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男の人がめそめそと泣いている。
その姿は綺麗なお姿のせいでどこも見苦しくない。まるで一枚の絵画のようだ。
それが切り株の前で崩れるように泣いているのでなければ…。
あー、これは見事に。
ごっそりとやりましたね。
ははは、と思わず乾いた笑いを浮かべたくなるのを場の空気を読んで結子は口を押さえて押しとどめた。
とても周りの心痛な空気で軽口を叩けるものではない。
重苦しい空気(主に神官長が出す)にどんよりとした場に結子が沈んでいるとルイが口を開いた。
「びっくりした?」
それはどこかこの場を明るくしようとするおどけたような口調で結子は躊躇いながらもルイを見上げる。
「はい、とても驚きました」
「あー、だよねー。初対面が切り株じゃ度肝抜かれるよね。…でもね、本当にこれが今のご神木様のお姿なんだ」
笑いながら、でも最後にはさびしさを隠しきれない笑みでルイがご神木を見下ろす。
「とても綺麗な、美しいわが国を象徴する神木様だったんだ…。」
しんみりとした口調でルイが結子に語った。
ルイの目の裏にはその美しかった頃のご神木の姿がそのまま浮かんでいるような
そう思わせる言い方だった。
男の人がめそめそと泣いている。
その姿は綺麗なお姿のせいでどこも見苦しくない。まるで一枚の絵画のようだ。
それが切り株の前で崩れるように泣いているのでなければ…。
あー、これは見事に。
ごっそりとやりましたね。
ははは、と思わず乾いた笑いを浮かべたくなるのを場の空気を読んで結子は口を押さえて押しとどめた。
とても周りの心痛な空気で軽口を叩けるものではない。
重苦しい空気(主に神官長が出す)にどんよりとした場に結子が沈んでいるとルイが口を開いた。
「びっくりした?」
それはどこかこの場を明るくしようとするおどけたような口調で結子は躊躇いながらもルイを見上げる。
「はい、とても驚きました」
「あー、だよねー。初対面が切り株じゃ度肝抜かれるよね。…でもね、本当にこれが今のご神木様のお姿なんだ」
笑いながら、でも最後にはさびしさを隠しきれない笑みでルイがご神木を見下ろす。
「とても綺麗な、美しいわが国を象徴する神木様だったんだ…。」
しんみりとした口調でルイが結子に語った。
ルイの目の裏にはその美しかった頃のご神木の姿がそのまま浮かんでいるような
そう思わせる言い方だった。
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