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それはパンドラの箱でした

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「えぇぇぇぇえええええ!?」


村一番の武器屋にて。
ダンジョンから戻ってきた二人の話に、店主は仰天していた。


「あのダンジョンのお宝、見つけたの!?」

「うん、まぁ...。」

「嘘でしょ!?信じらんないっ!」


まさか本当にあったなんて!と大はしゃぎの店主に対して、ミサキは疲れ切った顔で机に突っ伏していた。
宝箱を見つけてから、その場にあった光る鉱石でなんとか帰ってきたばかりの彼女はグッタリである。


「ねぇ、それ今どこにあるの!?」

「...ここ。」

「ん?」

「ここに、あるんですけど。」


そう指さしたのは、彼女の片腕あたり。

だったのだが。


「...えーっと。あんまりよく見えないから、ちょっと手をどかしてもらってもいいかしら?スバルくん。」

「嫌ですっ!ねぇさんとはピッタリ寄り添っていたいんです!ねぇさんも、そうだよね?だよねぇ!?」


そう言いながら、スバルがしっかりとその片腕を包み込んでしまっている。
姉はそんなスバルに、はぁ、とドン底からの深いため息をついた。


「ちょ、ちょっとミサキちゃん?スバルくんってこんな子だったかしら!?」


たしかにウキウキと姉に引っ付いていたのは気になっていた。
姉と一緒にお宝を見つけたことがよほど嬉しかったのだろうかと思っていた店主だったが、さすがに異変を感じとる。


「おかしいんです。お宝見つけてからこの子、ずっとこの調子なんです。」

「えぇ!?そのお宝って、どんなやつよ?」

「なんか黒い手袋で、ピンクの模様があって、ハートの絵柄が描いてあるやつで。」

「手袋で、ハート?」

「こんなのがお宝なのかって話になって、試しに装備してみてよって言われたから装備したんです。」


デザインからして女性用ではないか?という憶測から姉のミサキに試させたという訳だ。
まぁ、あまり価値のないお宝でも売れればいいやーと思ってはいたのだが。
その話を聞いて、店主は少し考え込む。


「ねぇスバルくん、お姉さんの装備してるお宝を見せてくれれば良いだけなんだけど。」

「嫌です。」

「二人の愛の結晶が見たいなぁ~なんて。」

「それなら喜んで!」


くいぎみで断言した弟に、ますます顔を青くさせるミサキをさておき店主は装備を鑑定していく。


「あらホントにかわいいデザインね!じゃあこれ、外してみてくれない?」

「外れないんです。」

「...え?」


ミサキは涙目で訴えた。


「これ、外れないんです。」






残念ですが、

手に入れたお宝は呪われています!
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