11 / 178
世界統一編
第十一話 合従連衡②
しおりを挟む
「ギルバート! この場をなんだと心得る! 無礼にもほどがあるぞ、下がれ!」
突然の晩餐会へのギルバートの乱入にウェリントンは激しく怒った。同盟主ネーザンの騎士であるギルバートが晩餐会に武装して入るなど、外交欠礼にもほどがある。これはウェリントンのメンツが潰された形になり、貴族たちはネーザンの陰謀かとささやき始めた、……まずい。
「陛下、お聞きください。これには深い事情が……」
「ならぬ、今すぐこの場から去れ、ギルバート! この罰はおって沙汰をする、下がりおれ!」
「しかし……」
場の雰囲気が殺気だって来た、やばっ……!? ここは宰相としてこの場をうまくまとめないと。
「国王陛下、ギルバート殿も、のっぴきならない事情があってのことでしょう。罰はあとで考えるとして、とりあえず別室でギルバート殿の報告を聞いてはいかがでしょうか?」
「……ふむ、たしかにそうだな。わかった。ミサ、後のことは頼む」
「はっ!」
許可が出たので、私はこの場に連れてきた官僚たちにウェリントンとギルバートの二人っきりの個室を用意して、他の首脳陣は別室で待機してもらうよう手配した。
それで30分ほどたっただろうか、上位首脳陣と私も会議室に呼ばれてギルバートの報告の説明を受けることにした。そしてその老騎士からの驚くべき発言からそれは始まった。
「皆様にお集まりにいただいたのは他でもありません。反ネーザン、いや、反逆者同盟の奴らはすでに兵を挙げ、現在ワックスリバーの国境周辺に集結中、数はおよそ五万」
「五万だと!? 馬鹿な!」
リッチフォード王が驚くのも無理はない。現在の総兵力を合わせても同じぐらい。しかし、兵を集めるとなると一、二か月はかかる、そこからワックスリバーに行軍するとなると一か月半はかかる。余りにも絶望的状況だ。特にウェストヘイム王は顔を青ざめてしまった。
「……ワックスリバーは我が国の隣国……援軍に行くにしても、兵を集める期間だけで、かの国が持つかどうか……」
それに対しウェリントンが相手の動向について深く掘り下げる。
「我が国の密偵によれば、もともとエジンバラ王は密かに挙兵を画策していたという報告がありました。大陸大同盟にケチをつけたのも、ただ挙兵の大義名分が欲しかったためでしょう。余りにも準備が良すぎるのはそのためです」
「エジンバラ王め……! 人間同士で争っている場合ではなかろうに……」
リッチフォード王は憤慨していた。今の魔族侵攻が預言されているこの時期に大陸を二つに分けて戦争するなど愚の骨頂だ。ウェリントンはわざと鷹揚な口ぶりでギルバートに話を振る。
「──ギルバート、今から兵をどれくらい集められて、ワックスリバーまで何日かかる?」
「はっ!? いえ、私がこちらに連れてきている手勢を集めておよそ百ほどなら、15日ぐらいで当国につくかと」
「それでよい、よし。ギルバート、死んで来い」
「な、何を言う! むざむざ殺されにいくようなものだ!」
リッチフォード王は驚きを隠せなかった。相手は五万の兵力なのに百ぐらい援軍に行っても焼け石に水、無駄死にもいいところだ。あの優しいウェリントンとは思えない言動だった。
「それでよいのです、リッチフォード国王陛下。同盟主であるネーザンがワックスリバーを見捨てたとなると、大同盟など空言であったと各国貴族は囁くでしょう。
旗幟を鮮明にせず日和見を決められては勝てる戦も勝てません。これはネーザンの大同盟にかける熱意だと受け取ってもらいたい」
「ネーザン王……!」
「……国王陛下、この老骨ギルバートに死に場所をいただけるとは光栄でございます。喜んで死んできましょう……!」
そうだ、戦争……これが戦争なのだ。人が死んでいく、どんどん死んでいく。私の知り合いも。ギルバートさんとはあまり話したことがなかったけど、気さくで好々爺という印象を受けた。
そんなあ、死んでほしくないよ……。でも女で幼女である私が軍事に口を挟むなどあってはならない。何もできない私は、深く沈んでしまった。
「ギルバート殿、安心めされよ。このウェストヘイム王が必ず援軍に向かおう。それまで持ってくれ」
「リッチフォードでもすぐさま動員を始める。この戦さ、必ず勝たねばならぬ!」
「……ありがたきお言葉です。このギルバート、必ずや皆様方のご恩義にこたえましょう」
そうやって緊急会議は、具体的な兵の動員と集結場所など、深く掘り下げて各国解散となった。みんなが帰る中、何故か私とギルバートとウェリントンの三人が会議室に残った。
私はただ名残惜しかっただけだけど、二人はなぜ残ったのだろう。二人の絆や間柄を知らない私は想像もつかなかった。
「陛下、このギルバート、陛下の心意気に深く感銘を受けましたぞ、あの優しかった陛下が非情な決断ができるほどに、立派な王になられました」
「阿呆、何を本気にしておるか。誰が本当に死ねと言った、皆がいる手前ああ言っただけだ」
「はっ!?」
「へっ!?」
私とギルバートの声がハモった、え、あれ、本気じゃなかったの……?
「今お前に死なれたら後がたまらんではないか、尻の青くわがままばかりの我が国の騎士たちをどやす者がいなくなる。いいか、死ぬ気で生きて帰って来い、これは命令だ!」
私はウェリントンの言葉にすっかりと感動してしまった。良かった、本当に良かった! ギルバートも同じようでおいおいと泣き始めた。そうだよ、良かったよ。
「このギルバート、ネーザン王家に仕えて40年、これほど感動したことはございません。この老臣にすら情けをかけていただけるなど、あのウェリントン坊ちゃまが本当に立派になられた……」
「坊ちゃまは余計だ」
腕組みをしながら泰然とウェリントンは言った。いい主君と家臣だなあ。ギルバートは涙が止まらないらしく、私はハンカチを彼に差し出した。
「これを……」
「ありがとうございまする、ズズズズズズ……」
げ、コイツ鼻かみやがった!
「お返しいたしまする」
「いらない、いらないから」
「なんと! ミサ殿も生きて帰ってハンカチを返せと仰せか、このギルバート、恵まれすぎでございまする……!」
いや、本気で返さなくていい、……きちゃないから。
「あと、私からミサに折り入って頼みがある」
「何でしょうか、陛下?」
「別室で待っているミシェル姉上や、メアリー姉上に、貴族の縁をたどって同盟内の団結のための工作を頼んでもらいたい」
「それはよろしいのですが、陛下自ら言ったほうが本人たちは喜ぶのではないでしょうか?」
「いや、それはまずい。私自らが言ったことになると、これもネーザン国王の策略だと、貴族どもが疑心暗鬼に陥るだろう、あくまでそなたが頼んで自主的に姉上たちに協力してもらったという建前が欲しいのだ」
なるほど……! 私やメアリーやミシェル妃のような女たちが戦争に向けて汗をかいて努力していたのに、このまま様子見などすると、女が戦っているのに男貴族どもはどうしているのかと、後ろ指をさされる。うまいやり方だ。
「かしこまりました、ご主命承ります」
彼の命を受けて、私は急ぎメアリー姫やミシェル妃と女性貴族たちが待っている別室へと向かった。
「ミサ! どうだった、何が起こったの?」
「ただならぬ様子から見ると、さては悪い知らせね」
メアリーとミシェル妃の言葉に、私は軍事的に差しさわりないように配慮しながら、現在の状況を説明した。
「──なんですって! エジンバラの奴らがもう兵を挙げた!? それも五万ですって!」
「ワックスリバーは我が国の隣国ではないか。ええい、ウェストヘイムの貴族たちはなにをしておったのだ!」
「おっしゃる通りですミシェル王妃殿下。私も同じ気持ちです。そこで私からの腹案がございます」
「腹案?」
「なにかしら、申すがよい」
「現在、各国の動向を鑑みると、貴族諸侯たちはどうやら成り行きを様子見しており、まだ動きを見せていません、そこでお二方にこの宰相から頼みがございます。
お二方の貴族たちの縁をたどって、知り合いたちにこの大陸大同盟に協力していただけるようご尽力を賜りたいのです。ここは同盟内の結束が肝要。できるだけ味方を増やしていただきたいのです」
「おお、妙案ね。よかろう、ミサ殿、王妃としてできる限りの手を打とう、なあ、メアリー?」
「はい、姉上、私の手紙のまめさは、姉さまもよくご存じのはず」
「そうだったな、文筆はメアリーの得意分野であったな」
そうして二人に快諾してもらって私が胸をなでおろすと、他の女貴族たちも同様に声を上げた。
「私も及ばずながら協力します」
「私もです。憎きエジンバラを叩くため、力を尽くします」
「私も」
「私も」
「これはありがたき幸せ、我が同盟の勝利は疑うべくもないですな、はは……」
そう言って私が笑うと釣られて皆も笑った。戦争なんて女の私に何ができるかわからないけど、やれることをすべてやろう。知り合いが死ぬなんて耐えられないから。私は決意を胸に、迫る大陸を二分する戦争へと立ち向かったのであった。
突然の晩餐会へのギルバートの乱入にウェリントンは激しく怒った。同盟主ネーザンの騎士であるギルバートが晩餐会に武装して入るなど、外交欠礼にもほどがある。これはウェリントンのメンツが潰された形になり、貴族たちはネーザンの陰謀かとささやき始めた、……まずい。
「陛下、お聞きください。これには深い事情が……」
「ならぬ、今すぐこの場から去れ、ギルバート! この罰はおって沙汰をする、下がりおれ!」
「しかし……」
場の雰囲気が殺気だって来た、やばっ……!? ここは宰相としてこの場をうまくまとめないと。
「国王陛下、ギルバート殿も、のっぴきならない事情があってのことでしょう。罰はあとで考えるとして、とりあえず別室でギルバート殿の報告を聞いてはいかがでしょうか?」
「……ふむ、たしかにそうだな。わかった。ミサ、後のことは頼む」
「はっ!」
許可が出たので、私はこの場に連れてきた官僚たちにウェリントンとギルバートの二人っきりの個室を用意して、他の首脳陣は別室で待機してもらうよう手配した。
それで30分ほどたっただろうか、上位首脳陣と私も会議室に呼ばれてギルバートの報告の説明を受けることにした。そしてその老騎士からの驚くべき発言からそれは始まった。
「皆様にお集まりにいただいたのは他でもありません。反ネーザン、いや、反逆者同盟の奴らはすでに兵を挙げ、現在ワックスリバーの国境周辺に集結中、数はおよそ五万」
「五万だと!? 馬鹿な!」
リッチフォード王が驚くのも無理はない。現在の総兵力を合わせても同じぐらい。しかし、兵を集めるとなると一、二か月はかかる、そこからワックスリバーに行軍するとなると一か月半はかかる。余りにも絶望的状況だ。特にウェストヘイム王は顔を青ざめてしまった。
「……ワックスリバーは我が国の隣国……援軍に行くにしても、兵を集める期間だけで、かの国が持つかどうか……」
それに対しウェリントンが相手の動向について深く掘り下げる。
「我が国の密偵によれば、もともとエジンバラ王は密かに挙兵を画策していたという報告がありました。大陸大同盟にケチをつけたのも、ただ挙兵の大義名分が欲しかったためでしょう。余りにも準備が良すぎるのはそのためです」
「エジンバラ王め……! 人間同士で争っている場合ではなかろうに……」
リッチフォード王は憤慨していた。今の魔族侵攻が預言されているこの時期に大陸を二つに分けて戦争するなど愚の骨頂だ。ウェリントンはわざと鷹揚な口ぶりでギルバートに話を振る。
「──ギルバート、今から兵をどれくらい集められて、ワックスリバーまで何日かかる?」
「はっ!? いえ、私がこちらに連れてきている手勢を集めておよそ百ほどなら、15日ぐらいで当国につくかと」
「それでよい、よし。ギルバート、死んで来い」
「な、何を言う! むざむざ殺されにいくようなものだ!」
リッチフォード王は驚きを隠せなかった。相手は五万の兵力なのに百ぐらい援軍に行っても焼け石に水、無駄死にもいいところだ。あの優しいウェリントンとは思えない言動だった。
「それでよいのです、リッチフォード国王陛下。同盟主であるネーザンがワックスリバーを見捨てたとなると、大同盟など空言であったと各国貴族は囁くでしょう。
旗幟を鮮明にせず日和見を決められては勝てる戦も勝てません。これはネーザンの大同盟にかける熱意だと受け取ってもらいたい」
「ネーザン王……!」
「……国王陛下、この老骨ギルバートに死に場所をいただけるとは光栄でございます。喜んで死んできましょう……!」
そうだ、戦争……これが戦争なのだ。人が死んでいく、どんどん死んでいく。私の知り合いも。ギルバートさんとはあまり話したことがなかったけど、気さくで好々爺という印象を受けた。
そんなあ、死んでほしくないよ……。でも女で幼女である私が軍事に口を挟むなどあってはならない。何もできない私は、深く沈んでしまった。
「ギルバート殿、安心めされよ。このウェストヘイム王が必ず援軍に向かおう。それまで持ってくれ」
「リッチフォードでもすぐさま動員を始める。この戦さ、必ず勝たねばならぬ!」
「……ありがたきお言葉です。このギルバート、必ずや皆様方のご恩義にこたえましょう」
そうやって緊急会議は、具体的な兵の動員と集結場所など、深く掘り下げて各国解散となった。みんなが帰る中、何故か私とギルバートとウェリントンの三人が会議室に残った。
私はただ名残惜しかっただけだけど、二人はなぜ残ったのだろう。二人の絆や間柄を知らない私は想像もつかなかった。
「陛下、このギルバート、陛下の心意気に深く感銘を受けましたぞ、あの優しかった陛下が非情な決断ができるほどに、立派な王になられました」
「阿呆、何を本気にしておるか。誰が本当に死ねと言った、皆がいる手前ああ言っただけだ」
「はっ!?」
「へっ!?」
私とギルバートの声がハモった、え、あれ、本気じゃなかったの……?
「今お前に死なれたら後がたまらんではないか、尻の青くわがままばかりの我が国の騎士たちをどやす者がいなくなる。いいか、死ぬ気で生きて帰って来い、これは命令だ!」
私はウェリントンの言葉にすっかりと感動してしまった。良かった、本当に良かった! ギルバートも同じようでおいおいと泣き始めた。そうだよ、良かったよ。
「このギルバート、ネーザン王家に仕えて40年、これほど感動したことはございません。この老臣にすら情けをかけていただけるなど、あのウェリントン坊ちゃまが本当に立派になられた……」
「坊ちゃまは余計だ」
腕組みをしながら泰然とウェリントンは言った。いい主君と家臣だなあ。ギルバートは涙が止まらないらしく、私はハンカチを彼に差し出した。
「これを……」
「ありがとうございまする、ズズズズズズ……」
げ、コイツ鼻かみやがった!
「お返しいたしまする」
「いらない、いらないから」
「なんと! ミサ殿も生きて帰ってハンカチを返せと仰せか、このギルバート、恵まれすぎでございまする……!」
いや、本気で返さなくていい、……きちゃないから。
「あと、私からミサに折り入って頼みがある」
「何でしょうか、陛下?」
「別室で待っているミシェル姉上や、メアリー姉上に、貴族の縁をたどって同盟内の団結のための工作を頼んでもらいたい」
「それはよろしいのですが、陛下自ら言ったほうが本人たちは喜ぶのではないでしょうか?」
「いや、それはまずい。私自らが言ったことになると、これもネーザン国王の策略だと、貴族どもが疑心暗鬼に陥るだろう、あくまでそなたが頼んで自主的に姉上たちに協力してもらったという建前が欲しいのだ」
なるほど……! 私やメアリーやミシェル妃のような女たちが戦争に向けて汗をかいて努力していたのに、このまま様子見などすると、女が戦っているのに男貴族どもはどうしているのかと、後ろ指をさされる。うまいやり方だ。
「かしこまりました、ご主命承ります」
彼の命を受けて、私は急ぎメアリー姫やミシェル妃と女性貴族たちが待っている別室へと向かった。
「ミサ! どうだった、何が起こったの?」
「ただならぬ様子から見ると、さては悪い知らせね」
メアリーとミシェル妃の言葉に、私は軍事的に差しさわりないように配慮しながら、現在の状況を説明した。
「──なんですって! エジンバラの奴らがもう兵を挙げた!? それも五万ですって!」
「ワックスリバーは我が国の隣国ではないか。ええい、ウェストヘイムの貴族たちはなにをしておったのだ!」
「おっしゃる通りですミシェル王妃殿下。私も同じ気持ちです。そこで私からの腹案がございます」
「腹案?」
「なにかしら、申すがよい」
「現在、各国の動向を鑑みると、貴族諸侯たちはどうやら成り行きを様子見しており、まだ動きを見せていません、そこでお二方にこの宰相から頼みがございます。
お二方の貴族たちの縁をたどって、知り合いたちにこの大陸大同盟に協力していただけるようご尽力を賜りたいのです。ここは同盟内の結束が肝要。できるだけ味方を増やしていただきたいのです」
「おお、妙案ね。よかろう、ミサ殿、王妃としてできる限りの手を打とう、なあ、メアリー?」
「はい、姉上、私の手紙のまめさは、姉さまもよくご存じのはず」
「そうだったな、文筆はメアリーの得意分野であったな」
そうして二人に快諾してもらって私が胸をなでおろすと、他の女貴族たちも同様に声を上げた。
「私も及ばずながら協力します」
「私もです。憎きエジンバラを叩くため、力を尽くします」
「私も」
「私も」
「これはありがたき幸せ、我が同盟の勝利は疑うべくもないですな、はは……」
そう言って私が笑うと釣られて皆も笑った。戦争なんて女の私に何ができるかわからないけど、やれることをすべてやろう。知り合いが死ぬなんて耐えられないから。私は決意を胸に、迫る大陸を二分する戦争へと立ち向かったのであった。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説

攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる