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母という人は
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「あら、貴方の髪と瞳。とても珍しいわね」
「そう。よく言われる。」
久しぶりに野宿じゃなく宿屋に部屋をとれた。
俺は風呂にはいれると上機嫌で、風呂が好きなところは母さんそっくりだと言う
親父の言葉に似た親子だろ?と冗談を交わし2階の部屋から下の食堂へと降りる際にこの宿屋の受付をしていた娘に自分の黒髪のことを言われた。
俺はこの目と黒髪が嫌いじゃない。
この国では、いいやこの世界では珍しい純度の高い黒。
黒目勝ちのうるんだ瞳は少し親父に似てたれ目だけれど
サラサラのストレートの髪は完全に母さん譲りだ。
親父はこの俺の髪をなでていつも母さんを思い出すといった。
俺のような髪と目、揃って黒なんて人間この世界では稀だ。
だがあちらではそれが普通にわんさかいるという。
遠い異世界につながる思いがするこの色に俺は見たこともない異世界に親しみを覚える。
その血がこの身には流れていると確かにこの色が証明する。
「素敵な色ね」
「ありがとう。俺もね大のお気に入りなんだ」
にっこりとこの色をほめてくれた宿屋の娘に笑って答えて
隣にいる俺の髪をうらやましげに見る親父のくせっけの金髪を
涼しげに見やってから
降りている途中だった階段を下りきって
食堂の空いている座席に座り夕食の注文をする。
今日は親父が酒を飲んでもいいことにしよう。
介抱が大変だが俺は機嫌がいい。
親父ほどではないが俺も顔がいいせいか好青年にみえる容姿から結構モテる
でも、誰にも心動いたことはなかった。
俺の顔はこの国の基準からしてやや薄い淡白寄りの顔をしている。
母さんの言うところのしょうゆ顔。アジア人寄りということか。
母さんの国でいう西洋人寄りの顔よりさっぱり気味の顔が俺はきっと好きなんだろう。
親父に似て
今日も母に関する異世界の情報の収穫はなかった。
今のところ一番の手掛かりは俺の髪の色っていうがっかりなほどがっかりな
先の遠くなるような雲をつかむような気の遠さだ
でも、俺はあきらめたくはない。
「親父、酔って気分がいいなら母さんの話をしてくれよ」
「お前はあちらでいう『マザコン』みたいだな。まあ、それだけじゃないのは知っているが…。お前の中の血の故郷だからな」
「うん。鉄が空を飛ぶんだろう?遠くの人間と画面を通して映像をやり取りできてしかも話せるんだろう。」
「ああ、それだけじゃない。チンするだけで食事ができる」
「へー、こんな料理もかい?」
俺は自分のテーブルに並んだ料理を指し示す。それに親父は「さあな」と笑う。
「きっと俺たちの知らない料理だろう」
俺はいつか母さんのいる異世界に行ってみたい。
「あら、貴方の髪と瞳。とても珍しいわね」
「そう。よく言われる。」
久しぶりに野宿じゃなく宿屋に部屋をとれた。
俺は風呂にはいれると上機嫌で、風呂が好きなところは母さんそっくりだと言う
親父の言葉に似た親子だろ?と冗談を交わし2階の部屋から下の食堂へと降りる際にこの宿屋の受付をしていた娘に自分の黒髪のことを言われた。
俺はこの目と黒髪が嫌いじゃない。
この国では、いいやこの世界では珍しい純度の高い黒。
黒目勝ちのうるんだ瞳は少し親父に似てたれ目だけれど
サラサラのストレートの髪は完全に母さん譲りだ。
親父はこの俺の髪をなでていつも母さんを思い出すといった。
俺のような髪と目、揃って黒なんて人間この世界では稀だ。
だがあちらではそれが普通にわんさかいるという。
遠い異世界につながる思いがするこの色に俺は見たこともない異世界に親しみを覚える。
その血がこの身には流れていると確かにこの色が証明する。
「素敵な色ね」
「ありがとう。俺もね大のお気に入りなんだ」
にっこりとこの色をほめてくれた宿屋の娘に笑って答えて
隣にいる俺の髪をうらやましげに見る親父のくせっけの金髪を
涼しげに見やってから
降りている途中だった階段を下りきって
食堂の空いている座席に座り夕食の注文をする。
今日は親父が酒を飲んでもいいことにしよう。
介抱が大変だが俺は機嫌がいい。
親父ほどではないが俺も顔がいいせいか好青年にみえる容姿から結構モテる
でも、誰にも心動いたことはなかった。
俺の顔はこの国の基準からしてやや薄い淡白寄りの顔をしている。
母さんの言うところのしょうゆ顔。アジア人寄りということか。
母さんの国でいう西洋人寄りの顔よりさっぱり気味の顔が俺はきっと好きなんだろう。
親父に似て
今日も母に関する異世界の情報の収穫はなかった。
今のところ一番の手掛かりは俺の髪の色っていうがっかりなほどがっかりな
先の遠くなるような雲をつかむような気の遠さだ
でも、俺はあきらめたくはない。
「親父、酔って気分がいいなら母さんの話をしてくれよ」
「お前はあちらでいう『マザコン』みたいだな。まあ、それだけじゃないのは知っているが…。お前の中の血の故郷だからな」
「うん。鉄が空を飛ぶんだろう?遠くの人間と画面を通して映像をやり取りできてしかも話せるんだろう。」
「ああ、それだけじゃない。チンするだけで食事ができる」
「へー、こんな料理もかい?」
俺は自分のテーブルに並んだ料理を指し示す。それに親父は「さあな」と笑う。
「きっと俺たちの知らない料理だろう」
俺はいつか母さんのいる異世界に行ってみたい。
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