2 / 16
プロローグ
しおりを挟む
.
「うわーまたあいつ試験落ちたのかよ」
「一人だけな」
「うっそーなにそれー。まーそれも仕方ないか」
あいつって、VR非適合者なんでしょ
クラスでまたみのりを笑う嘲笑がする。
みのりはそれに耳をふさぐように机に付して顔を腕にうずめる。
バーチャルリアリティー、略してVRと呼ばれる科学技術が
当たり前のように社会に浸透して久しい昨今。
日常の趣味にも医療にも仕事にもVRが欠かせない現代において
学校でもパソコンの授業からVRの専門の授業に変化し
それを学ぶための一環としてもっともVRに馴染みやすい方法だとして
VRのゲームが国の主導で作られ授業で行われるようになった。
そのゲームは通称「ワンダー」
正式名称はお役所がつけた典型のような長い名前のために略したこの名こそが
もっともポピュラーな言い方だとして普及している
大規模なメガデーターを駆使した、日本屈指のサーバーを持つ
全国の子供たちが授業でVRの使い方を学ぶゲームである。
それにおいてみのりはそのゲーム内で行われるいくつかの小テスト代わりの課題に
一人だけ0点をとり、クラスメイトに笑われていた。
かつてゲームが得意というとオタクと蔑視されることもあったが
今では間逆である。このゲームが出来るものこそエリートという考えが浸透し
優秀者には有名大学の推薦、さらにはシンクタンクからもお呼びがかかるとされるほど
ゲームが出来る生徒というのはその学校の優等生、ひいては人気者という
ヒエラルキーが出来上がっていた。
そんな社会の中で問題とされているのが
VRになじめない、非適合者と呼ばれる人々だった。
症状としてはさまざまで最も多いのが乗り物酔いのように気分が悪くなる人で
かつてテレビで画面が高速で動いたり光ったりで不調を訴えたという事例と同じように
VRをするとこれも人によって重さも違うのだけれど
一部で拒否反応を示す人間がわずかにだが報告されるようになった。
今やVRは生活で必須といわれる技術
当然国としても何らかの処置と対策が講じられはしたが
現段階において有効な手立ては見つかっていない
そんなやっかいなVR非適合の人間の一人がみのりだった。
救いはまだその症状が軽いという気休めにもならない一点だけ。
逆に症状が軽いということで国の免除は受けられず、一般の生徒と授業を受けさせられる。
ゲームをして気分が悪くなる。みのりもそれは仕方ないとあきらめている。
でも、それ以上にVRでネットにだいぶした時の自分の体のだるいような違和感のある
不適合ゆえに起こるのか常に熱にうなされるようなだるさから
与えられるゲームでの課題を碌にこなせないことが苦痛だった。
『VRなんてだいっ嫌いだ!』
学校にいることさえ苦痛だと訴えるようにみのりは休み時間。クラスの雑音をすべて
拒絶するように机に付して顔を隠し聞こえてくる音から自分を遮断した。
「うわーまたあいつ試験落ちたのかよ」
「一人だけな」
「うっそーなにそれー。まーそれも仕方ないか」
あいつって、VR非適合者なんでしょ
クラスでまたみのりを笑う嘲笑がする。
みのりはそれに耳をふさぐように机に付して顔を腕にうずめる。
バーチャルリアリティー、略してVRと呼ばれる科学技術が
当たり前のように社会に浸透して久しい昨今。
日常の趣味にも医療にも仕事にもVRが欠かせない現代において
学校でもパソコンの授業からVRの専門の授業に変化し
それを学ぶための一環としてもっともVRに馴染みやすい方法だとして
VRのゲームが国の主導で作られ授業で行われるようになった。
そのゲームは通称「ワンダー」
正式名称はお役所がつけた典型のような長い名前のために略したこの名こそが
もっともポピュラーな言い方だとして普及している
大規模なメガデーターを駆使した、日本屈指のサーバーを持つ
全国の子供たちが授業でVRの使い方を学ぶゲームである。
それにおいてみのりはそのゲーム内で行われるいくつかの小テスト代わりの課題に
一人だけ0点をとり、クラスメイトに笑われていた。
かつてゲームが得意というとオタクと蔑視されることもあったが
今では間逆である。このゲームが出来るものこそエリートという考えが浸透し
優秀者には有名大学の推薦、さらにはシンクタンクからもお呼びがかかるとされるほど
ゲームが出来る生徒というのはその学校の優等生、ひいては人気者という
ヒエラルキーが出来上がっていた。
そんな社会の中で問題とされているのが
VRになじめない、非適合者と呼ばれる人々だった。
症状としてはさまざまで最も多いのが乗り物酔いのように気分が悪くなる人で
かつてテレビで画面が高速で動いたり光ったりで不調を訴えたという事例と同じように
VRをするとこれも人によって重さも違うのだけれど
一部で拒否反応を示す人間がわずかにだが報告されるようになった。
今やVRは生活で必須といわれる技術
当然国としても何らかの処置と対策が講じられはしたが
現段階において有効な手立ては見つかっていない
そんなやっかいなVR非適合の人間の一人がみのりだった。
救いはまだその症状が軽いという気休めにもならない一点だけ。
逆に症状が軽いということで国の免除は受けられず、一般の生徒と授業を受けさせられる。
ゲームをして気分が悪くなる。みのりもそれは仕方ないとあきらめている。
でも、それ以上にVRでネットにだいぶした時の自分の体のだるいような違和感のある
不適合ゆえに起こるのか常に熱にうなされるようなだるさから
与えられるゲームでの課題を碌にこなせないことが苦痛だった。
『VRなんてだいっ嫌いだ!』
学校にいることさえ苦痛だと訴えるようにみのりは休み時間。クラスの雑音をすべて
拒絶するように机に付して顔を隠し聞こえてくる音から自分を遮断した。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
怪異・おもらししないと出られない部屋
紫藤百零
大衆娯楽
「怪異・おもらししないと出られない部屋」に閉じ込められた3人の少女。
ギャルのマリン、部活少女湊、知的眼鏡の凪沙。
こんな条件飲めるわけがない! だけど、これ以外に脱出方法は見つからなくて……。
強固なルールに支配された領域で、我慢比べが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる