紅き衣の巫女

たとい

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紅き衣の巫女

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誰よも純粋で優しい少女。

なによりも純白を好んで着ていた。




ところが世界の戦争が始まってから何故か傷を負うことが増えていく。

そのたびに純白の衣は血の色で余すことなく染めていた。

何もなくとも傷口は開き、身にまとう衣のうちの白の部分だけが必ず赤色に染め上げた。




相談した神父によれば、彼女は巫女の血を受け継いでいると言う。

人々の邪心や怨念を、白き衣に自らの血を与えることで浄化させていたらしい。

これまで目覚めることのなかったその呪いのような体質は、少女が成長したことと戦争によって活発になってしまっていた。




紅き衣を身にまとえば力は収まる。そうでなければ息絶えるであろう。




言われた通りに深紅の服を着てみれば、彼女は一切血を流すことはなくなった。

しかし、争いは絶えず。人々の憎しみは深まり、成仏できない怨霊まで現れる。

少女はいつしか自身が浄化していないことが、ことの悪化の元凶と悟る。




あぁ、神様。どうか世界をお救いください。




さすがは巫女の血をひいた者といったところだろうか。

少女は迷わず深紅の衣を脱ぎ捨て、純白のウェディングドレスを身にまとう。

せめて、着てみたかったあこがれの服。




協会で祈りを捧げる彼女に、何かが降り注いだ。




深紅にそまったドレス。

滴る赤。

立ち尽くしたのは少女と、幼なじみの少年。

泣きながら少年は少女にしがみついた。

転がり落ちたのは、少年の持っていた塗料のバケツと。

そして大きな鐘が1つ。




爆音と共に壮大に鳴り響いて、戦争と呪いの終わりを告げていた。
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