8 / 13
後編5
しおりを挟む
.
「ああ、そうなだなマリア。こいつらはいつもお前をこうやって集団でいじめる
醜悪な女たちなのだな。今の状況を見れば誰の目にも明らかだろう」
女に頼られれば男は男気を見せようとなさるものですものね。
それも好いた女性ならかばうでしょうよ。
「殿下!それはっ」
「アイネ様」
殿下の発言に食って掛かろうとした侯爵令嬢のアイネにミリの制止の言葉がかかる。振り返るアイネに視線を合わせたミリは冷静さを欠いたアイネにその視線のみで語る。
『おやめなさい。淑女たるものが紳士に食って掛かるなどみっともない』
ミリの語る瞳の冷たさにアイネは固まり青ざめる。
そしてその意を正確に汲んで口を閉ざした。
怒りを覚えるのも分かります。ですが相手に飲まれず
常に令嬢らしく振舞うのが体面を重んじる貴族らしく必要なのです。
そして令嬢とは常に守られるもの。
自分から手を下し、貴方が泥をかぶる必要などないのです。
ミリは心中でのみそう言葉を贈る。
そして用意された配役のものを一瞥する。
これはくだらない茶番劇なのですわ。
「あー、ああああ、やっぱり。他人の空似かと思ってたけど
あなたやっぱり、あのマリアでしょ?下町の酒場の女主人の娘の
男好きで有名なあのマリアでしょー?親子で何人も男ころがすってよくやるよねー。今も変わってないみたいだね。」
ミリたちの騒ぎを見ていた一人の生徒が突然大声を上げ
そしてマリアたちへと近づいてくる。
この舞台に上る新たなる登場人物。
ミリは笑みを作った口元を扇で隠す。
「貴方覚えてるかしら?私、貴方に幼馴染の彼氏寝取られたんだけど」
そう言ってマリアを睨む彼女はこの学園には珍しい庶民風の
しかもどこか男慣れしたような活発さのある少女だった。
その彼女の登場に驚き顔を青ざめさせるマリアに
用意された道化は微笑む。
「ああ、そうなだなマリア。こいつらはいつもお前をこうやって集団でいじめる
醜悪な女たちなのだな。今の状況を見れば誰の目にも明らかだろう」
女に頼られれば男は男気を見せようとなさるものですものね。
それも好いた女性ならかばうでしょうよ。
「殿下!それはっ」
「アイネ様」
殿下の発言に食って掛かろうとした侯爵令嬢のアイネにミリの制止の言葉がかかる。振り返るアイネに視線を合わせたミリは冷静さを欠いたアイネにその視線のみで語る。
『おやめなさい。淑女たるものが紳士に食って掛かるなどみっともない』
ミリの語る瞳の冷たさにアイネは固まり青ざめる。
そしてその意を正確に汲んで口を閉ざした。
怒りを覚えるのも分かります。ですが相手に飲まれず
常に令嬢らしく振舞うのが体面を重んじる貴族らしく必要なのです。
そして令嬢とは常に守られるもの。
自分から手を下し、貴方が泥をかぶる必要などないのです。
ミリは心中でのみそう言葉を贈る。
そして用意された配役のものを一瞥する。
これはくだらない茶番劇なのですわ。
「あー、ああああ、やっぱり。他人の空似かと思ってたけど
あなたやっぱり、あのマリアでしょ?下町の酒場の女主人の娘の
男好きで有名なあのマリアでしょー?親子で何人も男ころがすってよくやるよねー。今も変わってないみたいだね。」
ミリたちの騒ぎを見ていた一人の生徒が突然大声を上げ
そしてマリアたちへと近づいてくる。
この舞台に上る新たなる登場人物。
ミリは笑みを作った口元を扇で隠す。
「貴方覚えてるかしら?私、貴方に幼馴染の彼氏寝取られたんだけど」
そう言ってマリアを睨む彼女はこの学園には珍しい庶民風の
しかもどこか男慣れしたような活発さのある少女だった。
その彼女の登場に驚き顔を青ざめさせるマリアに
用意された道化は微笑む。
70
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ヒロインの味方のモブ令嬢は、ヒロインを見捨てる
mios
恋愛
ヒロインの味方をずっとしておりました。前世の推しであり、やっと出会えたのですから。でもね、ちょっとゲームと雰囲気が違います。
どうやらヒロインに利用されていただけのようです。婚約者?熨斗つけてお渡ししますわ。
金の切れ目は縁の切れ目。私、鞍替え致します。
ヒロインの味方のモブ令嬢が、ヒロインにいいように利用されて、悪役令嬢に助けを求めたら、幸せが待っていた話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
彼女がいなくなった6年後の話
こん
恋愛
今日は、彼女が死んでから6年目である。
彼女は、しがない男爵令嬢だった。薄い桃色でサラサラの髪、端正な顔にある2つのアーモンド色のキラキラと光る瞳には誰もが惹かれ、それは私も例外では無かった。
彼女の墓の前で、一通り遺書を読んで立ち上がる。
「今日で貴方が死んでから6年が経ったの。遺書に何を書いたか忘れたのかもしれないから、読み上げるわ。悪く思わないで」
何回も読んで覚えてしまった遺書の最後を一息で言う。
「「必ず、貴方に会いに帰るから。1人にしないって約束、私は破らない。」」
突然、私の声と共に知らない誰かの声がした。驚いて声の方を振り向く。そこには、見たことのない男性が立っていた。
※ガールズラブの要素は殆どありませんが、念の為入れています。最終的には男女です!
※なろう様にも掲載
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【短編】婚約者に虐げられ続けた完璧令嬢は自身で白薔薇を赤く染めた
砂礫レキ
恋愛
オーレリア・ベルジュ公爵令嬢。
彼女は生まれた頃から王妃となることを決められていた。
その為血の滲むような努力をして完璧な淑女として振舞っている。
けれど婚約者であるアラン王子はそれを上辺だけの見せかけだと否定し続けた。
つまらない女、笑っていればいいと思っている。俺には全部分かっている。
会う度そんなことを言われ、何を言っても不機嫌になる王子にオーレリアの心は次第に不安定になっていく。
そんなある日、突然城の庭に呼びつけられたオーレリア。
戸惑う彼女に婚約者はいつもの台詞を言う。
「そうやって笑ってればいいと思って、俺は全部分かっているんだからな」
理不尽な言葉に傷つくオーレリアの目に咲き誇る白薔薇が飛び込んでくる。
今日がその日なのかもしれない。
そう庭に置かれたテーブルの上にあるものを発見して公爵令嬢は思う。
それは閃きに近いものだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
気だるげの公爵令息が変わった理由。
三月べに
恋愛
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。
王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。
そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。
「生きる楽しみを教えてくれ」
ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。
「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」
つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。
そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。
学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。
「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」
知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。
「無視してんじゃないわよ!」
「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」
「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」
そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。
「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」
ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。
(なろうにも、掲載)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
皆様ごきげんよう。悪役令嬢はこれにて退場させていただきます。
しあ
恋愛
「クラリス=ミクランジェ、君を国宝窃盗容疑でこの国から追放する」
卒業パーティで、私の婚約者のヒルデガルト=クライス、この国の皇太子殿下に追放を言い渡される。
その婚約者の隣には可愛い女の子がーー。
損得重視の両親は私を庇う様子はないーーー。
オマケに私専属の執事まで私と一緒に国外追放に。
どうしてこんなことに……。
なんて言うつもりはなくて、国外追放?
計画通りです!国外で楽しく暮らしちゃいますね!
では、皆様ごきげんよう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる