もっと異世界の話を聞こうか-連載版-

12時のトキノカネ

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「しかと承った勇者殿。その依頼、この偉大なる聖女の崇拝者で勇者の大親友たる賢者と呼び声高い我、愛と自然に生きる大魔法使いにしてケモナーのエルフのリヒャが叶えよう。後は俺に任せとけ、シャル。」

「一気に心配になった…」

「何か言ったか?…せっかく勇者といってやったのに下僕のほうが好みか?ん?」

「もう黙れ!!」

シャルの依頼に胸を張る鳩にシャルが渋面になるが、それもからかいの対象なのか鳩は陽気にからかい、任せろと胸を叩いた。

そう、こういうことに関してはこの男に任せるのが一番間違いがない。
しかし、人選が一番あっているとはいえ…。いや、今は個人のシャルの感情など出している場合ではないとシャルはでかかった言葉を飲み込む。

「リヒャ、息子を頼む」

ぐっと感情を押し込めたシャルがまじめな顔で鳩に頭を下げる。

それをここよりずっと離れた場所から送られてくる映像で見ている男が軽口をやめて見やる。

「……。任せろ」

やや走った沈黙の後、力強くリヒャがシャルに応えた。


リヒャはエルフと言う種族の特徴どおり長い金の髪、そして立ち上がった長身の痩躯に絶妙についた筋肉を覆うきらびやかな衣装。それを重さを感じさせない優雅さで払う仕草でシャルとの通信を切るとエルフの特徴の一つでもある夢のように美しい相貌を崩した。

「俺にとってだとて大恩あるお前らに手出しされて黙っていられるわけがないからな」



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