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第五章 ルキソミュフィア救援
第88話 青い回廊
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アルファスに、なんやかんやと色々怖い事言われた書架メンバーは、まぁ何があっても今までの色々あった事に比べれば大したことは無いだろうとタカを括って扉を開けた。
扉の中はいつもの扉の中の様に長いトンネル状になっていて、基本的には暗闇だ。
後方で、アルファスの声が聞こえた様な気がしたが、先頭を進む書架の主は気にも留めずに前へ進んだ。
しばらくすると、目の前に青い光の回廊が見えて来た。
暗闇の中を歩いてきた一団には、少し眩しく感じられる明るさの道が、かなりの長い距離で続いている様に見えた。
「何だか今までの道よりも異様に長いんだち。」
ミカゲが青い光の回廊を歩きながら呟く。
確かにこの長さは異様だな?とソフィアステイルも気付いたが、セレスが回廊の明かりの異変に気付いた時は既に遅かった。
「やってくれるね~大司書様とやらは!」
セレスが気付いた異変は、今まで歩いてきた回廊がループしていた事だった。
青い光が灯された回廊に入った時、もしもの時の為にセレスは皆に知られぬように明かりの下に小さくマーキングの魔法を仕掛けておいたのだ。
異様に回廊が長いのではなく、どこかで回廊がループし続けていただけだったのだ。
では、この回廊を抜けて本丸の天空図書館に入るには一体どうすれば良いのか?とセレスは考える。
実はまだ、この回廊がループしている事に気付いているのはセレスだけだったので、何とか自然に抜けるような策を講じなければ・・・とこっそり目論んでいたが、アッサリとミカゲに見破られた。
「コソコソ一人で解決しようとするの、セレスの悪い癖だち。」
長い長い青い光の回廊を歩きながら、ミカゲがセレスに耳打ちした。
「あー、やっぱりミカゲにはバレるな~。仕方が無い、皆にも話そう。」
セレスは一人でカッコつけてやろうか?と言う目論見を止め、皆で考える作戦に軌道変更した。
「そうだち、今回は皆が困惑してるんだち。みんなで考えるち。」
ミカゲは胸をドンと叩いて少しむせながら、偉そうにセレスに言った。
ミカゲの呼びかけにより集まった面々は、青い光の灯された回廊の、どこら辺とも分からない道の中ほどに集まって、ボソボソと雑談し始める。
「と言うか、さっきこの回廊に入る前にアルファスさんが何か言ってたのをちゃんと聞かなかったのが原因なんじゃないですかね?!」
ちょっと憤慨気味に言って来たのは意外にもコレットで。
日頃からあまり長距離を歩き慣れていない(日頃はミカゲに乗ったり抱えられたりして自分では歩いていない事が多い)コレットには、この長すぎる回廊はちょっと足腰に来た?らしく、他の面々よりもかなり疲弊しているように見えた。
「うーーん確かに、アルファスが何かを言っていたのは聞こえたが、特に気を留めなかったのが敗因かも知れないな。」
ソフィアステイルが少し低い天井を仰ぎながら後悔している。
「と言うか、オヤジ!!おい!オヤジ!!この回廊は一体どんな仕掛けなんだ?司書と顔なじみのオヤジには。説明する義務がある!」
酒場の屋根裏部屋の青い扉をくぐる直前に、アルファスから釘を刺されて以降存在感が希薄になっていたソラ・ルデ・ビアスに、娘セレスの渇が入る。
すると、意外な答えが彼の口から出たのだった。
「こんな仕掛け、ここ100年でも見た事無いんだよ。拙者だけならスイスイ図書館に入れるけど、今回は人数多いからな~何か変な事企んでいるとしか思えないね。」
・・・・・なん・・・です・・と?
ソラ・ルデ・ビアス以外の面々の心の声がハモった気がした。
「と言う事は、何としてでもこの回廊のループしている仕組みから脱出しない限り、天空図書館には辿り着けないんですね。」
その場にへたり込みながらグレアラシルは意気消沈した。
「おやおや、グレアラシル君!そんな所で凹んでいてどうする?ここで立ち止まったら、君の出生の秘密も何も分からないまま人生を終える事になるやも知れませんぞ?」
何故か自信ありげにセレスは、うなだれるグレアラシルの背中をバンバン叩いた。
このセレスの明るい反応に、微妙な違和感を感じた者がいて、
「ちょっとセレス、何でアンタだけ異様に元気なの?何か変なモノでも食べたの?」
ソフィアステイルが本気で心配しながらセレスの顔を覗き込む。
「いや、いやいやいや~アタシ、そんな変なモノ食べたりして無いから!」
セレスは、ちょっと顔近いですよ!と言って手でソフィアステイルの顔をどけながら、更に明るい感じになった。
「セレスさん、さてはもしかしたらこの長い長い回廊の長い理由を解明しちゃってたりするんですか?」
その場でへたり込んでいたコレットが、セレスの真意に迫った。
「あ~~実はそうなんだ。実は。ただ問題は、この回廊を出られるのはココにいる6人中3人だけかも知れなくて・・・」
苦笑いしながらセレスは、明確ではない答えをモゴモゴと話し始めた。
扉の中はいつもの扉の中の様に長いトンネル状になっていて、基本的には暗闇だ。
後方で、アルファスの声が聞こえた様な気がしたが、先頭を進む書架の主は気にも留めずに前へ進んだ。
しばらくすると、目の前に青い光の回廊が見えて来た。
暗闇の中を歩いてきた一団には、少し眩しく感じられる明るさの道が、かなりの長い距離で続いている様に見えた。
「何だか今までの道よりも異様に長いんだち。」
ミカゲが青い光の回廊を歩きながら呟く。
確かにこの長さは異様だな?とソフィアステイルも気付いたが、セレスが回廊の明かりの異変に気付いた時は既に遅かった。
「やってくれるね~大司書様とやらは!」
セレスが気付いた異変は、今まで歩いてきた回廊がループしていた事だった。
青い光が灯された回廊に入った時、もしもの時の為にセレスは皆に知られぬように明かりの下に小さくマーキングの魔法を仕掛けておいたのだ。
異様に回廊が長いのではなく、どこかで回廊がループし続けていただけだったのだ。
では、この回廊を抜けて本丸の天空図書館に入るには一体どうすれば良いのか?とセレスは考える。
実はまだ、この回廊がループしている事に気付いているのはセレスだけだったので、何とか自然に抜けるような策を講じなければ・・・とこっそり目論んでいたが、アッサリとミカゲに見破られた。
「コソコソ一人で解決しようとするの、セレスの悪い癖だち。」
長い長い青い光の回廊を歩きながら、ミカゲがセレスに耳打ちした。
「あー、やっぱりミカゲにはバレるな~。仕方が無い、皆にも話そう。」
セレスは一人でカッコつけてやろうか?と言う目論見を止め、皆で考える作戦に軌道変更した。
「そうだち、今回は皆が困惑してるんだち。みんなで考えるち。」
ミカゲは胸をドンと叩いて少しむせながら、偉そうにセレスに言った。
ミカゲの呼びかけにより集まった面々は、青い光の灯された回廊の、どこら辺とも分からない道の中ほどに集まって、ボソボソと雑談し始める。
「と言うか、さっきこの回廊に入る前にアルファスさんが何か言ってたのをちゃんと聞かなかったのが原因なんじゃないですかね?!」
ちょっと憤慨気味に言って来たのは意外にもコレットで。
日頃からあまり長距離を歩き慣れていない(日頃はミカゲに乗ったり抱えられたりして自分では歩いていない事が多い)コレットには、この長すぎる回廊はちょっと足腰に来た?らしく、他の面々よりもかなり疲弊しているように見えた。
「うーーん確かに、アルファスが何かを言っていたのは聞こえたが、特に気を留めなかったのが敗因かも知れないな。」
ソフィアステイルが少し低い天井を仰ぎながら後悔している。
「と言うか、オヤジ!!おい!オヤジ!!この回廊は一体どんな仕掛けなんだ?司書と顔なじみのオヤジには。説明する義務がある!」
酒場の屋根裏部屋の青い扉をくぐる直前に、アルファスから釘を刺されて以降存在感が希薄になっていたソラ・ルデ・ビアスに、娘セレスの渇が入る。
すると、意外な答えが彼の口から出たのだった。
「こんな仕掛け、ここ100年でも見た事無いんだよ。拙者だけならスイスイ図書館に入れるけど、今回は人数多いからな~何か変な事企んでいるとしか思えないね。」
・・・・・なん・・・です・・と?
ソラ・ルデ・ビアス以外の面々の心の声がハモった気がした。
「と言う事は、何としてでもこの回廊のループしている仕組みから脱出しない限り、天空図書館には辿り着けないんですね。」
その場にへたり込みながらグレアラシルは意気消沈した。
「おやおや、グレアラシル君!そんな所で凹んでいてどうする?ここで立ち止まったら、君の出生の秘密も何も分からないまま人生を終える事になるやも知れませんぞ?」
何故か自信ありげにセレスは、うなだれるグレアラシルの背中をバンバン叩いた。
このセレスの明るい反応に、微妙な違和感を感じた者がいて、
「ちょっとセレス、何でアンタだけ異様に元気なの?何か変なモノでも食べたの?」
ソフィアステイルが本気で心配しながらセレスの顔を覗き込む。
「いや、いやいやいや~アタシ、そんな変なモノ食べたりして無いから!」
セレスは、ちょっと顔近いですよ!と言って手でソフィアステイルの顔をどけながら、更に明るい感じになった。
「セレスさん、さてはもしかしたらこの長い長い回廊の長い理由を解明しちゃってたりするんですか?」
その場でへたり込んでいたコレットが、セレスの真意に迫った。
「あ~~実はそうなんだ。実は。ただ問題は、この回廊を出られるのはココにいる6人中3人だけかも知れなくて・・・」
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