだけど。
私は宮中でウェリントンのことを聞きまわって、居場所を探す、どうやら、自室にこもったらしい、どうしたんだろう、彼、具合が悪いのかなあ。
私の彼の部屋の護衛の騎士に頼んで、ドアを叩いてもらう、だが返事がない。まさか……? 何かあったの!?
私は急いで彼の部屋に飛び込んだ!
「陛下! いかがなされましたか!」
部屋の中に入ると彼は酒を飲んでいた。どうやら、病気とかではなさそう、でも、何だか様子が変だ。どうしたの、ウェリントン……。
彼は静かに、「ミサか……」と言った。私はよくわからないので、「陛下いかがなされましたか……?」と尋ねる。でも彼は「ん……」といって何も言わない。どういうことだろう。
「どうなされたんです、陛下、お楽しみにされていた祭りではありませんか、お加減が優れないのでしょうか?」
「そうではない」
「では……?」
「そうだ、祭りであったな」
「どうかされましたか……」
「お前は……どう思う?」
「え、何がです?」
「とぼけるのではない、ジェラードだ!」
えっ、えっ? ジェラード? 何で彼の名前が出てくるの?
「ミサ、あいつは男前で、強く、女性の扱いにも長けている」
「ええ、そうですね」
「やはりか……!」
「なにがです?」
「おまえ、奴のことが好きなのだろう……! だから、あんなことを……」
え、もしかして彼のほほにキスしたこと? それがなんで? 別に変じゃないと思うけど。彼は冗談で口説いてるんだと思うんだけどなあ、本当のところはよくわからないけど。
そうするのが宮廷作法だし、正しい女性の扱いかただし、私もその作法にのっとってレディーとして役目を果たしただけだけど。
ん? まさか、ウェリントン、彼に嫉妬してるの!?
えっ、えっ!? それも私のことで、まさか……そんなこと……。
「いや、ああするのが、ご令嬢として当然と……」
「なら当然、奴に惚れているだろうな……!」
「ちがいますよ! 何言ってるんですか、もう!」
「照れなくてもわかるぞ、私みたいな、女の扱いを知らぬ男より、ああいう男が好みなのだな、お前は」
「ちがいますって!」
彼はどんどんと酒を金の杯に注いで飲んでいってる、うわ、酔っ払ってるの、彼……。
「なら、なんなんだ!?」
「彼とは友達で……」
「嘘をつくな!」
「嘘じゃありません!」
「皆がそう言った……」
「陛下……?」
「私もこの歳だ、恋を知らぬ男ではない。私は王だ、女王にふさわしき女性を見定めて、想いを募らせることもあった。だが、女を知らぬ私から離れて、他の男へと去って行った。私のせいだとはわかってはおる。
だがな、私だって一人の男だ、側にいて欲しいと思う女性がいても構わないだろう、だがしかし、皆が私の前から消えていく! きっとお前も……!」
そう……、だったんだ。女性に興味がないわけじゃなくて、不器用だったんだ、ウェリントンは。彼だって一人の男だ、好きな女性の一人や二人いたのだろう、でも彼は王なのだ、王太子だったのだ。周りの視線があるし、おおやけに女性のもとに行くことはできない。
だから周りには女性に興味のないふりをして、気丈にふるまっていたんだ。
……恋に焦がれながらも、恋にさよならを告げられた男、それがウェリントン。
そんな彼を、私は──。
「私はあなたの元を離れませんよ……」
「ミサ?」
「私は貴方の側にいます……ウェリントン……」
「ミサ……!」
そうして彼は私を強く抱きしめた。言葉は少なく彼はただ想いを込めて、
「私の側にいてくれ……ミサ……!」
と言った。だから、私は、
「はい……」
と答える。そして不器用な彼は、情熱的なその心のまま、私の瞳を見つめて、その情動とともに、彼は、私の唇に彼の唇を近づけていき……。
……そして──
彼は、私のファーストキスを奪った……。
またもやメアリーが私とジェラードがみんなの拍手を受けている状態を、ぶちぶち言い始める。べ、別に私、嫌じゃないけど、まあ、みんなに誤解されたら困るけど……。ジェラードはそれを軽く笑い飛ばしながら言った。
「姫君、こういう時は、愛しの君と一緒にいるのを邪魔するべきでありませんよ、勝利の至福のひと時を、男と女が分かち合うのが高貴なる者の、騎士とレディーの運命でございます」
「何が愛しの君よ、ロリコン! 変態! ミサはあんたの遊びにつき合わせてるんじゃないよ、色男だからって、私認めないからね!」
負けじとメアリーが毒づく。しかしかえって、ジェラードは嬉しそうにしてる。
「マイ・プリンセス。貴女が、神に導かれし私たちの仲に、横槍を入れるのは、たとえ姫君でも許されぬこと。このジャウストの勝利は私とミサの二人の運命でございます」
ええ⁉ ジェラード、本気で言ってるの!? わかんないよ、男心が。私貴方にとってそういう女性ってこと? 本当!?
だがメアリーはジト目で言い始めた。
「そういう奴に限って、裏で女遊びしてるんだから。私にはわかるんだからね! ミサをダシにして純情をよそいつつ、投げ込まれたハンカチの中の美しい令嬢のもとに忍び寄って、夜を共にする気でしょ。
私にはわかってるんですから!」
「どうやらプリンセスは宮廷劇を見すぎたようですな。私のミサへの純粋なる愛を理解できないとは」
「うるさいうるさい! こっちくんな、ロリコン伯爵! 私のミサには手を出させないんだからね! 帰れ、帰れ!」
私への純情……え、そうなの……? でもメアリーは違うって言ってるし、わかんないよ……。
そう私が葛藤していると、ジェラードは私に丁寧に礼をする。
「それでは愛しの我が君、またお会いしましょう。今日は邪魔が入った模様。静かな場所でお互いに恋を語らいましょう」
「え、あ、はい……」
私と彼とのやり取りにメアリーは、
「誰が邪魔よ、言いやがったな、こんちくしょー。いいから帰れ、しっ! しっ!」
そう言って何度も手で払う。ジェラードは笑いながら去って行った。流石に彼にひどいと思ったのでメアリーに文句を言う。
「ひどいよー、メアリー。本気とは思ってないけど、あんな言い方、よくないよ。今日の主役だよ、彼」
「ミサ……。男ってね、ああ言いながら、よそできれいな女を作って、楽しむんだよ、男ってそうだから、だまされちゃダメ! 私の言うことを信じなさい。散々こういう話を周りから聞かされたんだから。わかった?」
ええ、そうなの? わかんないや、恋の事なんて。はあ……。私はとりあえずメアリーの言葉にうなずいて周りを見渡した。
そうすると王の席にウェリントンがいない! ええ、なんでいないの、どういうこと? 私は何かあったのかと思って、彼のおつきの宮廷貴族に聞いて回ると、どうやら、ジェラードの試合の後、無表情で席を外したらしい。
まだまだ、試合があるし、王がいないと、この祭りに支障が出る。これは重大な事件だ。周りも動揺し始めている。彼を探して連れ戻さないと。でも気分が悪くなったのかなあ、血とか出るし、でも彼は男性だし、そういうことは慣れていると思うんだけど。
私は宮中でウェリントンのことを聞きまわって、居場所を探す、どうやら、自室にこもったらしい、どうしたんだろう、彼、具合が悪いのかなあ。
私の彼の部屋の護衛の騎士に頼んで、ドアを叩いてもらう、だが返事がない。まさか……? 何かあったの!?
私は急いで彼の部屋に飛び込んだ!
「陛下! いかがなされましたか!」
部屋の中に入ると彼は酒を飲んでいた。どうやら、病気とかではなさそう、でも、何だか様子が変だ。どうしたの、ウェリントン……。
彼は静かに、「ミサか……」と言った。私はよくわからないので、「陛下いかがなされましたか……?」と尋ねる。でも彼は「ん……」といって何も言わない。どういうことだろう。
「どうなされたんです、陛下、お楽しみにされていた祭りではありませんか、お加減が優れないのでしょうか?」
「そうではない」
「では……?」
「そうだ、祭りであったな」
「どうかされましたか……」
「お前は……どう思う?」
「え、何がです?」
「とぼけるのではない、ジェラードだ!」
えっ、えっ? ジェラード? 何で彼の名前が出てくるの?
「ミサ、あいつは男前で、強く、女性の扱いにも長けている」
「ええ、そうですね」
「やはりか……!」
「なにがです?」
「おまえ、奴のことが好きなのだろう……! だから、あんなことを……」
え、もしかして彼のほほにキスしたこと? それがなんで? 別に変じゃないと思うけど。彼は冗談で口説いてるんだと思うんだけどなあ、本当のところはよくわからないけど。
そうするのが宮廷作法だし、正しい女性の扱いかただし、私もその作法にのっとってレディーとして役目を果たしただけだけど。
ん? まさか、ウェリントン、彼に嫉妬してるの!?
えっ、えっ!? それも私のことで、まさか……そんなこと……。
「いや、ああするのが、ご令嬢として当然と……」
「なら当然、奴に惚れているだろうな……!」
「ちがいますよ! 何言ってるんですか、もう!」
「照れなくてもわかるぞ、私みたいな、女の扱いを知らぬ男より、ああいう男が好みなのだな、お前は」
「ちがいますって!」
彼はどんどんと酒を金の杯に注いで飲んでいってる、うわ、酔っ払ってるの、彼……。
「なら、なんなんだ!?」
「彼とは友達で……」
「嘘をつくな!」
「嘘じゃありません!」
「皆がそう言った……」
「陛下……?」
「私もこの歳だ、恋を知らぬ男ではない。私は王だ、女王にふさわしき女性を見定めて、想いを募らせることもあった。だが、女を知らぬ私から離れて、他の男へと去って行った。私のせいだとはわかってはおる。
だがな、私だって一人の男だ、側にいて欲しいと思う女性がいても構わないだろう、だがしかし、皆が私の前から消えていく! きっとお前も……!」
そう……、だったんだ。女性に興味がないわけじゃなくて、不器用だったんだ、ウェリントンは。彼だって一人の男だ、好きな女性の一人や二人いたのだろう、でも彼は王なのだ、王太子だったのだ。周りの視線があるし、おおやけに女性のもとに行くことはできない。
だから周りには女性に興味のないふりをして、気丈にふるまっていたんだ。
……恋に焦がれながらも、恋にさよならを告げられた男、それがウェリントン。
そんな彼を、私は──。
「私はあなたの元を離れませんよ……」
「ミサ?」
「私は貴方の側にいます……ウェリントン……」
「ミサ……!」
そうして彼は私を強く抱きしめた。言葉は少なく彼はただ想いを込めて、
「私の側にいてくれ……ミサ……!」
と言った。だから、私は、
「はい……」
と答える。そして不器用な彼は、情熱的なその心のまま、私の瞳を見つめて、その情動とともに、彼は、私の唇に彼の唇を近づけていき……。
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