13 / 19
7
しおりを挟む
.
「黙れこのエロフが。俺が聞いたことにだけ答えろ」
「あははは。その言いザマ。久しぶりに聞いたな。俺をそう未だに呼ぶやつはお前だけだ。まだ根に持っているのか?聖女様の寝所に夜這いに行ったのを」
鳩は陽気に渋い顔をするシャルとは対極的に話す。羽を手のように身振り手振り動かすのがなんとも人間くさい。それをシャルが睨みながらその動きがまったく旧友のそれと同じ動作で苛立ちを浮かべていく。
「三回も忍んで行っただろう」
「その三回ともお前が中にいて失敗したな。そのうち一回はいい雰囲気だったみたいだが、未だに俺は聖女様の男の趣味だけは解せない。お前よりこのエルフである俺様のほうが何倍も美しく麗しく優美であろうに。聖女様は見る目がない」
「…。よく喋るな、ダークエルフの負け犬。」
「今は聖女様に呪いを解いていただき、ただの動物を愛するエルフだよ」
「この似非ケモナーめ」
「ああ、いいなー。その罵り。最近有名になりすぎて俺を罵る人間がいなくてね。新鮮でゾクゾクスルヨ。」
鳩が羽を使って体を抱きしめて身震いする。それにシャルがおぞましいものを見たように引いた。言葉を失って気持ち後ろに引いた。
「…。お前と無駄話は疲れる」
盛大なため息をついたシャルがこの鳩との無駄な掛け合いを終わらせる。
「お前に頼みたいことがあって連絡をとった」
「だろうさ。じゃなければお前が連絡するわけがない。」
トーンを下げたシャルに相手も今までの軽口をやめて応じる。
「で、何があった?俺に何をさせるつもりだ?」
「黙れこのエロフが。俺が聞いたことにだけ答えろ」
「あははは。その言いザマ。久しぶりに聞いたな。俺をそう未だに呼ぶやつはお前だけだ。まだ根に持っているのか?聖女様の寝所に夜這いに行ったのを」
鳩は陽気に渋い顔をするシャルとは対極的に話す。羽を手のように身振り手振り動かすのがなんとも人間くさい。それをシャルが睨みながらその動きがまったく旧友のそれと同じ動作で苛立ちを浮かべていく。
「三回も忍んで行っただろう」
「その三回ともお前が中にいて失敗したな。そのうち一回はいい雰囲気だったみたいだが、未だに俺は聖女様の男の趣味だけは解せない。お前よりこのエルフである俺様のほうが何倍も美しく麗しく優美であろうに。聖女様は見る目がない」
「…。よく喋るな、ダークエルフの負け犬。」
「今は聖女様に呪いを解いていただき、ただの動物を愛するエルフだよ」
「この似非ケモナーめ」
「ああ、いいなー。その罵り。最近有名になりすぎて俺を罵る人間がいなくてね。新鮮でゾクゾクスルヨ。」
鳩が羽を使って体を抱きしめて身震いする。それにシャルがおぞましいものを見たように引いた。言葉を失って気持ち後ろに引いた。
「…。お前と無駄話は疲れる」
盛大なため息をついたシャルがこの鳩との無駄な掛け合いを終わらせる。
「お前に頼みたいことがあって連絡をとった」
「だろうさ。じゃなければお前が連絡するわけがない。」
トーンを下げたシャルに相手も今までの軽口をやめて応じる。
「で、何があった?俺に何をさせるつもりだ?」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説

追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。


【完結】慈愛の聖女様は、告げました。
BBやっこ
ファンタジー
1.契約を自分勝手に曲げた王子の誓いは、どうなるのでしょう?
2.非道を働いた者たちへ告げる聖女の言葉は?
3.私は誓い、祈りましょう。
ずっと修行を教えを受けたままに、慈愛を持って。
しかし。、誰のためのものなのでしょう?戸惑いも悲しみも成長の糧に。
後に、慈愛の聖女と言われる少女の羽化の時。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる