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第五章 ルキソミュフィア救援
第91話 迷宮?天空図書館
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にこやかに微笑む老人が地震の素性を明かしたことに、コレットはあまり驚かなかった。
前もって知識を得ていたお陰だなのかも知れない。
それよりも、クエル・ストラスファが言った「神界はもう無い」的なニュアンスの言葉が、コレットの心の中に突き刺さって離れなかった。
「どうして、神界には行けないのでしょう?」
コレットは、クエル・ストラスファに恐る恐る尋ねる。
すると、
「ううむ・・・今から約100年程前にの、神界は突如として滅んだのじゃ、ワシにはそれ位しか分からんで、申し訳無い。」
そう言ってこの大図書館の大司書は、かつて神界のあった空に目を向けた。
100年前に突然滅んだ・・・・
コレットにとっては、故郷とも言えるかも知れない世界が今既に存在していないと言う事実に、本来ならば打ちのめされてしまいそうになっていてもおかしく無かったが、コレット自身も予想外にあまり心的ダメージが無い事に驚いていた。
もしかすると、コレットは今までの人生(神生)の大半を人界や赤の孤島の小屋で過ごして来たからではないか?と、これまでの半生を振り返ってみる。
確かに、思い返してみるとあまり神界に対して強く残っている記憶は無い様で、今までずっと忘れていた記憶を思い出してきていても、神界が無くなった事で望郷の念を抱いたりしていない自身を、少し不思議に思う程だった。
何か考え込む様にうつむいている目の前の少女に、杖に支えてもらいながら歩み寄る大司書は、
「故郷が無くなると言う事は、その地に辛くて悲しい記憶しか無かったとしても、身体の方では片割れの様な半身の様な存在が失われてしまった状態になるのでな。心を少し休ませてみると良いじゃろう。」
そう言って、目を細めた。
そして、
「ワシの口がついスルっと滑ってしまって申し訳んかったのう。じゃがの、事実は曲げられぬ。急な告知であったが、受け止められよ。」
と、少し強い口調で言った。
その言葉にコレットは、
「お心遣い、ありがとうございます!実は私、意外とと言うか全然神界に対して望郷の念とか思い残した事?とかを感じてなくて。むしろ、ああ~無くなっちゃったんだ!みたいな、ちょっと何か特に特別でも何でもないモノを無くした感じなので、気にしないでください!」
言いながら、腕をグルグル回して元気なポーズをして見せた。
大司書は、その行動に少しポカンとした様な表情を見せたが、すぐに穏やかな表情に戻った。
「あ、そう言えば私自己紹介がまだでした。名前はコレットです。本当の名前はアリ・エルシアと言うそうですが、私にはコレットの方が合ってる気がします。」
満面の笑みを湛えながら、コレットはこれからの自分を生きて行く決意をしていた。
故郷であった神界は既に無く、世話になっていた家も家族も失ってしまってほぼ天涯孤独の身の上になってしまったけれども、今はあの書架に集まっているメンバーと楽しくやっているから大丈夫だろうと、コレットは思う事にした。
扉を一緒に開けて前につんのめった所まではコレットと一緒だった筈のミカゲは、その直後から天空図書館の一部ガラスの天井に目が行ってしまい、フラフラと書棚の間を歩いていた。
「赤い月と青い星が同時に見えるだち~!凄いんだち~」
と言いながら、どんどん誰も歩みを進めていない書棚の方に進んで行く。
上ばかり見て進んでいると、突然目の前に立ちはだかった壁にそのまま正面からミカゲはぶつかってしまった。
ボスン!
意外と結構派手な音を立ててぶつかったので、たまたま近くに居たソフィアステイルに目撃される。
「ちょっとミカゲ!何オッサンに正面からぶつかってるの?オッサンも驚いて泣きそうになってるんだけど!」
物凄く大笑いして涙目になりながらソフィアステイルは、ミカゲの現在の状況を教えた。
「わわ!大丈夫だちか!ソラ!!」
どうも不意の状況下では、ミカゲの本来の質量がぶつかる対象にモロ?に伝わってしまうようで、巨躯の中年オヤジの身体でも、流石の氷炎竜の質量はかなり堪えた様だったが。
「いや~いやいやいやいや、久しぶりにミカゲの質量喰らっちゃったよ!驚いたけどちょっとした修行になったよね!ハハハハ・・・・」
どう見ても、誰が見てもカラ元気な状態を見せながら、ソラ・ルデ・ビアスはミカゲがぶつかって来た自分の腹のあたりを少しさすっていた。
「そうそう!オッサンも大丈夫だって言ってるし、ミカゲはあんまり心配しないの!」
ソフィアステイルがミカゲの頭をモシャモシャ撫でながら元気づけた。
元気づけながら、こっそりソラ・ルデ・ビアスの耳元では、
「で、実際問題どうなの?ダメージどれ位なの?」
と、聞いていたのをミカゲは知らない、多分。
その頃グレアラシルは、謎のおどろおどろしい~雰囲気のする書棚の森に迷い込んでいた。
どう見ても、誰が見ても魔法初心者のグレアラシルが見ても、そこは禁書魔導書専用の書棚だと言う事だけは分かって来ていた。
禁書魔導書は、本を書棚から抜き取っていないにも関わらず、闇の魔力を通りかかった人に浴びせかけようとしていた。
グレアラシル、絶体絶命のピンチか?!
前もって知識を得ていたお陰だなのかも知れない。
それよりも、クエル・ストラスファが言った「神界はもう無い」的なニュアンスの言葉が、コレットの心の中に突き刺さって離れなかった。
「どうして、神界には行けないのでしょう?」
コレットは、クエル・ストラスファに恐る恐る尋ねる。
すると、
「ううむ・・・今から約100年程前にの、神界は突如として滅んだのじゃ、ワシにはそれ位しか分からんで、申し訳無い。」
そう言ってこの大図書館の大司書は、かつて神界のあった空に目を向けた。
100年前に突然滅んだ・・・・
コレットにとっては、故郷とも言えるかも知れない世界が今既に存在していないと言う事実に、本来ならば打ちのめされてしまいそうになっていてもおかしく無かったが、コレット自身も予想外にあまり心的ダメージが無い事に驚いていた。
もしかすると、コレットは今までの人生(神生)の大半を人界や赤の孤島の小屋で過ごして来たからではないか?と、これまでの半生を振り返ってみる。
確かに、思い返してみるとあまり神界に対して強く残っている記憶は無い様で、今までずっと忘れていた記憶を思い出してきていても、神界が無くなった事で望郷の念を抱いたりしていない自身を、少し不思議に思う程だった。
何か考え込む様にうつむいている目の前の少女に、杖に支えてもらいながら歩み寄る大司書は、
「故郷が無くなると言う事は、その地に辛くて悲しい記憶しか無かったとしても、身体の方では片割れの様な半身の様な存在が失われてしまった状態になるのでな。心を少し休ませてみると良いじゃろう。」
そう言って、目を細めた。
そして、
「ワシの口がついスルっと滑ってしまって申し訳んかったのう。じゃがの、事実は曲げられぬ。急な告知であったが、受け止められよ。」
と、少し強い口調で言った。
その言葉にコレットは、
「お心遣い、ありがとうございます!実は私、意外とと言うか全然神界に対して望郷の念とか思い残した事?とかを感じてなくて。むしろ、ああ~無くなっちゃったんだ!みたいな、ちょっと何か特に特別でも何でもないモノを無くした感じなので、気にしないでください!」
言いながら、腕をグルグル回して元気なポーズをして見せた。
大司書は、その行動に少しポカンとした様な表情を見せたが、すぐに穏やかな表情に戻った。
「あ、そう言えば私自己紹介がまだでした。名前はコレットです。本当の名前はアリ・エルシアと言うそうですが、私にはコレットの方が合ってる気がします。」
満面の笑みを湛えながら、コレットはこれからの自分を生きて行く決意をしていた。
故郷であった神界は既に無く、世話になっていた家も家族も失ってしまってほぼ天涯孤独の身の上になってしまったけれども、今はあの書架に集まっているメンバーと楽しくやっているから大丈夫だろうと、コレットは思う事にした。
扉を一緒に開けて前につんのめった所まではコレットと一緒だった筈のミカゲは、その直後から天空図書館の一部ガラスの天井に目が行ってしまい、フラフラと書棚の間を歩いていた。
「赤い月と青い星が同時に見えるだち~!凄いんだち~」
と言いながら、どんどん誰も歩みを進めていない書棚の方に進んで行く。
上ばかり見て進んでいると、突然目の前に立ちはだかった壁にそのまま正面からミカゲはぶつかってしまった。
ボスン!
意外と結構派手な音を立ててぶつかったので、たまたま近くに居たソフィアステイルに目撃される。
「ちょっとミカゲ!何オッサンに正面からぶつかってるの?オッサンも驚いて泣きそうになってるんだけど!」
物凄く大笑いして涙目になりながらソフィアステイルは、ミカゲの現在の状況を教えた。
「わわ!大丈夫だちか!ソラ!!」
どうも不意の状況下では、ミカゲの本来の質量がぶつかる対象にモロ?に伝わってしまうようで、巨躯の中年オヤジの身体でも、流石の氷炎竜の質量はかなり堪えた様だったが。
「いや~いやいやいやいや、久しぶりにミカゲの質量喰らっちゃったよ!驚いたけどちょっとした修行になったよね!ハハハハ・・・・」
どう見ても、誰が見てもカラ元気な状態を見せながら、ソラ・ルデ・ビアスはミカゲがぶつかって来た自分の腹のあたりを少しさすっていた。
「そうそう!オッサンも大丈夫だって言ってるし、ミカゲはあんまり心配しないの!」
ソフィアステイルがミカゲの頭をモシャモシャ撫でながら元気づけた。
元気づけながら、こっそりソラ・ルデ・ビアスの耳元では、
「で、実際問題どうなの?ダメージどれ位なの?」
と、聞いていたのをミカゲは知らない、多分。
その頃グレアラシルは、謎のおどろおどろしい~雰囲気のする書棚の森に迷い込んでいた。
どう見ても、誰が見ても魔法初心者のグレアラシルが見ても、そこは禁書魔導書専用の書棚だと言う事だけは分かって来ていた。
禁書魔導書は、本を書棚から抜き取っていないにも関わらず、闇の魔力を通りかかった人に浴びせかけようとしていた。
グレアラシル、絶体絶命のピンチか?!
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