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第五章 ルキソミュフィア救援
第87話 焦る気持ち
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「それはありがたい申し出だけど、今は本当は急を要するんだアタシ達は。これから、大切な友人とその仲間達を救う為に天空図書館へ行かなければならないんだ。」
セレスは、アルファスの申し出を自身の使命で断った。
そう、これから。
ソルフゲイルの野望を阻止するために、銀狼族と言う種族を滅ぼさせないためにルキソミュフィアに向かう。
そして、銀狼族を全員赤の孤島に避難させるのだ。
セレスの決意の眼差しを見たアルファスは、周囲に集まる他の面々の顔を見渡して、それぞれの意思を確認する。
書架のメンバーは皆、セレスの決意に同意し、協力を惜しまない光を宿した眼をしていた。
アルファスは、遠い蒼壁の大陸からやって来た面々の顔を見るとフっと息を短く吐き、
「分かった分かった、無理強いはしない。ただ、しっかりと体力の回復だけはしておけよ?」
と言い、2階のテーブル席に上がって行く。
一番奥のテーブル席の背面の壁に両手をついて小さく呪文を唱えると、壁が消えて3階へ続く階段が現れた。
「おおーー!隠し壁に隠し階段だち!あちしも今度書架を改造する時試してみるち!」
何やら、ミカゲの心がこの隠し~セットにトキメいた様だった。
「その時はアタシも手伝うよ。」
セレスが楽しそうに同意していると、
「ちょっと君達、あの建物は拙者の所有物であることを理解して・・・無さそうだよね?」
最後尾から付いてきていたソラ・ルデ・ビアスが悲しそうに制止していた。
隠し扉からの隠し階段を上って行った先に、今の書架メンバー6人ならゴロ寝が出来るラグの敷かれた部屋があった。
ふかふかの気持ち良さそうなラグにすぐさま転がったミカゲは、
「このラグも書架に置くんだち!」
と言って上機嫌だ。
続いて腰を下ろしたグレアラシルは、
「俺の気の所為かも知れませんが、このラグちょっと回復魔法がかけられてませんかね?」
と、グレアラシルにしては予想外?な事を言って来たので、一瞬周囲に何か珍しい珍獣を見た時の様な空気が漂ったが、
「うんうん、合ってるよグレアラシル君、最近コソコソ練習していた魔法がようやく身体に染み込んできた様だね?」
ソフィアステイルがその空気を一蹴するかの様にフォローを入れた。
「そうです!そのラグは体力を回復する魔法がかけられているので、しばらく座ってからそこの青い扉を通るようにしてくださいよ本当。」
部屋の奥にある扉を指差しながらアルファスは、書架の面々の気の焦り感じて体力回復の重要性を説き始めた。
「皆さんも既にご存知の様に、この扉の先が天空図書館クエル・ストラスファです。が、扉をくぐったらすぐに彼と会えるとは思わないでくださいよ。」
何やら急に物騒な話をし始める。
「アルファス、そんなにこの子たちを脅かさないで欲しいんだが?拙者は別段何事も無く気楽にあの図書館を行き来出来ているから、同じように入れるんじゃないか?」
アルファスの少し緊迫した雰囲気を打ち破る様に、お気楽な雰囲気をまとったソラ・ルデ・ビアスが話しかける。
気心の知れた友人からの言葉にアルファスは、
「ソラ、お前は少し黙っててくれないか?」
と、厳しい口調で制止した。
旧知の友人から釘を刺されたソラ・ルデ・ビアスは急にシュンとなり、捨てられた子犬?の様に部屋の隅に座り込んだ。
「オイオイ、オヤジ!それ位で凹んでどうするんだ?マジでもうココで置いてくぞ?」
セレスは本気で呆れている。
その様子を、やはり盛大にあきれ顔で見ていたソフィアステイルはアルファスに、自身の抱いた疑問をぶつけた。
「それはそうとアルファス殿、図書館に入ってもすぐに大司書クエル・ストラスファに会えないと言うのは一体どう言った了見なのかな?」
「言葉通りと言いたい所だが実は師匠はかなりの人見知りでね、初対面の相手には何らかの魔法攻撃を仕掛けてくると思うから、体力とか魔力は最大限回復してから扉を開く事をかなりお勧めする、って所っすね。」
アルファスは、やれやれと言った感じに手をヒラヒラさせながら、天空図書館での日々を思い出す。
そう彼もまたクエル・ストラスファを師匠と仰ぎ魔道の勉学に勤しんだ日々があったのだ。
それから幾星霜の月日が流れて現在は白壁の大陸の街で酒場を生業としているが、師に乞われて時々は天空図書館で本の整理などを手伝っていたりするのだった。
「まぁ、オレから言わせてもらうと、大司書クエル・ストラスファはかなりの偏屈ジジィだから皆気を付けろよ!」
そう言ってニヤニヤ笑った。
アルファスのニヤ顔の奥の真理に気付いたコレットとソフィアステイルは冷や汗を流したが、残りの面々はそんな事は気にも留めずに、アルファスにニヤ笑顔を返した。
特にコレットは、アルファスのニヤ顔の真理の奥底に隠されたメッセージを読み解いてしまったので、さっきまでのワクワク感がかなり恐怖感に変換されてしまった様だった。
かつて、神界の戦から逃れて赤い月に逃げて来たアリ・エルシアの、当時の状況を知る者の一人であるクエル・ストラスファに会うのだ。
このまま何事も無く赤の孤島への道が開かれそうに無い事を、コレットだけが感じ取っていた。
セレスは、アルファスの申し出を自身の使命で断った。
そう、これから。
ソルフゲイルの野望を阻止するために、銀狼族と言う種族を滅ぼさせないためにルキソミュフィアに向かう。
そして、銀狼族を全員赤の孤島に避難させるのだ。
セレスの決意の眼差しを見たアルファスは、周囲に集まる他の面々の顔を見渡して、それぞれの意思を確認する。
書架のメンバーは皆、セレスの決意に同意し、協力を惜しまない光を宿した眼をしていた。
アルファスは、遠い蒼壁の大陸からやって来た面々の顔を見るとフっと息を短く吐き、
「分かった分かった、無理強いはしない。ただ、しっかりと体力の回復だけはしておけよ?」
と言い、2階のテーブル席に上がって行く。
一番奥のテーブル席の背面の壁に両手をついて小さく呪文を唱えると、壁が消えて3階へ続く階段が現れた。
「おおーー!隠し壁に隠し階段だち!あちしも今度書架を改造する時試してみるち!」
何やら、ミカゲの心がこの隠し~セットにトキメいた様だった。
「その時はアタシも手伝うよ。」
セレスが楽しそうに同意していると、
「ちょっと君達、あの建物は拙者の所有物であることを理解して・・・無さそうだよね?」
最後尾から付いてきていたソラ・ルデ・ビアスが悲しそうに制止していた。
隠し扉からの隠し階段を上って行った先に、今の書架メンバー6人ならゴロ寝が出来るラグの敷かれた部屋があった。
ふかふかの気持ち良さそうなラグにすぐさま転がったミカゲは、
「このラグも書架に置くんだち!」
と言って上機嫌だ。
続いて腰を下ろしたグレアラシルは、
「俺の気の所為かも知れませんが、このラグちょっと回復魔法がかけられてませんかね?」
と、グレアラシルにしては予想外?な事を言って来たので、一瞬周囲に何か珍しい珍獣を見た時の様な空気が漂ったが、
「うんうん、合ってるよグレアラシル君、最近コソコソ練習していた魔法がようやく身体に染み込んできた様だね?」
ソフィアステイルがその空気を一蹴するかの様にフォローを入れた。
「そうです!そのラグは体力を回復する魔法がかけられているので、しばらく座ってからそこの青い扉を通るようにしてくださいよ本当。」
部屋の奥にある扉を指差しながらアルファスは、書架の面々の気の焦り感じて体力回復の重要性を説き始めた。
「皆さんも既にご存知の様に、この扉の先が天空図書館クエル・ストラスファです。が、扉をくぐったらすぐに彼と会えるとは思わないでくださいよ。」
何やら急に物騒な話をし始める。
「アルファス、そんなにこの子たちを脅かさないで欲しいんだが?拙者は別段何事も無く気楽にあの図書館を行き来出来ているから、同じように入れるんじゃないか?」
アルファスの少し緊迫した雰囲気を打ち破る様に、お気楽な雰囲気をまとったソラ・ルデ・ビアスが話しかける。
気心の知れた友人からの言葉にアルファスは、
「ソラ、お前は少し黙っててくれないか?」
と、厳しい口調で制止した。
旧知の友人から釘を刺されたソラ・ルデ・ビアスは急にシュンとなり、捨てられた子犬?の様に部屋の隅に座り込んだ。
「オイオイ、オヤジ!それ位で凹んでどうするんだ?マジでもうココで置いてくぞ?」
セレスは本気で呆れている。
その様子を、やはり盛大にあきれ顔で見ていたソフィアステイルはアルファスに、自身の抱いた疑問をぶつけた。
「それはそうとアルファス殿、図書館に入ってもすぐに大司書クエル・ストラスファに会えないと言うのは一体どう言った了見なのかな?」
「言葉通りと言いたい所だが実は師匠はかなりの人見知りでね、初対面の相手には何らかの魔法攻撃を仕掛けてくると思うから、体力とか魔力は最大限回復してから扉を開く事をかなりお勧めする、って所っすね。」
アルファスは、やれやれと言った感じに手をヒラヒラさせながら、天空図書館での日々を思い出す。
そう彼もまたクエル・ストラスファを師匠と仰ぎ魔道の勉学に勤しんだ日々があったのだ。
それから幾星霜の月日が流れて現在は白壁の大陸の街で酒場を生業としているが、師に乞われて時々は天空図書館で本の整理などを手伝っていたりするのだった。
「まぁ、オレから言わせてもらうと、大司書クエル・ストラスファはかなりの偏屈ジジィだから皆気を付けろよ!」
そう言ってニヤニヤ笑った。
アルファスのニヤ顔の奥の真理に気付いたコレットとソフィアステイルは冷や汗を流したが、残りの面々はそんな事は気にも留めずに、アルファスにニヤ笑顔を返した。
特にコレットは、アルファスのニヤ顔の真理の奥底に隠されたメッセージを読み解いてしまったので、さっきまでのワクワク感がかなり恐怖感に変換されてしまった様だった。
かつて、神界の戦から逃れて赤い月に逃げて来たアリ・エルシアの、当時の状況を知る者の一人であるクエル・ストラスファに会うのだ。
このまま何事も無く赤の孤島への道が開かれそうに無い事を、コレットだけが感じ取っていた。
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