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第六章 ルキソミュフィア攻防
第113話 援軍
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リテラ達の目の前に現れた黒い塊は、これまで体験した事が無い程の恐怖感と、おぞましい程の禍々しさを纏っていた。
周囲の者を一瞬で恐怖に陥れる魔界の外道魔法か?とも思えるその塊は地表に完全に降下すると、スっと表面に切れ込みが入って大きな口を開けた。
その口の中から出てきたのは、大きな丸眼鏡をして髪を緩く三つ編みにしているエルフの女性と、屈強な体格をした人間の男だった。
2人は着地点が世界樹の目の前だということを確認すると、眼鏡のエルフが乗ってきた黒い塊に手をかざした。
すると一瞬で空気の中に溶け、完全に見えなくなった。
この、予期せぬ珍客に一番驚いたのはリテラやニーア―ライルではなく、ニーア―ライルが警戒していたソルフゲイルの先遣隊で、彼等の行動の一部始終の確認を終えただろうと思われるタイミングで、一斉に2人に襲い掛かっていった。
2人のエルフの前に出てきたソルフゲイル軍の人数は約15人。
ニーア―ライルが想定していた人数よりも多かったので、
「意外と隠れてたな~?」
と、呑気に2人への襲撃の光景を観察している。
その様子を見ていたリテラは、
「助けに行かなくてイイの?!」
と小声でニーア―ライルに尋ねたが、
「今、行って我々に何が出来る?それよりも、この2人の戦闘をじっくり観察した方が面白いぞ。」
リテラの想像の斜め右下の返答が来たので、ニーア―ライルに対する信頼感が少し減少した気がした。
しかし、ニーア―ライルの言った通り、2人の珍客の戦闘は動きに無駄が無く、黒い塊を操作していたと思われる眼鏡のエルフの方は、その場から全く動く事無くソルフゲイル軍を鎮圧していく。
一体どんな技を使っているのか?と目を皿の様にしてリテラはその技を見極めようとしていたが、全くと言っていい程に技の実態をつかむ事が出来なかった。
一方屈強な男の方は、背中に大剣を背負っているのだが剣を使おうとせず、腕力だけで襲い掛かってくる兵士を蹴散らしていく。
「あの彼はお初だな~。あの時セレスに話をもっと聞いておけばよかったよ。」
ニーア―ライルが、男の戦いっぷりを見ながら呟いた言葉に出てきた「セレス」と言う名に、リテラは全く聞き覚えが無かった。
ソルフゲイルの先遣隊が全員倒されるのに、そう時間はかからなかった。
ものの5分と言った感じだったかも知れない。
全員が完全に意識を失って倒れているのを確認すると、2人のうち男の方が持っていたと思われるロープで先遣隊を縛り上げ、近くの木に固定した。
「これでしばらくは目覚めないだろうし、何よりこの国の人が確保しやすいと思いますよ。」
男の方が眼鏡のエルフにそう言うと、
「助かるよ、グレアラシル君!私の細腕では、彼等を縛り上げるのは難しいからね。」
眼鏡のエルフは楽しげな笑みを浮かべながら、縛り上げた先遣隊に目を向けた。
「これからどーします?ソフィアの姐さん。」
屈強な男が眼鏡の、ソフィアと呼んだエルフに今後の行動確認を取ろうとする。
すると、
「とりあえず、そこの木の陰に隠れて私達の行動を一部始終見ていたニーアーライルに詳しい話を聞こうかしらね~?」
と言って、息をひそめていたリテラとニーア―ライルに向かって指さした。
「ひぇっ!」
不意に指をさされてリテラは、驚きのあまり変な声を出すと、
「おいおい、そんなに驚かなくてもなぁ~、俺達、取って食おうって訳じゃないんだけどな~。」
「まぁまぁ、見つからないと思って見ていた相手に急に指さされたりしたら、誰でも少しは驚くと思うよ。」
2人は、声を出した後尻もちをついたリテラに手を差し伸べた。
「それよりも、ニーア―ライル。この子に私たちの説明はしていなかったのかい?」
ソフィアステイルは、目の前で座り込んでいる銀狼族の少女に目をやりながら、旧知の仲の古い友人に声をかけた。
「参ったな~、本当。ソフィアとは何十年ぶり?に普通に話すんだよ?そんな急に誰かに説明なんて出来ないよ・・・。」
ニーア―ライルは、自分の名を呼ぶかつての仲間の声を聞くと、大粒の涙をこぼした。
そして、ソフィアと呼んだエルフに抱きついた。
「おやおや、疾風のニーアーライルともあろうお方が、部下の目の前でこんな醜態を晒して良いのかな?」
抱き付かれたソフィアステイルは、ニーア―ライルの長い耳ごと頭を、子供をなだめるように撫でていく。
すると、ようやくニーア―ライルも落ち着いたようで、ゆっくりとソフィアステイルから離れた・
この状況に目を白黒させているのがリテラで、あの勇敢で何事に関しても落ち着きを払っているニーア―ライルのこんな姿を目の当たりにしたのは初めてだったので、開いた口から言葉が出るのにしばらく時間がかかっていた。
「え・・・ええっと、一体これはどう言う・・・?」
急に状況が急転直下の如く変化したので、そんな状況下でも割と冷静さを保つのが得意なリテラでも、流石に少々混乱しそうになっていた。
「悪い、リテラ。全然説明していなかったけど彼等は私の昔の友人で、今回のソルフゲイル侵攻に立ち向かう強力な援軍だ!」
ニーア―ライルはリテラに、突然現れた2人をそう、紹介した。
周囲の者を一瞬で恐怖に陥れる魔界の外道魔法か?とも思えるその塊は地表に完全に降下すると、スっと表面に切れ込みが入って大きな口を開けた。
その口の中から出てきたのは、大きな丸眼鏡をして髪を緩く三つ編みにしているエルフの女性と、屈強な体格をした人間の男だった。
2人は着地点が世界樹の目の前だということを確認すると、眼鏡のエルフが乗ってきた黒い塊に手をかざした。
すると一瞬で空気の中に溶け、完全に見えなくなった。
この、予期せぬ珍客に一番驚いたのはリテラやニーア―ライルではなく、ニーア―ライルが警戒していたソルフゲイルの先遣隊で、彼等の行動の一部始終の確認を終えただろうと思われるタイミングで、一斉に2人に襲い掛かっていった。
2人のエルフの前に出てきたソルフゲイル軍の人数は約15人。
ニーア―ライルが想定していた人数よりも多かったので、
「意外と隠れてたな~?」
と、呑気に2人への襲撃の光景を観察している。
その様子を見ていたリテラは、
「助けに行かなくてイイの?!」
と小声でニーア―ライルに尋ねたが、
「今、行って我々に何が出来る?それよりも、この2人の戦闘をじっくり観察した方が面白いぞ。」
リテラの想像の斜め右下の返答が来たので、ニーア―ライルに対する信頼感が少し減少した気がした。
しかし、ニーア―ライルの言った通り、2人の珍客の戦闘は動きに無駄が無く、黒い塊を操作していたと思われる眼鏡のエルフの方は、その場から全く動く事無くソルフゲイル軍を鎮圧していく。
一体どんな技を使っているのか?と目を皿の様にしてリテラはその技を見極めようとしていたが、全くと言っていい程に技の実態をつかむ事が出来なかった。
一方屈強な男の方は、背中に大剣を背負っているのだが剣を使おうとせず、腕力だけで襲い掛かってくる兵士を蹴散らしていく。
「あの彼はお初だな~。あの時セレスに話をもっと聞いておけばよかったよ。」
ニーア―ライルが、男の戦いっぷりを見ながら呟いた言葉に出てきた「セレス」と言う名に、リテラは全く聞き覚えが無かった。
ソルフゲイルの先遣隊が全員倒されるのに、そう時間はかからなかった。
ものの5分と言った感じだったかも知れない。
全員が完全に意識を失って倒れているのを確認すると、2人のうち男の方が持っていたと思われるロープで先遣隊を縛り上げ、近くの木に固定した。
「これでしばらくは目覚めないだろうし、何よりこの国の人が確保しやすいと思いますよ。」
男の方が眼鏡のエルフにそう言うと、
「助かるよ、グレアラシル君!私の細腕では、彼等を縛り上げるのは難しいからね。」
眼鏡のエルフは楽しげな笑みを浮かべながら、縛り上げた先遣隊に目を向けた。
「これからどーします?ソフィアの姐さん。」
屈強な男が眼鏡の、ソフィアと呼んだエルフに今後の行動確認を取ろうとする。
すると、
「とりあえず、そこの木の陰に隠れて私達の行動を一部始終見ていたニーアーライルに詳しい話を聞こうかしらね~?」
と言って、息をひそめていたリテラとニーア―ライルに向かって指さした。
「ひぇっ!」
不意に指をさされてリテラは、驚きのあまり変な声を出すと、
「おいおい、そんなに驚かなくてもなぁ~、俺達、取って食おうって訳じゃないんだけどな~。」
「まぁまぁ、見つからないと思って見ていた相手に急に指さされたりしたら、誰でも少しは驚くと思うよ。」
2人は、声を出した後尻もちをついたリテラに手を差し伸べた。
「それよりも、ニーア―ライル。この子に私たちの説明はしていなかったのかい?」
ソフィアステイルは、目の前で座り込んでいる銀狼族の少女に目をやりながら、旧知の仲の古い友人に声をかけた。
「参ったな~、本当。ソフィアとは何十年ぶり?に普通に話すんだよ?そんな急に誰かに説明なんて出来ないよ・・・。」
ニーア―ライルは、自分の名を呼ぶかつての仲間の声を聞くと、大粒の涙をこぼした。
そして、ソフィアと呼んだエルフに抱きついた。
「おやおや、疾風のニーアーライルともあろうお方が、部下の目の前でこんな醜態を晒して良いのかな?」
抱き付かれたソフィアステイルは、ニーア―ライルの長い耳ごと頭を、子供をなだめるように撫でていく。
すると、ようやくニーア―ライルも落ち着いたようで、ゆっくりとソフィアステイルから離れた・
この状況に目を白黒させているのがリテラで、あの勇敢で何事に関しても落ち着きを払っているニーア―ライルのこんな姿を目の当たりにしたのは初めてだったので、開いた口から言葉が出るのにしばらく時間がかかっていた。
「え・・・ええっと、一体これはどう言う・・・?」
急に状況が急転直下の如く変化したので、そんな状況下でも割と冷静さを保つのが得意なリテラでも、流石に少々混乱しそうになっていた。
「悪い、リテラ。全然説明していなかったけど彼等は私の昔の友人で、今回のソルフゲイル侵攻に立ち向かう強力な援軍だ!」
ニーア―ライルはリテラに、突然現れた2人をそう、紹介した。
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