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国王様と謁見した後のもしかして

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 扉の中を進むと、奥に大きな椅子が置かれており、そこには大きな身体をした人が座っていた。獣耳が、見当たらない……?人間だろうかと思うが、明らかに自分の3倍はありそうな大きさに呆気に取られる。巨人族……?

 恐らくその人が国王様だろうと思う。その国王様が座る椅子にたどり着くまでの両脇にはそれぞれ一列になり様々な種族の人たちが立っていた。なんだか大事のような出迎えに萎縮する。

「俺達はここまでだ。ユウト、このまま奥まで行ってくれ」

 ヒドラさんにそう言われ、俺はピシッと固まる。

 この中を一人で……?奥まで歩いて行けと……?もれなく両脇にいる人達も全員、俺より大きいし、視線も集まっているし、この状況の中一人で……?

 粗相したら殺されるのでは?と思わんばかりの威圧感に、俺はもう気絶しそうになっていた。

「サイラース国王、発言の許可を」

「良い、申せ」

「ユウトは数時間前に来たばかりで混乱している。付き添いの許可を頂きたい」

「あぁ、構わん。わしから行かねばならないところを、わざわざ来て頂いたのだ。希望に沿うように」

 カイラは、さっきまでの様子とは打って変わり、淡々とそう言うと、俺の背にそっと手を当てて促してきた。俺は変わりように驚きながらも、一緒に来てくれるらしいと分かって少しホッとする。怖がってたくせに、いざ一人にさせられるとそれも嫌だなんて、勝手な考えをしているとは分かっているが心細くて仕方ない。だから、その申し出はすごく助かった。

 それでも怖いものは怖いから、歩みは遅くなってしまう。カイラは俺に合わせてゆっくり歩いてくれるし急かすようなこともしない。何とか国王様の前に来た時、カイラが膝を折って頭を垂れたため慌てて俺も同じようにしようとすると、

「よい。ユウト殿、であったか。楽にしておくれ。そなたがここに来たのは大精霊様の思し召し。良く来てくれた、我が国をあげて歓迎する」

 国王様は手を制してそう言うと、横にいた人が小さいケースを俺に差し出してきた。

「お受け取り下さい」

 恐る恐る受け取り、確認するように言われて開ける。すると、指輪が入っていた。真ん中にはめ込まれている宝石には何かの紋章みたいなものが入っている。つけるように言われるが、こんな高そうな物をホイホイとつけられるはずがなく。

 これ、つけたらどうなるの?俺の情報が筒抜けになったりしない?悪いことしたら指切られるとかないよな?それに、こんな高そうな物を贈られる理由も分からない。

 得体の知れない指輪に、俺が受け取ってケースを開けた状態で固まっていると、

「ユウト殿、それはそなたの不利益になることはないと断言しよう。誓いを立ててもいい。ここにいる皆が証人となろう」

 国王様は俺の様子に苦笑してそう言った。俺は困って、チラッとカイラを見ると、小さく頷いてくれる。もう俺は泣きそうになりながら、指輪を右手にはめた。すると、大きかったサイズがピタッと指のサイズに合って縮んだ。それに驚きながら、外そうとするが……。ぬ、抜けない……?

 俺は、呆然と抜けない指輪を眺めて、ぐるぐると嫌な想像が頭を占めていく。監禁、奴隷、強制労働……。足に力が入らなくなって崩れ落ちそうになった時、力強い腕で抱きとめられる。

「ユウト、大丈夫。落ち着いて」

 カイラが耳元で優しくそう言ってくれて、少しだけ落ち着きを取り戻す。

「すまないな、ユウト殿。そなたのように別の世界から来た歴代の者は説明すると受け取らなかったとあってな。少し強引につけてもらった」

 国王様が苦笑しながらゆっくり説明してくれる。曰く、この指輪に描かれている紋章は王家のものであり、俺のことは王家が後ろ盾となることの証明になると。

「そ、そんな貴重な物、受け取れません……!」

 思わず震えながらそう返す。なんてものを貰ってしまったのだ。俺は偉くもないし、こんな物を貰う理由がない。そんな物を持っているのは怖い……!もし王家の者だと攫われたら?あ、暗殺とかも、あるかも……?指ごと盗まれたり…!?

「受け取っておくれ。王家からの歓迎の証として」

 だが、押し切られてしまい、俺は泣く泣く受け取るはめになったのだった。そして、何故か俺が部屋から出る時は両脇にいた人たちが全員膝を折り頭を垂れており驚愕する。何で?怖い、もう訳が分からない……。俺はカイラに支えられながら何とか足を進めてその場を去ったのだった。

「ユウト様。お疲れかと存じます。お部屋をご用意しましたのでどうぞ。カイラ様も」

「あぁ」

 え?お部屋?

 俺が考える間もなく、やっと緊張の場面を脱せたと思った途端、ビシッとスーツで決めたいかにも執事!って感じの紳士が綺麗に礼をしてそう言ってきた。俺ではなくカイラが返事して、そのままついて行く。案内されたのは、何処のスイートルーム?って思うぐらい広い部屋。海外のスイートルームってこんなのかなって思うような洋室で飾りの装飾がどれを取ってもすごい。なんて言うんだろう、これ。お姫様のお部屋みたいな……。

 ポカンとしながら固まっていると、カイラに誘導されるままソファに座る。うわ、フッカフカだ……。

「し、沈みそう……」

 と思った瞬間に、横に座ったカイラの重みで身体が傾き、思わず抱き着くような姿勢になってしまった。慌てて謝り起き上がろうとするが、

「ユウト、可愛い。思う存分抱き着いてくれていいよ」

 背中に腕を回されてギュッと抱き締められる。

「す、すみません。バランスを崩してしまい……」

 俺は慌ててカイラの胸に手をついて身体を離すと、カイラはムッとしたように口を尖らせた。こうして至近距離で見ると、カイラはすごく顔の造形が整っている。切れ長の目の中にはブルーの宝石のような瞳があり、グレーの短髪は光に当たると白く輝くようで、表情がないと神秘的な雰囲気すらある。ピコッと動く獣耳が俺の方を向いており、見慣れなくて凝視してしまう。

「どうしたの? これ? 気になる? ユウトなら触ってもいいよ」

 獣耳を動かしながらそう言われるが、俺はブンブンと首を横に振った。そ、そんな身体を触るなんて、絶対失礼なことだし、触って因縁つけられたら怖いし……。いや、ちょっと触ってみたいという思いもあるけれど……。でもここで流されて何か言われても怖い……。

「お腹空いてない? 何か持って来ようか?」

 見下ろされながら、優しく言われるが、緊張しっぱなしでお腹も空いていない。飲んだスープがまだ胃の中にある気がするから、今日はもう食べなくてもいい気がする。

「俺、その、今日はもう何も……」

「何も? ……ユウト、今日何食べた?」

「えっと……。 もらったスープ……」

 俺が答えると、何故か黙ったカイラ。すると、ペタペタと俺の身体を触り始めた。大きな手であちこち触られて俺は硬直する。

「こんなに小さくて細いんだから、食べないと死んじゃう。俺が口移ししてあげようか?」

 突然、とんでもないことを言い出した。俺は首が飛んでいってしまうのではないかというぐらい、ブンブンと勢い良く横に振る。

「ちょっと疲れたから、ええっと、食べるより眠りたい、かな……」

「眠たい? じゃあ着替える? 着替え取ってくるよ」

 と言われて、そういえばと自分の姿を見下ろす。カイラにマントを借りっぱなしだったと今更気付いて、慌てて脱ぐ。すると、べったり血がついた服が現れて、分かっていたはずなのに息を飲んだ。

「これ、ユウトの血だね」

 カイラが俺の胸辺りに手を当てるとそう聞いてきた。

「た、多分、俺の血……」

「……動いてる、ユウトの心臓。良かった、こっちに来てくれて。生きてくれてて、本当に良かった」

 心底安堵したような声でそう言われ、瞼が熱くなり、溢れないようにグッと歯を食いしばった。

……生きていて良かった、だなんて。

 黙った俺に、カイラは顔を覗き込んできて頬を両手で包まれる。

「ユウト? どうしたの?」

「っ、な、んでもないです。すみません、俺、ちょっと横になってもいいですか?」

「……ん、いいよ」

 カイラは何か言いたげだったが、飲み込んでくれたのかそう言った。俺は、とりあえずこの血だらけの服を着ているのは嫌だったため、その場で脱いだ。早朝に仕事場に向かう時に事故にあったため、カッターシャツにスーツパンツだったが、どちらも血がついたり擦り切れたりしておりもう着れるものではなくなっている。カイラが貸してくれたマントは大きくて、スッポリ身体を隠してくれていたから助かった。それどころではなかったにしろ、国王様の前で血だらけの服を晒すことにならなくて。

「ゆ、ユウト。もしかして、誘ってる?」

 考えている時に、カイラが口元に手の甲を当て、少し顔を赤くしながら俺を見てそう言ってきた。

「……誘ってる? え? どこに?」

 俺は、言われたことが理解できなくてポカンとする。何か言っただろうか。無意識の内に何か声に出ていた?誘うって言っても、俺はこの世界のこと何も分からないし、もちろん誘うようなところも知らない。突然そう言い出したカイラの真意が読み取れなくて、困ってしまう。

「あー……、うん、違うってことは分かった。……はぁ、生殺しだ」

 カイラは俯くと、ため息とともに吐き出すように言った。最後の方は聞き取ることができなくて、ちょっと覗き込んで見るとバチッと目が合って思わず身体を引く。

「……ユウト、絶対、他のやつの前で服を脱いだりしないで」

 肌着を着ているため、裸ではないのだが、カイラは俺にまたマントをぐるぐると巻き付けると、真剣な顔をしてそう言った。

「う、うん」

 しまった、ここではこれは失礼に当たるらしい。いや、さすがにどこでも服を脱ぐようなことはしないけれど、俺の行動が非常識だったということは分かる。ちゃんとマナーや常識を覚えていかないと、困るのは俺自身だ。だから、真剣に頷くと、カイラはホッとしたように笑った。

 それから、カイラが部屋の中にあった服を取ってきてくれたのだが、あれもこれも透けていたりヒラヒラしたフリルがついていたりと中々着る勇気が出ないものばかりで。俺も探そうと、クローゼットらしきものの中を覗き込むと、ウォークインクローゼットになっており、この中でも暮らせるのでは?と思うほど広かった。

 表面は少しモコモコしているが、一番装飾も少なくていわゆるバスローブみたいなものを見つけたため、それを着ることにした。白いから、余計にバスローブに見える。着るとサラサラしており、それだけでも良い生地が使われていることが分かる。

「ユウト、可愛い」

 カイラは笑みを浮かべてそう言うと、俺の腕を掴んで引き寄せ、その胸の中に招き入れるとギュッと抱き締めてきた。スリスリと頭に頬を擦り付けられ、びっくりしてギュッと目を瞑る。

「はぁ、可愛い。今すぐ俺のにしたい。あー、こんなにすごいんだな……」

 カイラはそう言って、俺の頬に手を当てて顔を上げさせると、顔を近付けて来た。え、と思うより早く、頬に生温かい感触がして、ピシッと固まる。そのまま、ペロペロと舐められながら、チュッチュと顔中にキスされて、俺はあわわわ、と為す術なく固まったまま受け入れてしまう。

 カイラのもう片方の手が腰を撫でて来た時、俺は初めて、そういう意味での身の危険を感じて、慌ててカイラの胸に手を突っぱねる。すると、カイラはキスを止め、至近距離で目を覗き込んできた。俺は、舌舐めずりするカイラの薄い唇から見える赤い舌と、俺をまっすぐに見る熱を持つブルーの瞳を視界に入れた時、色気に当てられてカッと顔が熱くなった。

「あ、あ、お、俺……!」

 顔が真っ赤になっている自覚はあるが、まさかこんな展開になるだなんて思わなかったためにテンパってしまう。そんな俺を見て目を細めたカイラは獰猛な瞳の光を隠さず、そのまま全て食べられてしまうと錯覚を起こしそうになった時、

――――コンコン

 軽快な音がその部屋に響いた。俺はハッとして、史上最速だったのではないかと自分で思うほど素早くカイラの腕の中から抜け出して扉に走った。

「うおっと、すまない、ユウト。カイラはここだって聞いたもんで……どうした?えらく顔が赤いが……」

 扉を勢い良く開けると、ヒドラさんが立っていて、俺の様子に驚きながらそう言った。

「あ、え、ええっと、えっと……」

 何も言い訳が思い浮かばなくて、えっと、を繰り返しては俯く俺に、ヒドラさんの視線が突き刺さる。だ、だって、なんだかさっきのカイラの雰囲気が、その、そういうことになるような感じがして、俺はまさか自分がそういう対象になるだなんて夢にも思わなくて。ぐるぐるとさっきの光景が頭の中を占めて顔が熱くなっていく。

「ッチ、何だよ。せっかくユウトが許してくれそうだったのに」

 すぐ後ろに立ったのだろうカイラの気配と、苛立ったような声が聞こえてビクッと肩が揺れた。だが、スルッとお腹に回された腕が優しく後ろに引き寄せ、俺のこめかみにチュッとキスを落とすカイラを思わず見上げると、ん?と優しく微笑まれるため混乱する。

「お前なぁ……。まぁいい、お前を呼びに来たんだよ。仕事だ」

 ヒドラさんは、呆れたようにそう言った後、クイッと顎でカイラに来るように言った。カイラは、ため息をつくと、俺を離して、

「ちょっと行ってくるね」

 と名残惜しそうに言い、部屋から出ようとした。

「……ん?」

 だが、何故か立ち止まり、顔だけで俺を振り返ってくる。え?と見返すと、カイラの視線は下に。俺もそれにつられて下を向くと。

「えっ、あっ、すみません!」

 俺がカイラの服の裾を掴んでおり、まるで行って欲しくないと言わんばかりの行動に焦って手を離した。一人になるから心細くて勝手に掴んでしまったのだろうか。だとしても、無意識にこんな邪魔になるようなことをするなんて、幼い子じゃないんだから……!さすがにこれは恥ずかし過ぎる……!居心地悪くなって、すぐに部屋の中に戻りたくなった時、

「俺行かねぇ。ユウトといる」

「おい、目がガンギマってんぞ。気持ちは分かるが駄目だ。……教会からの呼び出しだ」

 二人の言い合いが聞こえて、恐る恐る顔を上げる。すると、何やら真剣な顔をしており、カイラは渋々「分かった」と返していた。

「ユウト、ちょっと待ってて。すぐに戻るから」

 俺に優しくそう言うと、手を振るヒドラさんと共に行ってしまった。俺は、二人が見えなくなってから、そっと部屋の中に戻った。そして、ベッドに乗り上がると、ボスンと力を失ったように倒れ込む。

 カイラの俺への態度は、その、そういうこと?カイラは女の子?いや、どこからどう見ても男……。え?どういうこと?俺も男……。え?

 色々と考えることが多すぎて、俺はぐるぐると目が回りそうになりながら、答えが分からない問を自分に投げかける。だが、当然何も分からずスッキリしない。もはや何も考えられなくなった時、目を閉じると、身体や精神的な疲れがドッと出たように感じ、一気に重くなった身体をそのままに意識が遠のいていったのだった。
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