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16 部活のお手伝い。

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「菫、今日の放課後何かある?」

「うーんと」

スマホを取り出して予定表を見る。部活は帰宅ぶなの出ない。ただアルバイトとたまにマネージャーの足りていない運動部の手伝いをしている。それに委員会などなど。それがないかの確認だ。
今日は、あーあった。

「ごめんね、部活に手伝いの日だった」

「そっか」

残念がる二人に手を振って運動部の部室がある体育館近くの方角へと菫は小走りに走っていく。
運動部の手伝いはもともと一人の部員に対してマネージャーの申し込みはあったけれどまじめに部活に対して洗濯物などや後片付けなどやる人がいなく、たまたま弟が部活をやっていて同じ学校だった時、手伝っていた癖で片付けていた所を部員に見つかって頼み込まれたのがきっかけだ。

今の時代、きゃーきゃー騒ぐ女子はいても熱心に誰かのためにと強豪校でもない高校でマネージャーに取り組む女子は少ない、と言うと語弊があるかも知れないがミーハーでマネージャー希望でこの部活に入った女子には皆無らしい。親の手伝いも碌にしません、そうであることが良くわかる荒さで隅に寄せられた洗物に苦笑いしながら菫は部員に挨拶もせずまず洗濯に取り掛かる。ここら辺は既に許可をもらっている。

「今日もやりがいがある汚しっぷりね」

腕まくりをして汚れ具合ごとにユニホームをより分ける。
そして汚れた靴も水洗い場に持っていく。洗濯機が回っている間に部員が来る前に掃除を軽く済ませる気だ。

「あれ、もう来てくれてたの橘さん」

箒を持って掃き始めた時に後ろから声がかかる。

「あ、吉村君」

爽やかな笑顔で人懐っこく笑ったのがこの学校一番のイケメンの吉村君。ビジュアルバンドの某ボーカルに似た甘いマスクのリアルな王子様系美形さんだ。
そして菫に手伝いを頼んだ人間でもある。

曰く自分の所為でまともなマネージャーがこなくて困っていると…。
まあ自覚があるというのはいいことなのかなんなのか。苦労しているっぽいと菫は思う。彼自身は顔さえのぞけばけっこう普通のいい人だ。

「ありがとうね、こんな面倒なの疲れるのに」

へにょっと申し訳なく笑った顔に菫が笑う。

「ん、大丈夫。慣れてるしね」



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