幼女救世主伝説-王様、私が宰相として国を守ります。そして伝説へ~

琉奈川さとし

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世界統一編

第二十話 エジンバラ王都攻略に向けて

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「御礼の正式なあいさつが遅れて申し訳ありません、ジェラード子爵、さきの戦いでのご助勢まことにめでたく、ネーザン国の一臣として歓喜にたえません。心より御礼申し上げます」

 私はジェラードが滞在していたテントであいさつを告げる。しかし彼は静かに首を振った。

「この世界のために忠義に反することをした、それを責められることはあって当然、礼など申されるような立場ではあるまい、どうせ論功行賞の件で参ったのだろう、貴女にネーザン国王陛下に取り次いでもらいたい、私はもとより勲功くんこうを受ける立場ではないから辞退すると」

「はっ⁉ いえ、申し訳ございません。論功行賞の件で参りましたのは事実ですが、第一功の話で、それをオズモンド子爵にお譲り願いたいと参りましたのに、勲功をうけぬというのは、少々意外でした。そうですか……お気持ちお察しいたします、わかりました、陛下にそうお伝えします」

「ほう……、オズモンド卿を第一功にする意向とは意外ですな、それはネーザン陛下のご本心か?」

「ご本心でございます、陛下は私のような素性のわからぬ者を厚くもてなし、身に余る栄誉を与えてくださります。慣例にそぐわぬとも、あまたの人々を評価し、大海のごとき、深き慈愛を持つお方。ええ、もちろんでございますとも」

「そうか、陛下のお人柄は宴席で私など裏切り者を厚くもてなしていただいた、心の広きお方だと存じていおります、さもありましょう。ところで、何故私をジェラード子爵とお呼びになるのか?

 貴女はリーガン伯ではありませんか、ジェラード卿と呼ぶならまだしも、爵位が上の貴女なら、ジェラードと呼び捨てにされても不思議ではないと思いますが」

「私は伯爵号をもっていますが、外交上欠礼がないように、ネーザン王家領の地名からとって新たに新設された伯爵号です、まったく歴史がございません。ですから、由緒ある貴族のお歴々の方々に失礼がないよう自分を戒めておるのです」

「左様ですか、謙虚な方ですな。なら、そのような配慮は私には必要ありませんよ、我が家の歴史は長いが、貴女のような誇り高きレディをぞんざいに扱うなど私はできません、率直にジェラードとお呼びください、私はそのほうが良いのです」

 なっ……由緒あるブレマー家のご子息でありながら、できた人柄だなこの人。偉ぶったりしない、本当に騎士らしい騎士だ。気品ある貴族とはこうあるものなのか、素晴らしいなあ、なんか、私感動しちゃった。

「なら、二人の間では私の事をミサとお呼びください、私もそっちのほうが良いのです」

「そうか……そなたは宰相であるため、少々抵抗があるが、けいがそう言うならわかった、ミサ、これからのよしみをよろしく頼む」
「こちらこそジェラード、貴方のような誇り高い騎士道精神の持ち主とよしみを結べて光栄です」

 私たちはそう言ってお互いに握手して、ハグを交わした。……いい人と巡り会えたなあ、情熱的な方だとは思っていたけど、立派な人だ。この縁を大切にしようと私は心に決めたのだった。……彼、イケメンだし。

 ……大陸分断戦争も終盤。あとはエジンバラ王都攻略に進むまで至った、では、あとはどうやって、この戦争を決着つけるかだ、私たち同盟諸侯は軍議を行った。

「今回は私から説明したい」

 ウェリントンがまず軍議で発言を始めた。

「エジンバラ、その他諸侯同盟はエジンバラ王都グロスターに集結中、その数一万二千。数は多くないがすべて騎士たちで士気がたかく、またグロスターの城壁は強固のため、わが軍は十万といえどもそうそうやすやすとは落ちないでしょう」

「戦いは避けられぬか」

 リッチフォード王は静かにつぶやいた。

「エジンバラ王は強情だな、市民を巻き込んでまで勝ち目のない戦いを行うか」

 ウェストヘイム王はため息をつきながら、顔を上にあげた。それに対しウェリントンは悲しそうな瞳だった。

「私はできれば、グロスターを火の海にしたくない、我々は対魔族への一戦が待ち構えている。禍根かこんはなるべく残したくない、なら降服勧告の使者を送りたいと思う、難問だとは思うが、私は市民に被害を及ぼすのは避けたいのです」

 といったことに対し堂々と声を上げるものが陣内にいた。

「その役目私に任せていただきたい」

 ジェラードはここぞと名乗りを上げた。えっ、でも、ちょっと待ってそれは……。

「馬鹿なことを申すではない、卿はエジンバラを裏切って我らの味方をしたのだぞ、殺されに行くようなものだ!」

 とのサンダーランド公爵の言葉。その通りだよ、ジェラード何言っているの! ウェリントンもそれに続いた。

「許可はできぬ、そなたが死ねば、名誉あるブレマー家の血が途絶えることになる。許可はできない」
「……覚悟はしております」

 その後、ウェリントンとジェラードは口論になるも、ウェリントンは首を縦に振らず。ジェラードも譲らない。

 しかし、エジンバラ王を説得できそうなほどの親交関係があるのはうちの同盟軍ではジェラードぐらいかもしれない。どうしよう……、このままだと、エジンバラ王都は火の海になるか、ジェラードが殺される危険がある。

 うまく説得できればいいけどジェラードはジェラードで、強情なところがあるから、説得できるか不安だ、どうしよう、どうしよう。

 私は余りの状況にあっぷあっぷになってしまった。そして思わず──やめとけばいいのに、私は叫んでしまった。

「それではジェラード卿に私がついていきます!」

 私の宣言に皆がぎょっとした目でこちらを見た。
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