22 / 29
第4話 真実がわからないっ!
真実がわからないっ!②
しおりを挟む
一人河原に残されたお陰で余韻がヤバい。
「お、俺も家に帰るかな」
河原から道路へゆっくり坂を上がると、めちゃめちゃ足取りが軽かった。
ははっ、浮かれてるなー、俺。
「柳君」
ふい打ちで名前を呼ばれ、反射的にビクッとしてしまった。やべ、だせぇ。
顔をあげると、見覚えのある人が立っていた。
長い黒髪が印象的な、一つ上の学年の《倉木アイ》さん。前にも一度、呼び止められたことがあったので覚えてる。あの時は勘違いだったけど、今回はしっかり俺の名前呼んだよな?
確かめるように彼女を見ると、逆にこちらを見ていたので思わず目を逸らしてしまった。
めっちゃ見てるぞ? あの時も綺麗な人だなって思ったけど、そんな人が俺に用って何だ?
「ねえ、さっきの子と君は付き合ってるの?」
「え?」
おいおい、まさかこの質問……もしかして俺、モテ期なのか!?
「いやぁ、付き合ってるかと言われると……」
はは、困ったな、“ほやほや”です。って、それは言う必要ないだろ!
ん? 待てよ今、さっきの子って言わなかったか?
河原から道路に上がる時は、もう俺一人だったはずだ。ということは……その前のユウと一緒にいるところから見られてた?
何かが引っ掛かった。
この感じ、いつの間にか誰かに見られてたり……見張られてるような感覚……つい最近もあったよな? そう、電話! 例の非通知の女だ!
いや、待て待て冷静になれ。もしそうなら、こんな堂々と出てこないだろ。そもそもこんな綺麗な人が……って、それは関係ねぇ! この間、俺に声を掛けてきたのも実は………って、ああ、ダメだ、意識し過ぎだっての!
でも正直、この人に悪い印象ってないんだよな。
「……」
あああ、マズい。このままずっと黙ってたらこっちが不審がられちまう。せっかく今は何もかも上手くいってるんだ、トラブルは避けないと。
「あ、えっと、すいません。俺、さっきの子と付き合ってるんで……」
「どうして謝るの?」
「え、ああ本当に、何謝ってんだろ俺。す、すいません。失礼します」
その場に居づらくなって、逃げるように小走りしてしまった。
それにしても、どうして謝ったんだ俺? 別に何もしてないだろ。
なんていうか、倉木さんが悲しそうな顔してたからつい……
いや、綺麗とか悲しそうな顔してたとかで油断したら駄目だ。どう考えたって彼女と俺に接点は見当たらないし、残念だけどモテ期なわきゃーない。
さっきのフリだって普通に不自然だったろ。何かあると考えるべきだ。
そうだ、みんなにも倉木さんのこと聞いてみるか。万が一、誰かを通した知人だったら、それこそ後で平謝りしないと。
だけどもし、誰も知らないようなら……あの人は警戒する必要があるってことだ。
後日、タケルやカオル、ユウにヒロ、念の為シンにも電話で確認したが、誰も彼女のことを知らなかった。つまり、要注意ってことだ。
もしまた何か言って近付いてきたとしても、彼女には関わらないようにしないと。
「お、俺も家に帰るかな」
河原から道路へゆっくり坂を上がると、めちゃめちゃ足取りが軽かった。
ははっ、浮かれてるなー、俺。
「柳君」
ふい打ちで名前を呼ばれ、反射的にビクッとしてしまった。やべ、だせぇ。
顔をあげると、見覚えのある人が立っていた。
長い黒髪が印象的な、一つ上の学年の《倉木アイ》さん。前にも一度、呼び止められたことがあったので覚えてる。あの時は勘違いだったけど、今回はしっかり俺の名前呼んだよな?
確かめるように彼女を見ると、逆にこちらを見ていたので思わず目を逸らしてしまった。
めっちゃ見てるぞ? あの時も綺麗な人だなって思ったけど、そんな人が俺に用って何だ?
「ねえ、さっきの子と君は付き合ってるの?」
「え?」
おいおい、まさかこの質問……もしかして俺、モテ期なのか!?
「いやぁ、付き合ってるかと言われると……」
はは、困ったな、“ほやほや”です。って、それは言う必要ないだろ!
ん? 待てよ今、さっきの子って言わなかったか?
河原から道路に上がる時は、もう俺一人だったはずだ。ということは……その前のユウと一緒にいるところから見られてた?
何かが引っ掛かった。
この感じ、いつの間にか誰かに見られてたり……見張られてるような感覚……つい最近もあったよな? そう、電話! 例の非通知の女だ!
いや、待て待て冷静になれ。もしそうなら、こんな堂々と出てこないだろ。そもそもこんな綺麗な人が……って、それは関係ねぇ! この間、俺に声を掛けてきたのも実は………って、ああ、ダメだ、意識し過ぎだっての!
でも正直、この人に悪い印象ってないんだよな。
「……」
あああ、マズい。このままずっと黙ってたらこっちが不審がられちまう。せっかく今は何もかも上手くいってるんだ、トラブルは避けないと。
「あ、えっと、すいません。俺、さっきの子と付き合ってるんで……」
「どうして謝るの?」
「え、ああ本当に、何謝ってんだろ俺。す、すいません。失礼します」
その場に居づらくなって、逃げるように小走りしてしまった。
それにしても、どうして謝ったんだ俺? 別に何もしてないだろ。
なんていうか、倉木さんが悲しそうな顔してたからつい……
いや、綺麗とか悲しそうな顔してたとかで油断したら駄目だ。どう考えたって彼女と俺に接点は見当たらないし、残念だけどモテ期なわきゃーない。
さっきのフリだって普通に不自然だったろ。何かあると考えるべきだ。
そうだ、みんなにも倉木さんのこと聞いてみるか。万が一、誰かを通した知人だったら、それこそ後で平謝りしないと。
だけどもし、誰も知らないようなら……あの人は警戒する必要があるってことだ。
後日、タケルやカオル、ユウにヒロ、念の為シンにも電話で確認したが、誰も彼女のことを知らなかった。つまり、要注意ってことだ。
もしまた何か言って近付いてきたとしても、彼女には関わらないようにしないと。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
Bグループの少年
櫻井春輝
青春
クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる