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第六章 ルキソミュフィア攻防
第107話 ルキソの街
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ニーア―ライルには、この大陸・・・と言うかこの世界でも数人しか使えない技を持っていた。
その技の名前は「疾風」と言うのだが、一度行ったことのある場所にマーキングの魔法を設置しておくだけで、遠くの村や町や国はもちろんの事、遠くの大陸からでもその場所に一瞬で行けると言う物凄い御業なのだ。
この技の事を知る者は銀狼族の仲間内だけと言うか、ルキソミュフィアに住む銀狼族しか知らない筈なので、ソルフゲイルは未だ知らぬ道の技と言う事は確かだと、リテラは思っていた。
ニーアーライルに頭をワシャワシャされた後ちょっとボンヤリ考え事をしていたリテラに、ニーアーライルが声をかける。
「ところでリテラ、ルキソに帰るんだろ?疾風の術で今すぐ帰る?」
「うん、帰る。」
「じゃ、私の手を取って!行くよ!!」
ニーアーライルが意識下で術を発動させるとリテラの身体がフっと宙に浮き、瞬きの合間にその場から消えた~様に見えるそうだ。
前に、他の誰かがニーアーライルと移動した時にリテラが見た光景がそれだったからだ。
一瞬で・・・・・
徒歩だと5日かかる距離をリテラとニーアーライルは、瞬きする間位の時間でルキソミュフィアに移動する。
ほんの、瞬きの間に2人は、ルキソミュフィアの地に着いた。
リテラはそっと目を開けると、ルキソの街の入り口に着いていた。
「リテラの他にはナタリアとヘイゼルを運んだけど、他は捕まってしまったのかな~」
ニーアーライルが力なく話した。
「ナタリアは無事だったんだ。」
リテラがそう言うとニーアーライルは、
「そういやリテラとナタリアは仲良しさんだったな~」
と言って、今までちょっと強張っていた顔を緩ませた。
実はナタリアは銀狼族では無く元黒竜族の少女で、ルキソミュフィアの炎帝と呼ばれるほどの炎の魔術に長けた魔導士だ。
どうも黒竜族と言う種族は、角か羽根を失うと竜の姿に戻れなくなってしまう様で、今回の戦役以外の戦闘で傷付いた穀粒族の多くが竜に変幻出来なくなり、友軍に見捨てられてルキソミュフィアに捕虜になると言う事案が多数発生していた。
その中で、幼くして捕虜になりルキソミュフィアで教育を受けたナタリアは、今やルキソミュフィア軍の貴重な大型戦力になっていたのだった。
今回の戦役で、リテラが配属されていたセクトシュルツとは別の地域にナタリアは派遣されていたのだが、ニーアーライルがルキソに連れ帰ったと言うのなら無事なんだろう。
リテラがナタリア無事と言う言葉で喜んでいると、ニーアーライルはまた疾風を発動させようとしていた。
「もう行っちゃうの?」
「実はソルフゲイルで何か不穏な動きがあるって仲間から連絡があってな、それを確認しに行かなければならんのよ。」
と言って、苦笑いした。
流石と言うか彼女にしか出来ないと言うか、リテラは何か手伝いたい気持ちになったが、今のリテラには出来る事は何も無かった。
「気を付けて」
「うん、長老には謝っておいてくれると助かる」
そう言ってまた、瞬きの間に消えた。
また彼女に会える日はいつになるか分からないが、今度会った時はゆっくり食事でもしようとリテラ思った。
ルキソミュフィアはかつて、ルキソミアという国名だった。
今から200年ほど前に今のルキソミュフィアと言う名前になったらしい。
首都はルキソと言う名なので、ルキソミュフィアの国民は自国の名をそのままルキソと呼ぶ事が多い様だ。
ルキソに住む人々の数は20万人程度で近隣の国に比べるとかなり少ない人口だが、活気があって笑顔の溢れる街だと近隣諸国から訪れる観光客や行商人には割と人気の街と認識されているらしいので、気になった人は一度遊びに行ってみると良いかも知れない。
ルキソの国民のうち、実は半数近くが人間ではない種族で構成されている事は、ルキソの国民士官知らない事案だったりする。
リテラの様な銀狼族を始め、エルフやドワーフと言った妖精族も多いし、メルヴィ人や獣人なども多くルキソミュフィアに住んでいた。
その理由は、農耕国家と言う国の在り方が多種族の協力を必要としている~と言うのもあるのと、人間至高主義の国から逃げてきた種族が集まっていると言う理由が存在している。
まず農耕の方の説明だが、農耕をする上で必要な土の情報や種の仕入れ、新しい作物の開発や天候の操作などはドワーフやエルフたちの協力が無ければ成すことが出来ないしそれに、彼らにも安定した居場所を提供することが出来ているので、持ちつ持たれつと言う関係が築かれているのは確かだった。
銀狼族もかつてはルキソに保護されたことにより、滅びを迎えようとしていた種族がまた活性化して行ったと言う記録が残されている。
何百年も前の話だが、かつて銀狼族は天敵に襲われて種族の半数以上が滅ぼされたと言う記録があるのだ。
100年前のソルフゲイルの大量拉致事件よりもさらに酷い事をされたらしい。
銀狼族には他の種族には無い特殊な能力を保持している者が多い為、色々な国から研究材料として狙われ続けていた。
リテラは、戦役に配属されて以降久し振りに歩くルキソの街を歩いたが、それ以前と同じ様に全く変わっていない光景に安堵していた。
ソルフゲイル戦役では敗退を期したと言うのに、旅立つ前と変わらない雰囲気を保っていた。
ルキソの街は、入り口からはしばらく真っすぐな何も無い道を進んだ後、200年前にルキソミュフィアになった記念に建てられたと言う石門をくぐると街らしい街の風景に変わる。
中心には大きな噴水のある広場があるのだが、そこは街に住む人々の憩いの場になっていた。
リテラは、その噴水広場を横目で見ながら中央にある大きな建物に向かった。
その建物は、周囲の街並みを形成している建物に比べると圧倒的に高く、最上階を見上げるには頭が背中に付きそうなほどに首を反らさなければならない程だった。
その建物こそ、ルキソミュフィアの中枢である元老院のある建物だった。
その技の名前は「疾風」と言うのだが、一度行ったことのある場所にマーキングの魔法を設置しておくだけで、遠くの村や町や国はもちろんの事、遠くの大陸からでもその場所に一瞬で行けると言う物凄い御業なのだ。
この技の事を知る者は銀狼族の仲間内だけと言うか、ルキソミュフィアに住む銀狼族しか知らない筈なので、ソルフゲイルは未だ知らぬ道の技と言う事は確かだと、リテラは思っていた。
ニーアーライルに頭をワシャワシャされた後ちょっとボンヤリ考え事をしていたリテラに、ニーアーライルが声をかける。
「ところでリテラ、ルキソに帰るんだろ?疾風の術で今すぐ帰る?」
「うん、帰る。」
「じゃ、私の手を取って!行くよ!!」
ニーアーライルが意識下で術を発動させるとリテラの身体がフっと宙に浮き、瞬きの合間にその場から消えた~様に見えるそうだ。
前に、他の誰かがニーアーライルと移動した時にリテラが見た光景がそれだったからだ。
一瞬で・・・・・
徒歩だと5日かかる距離をリテラとニーアーライルは、瞬きする間位の時間でルキソミュフィアに移動する。
ほんの、瞬きの間に2人は、ルキソミュフィアの地に着いた。
リテラはそっと目を開けると、ルキソの街の入り口に着いていた。
「リテラの他にはナタリアとヘイゼルを運んだけど、他は捕まってしまったのかな~」
ニーアーライルが力なく話した。
「ナタリアは無事だったんだ。」
リテラがそう言うとニーアーライルは、
「そういやリテラとナタリアは仲良しさんだったな~」
と言って、今までちょっと強張っていた顔を緩ませた。
実はナタリアは銀狼族では無く元黒竜族の少女で、ルキソミュフィアの炎帝と呼ばれるほどの炎の魔術に長けた魔導士だ。
どうも黒竜族と言う種族は、角か羽根を失うと竜の姿に戻れなくなってしまう様で、今回の戦役以外の戦闘で傷付いた穀粒族の多くが竜に変幻出来なくなり、友軍に見捨てられてルキソミュフィアに捕虜になると言う事案が多数発生していた。
その中で、幼くして捕虜になりルキソミュフィアで教育を受けたナタリアは、今やルキソミュフィア軍の貴重な大型戦力になっていたのだった。
今回の戦役で、リテラが配属されていたセクトシュルツとは別の地域にナタリアは派遣されていたのだが、ニーアーライルがルキソに連れ帰ったと言うのなら無事なんだろう。
リテラがナタリア無事と言う言葉で喜んでいると、ニーアーライルはまた疾風を発動させようとしていた。
「もう行っちゃうの?」
「実はソルフゲイルで何か不穏な動きがあるって仲間から連絡があってな、それを確認しに行かなければならんのよ。」
と言って、苦笑いした。
流石と言うか彼女にしか出来ないと言うか、リテラは何か手伝いたい気持ちになったが、今のリテラには出来る事は何も無かった。
「気を付けて」
「うん、長老には謝っておいてくれると助かる」
そう言ってまた、瞬きの間に消えた。
また彼女に会える日はいつになるか分からないが、今度会った時はゆっくり食事でもしようとリテラ思った。
ルキソミュフィアはかつて、ルキソミアという国名だった。
今から200年ほど前に今のルキソミュフィアと言う名前になったらしい。
首都はルキソと言う名なので、ルキソミュフィアの国民は自国の名をそのままルキソと呼ぶ事が多い様だ。
ルキソに住む人々の数は20万人程度で近隣の国に比べるとかなり少ない人口だが、活気があって笑顔の溢れる街だと近隣諸国から訪れる観光客や行商人には割と人気の街と認識されているらしいので、気になった人は一度遊びに行ってみると良いかも知れない。
ルキソの国民のうち、実は半数近くが人間ではない種族で構成されている事は、ルキソの国民士官知らない事案だったりする。
リテラの様な銀狼族を始め、エルフやドワーフと言った妖精族も多いし、メルヴィ人や獣人なども多くルキソミュフィアに住んでいた。
その理由は、農耕国家と言う国の在り方が多種族の協力を必要としている~と言うのもあるのと、人間至高主義の国から逃げてきた種族が集まっていると言う理由が存在している。
まず農耕の方の説明だが、農耕をする上で必要な土の情報や種の仕入れ、新しい作物の開発や天候の操作などはドワーフやエルフたちの協力が無ければ成すことが出来ないしそれに、彼らにも安定した居場所を提供することが出来ているので、持ちつ持たれつと言う関係が築かれているのは確かだった。
銀狼族もかつてはルキソに保護されたことにより、滅びを迎えようとしていた種族がまた活性化して行ったと言う記録が残されている。
何百年も前の話だが、かつて銀狼族は天敵に襲われて種族の半数以上が滅ぼされたと言う記録があるのだ。
100年前のソルフゲイルの大量拉致事件よりもさらに酷い事をされたらしい。
銀狼族には他の種族には無い特殊な能力を保持している者が多い為、色々な国から研究材料として狙われ続けていた。
リテラは、戦役に配属されて以降久し振りに歩くルキソの街を歩いたが、それ以前と同じ様に全く変わっていない光景に安堵していた。
ソルフゲイル戦役では敗退を期したと言うのに、旅立つ前と変わらない雰囲気を保っていた。
ルキソの街は、入り口からはしばらく真っすぐな何も無い道を進んだ後、200年前にルキソミュフィアになった記念に建てられたと言う石門をくぐると街らしい街の風景に変わる。
中心には大きな噴水のある広場があるのだが、そこは街に住む人々の憩いの場になっていた。
リテラは、その噴水広場を横目で見ながら中央にある大きな建物に向かった。
その建物は、周囲の街並みを形成している建物に比べると圧倒的に高く、最上階を見上げるには頭が背中に付きそうなほどに首を反らさなければならない程だった。
その建物こそ、ルキソミュフィアの中枢である元老院のある建物だった。
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