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第五章 ルキソミュフィア救援
第95話 疾風の双子
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大司書は、セレスの畳みかける様な言葉の応酬に若干ひるんでいたが、その誠意と信念と決意を受け止め、ようやく動き出す決心がついた様だった。
「確かに・・・ここでワシが諦めたら、今度こそ銀狼族は滅んでしまうじゃろうな。」
うんうんと頷きながら大司書は、セレスの斜め後方に立つソラ・ルデ・ビアスの顔をチラりと見た。
「ジィさん、時間が無いんだ。今すぐ赤の孤島に行く事は出来るか?それとも前もって何らかの準備が必要なら、何でもアタシらに言ってくれ!」
セレスは決意した大司書に、赤の孤島早く行きたい旨を伝えると、
「まぁ待て、疾風の技を使うのは容易いが、銀狼族では無いお前さん達にコレを渡さねば、共に赤の孤島へ移動する事は叶わぬぞ。」
言いながら大司書は、自身の耳の周辺に生えている毛を、ソラ・ルデ・ビアス以外の人数分抜き取った。
「銀狼族だけなら運ぶのは簡単じゃが、それ以外の者達には銀狼族との関わりの証として銀狼族の毛が必要なのじゃ。」
大司書は抜き取った毛を、周囲の面々に1本ずつ渡しながら説明した。
「疾風の技はのぅ、確かに強力な技で一瞬で行った事のある遠くに行く事が出来るがの、流石にニーアーライルとライルとワシの3人だけでは、ルキソミュフィアの銀狼族全員を運ぶことは叶わんじゃろう・・・・」
毛を渡し終わった後、ちょっと残念そうにため息をついたが、
「な~に、疾風の技を使える者はこの世には5人居ってな、しかもそのうち3人がこの天空大図書館に集まっておる。」
と言って、今度は満面とも言える笑みを見せた。
「え?3人ですか?他の人は一体・・・・」
誰?と聞こうとしたセレスの言葉を遮るように、セレス達が入った扉とは反対方向の扉の方から、見知らぬ者の声がした。
「大司書、参上いたしました。」
そう言って現れたのは、まだ年端も行かぬ(と言っても見た目は10代後半か20代前半の人間の様な雰囲気)若い銀狼族の男女だった。
「お久しぶりです、大司書様。この、ラテルナとサファルが、ルキソミュフィアの銀狼族全員を赤の孤島に移動するお手伝いをさせていただきますよ!」
簡単な自己紹介をした2人のうちラテルナとおぼしき人物が、全速力で大司書に向かって走り、そして抱き着いた。
「おじいちゃ~~ん!めちゃ会いたかったです!!お元気そうで何よりです!!」
大司書に抱き着いた銀狼族の娘ラテルナは、まるで本当の祖父に対する様に大司書に自然に接していたので、周囲に居た書架のメンバーは、一瞬の出来事に衝撃を受けて立ち尽くしていた。
「ラテルナ!お客人の目の前で失礼な事をするな!ああ!ソラ殿!お久しぶりです!先日は魔法演習にお付き合いいただき、ありがとうございました!」
今度は、サファルとおぼしき人物がラテルナを制しながら、ソラ・ルデ・ビアスに話しかけてきた。
どうもサファルとソラ・ルデ・ビアスは、かなり以前からの知り合いの様で、先日~のくだりを見るに頻繁に色々と付き合いもある様だった。
急激な状況変化について行けていないセレス一行は、ラテルナに抱き着かれて焦っている大司書の事はスルーして、とりあえず今一番話が出来そうなサファルに説明を求める事にした。
「え、ええー、サファルさん?ですよね?今この場で起きている状況について、少々説明して頂けるとありがたいんですが?」
セレスは、ソラ・ルデ・ビアスににこやかな笑顔を向けていたサファルに声をかけた。
声をかけられらサファルは、ソラ・ルデ・ビアスと同じ燃える様な赤い髪で緑の瞳のセレスを目にすると、急に緊張した面持ちになりながら、今のこの状況を説明し始めた。
「改めまして、僕の名はサファル妹はラテルナと言い、僕らは俗に言う双子で、そこで困っている天空図書館の大司書の孫に当たります。なので、苗字も同じストラスファです。ストラスファ兄妹とでも呼んでいただけると良いかと。」
言い終わると、セレスに深く頭を下げた。
そして、
「先程、僕らが赤の孤島に行くお手伝いをさせていただくと言った事ですが、実は僕らも銀狼族の中で疾風の技を使える者のうちの2人なのです。」
と今度は、爽やかそうな感じの笑みをセレスに向けた。
さっき、チラりと大司書が言っていた言葉を少々疑っていたセレスだったが、当の本人達から申告された事により、疾風の技を持つ銀狼族がここに3人も集結している事は間違い無さそうだった。
「本当か・・・それなら、早く赤の孤島に行って、まず小屋が使用できるのかどうかの確認をしよう!」
セレスがサファルに、先程大司書に言った事と同じ事を言うと、
「もちろん、我々もその為にここに参上したのですから。」
サファルはそう言いながら、祖父にへばりついている妹を引きはがした。
「ちょっと~!ナニするんですの!可愛い孫と祖父との邂逅を邪魔する気ですの!?」
ラテルナはかなり機嫌を損ねながら渋々大司書から離れると、改めてセレス達の前に向き直って、
「ワタクシはラテルナよ!この、天空大図書館の大司書クエル・ストラスファの孫にして、世界でも5人しか居ない疾風の技を使える銀狼族の一人ですわ!」
と、かなりツッコミどころ満載気味な自己紹介をした。
「確かに・・・ここでワシが諦めたら、今度こそ銀狼族は滅んでしまうじゃろうな。」
うんうんと頷きながら大司書は、セレスの斜め後方に立つソラ・ルデ・ビアスの顔をチラりと見た。
「ジィさん、時間が無いんだ。今すぐ赤の孤島に行く事は出来るか?それとも前もって何らかの準備が必要なら、何でもアタシらに言ってくれ!」
セレスは決意した大司書に、赤の孤島早く行きたい旨を伝えると、
「まぁ待て、疾風の技を使うのは容易いが、銀狼族では無いお前さん達にコレを渡さねば、共に赤の孤島へ移動する事は叶わぬぞ。」
言いながら大司書は、自身の耳の周辺に生えている毛を、ソラ・ルデ・ビアス以外の人数分抜き取った。
「銀狼族だけなら運ぶのは簡単じゃが、それ以外の者達には銀狼族との関わりの証として銀狼族の毛が必要なのじゃ。」
大司書は抜き取った毛を、周囲の面々に1本ずつ渡しながら説明した。
「疾風の技はのぅ、確かに強力な技で一瞬で行った事のある遠くに行く事が出来るがの、流石にニーアーライルとライルとワシの3人だけでは、ルキソミュフィアの銀狼族全員を運ぶことは叶わんじゃろう・・・・」
毛を渡し終わった後、ちょっと残念そうにため息をついたが、
「な~に、疾風の技を使える者はこの世には5人居ってな、しかもそのうち3人がこの天空大図書館に集まっておる。」
と言って、今度は満面とも言える笑みを見せた。
「え?3人ですか?他の人は一体・・・・」
誰?と聞こうとしたセレスの言葉を遮るように、セレス達が入った扉とは反対方向の扉の方から、見知らぬ者の声がした。
「大司書、参上いたしました。」
そう言って現れたのは、まだ年端も行かぬ(と言っても見た目は10代後半か20代前半の人間の様な雰囲気)若い銀狼族の男女だった。
「お久しぶりです、大司書様。この、ラテルナとサファルが、ルキソミュフィアの銀狼族全員を赤の孤島に移動するお手伝いをさせていただきますよ!」
簡単な自己紹介をした2人のうちラテルナとおぼしき人物が、全速力で大司書に向かって走り、そして抱き着いた。
「おじいちゃ~~ん!めちゃ会いたかったです!!お元気そうで何よりです!!」
大司書に抱き着いた銀狼族の娘ラテルナは、まるで本当の祖父に対する様に大司書に自然に接していたので、周囲に居た書架のメンバーは、一瞬の出来事に衝撃を受けて立ち尽くしていた。
「ラテルナ!お客人の目の前で失礼な事をするな!ああ!ソラ殿!お久しぶりです!先日は魔法演習にお付き合いいただき、ありがとうございました!」
今度は、サファルとおぼしき人物がラテルナを制しながら、ソラ・ルデ・ビアスに話しかけてきた。
どうもサファルとソラ・ルデ・ビアスは、かなり以前からの知り合いの様で、先日~のくだりを見るに頻繁に色々と付き合いもある様だった。
急激な状況変化について行けていないセレス一行は、ラテルナに抱き着かれて焦っている大司書の事はスルーして、とりあえず今一番話が出来そうなサファルに説明を求める事にした。
「え、ええー、サファルさん?ですよね?今この場で起きている状況について、少々説明して頂けるとありがたいんですが?」
セレスは、ソラ・ルデ・ビアスににこやかな笑顔を向けていたサファルに声をかけた。
声をかけられらサファルは、ソラ・ルデ・ビアスと同じ燃える様な赤い髪で緑の瞳のセレスを目にすると、急に緊張した面持ちになりながら、今のこの状況を説明し始めた。
「改めまして、僕の名はサファル妹はラテルナと言い、僕らは俗に言う双子で、そこで困っている天空図書館の大司書の孫に当たります。なので、苗字も同じストラスファです。ストラスファ兄妹とでも呼んでいただけると良いかと。」
言い終わると、セレスに深く頭を下げた。
そして、
「先程、僕らが赤の孤島に行くお手伝いをさせていただくと言った事ですが、実は僕らも銀狼族の中で疾風の技を使える者のうちの2人なのです。」
と今度は、爽やかそうな感じの笑みをセレスに向けた。
さっき、チラりと大司書が言っていた言葉を少々疑っていたセレスだったが、当の本人達から申告された事により、疾風の技を持つ銀狼族がここに3人も集結している事は間違い無さそうだった。
「本当か・・・それなら、早く赤の孤島に行って、まず小屋が使用できるのかどうかの確認をしよう!」
セレスがサファルに、先程大司書に言った事と同じ事を言うと、
「もちろん、我々もその為にここに参上したのですから。」
サファルはそう言いながら、祖父にへばりついている妹を引きはがした。
「ちょっと~!ナニするんですの!可愛い孫と祖父との邂逅を邪魔する気ですの!?」
ラテルナはかなり機嫌を損ねながら渋々大司書から離れると、改めてセレス達の前に向き直って、
「ワタクシはラテルナよ!この、天空大図書館の大司書クエル・ストラスファの孫にして、世界でも5人しか居ない疾風の技を使える銀狼族の一人ですわ!」
と、かなりツッコミどころ満載気味な自己紹介をした。
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