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第2話 恋がしたいっ!
恋がしたいっ!②
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翌朝、家を出るとユウが待っていた。
そういやユウの制服姿ってキチンと見るの初めてだ。ちょ、ちょっとスカート短過ぎないか? 足が長いからそう見えるだけか?
「おはよ、キリオ」
「お、おう、どした?」
「今日は朝練ないの。だから一緒に学校行かない?」
「ああ、行こーぜ」
ん? 即答しておいてアレだけど、朝練がないと一緒に学校に行くものなのか?
急な訪問に驚きつつ、横を歩くユウにちらちら目がいってしまう。茶色がかったサラサラのショートヘアが歩く度に小刻みに揺れる。やっぱ可愛いよな。つーか、本当に目ぇでっけ。特に化粧っ気ないのにこれだからな。
けど、ドキドキするって感じはしない。それはやっぱり、河原にいたあの子が気に掛かっているせいだろうか。
そういえば俺、ユウとちゃんと話したことなかったな。陸上部ってこと以外、趣味とか好きな食べ物とか何も知らない。
「この間はゴメンね」
「え、何が?」
「なんか私、態度悪かったから……」
ああ、あの始めて会った時か。ずっと気にしてたんだな。別にユウが気にすることないのに。
「ああ、気にしてないよ」
「そっか……」
待てよ。この間もそうだったけど、素っ気ないのは駄目だ。ユウは見た目は垢抜けてるけど、中身は相当真面目だ。逆に気にかけ過ぎなぐらいじゃないと駄目なんだ。
「ウソ……けっこーきた。俺って打たれ弱かったのな」
「そっか。あはは、ゴメーンね」
あどけない笑顔が返ってきた。やっぱり、この子は笑ってる方が似合ってる。
「ユウが陸上やってるのって、やっぱり走るのが好きだから?」
「え? うん、それもあるけど、自分と向き合えるからかな」
「自分と?」
「そ。悩んだりした時なんかは、ひたすら走ったりする」
「うわっ、ソレ、どMじゃん」
「ち、違うわよ! なんていうか、自分の中で答えを出すっていうか……」
「ふーん、そういうもんなんだ?」
「そういうものなのっ!」
はは、けっこ頑固なんだ。
「昨日は……ちょっと思うところがあって、ずっと走ってたんだ」
悩みってやつか?
「それで、答えは出たの?」
ユウの足が止まった。
「内緒ー」
「なんのフリだよっ」
「いーの。あ、こっちから行かない?」
ユウが立ち止まって指差したのは学校の裏門の方だった。
「いいけど、遠回りだぜ」
「いーのいーの、せっかく一緒なんだから、もう少し話したいなって」
くっ、可愛いじゃねーか。
こっちの道も一応通学路らしい、少ないとはいえ生徒が歩いている。
「おっすキリオ」
「ユウーおはよー」
ちらほらだが見慣れた顔もいた。誰も俺達が一緒に登校していることに驚いた様子はない。公認の仲良しグループって扱いなのか?
しばらくして学校の裏門に着いた。へえ、ここに繋がるのか。まあ遠回りだし、普段使うことはないな。
正面玄関に近付くと、正門から入った生徒が合わさって賑やかになる。
「おっはよー!」
勢いよくカオルが現れた。
「あ、カオル、お、おはよ」
「よっ」
「あれ、キリオとユウが一緒? 今日って朝練は……もごっ」
「わっ、じゃ、じゃあねキリオ。今日はありがと」
ユウはカオルの口を押さえ付けたまま校舎に入っていった。
「なんだありゃ? それに、ありがとって?」
後ろを振り返ると、グラウンドでは陸上部が朝練をしていた。ああ、ユウは朝練がないって言ってたけど、あれは嘘か。そんで今日に限っては裏門から……なるほど、向こうのルートからだとグラウンドは見えない。
俺だって少し考えれば判る。理由は明白だ。
ユウは俺と仲直りしたかったんだ。ユウは真面目だから自分から誘うとか苦手なんだな。それで精一杯の口実が、朝練が休みってか。
ははっ、そんなのすぐにバレるだろ。まったく、嘘まで可愛いのな。
そういやユウの制服姿ってキチンと見るの初めてだ。ちょ、ちょっとスカート短過ぎないか? 足が長いからそう見えるだけか?
「おはよ、キリオ」
「お、おう、どした?」
「今日は朝練ないの。だから一緒に学校行かない?」
「ああ、行こーぜ」
ん? 即答しておいてアレだけど、朝練がないと一緒に学校に行くものなのか?
急な訪問に驚きつつ、横を歩くユウにちらちら目がいってしまう。茶色がかったサラサラのショートヘアが歩く度に小刻みに揺れる。やっぱ可愛いよな。つーか、本当に目ぇでっけ。特に化粧っ気ないのにこれだからな。
けど、ドキドキするって感じはしない。それはやっぱり、河原にいたあの子が気に掛かっているせいだろうか。
そういえば俺、ユウとちゃんと話したことなかったな。陸上部ってこと以外、趣味とか好きな食べ物とか何も知らない。
「この間はゴメンね」
「え、何が?」
「なんか私、態度悪かったから……」
ああ、あの始めて会った時か。ずっと気にしてたんだな。別にユウが気にすることないのに。
「ああ、気にしてないよ」
「そっか……」
待てよ。この間もそうだったけど、素っ気ないのは駄目だ。ユウは見た目は垢抜けてるけど、中身は相当真面目だ。逆に気にかけ過ぎなぐらいじゃないと駄目なんだ。
「ウソ……けっこーきた。俺って打たれ弱かったのな」
「そっか。あはは、ゴメーンね」
あどけない笑顔が返ってきた。やっぱり、この子は笑ってる方が似合ってる。
「ユウが陸上やってるのって、やっぱり走るのが好きだから?」
「え? うん、それもあるけど、自分と向き合えるからかな」
「自分と?」
「そ。悩んだりした時なんかは、ひたすら走ったりする」
「うわっ、ソレ、どMじゃん」
「ち、違うわよ! なんていうか、自分の中で答えを出すっていうか……」
「ふーん、そういうもんなんだ?」
「そういうものなのっ!」
はは、けっこ頑固なんだ。
「昨日は……ちょっと思うところがあって、ずっと走ってたんだ」
悩みってやつか?
「それで、答えは出たの?」
ユウの足が止まった。
「内緒ー」
「なんのフリだよっ」
「いーの。あ、こっちから行かない?」
ユウが立ち止まって指差したのは学校の裏門の方だった。
「いいけど、遠回りだぜ」
「いーのいーの、せっかく一緒なんだから、もう少し話したいなって」
くっ、可愛いじゃねーか。
こっちの道も一応通学路らしい、少ないとはいえ生徒が歩いている。
「おっすキリオ」
「ユウーおはよー」
ちらほらだが見慣れた顔もいた。誰も俺達が一緒に登校していることに驚いた様子はない。公認の仲良しグループって扱いなのか?
しばらくして学校の裏門に着いた。へえ、ここに繋がるのか。まあ遠回りだし、普段使うことはないな。
正面玄関に近付くと、正門から入った生徒が合わさって賑やかになる。
「おっはよー!」
勢いよくカオルが現れた。
「あ、カオル、お、おはよ」
「よっ」
「あれ、キリオとユウが一緒? 今日って朝練は……もごっ」
「わっ、じゃ、じゃあねキリオ。今日はありがと」
ユウはカオルの口を押さえ付けたまま校舎に入っていった。
「なんだありゃ? それに、ありがとって?」
後ろを振り返ると、グラウンドでは陸上部が朝練をしていた。ああ、ユウは朝練がないって言ってたけど、あれは嘘か。そんで今日に限っては裏門から……なるほど、向こうのルートからだとグラウンドは見えない。
俺だって少し考えれば判る。理由は明白だ。
ユウは俺と仲直りしたかったんだ。ユウは真面目だから自分から誘うとか苦手なんだな。それで精一杯の口実が、朝練が休みってか。
ははっ、そんなのすぐにバレるだろ。まったく、嘘まで可愛いのな。
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