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第六章 ルキソミュフィア攻防
第112話 世界樹の守護竜
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え・・・・?
世界樹を守護する守護竜を狩る?
そんな事を考えた者は今まで居ただろうか?
この、蒼壁の大陸には4本の世界樹があって、そのうちの1本がルキソミュフィアにあるとされている。
ソルフゲイルでもその情報は確かなモノではなく、昔から4本あるかも知れない?程度のウロ覚えな事実でしか無かった。
しかし、世界樹は4本あってしかもそのうちの1本がルキソミュフィアにあると知れる様になったのはごく最近で、ルキソミュフィア侵攻の理由はもしかしたら世界樹の利権をめぐるものだとばかり思っていたのだ。
それが、世界樹の利権と言うのは隠れ蓑で、実際は世界樹を守護する竜を狩るのが目的だと言う。
「それって、正気の沙汰じゃない気がするんですが・・・」
アスレイは、恐る恐る本心をユリウスに呟いた。
それを聞いたユリウスは、
「オレも実際の所、御伽話か?と耳を疑ったさ。」
と言いながら首を横に振る。
「ただ、王にはどうも、守護竜を何とか出来る秘策がある様でなぁ~・・・・おっとこの先は、最重要機密だ。」
そう言って口をつぐんだ。
父を亡くしてからのユリウスは戦場の鬼の様だと言う話を聞いていたアスレイには、まだ昔の面影が残る気さくな性格を垣間見ることが出来て少し嬉しい気持ちになったが、ソルフゲイル王の画策について話す姿は、これからの戦況を楽しんでいる様にしか見えなかった。
世界樹を守護する竜を狩る。
ソルフゲイル王は一体、狩った竜で一体何をするつもりなのか・・・・?!
その答えは王にしか分からない。
御三家と崇められる一族の者だとしても、直系の長子でもない自分には何も知らされることなど無いのだと、アスレイは自分の身の上を呪った。
ただ、そんな事を考えている今現在も、進軍と侵攻は続いている。
アスレイは、あの銀狼族の少女の屍を拾う様な事にはなりたくないと、心の中で願うしか無かった。
ナタリアの報告に愕然とするルキソミュフィアの評議会だったが、絶望している時間などある筈も無く、副首領は下げた顔をすぐに上げて会場に詰めていた兵士に指示を出し始めた。
まずはルキソミュフィアのソルフゲイル側の入り口を固めたり、武器の配置も急がせた。
とりあえず、ソルフゲイル側が黒龍族を使って飛来してきたとしても、1日近くの時間を要さなければならない距離がある事だけが救いだった。
しかし相手の出方が明確に掴めていない以上、一体どこを重点的に防衛するべきかの要点が分からないのが難点だった。
どの地域を重点的に攻めてくるのか?
何を狙ってソルフゲイルは侵攻して来るのか?
もしかしてまた銀狼族を根こそぎ奪いに来るのか?
可能性を考えるだけで、いくつも予想が上がってくる事に周囲の者達はいら立ちを募らせて行った。
リテラとナタリアも、
「お前達も防衛任務に就いてもらうぞ。まず氷風の谷のリテラ、お前はこれから来るニーア―ライルとともに氷風の谷に向かえ。氷風の谷の世界樹の守護竜を守るのだ。」
副首領から直々に命を下されたリテラは、その場でひざまづき短い返事をした。
ニーア―ライルが帰還?と言っていた言葉通り、顔を上げると目の前にニーア―ライルが立っていた。
「ニーア―ライル!!」
リテラが名を呼ぶと、
「遅くなった!悪い悪い。でも急ぐよ。ナタリアは戦力的に強いから、ルキソの元老院前の広場で待ち伏せしてると良いかもね。」
リテラの隣で立ち尽くしていたナタリアに、ナタリア所属の分隊長よりも早く指示をした。
「ニーア―ライル!それはワシが出そうと思ってた指示だぞ・・・!」
背後の扉から慌てて入ってきた分隊長が、残念そうに肩を落としているのを見たリテラは、
「仕方がないですよ、ニーア―ライルの方が上官なんですから!」
と言って慰めた。
「それよりも、副首領!」
リテラと共に氷風の谷へ向かうため、その肩に手を置いたニーア―ライルは不意に副首領に声をかける。
「何だ!言ってみろ。」
副首領は簡潔に返事を求めた。
「ソルフゲイルの目的は、氷風の谷の世界樹の守護竜です!古竜の血を何かの実験に使いたい様です!」
ニーア―ライルは、諜報活動の中で知りえた情報を副首領に伝えた。
副首領は、
「氷風の谷には屈強な戦力をかなり回してある。彼等と共に守護竜カティスフィル様をお守りするのだ。」
とニーア―ライルに言い残すと、多くの軍人が集まっている詰め所に向かっていった。
「御意。」
ニーア―ライルは軽く会釈程度に首を垂れると、すぐさまリテラに向き合った。
「って言う訳なので、行くよ!」
リテラが返事をする間も無く、2人の身体は空気に溶けた。
その場には、ナタリアだけがポツンと残された。
瞬きの間に氷風の谷に着いたリテラ達だったが、いつもの様に氷風の谷の詰め所前では無く、世界樹の期の目の前に着地したことに驚きを隠せないでいた。
「ニーア―ライル、どうしたの?いつもとは違う場所・・・」
リテラがニーア―ライルに問いかけると、「シッ!」と言葉を制止され、
「リテラ、静かに。林の向こうにソルフゲイルの先遣隊が来てるんだ・・・」
と、最大限の警戒を促した。
「え?もう・・・?」
リテラがアワアワとしながら身体を震わせると、
「大丈夫、もうすぐ援軍が来る。」
と、リテラの耳に囁いた。
「援軍?」
それって一体誰?
リテラがニーア―ライルに問いかけようした時、目の前に大きな黒い塊が現れた。
それはまるで、ニーア―ライルの疾風の技を使った時の様に、突然空気の中から現れたのだった。
世界樹を守護する守護竜を狩る?
そんな事を考えた者は今まで居ただろうか?
この、蒼壁の大陸には4本の世界樹があって、そのうちの1本がルキソミュフィアにあるとされている。
ソルフゲイルでもその情報は確かなモノではなく、昔から4本あるかも知れない?程度のウロ覚えな事実でしか無かった。
しかし、世界樹は4本あってしかもそのうちの1本がルキソミュフィアにあると知れる様になったのはごく最近で、ルキソミュフィア侵攻の理由はもしかしたら世界樹の利権をめぐるものだとばかり思っていたのだ。
それが、世界樹の利権と言うのは隠れ蓑で、実際は世界樹を守護する竜を狩るのが目的だと言う。
「それって、正気の沙汰じゃない気がするんですが・・・」
アスレイは、恐る恐る本心をユリウスに呟いた。
それを聞いたユリウスは、
「オレも実際の所、御伽話か?と耳を疑ったさ。」
と言いながら首を横に振る。
「ただ、王にはどうも、守護竜を何とか出来る秘策がある様でなぁ~・・・・おっとこの先は、最重要機密だ。」
そう言って口をつぐんだ。
父を亡くしてからのユリウスは戦場の鬼の様だと言う話を聞いていたアスレイには、まだ昔の面影が残る気さくな性格を垣間見ることが出来て少し嬉しい気持ちになったが、ソルフゲイル王の画策について話す姿は、これからの戦況を楽しんでいる様にしか見えなかった。
世界樹を守護する竜を狩る。
ソルフゲイル王は一体、狩った竜で一体何をするつもりなのか・・・・?!
その答えは王にしか分からない。
御三家と崇められる一族の者だとしても、直系の長子でもない自分には何も知らされることなど無いのだと、アスレイは自分の身の上を呪った。
ただ、そんな事を考えている今現在も、進軍と侵攻は続いている。
アスレイは、あの銀狼族の少女の屍を拾う様な事にはなりたくないと、心の中で願うしか無かった。
ナタリアの報告に愕然とするルキソミュフィアの評議会だったが、絶望している時間などある筈も無く、副首領は下げた顔をすぐに上げて会場に詰めていた兵士に指示を出し始めた。
まずはルキソミュフィアのソルフゲイル側の入り口を固めたり、武器の配置も急がせた。
とりあえず、ソルフゲイル側が黒龍族を使って飛来してきたとしても、1日近くの時間を要さなければならない距離がある事だけが救いだった。
しかし相手の出方が明確に掴めていない以上、一体どこを重点的に防衛するべきかの要点が分からないのが難点だった。
どの地域を重点的に攻めてくるのか?
何を狙ってソルフゲイルは侵攻して来るのか?
もしかしてまた銀狼族を根こそぎ奪いに来るのか?
可能性を考えるだけで、いくつも予想が上がってくる事に周囲の者達はいら立ちを募らせて行った。
リテラとナタリアも、
「お前達も防衛任務に就いてもらうぞ。まず氷風の谷のリテラ、お前はこれから来るニーア―ライルとともに氷風の谷に向かえ。氷風の谷の世界樹の守護竜を守るのだ。」
副首領から直々に命を下されたリテラは、その場でひざまづき短い返事をした。
ニーア―ライルが帰還?と言っていた言葉通り、顔を上げると目の前にニーア―ライルが立っていた。
「ニーア―ライル!!」
リテラが名を呼ぶと、
「遅くなった!悪い悪い。でも急ぐよ。ナタリアは戦力的に強いから、ルキソの元老院前の広場で待ち伏せしてると良いかもね。」
リテラの隣で立ち尽くしていたナタリアに、ナタリア所属の分隊長よりも早く指示をした。
「ニーア―ライル!それはワシが出そうと思ってた指示だぞ・・・!」
背後の扉から慌てて入ってきた分隊長が、残念そうに肩を落としているのを見たリテラは、
「仕方がないですよ、ニーア―ライルの方が上官なんですから!」
と言って慰めた。
「それよりも、副首領!」
リテラと共に氷風の谷へ向かうため、その肩に手を置いたニーア―ライルは不意に副首領に声をかける。
「何だ!言ってみろ。」
副首領は簡潔に返事を求めた。
「ソルフゲイルの目的は、氷風の谷の世界樹の守護竜です!古竜の血を何かの実験に使いたい様です!」
ニーア―ライルは、諜報活動の中で知りえた情報を副首領に伝えた。
副首領は、
「氷風の谷には屈強な戦力をかなり回してある。彼等と共に守護竜カティスフィル様をお守りするのだ。」
とニーア―ライルに言い残すと、多くの軍人が集まっている詰め所に向かっていった。
「御意。」
ニーア―ライルは軽く会釈程度に首を垂れると、すぐさまリテラに向き合った。
「って言う訳なので、行くよ!」
リテラが返事をする間も無く、2人の身体は空気に溶けた。
その場には、ナタリアだけがポツンと残された。
瞬きの間に氷風の谷に着いたリテラ達だったが、いつもの様に氷風の谷の詰め所前では無く、世界樹の期の目の前に着地したことに驚きを隠せないでいた。
「ニーア―ライル、どうしたの?いつもとは違う場所・・・」
リテラがニーア―ライルに問いかけると、「シッ!」と言葉を制止され、
「リテラ、静かに。林の向こうにソルフゲイルの先遣隊が来てるんだ・・・」
と、最大限の警戒を促した。
「え?もう・・・?」
リテラがアワアワとしながら身体を震わせると、
「大丈夫、もうすぐ援軍が来る。」
と、リテラの耳に囁いた。
「援軍?」
それって一体誰?
リテラがニーア―ライルに問いかけようした時、目の前に大きな黒い塊が現れた。
それはまるで、ニーア―ライルの疾風の技を使った時の様に、突然空気の中から現れたのだった。
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