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うおおおおおおおおお
北の草原にみのりの雄たけびが唸りあがる。
それは言葉にさえならず、腹の底から湧き上がる熱を言葉にもできずそのままうねりのまま口の外に吐き出しているようにも見える。
小さな体から喜びを全身で表すみのりは打ち震えていた。
その傍には三体のウルフの亡骸。みのりが倒したものだ。それらは時間が経ち、徐々にポリゴンに戻り消えていく。そしてその場には僅かにドロップ品が残されていた。
みのりにとって念願の勝利である。ウルフ三体に自力で勝ったのである。
それはみのりに自信を付けさせた。そのサポートをしてくれた白百合の姿が目に入る。
傍に行きたいが、疲れ果てたみのりは動けない。それを察しているだろう白百合から傍による。
「見事でした」
その言葉で今まで堰きとめていた涙がみのりの瞳にぶあっと現れる。
我慢していた辛かった思いややりきれなさ。諦めようとした自分が走馬灯のように
脳裏に浮かぶ。他でもない白百合はそんなみのりの全てを見てきている。
挫折も諦めも、そして今は傍に寄り添い、そっと抱きしめてくれていた。
感情のままに12歳の少年はAIの胸で泣き出した。嗚咽で喉がつまり声も上手く出ない。
「こ、ここ、がら、だ。…白百合。俺はこれから始まるんだ」
「はい。」
「お前とともに。今度は皆を見返すんだ」
強気意思を持った瞳で白百合を見上げる少年を白百合は頼もしいと思った。
人によっては馬鹿にするかもしれない。たった三体ウルフを倒しただけのことだ。
だが、みのりは頑張ったのだ。無理だと絶望したことに立ち向かって
そして白百合に助力を求め、白百合もはじめて助力を求められることを知った。
「みのりさま、私も全力で貴方をサポートいたします。強き男に貴方はなります。必ず」
予言めいたことをAIが口にする。
それは確信か。AIも真からぶつかってくる人の心を見せられて変化する。
より人間らしく思い入れを知って、気持ちと言うものを知る。
高ぶる感情。自分は実り様に強くなって欲しいと思っている。
自覚した感情。機械にはないとはじめから決め付けていた執着。
様々なものが機械の計算なのか、より人間に近くと作られたAI、白百合の中で爆発し
核反応のように新たな物質を生み出していくようだ。
醒めるような感覚に感覚が研ぎ澄まされ、白百合は内心驚く。それも内に秘めて
今は主を優しく抱きしめ労うのだ。
うおおおおおおおおお
北の草原にみのりの雄たけびが唸りあがる。
それは言葉にさえならず、腹の底から湧き上がる熱を言葉にもできずそのままうねりのまま口の外に吐き出しているようにも見える。
小さな体から喜びを全身で表すみのりは打ち震えていた。
その傍には三体のウルフの亡骸。みのりが倒したものだ。それらは時間が経ち、徐々にポリゴンに戻り消えていく。そしてその場には僅かにドロップ品が残されていた。
みのりにとって念願の勝利である。ウルフ三体に自力で勝ったのである。
それはみのりに自信を付けさせた。そのサポートをしてくれた白百合の姿が目に入る。
傍に行きたいが、疲れ果てたみのりは動けない。それを察しているだろう白百合から傍による。
「見事でした」
その言葉で今まで堰きとめていた涙がみのりの瞳にぶあっと現れる。
我慢していた辛かった思いややりきれなさ。諦めようとした自分が走馬灯のように
脳裏に浮かぶ。他でもない白百合はそんなみのりの全てを見てきている。
挫折も諦めも、そして今は傍に寄り添い、そっと抱きしめてくれていた。
感情のままに12歳の少年はAIの胸で泣き出した。嗚咽で喉がつまり声も上手く出ない。
「こ、ここ、がら、だ。…白百合。俺はこれから始まるんだ」
「はい。」
「お前とともに。今度は皆を見返すんだ」
強気意思を持った瞳で白百合を見上げる少年を白百合は頼もしいと思った。
人によっては馬鹿にするかもしれない。たった三体ウルフを倒しただけのことだ。
だが、みのりは頑張ったのだ。無理だと絶望したことに立ち向かって
そして白百合に助力を求め、白百合もはじめて助力を求められることを知った。
「みのりさま、私も全力で貴方をサポートいたします。強き男に貴方はなります。必ず」
予言めいたことをAIが口にする。
それは確信か。AIも真からぶつかってくる人の心を見せられて変化する。
より人間らしく思い入れを知って、気持ちと言うものを知る。
高ぶる感情。自分は実り様に強くなって欲しいと思っている。
自覚した感情。機械にはないとはじめから決め付けていた執着。
様々なものが機械の計算なのか、より人間に近くと作られたAI、白百合の中で爆発し
核反応のように新たな物質を生み出していくようだ。
醒めるような感覚に感覚が研ぎ澄まされ、白百合は内心驚く。それも内に秘めて
今は主を優しく抱きしめ労うのだ。
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