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世界統一編
第十九話 大勝利のあと
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カールトン会戦の大勝利に、大陸大同盟軍の皆々が勝利の宴に酔いしれる中、私と官吏たちは忙しかった。
なんせ総勢20万ほどの野戦だ、誰が活躍したとか、誰それが捕虜を取ったとか、また、誰かが何人討ち取ったとか、皆の記憶が確かなうちにまとめなければならない。
これをしないとのちの論功行賞で大きくもめる、むしろ一歩間違うと戦争のもとになる。
私は昔学生の頃、元寇の際に、御家人が望む恩賞をもらえず、執権職で日本を牛耳っていた北条得宗家への反感がピークに達し、鎌倉幕府滅亡の遠因になったと習った。それほど大切なものなのだ。
……なのに……! 同盟貴族たちは功労戦績を全然まとめる気がない! むしろ、私こそが活躍したとか、どこどこの大貴族を討ち取ったとか、捕虜にしたとか、話を聞いて調べてみると、嘘ばっかしほざいて、私たちの仕事をどんどん増やす増やす!
何考えてるんだコイツラ──! まだ戦争は終わってないぞ──!
エジンバラ王は少なくなった兵士を王都にまとめて、戦いに備えている。なのにこいつら酒飲んで会場で踊っていやがる! お前ら天下一舞踏会でも始めたんかい! 戦争はどこ行ったんだ、アホ──!
……失礼、そんな愚痴を吐きたくなるほど貴族どもは働かなかった、おかげでしわ寄せはミサミサ団が一気に受けることになった。積みあがっていく書類の山たち。
応援にジャスミンを呼んできて、書類の整頓をさせている。正直いつ寝たのかそもそも起きているのか記憶がない、それほど書類とにらめっこしていた。……戦ってなくてもこっちが死ぬわ! 手にはまめができ、6回ほど潰した。助けて……。
「宰相閣下」
「……なに?」
「別動隊がキャンベル要塞を攻略しました」
「そう……」
ジャスミンの報告にも、もはや勝利の喜びなどなかった。反同盟軍はエジンバラ王都で兵を集合させているので、敵地はオセロでもやっているかのように、一気に大陸大同盟側にひっくり返った。勝利の報告など一日に何度も来る。
「……それでその、閣下、新たに戦功報告の書簡が参ってきました……官吏たちがまとめておりますので……その……書類にサインを……」
「うぎゃ────‼」
「閣下……⁉」
私は叫び声を上げた瞬間、心がぽっきり折れた。
「……寝る」
「そ、そうですか……お休みも大切ですね……どうぞ寝室へ……って何でここで寝ているんですか⁉」
「……無理、もう歩けない……」
「……閣下……わかりました毛布を用意してまいります。どうぞ、お休みくださいませ」
「ぐー」
──そして、私の記憶は途絶えた。
ふぎゃ──⁉
「え、何私寝てた?」
いつの間にか私は机に突っ伏して寝てしまったようだ、まだサインしなきゃならない書類が山ほどあるのに、あれ? 私の肩に毛布がかかってる、ジャスミンがかけてくれたのかな。
寝ぼけまなこできょろきょろしていると、横から男の笑い声がした、目をこすってみるとウェリントンがアンティークソファーに座ってワインを金の杯でたしなんでいた。
「へ、陛下⁉ いつの間に……?」
「ずいぶんと前だぞ、可愛い寝顔であったぞ」
途端私は顔から火が出そうなくらい熱くなった。……まさか若い男の人に寝顔を見られるなんて恥ずかしい……!
「もう、来ているなら起こしてください! レディーに対して失礼ですよ!」
「ジャスミンから疲れているから起こさないようにと言われていてな、いや良い酒の肴になった。助けてー、書類に潰されるーとか、なかなか面白いものであったぞ、ははは……」
「寝言まで聞いていたんですか⁉ 陛下、最低です、ひどいです! 男らしくないです!」
「ははは……許せ、お前には苦労させている、その疲れをいやすのは主として務めだからな、まあ無礼は謝る、すまない」
「もう! 人をからかって!」
「はは……いじけたお前はまたよいな。ふふ、……ところで用があって来たのだが、目は覚めたか?」
げっ、また仕事が増える⁉
「そういやな顔をするな、そなたらの負担を減らそうと思ってな、各国から官吏を集めるよう要請した、無論即戦力になるような人材だ、現場の邪魔をしてもらっては困る。お前の管轄下に入るから、許可が必要だが、いいか宰相?」
仕事が減るよ、やったねたえちゃん!
「ええもちろんです! 助かります陛下、ありがとうございます!」
「ああ、喜んでもらえて嬉しい。ところでだ、もう一件そなたに聞きたいことがある」
「はあ、なんでしょう?」
「そなたは論功行賞のための、資料をまとめているのは私ももちろん知っている、そこでだ、カールトン会戦の勲功第一功を誰にするか、そなたに聞きたい。
実は貴族たちでもめているのだ、いったい誰が勝利をもぎ取ったと言うに値する騎士かなんやかんやと、小賢しい諍いまで起きている。そなたはどう思う?
私としてはそなたを第一功としたい、そなたがテットベリー軍を説得したから我らは勝利したと私は考えている、どうだ?」
これは誰が一番活躍したか、貴族社会の中で子孫代々までの名誉になるため、こういうことで誤った判断をするとこれもまた戦争の火種になる。大きな戦争で大切なことだ。
「せっかくながら、私は騎士ではありませんし、血を流して戦っておりません、私を第一功とするのは辞退させていただきます」
「何、断わるのか?」
ちょっとウェリントンはむすっとした、酒が入っているためか、珍しく不機嫌になった。まあ仕方ない、お気に入りの者に名誉を与えたいと思うのは人間の心理として当然だ。
「申し訳ございません。私が第一功となれば身内びいきとして貴族たちは不満に思い、諸侯からの陛下への信頼が揺らぐやもしれません」
「……そうかもな、戦争に幼女を第一功とするには、古来のしきたりにそぐわぬ。ならテットベリー伯の息子、確か……トリントン子爵、ジェラードであったか、まだ正式に伯爵に爵位継承が行われておらぬから、現在はそういう名乗りであったと記憶しているが」
「ジェラード卿には辞退していただくよう私から説得したいと思っております。私が第一功としたいのはオズモンド子爵です」
「何オズモンドだと⁉ 奴はゴートン子爵であるが、領地もみすぼらしく、スペンサー伯領に間借りするほどの身分だぞ。リッチフォードでは厚遇されているようだが、余りにも産まれが怪しく先祖の叙爵の由縁も無茶なものがあった。
自身もそれを恥じてか、ゴートン子爵と名乗らず、自分の名のオズモンド子爵と名乗っている有様だ。
そんな者を名誉ある第一功とするのは、私は賛成できない。なら、サンダーランド公はどうだ? 騎士として誇りあるエジンバラ本陣に第一に切り込んだ功労者だ。家格に不足はあるまい」
「陛下、私の考えをお聞きください。確かにオズモンド子爵は家格としてかなりみすぼらしいものがございます。だからこそ、異世界から来た私だから、下級貴族たちの気持ちがわかるのです。
いくら功績を上げても血筋で評価されず、その力に実があっても、名誉にあずかれない人々がたくさんいます。彼らの不満はやがて同盟のひびとして、ひいては貴族社会の反感へとなるでしょう。
これから、エジンバラ王都攻略、また、魔族との戦いが待っています。血筋にとらわれず、幅広く評価してこそ、全軍の士気が上がるというものです。
また、下級貴族たちも我こそもオズモンド子爵に倣えと、忠功に励むでしょう。だからこそ、オズモンド子爵を私は推薦しているのです」
「……ふむ、一理あるな。いつの間にやら私は貴族社会につかりすぎているきらいがあるようだ。この先、魔族との戦いで、厳しい戦闘を強いられるであろう、身分にとらわれては勝てる戦いも勝てぬ。
──わかったそうしよう。上級貴族たちの不満の声は私が消しておく、リッチフォード王にもそう伝えよう」
「ありがとうございます陛下、ジェラード卿には私から言っておきます」
「苦労させて済まぬな、この一戦が終わったら、存分に体を休めるがよい」
「はっ、かしこまりました」
その後ウェリントンと雑談をしながら夜が更けると彼は帰っていった。彼は紳士だ、もちろん私が幼女ってこともあるけど、決して子どもだからと無下にせず、レディとして私を扱ってくれる。
彼とのネーザン国の未来を語り合った時間は楽しかった。ウェリントンは立派な王だ、民のことを国のことを考え、臣下のことも考えている。その彼のそばに仕えることが私は誇らしかった。
その時私に冗談だと思うが、「私が生まれたのは王宮ではなく、離宮なのだ、幼少のころそこで暮らしていた、美しい風景だった。今も覚えている。お前にもそこを見てもらいたい、私の故郷なのだ……」と言った。
彼が言いたいことはよくわからなかったけど、彼の産まれた場所と聞いて興味があった。いつか時間があった時に彼と共に行きたいな……。
──そうして楽しい時間が終わり、夜が明けた後ジェラードのもとへと私は訪ねた。
なんせ総勢20万ほどの野戦だ、誰が活躍したとか、誰それが捕虜を取ったとか、また、誰かが何人討ち取ったとか、皆の記憶が確かなうちにまとめなければならない。
これをしないとのちの論功行賞で大きくもめる、むしろ一歩間違うと戦争のもとになる。
私は昔学生の頃、元寇の際に、御家人が望む恩賞をもらえず、執権職で日本を牛耳っていた北条得宗家への反感がピークに達し、鎌倉幕府滅亡の遠因になったと習った。それほど大切なものなのだ。
……なのに……! 同盟貴族たちは功労戦績を全然まとめる気がない! むしろ、私こそが活躍したとか、どこどこの大貴族を討ち取ったとか、捕虜にしたとか、話を聞いて調べてみると、嘘ばっかしほざいて、私たちの仕事をどんどん増やす増やす!
何考えてるんだコイツラ──! まだ戦争は終わってないぞ──!
エジンバラ王は少なくなった兵士を王都にまとめて、戦いに備えている。なのにこいつら酒飲んで会場で踊っていやがる! お前ら天下一舞踏会でも始めたんかい! 戦争はどこ行ったんだ、アホ──!
……失礼、そんな愚痴を吐きたくなるほど貴族どもは働かなかった、おかげでしわ寄せはミサミサ団が一気に受けることになった。積みあがっていく書類の山たち。
応援にジャスミンを呼んできて、書類の整頓をさせている。正直いつ寝たのかそもそも起きているのか記憶がない、それほど書類とにらめっこしていた。……戦ってなくてもこっちが死ぬわ! 手にはまめができ、6回ほど潰した。助けて……。
「宰相閣下」
「……なに?」
「別動隊がキャンベル要塞を攻略しました」
「そう……」
ジャスミンの報告にも、もはや勝利の喜びなどなかった。反同盟軍はエジンバラ王都で兵を集合させているので、敵地はオセロでもやっているかのように、一気に大陸大同盟側にひっくり返った。勝利の報告など一日に何度も来る。
「……それでその、閣下、新たに戦功報告の書簡が参ってきました……官吏たちがまとめておりますので……その……書類にサインを……」
「うぎゃ────‼」
「閣下……⁉」
私は叫び声を上げた瞬間、心がぽっきり折れた。
「……寝る」
「そ、そうですか……お休みも大切ですね……どうぞ寝室へ……って何でここで寝ているんですか⁉」
「……無理、もう歩けない……」
「……閣下……わかりました毛布を用意してまいります。どうぞ、お休みくださいませ」
「ぐー」
──そして、私の記憶は途絶えた。
ふぎゃ──⁉
「え、何私寝てた?」
いつの間にか私は机に突っ伏して寝てしまったようだ、まだサインしなきゃならない書類が山ほどあるのに、あれ? 私の肩に毛布がかかってる、ジャスミンがかけてくれたのかな。
寝ぼけまなこできょろきょろしていると、横から男の笑い声がした、目をこすってみるとウェリントンがアンティークソファーに座ってワインを金の杯でたしなんでいた。
「へ、陛下⁉ いつの間に……?」
「ずいぶんと前だぞ、可愛い寝顔であったぞ」
途端私は顔から火が出そうなくらい熱くなった。……まさか若い男の人に寝顔を見られるなんて恥ずかしい……!
「もう、来ているなら起こしてください! レディーに対して失礼ですよ!」
「ジャスミンから疲れているから起こさないようにと言われていてな、いや良い酒の肴になった。助けてー、書類に潰されるーとか、なかなか面白いものであったぞ、ははは……」
「寝言まで聞いていたんですか⁉ 陛下、最低です、ひどいです! 男らしくないです!」
「ははは……許せ、お前には苦労させている、その疲れをいやすのは主として務めだからな、まあ無礼は謝る、すまない」
「もう! 人をからかって!」
「はは……いじけたお前はまたよいな。ふふ、……ところで用があって来たのだが、目は覚めたか?」
げっ、また仕事が増える⁉
「そういやな顔をするな、そなたらの負担を減らそうと思ってな、各国から官吏を集めるよう要請した、無論即戦力になるような人材だ、現場の邪魔をしてもらっては困る。お前の管轄下に入るから、許可が必要だが、いいか宰相?」
仕事が減るよ、やったねたえちゃん!
「ええもちろんです! 助かります陛下、ありがとうございます!」
「ああ、喜んでもらえて嬉しい。ところでだ、もう一件そなたに聞きたいことがある」
「はあ、なんでしょう?」
「そなたは論功行賞のための、資料をまとめているのは私ももちろん知っている、そこでだ、カールトン会戦の勲功第一功を誰にするか、そなたに聞きたい。
実は貴族たちでもめているのだ、いったい誰が勝利をもぎ取ったと言うに値する騎士かなんやかんやと、小賢しい諍いまで起きている。そなたはどう思う?
私としてはそなたを第一功としたい、そなたがテットベリー軍を説得したから我らは勝利したと私は考えている、どうだ?」
これは誰が一番活躍したか、貴族社会の中で子孫代々までの名誉になるため、こういうことで誤った判断をするとこれもまた戦争の火種になる。大きな戦争で大切なことだ。
「せっかくながら、私は騎士ではありませんし、血を流して戦っておりません、私を第一功とするのは辞退させていただきます」
「何、断わるのか?」
ちょっとウェリントンはむすっとした、酒が入っているためか、珍しく不機嫌になった。まあ仕方ない、お気に入りの者に名誉を与えたいと思うのは人間の心理として当然だ。
「申し訳ございません。私が第一功となれば身内びいきとして貴族たちは不満に思い、諸侯からの陛下への信頼が揺らぐやもしれません」
「……そうかもな、戦争に幼女を第一功とするには、古来のしきたりにそぐわぬ。ならテットベリー伯の息子、確か……トリントン子爵、ジェラードであったか、まだ正式に伯爵に爵位継承が行われておらぬから、現在はそういう名乗りであったと記憶しているが」
「ジェラード卿には辞退していただくよう私から説得したいと思っております。私が第一功としたいのはオズモンド子爵です」
「何オズモンドだと⁉ 奴はゴートン子爵であるが、領地もみすぼらしく、スペンサー伯領に間借りするほどの身分だぞ。リッチフォードでは厚遇されているようだが、余りにも産まれが怪しく先祖の叙爵の由縁も無茶なものがあった。
自身もそれを恥じてか、ゴートン子爵と名乗らず、自分の名のオズモンド子爵と名乗っている有様だ。
そんな者を名誉ある第一功とするのは、私は賛成できない。なら、サンダーランド公はどうだ? 騎士として誇りあるエジンバラ本陣に第一に切り込んだ功労者だ。家格に不足はあるまい」
「陛下、私の考えをお聞きください。確かにオズモンド子爵は家格としてかなりみすぼらしいものがございます。だからこそ、異世界から来た私だから、下級貴族たちの気持ちがわかるのです。
いくら功績を上げても血筋で評価されず、その力に実があっても、名誉にあずかれない人々がたくさんいます。彼らの不満はやがて同盟のひびとして、ひいては貴族社会の反感へとなるでしょう。
これから、エジンバラ王都攻略、また、魔族との戦いが待っています。血筋にとらわれず、幅広く評価してこそ、全軍の士気が上がるというものです。
また、下級貴族たちも我こそもオズモンド子爵に倣えと、忠功に励むでしょう。だからこそ、オズモンド子爵を私は推薦しているのです」
「……ふむ、一理あるな。いつの間にやら私は貴族社会につかりすぎているきらいがあるようだ。この先、魔族との戦いで、厳しい戦闘を強いられるであろう、身分にとらわれては勝てる戦いも勝てぬ。
──わかったそうしよう。上級貴族たちの不満の声は私が消しておく、リッチフォード王にもそう伝えよう」
「ありがとうございます陛下、ジェラード卿には私から言っておきます」
「苦労させて済まぬな、この一戦が終わったら、存分に体を休めるがよい」
「はっ、かしこまりました」
その後ウェリントンと雑談をしながら夜が更けると彼は帰っていった。彼は紳士だ、もちろん私が幼女ってこともあるけど、決して子どもだからと無下にせず、レディとして私を扱ってくれる。
彼とのネーザン国の未来を語り合った時間は楽しかった。ウェリントンは立派な王だ、民のことを国のことを考え、臣下のことも考えている。その彼のそばに仕えることが私は誇らしかった。
その時私に冗談だと思うが、「私が生まれたのは王宮ではなく、離宮なのだ、幼少のころそこで暮らしていた、美しい風景だった。今も覚えている。お前にもそこを見てもらいたい、私の故郷なのだ……」と言った。
彼が言いたいことはよくわからなかったけど、彼の産まれた場所と聞いて興味があった。いつか時間があった時に彼と共に行きたいな……。
──そうして楽しい時間が終わり、夜が明けた後ジェラードのもとへと私は訪ねた。
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