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第五章 ルキソミュフィア救援
第83話 青い扉
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「え?今すぐですか?」
驚きの声を上げたのはコレットで、特に何も感じてないような視線を向けたのはセレスだった。
ミカゲに至っては、いつものパターンとでも言いたげな目を向けながら椅子から立ち上がり、
「分かったち、じゃ行くんだち。」
そう言って他の同行メンバーを促した。
当の書架の主は、
「まずは2階の扉の間に集合~!何か持って行きたいものがある人は早めにね。」
と言って、スタスタと2階へ続く階段を上る。
セレス以下の同行メンバーも、ノロノロとした足取りだったがその後ろに付いて行った。
「え?ええ~?」
この、何とも言えない能動的な行動に付いていけていないコレットだったが、
「まぁ、気にしていても仕方が無いのでな、早々に行って参られよ。」
と、レオルステイルに促されて、最後尾を歩くグレアラシルの後ろに付いた。
コレットがチラりと後ろを振り返ると、ヒラヒラと手を振るベルフォリスとレオルステイルが、にこやかに見送っている。
こう言う、どこか遠くに出かける時って何かしらの準備をしたりするものではないのか?と、今までの経験から来る違和感と言うか、何とも言えないモヤモヤとした気持ちを何とか抑えつつ、コレットは2階の扉の間に着いた。
扉の前では、
「はい、全員揃いましたね!では行きますよ!ちゃんとついて来てくださいね!」
と、どこかの学校の引率の先生のような口ぶりで書架の主が先導して行く。
ついぞ先日、アリエルシアの弓作戦の時に使った扉を今度は、セレス・ミカゲ・ソフィアステイル・グレアラシル・コレットの順で先導の後に続いた。
扉をくぐると、見覚えのある赤い平原に出る。
あの時は周囲を見渡しても特に何があると言う訳でもない平原だった筈なのだが、ソラ・ルデ・ビアスが指差す方向には、小さな小屋が建っているのが見えた。
「知らなかったっち。本当に小屋があったんだちな?」
書架の主の行っていた事が本当だったとミカゲは確認したところで、かなり褒め称えた。
すると、ここしばらく褒められ慣れていない書架の主は、
「なーーーに!!それ程でもあるけどね!!」
と言って偉そうにしたのだが、その瞬間、
「まだ序盤のうちの序盤で何偉そうこいてるんだオヤジ?」
鋭い殺意のこもった視線が背後から刺さったのに気付いた瞬間、先程の引率の先生状態に戻って行った。
しくしくしくしく・・・・
背中は泣いていた。
一番後方から付いてきているコレットは、まさか最前列でこんな親子の熾烈な?戦いが繰り広げられていることなど露知らず、周囲の景色に見とれている。
小屋の左側には、満天の星空の中に青い大きな星が浮いていて、それが今まで楽しく食事をしていた書架や他の国や大陸がある星だと言う事を、頭では理解していても思考が追い付いて行かない状態になっていた。
あの星から扉をくぐるとこの赤い月まで来てしまう原理が、未だに分からない。
セレスの父はそれを難なくこなす魔力を持っている様だが、その理由も未だに見当がつかないでいた。
グレアラシルの後ろから付いて行く足取りが遅れている事にコレット自身が気付かずにいると、
「コレットさ~ん!置いて行かれますよ!」
と、かなり前方に進んでしまっているグレアラシルから声がかかった。
はっとなったコレットは、
「ま、待ってください~~!」
慌ててその背中を追いかけていく。
扉の移動の謎は、また今度聞いてみようとコレットは思った。
「はい!皆さん、ここからが未知の領域だと思いますが、右から2番目のこの青い扉をくぐりますよ。」
意気揚々と説明する父にセレスは、
「と言うか、他の扉は一体どこに繋がってんの?」
と、皆が思っていて口に出せなかった疑問をサラっと投げつける。
娘からの質問とあらば~何でも答えましょう!と言う、お父さんの観点で説明してくれるかな?と他の面々は期待していたのだが、
「ああ~、今はその時ではないので答えられません、悪しからず。」
と、予想外に断られたのでセレスは、
「何だ~、結構ケチなのな~。」
と、子供の様にふてくされて見せた。
それを見ていたソフィアステイルは、
「ここまで偉そうにしていた割に、必要最低限の情報だけしか渡して来ないと言う事は、相当に怪しい所に繋がっていると見えるな。そうだな、例えば魔王の城とかに繋がっている可能性が高いだろうね?」
冷や汗をかきながら、何とか他の扉の秘密を暴かれない様にしていたソラ・ルデ・ビアスの心理の隙間に入り込む様に質問された所で、書架の主は観念した。
「わ、分かりましたよ・・・そうですね、1の扉はソフィアさんの言った通り魔王の城の方に繋がってます。2の扉はあの、スェニストラフト温泉に繋がってますよ。レオルさんが行きたがってたので繋げてみたんです~。」
情けない状態で話を続ける書架の主の姿を見ていたミカゲは、
「はい!そこまでだち!あちし達の目的は、扉の目的地を探る事じゃなかった筈だちよ?」
娘とその叔母の圧力に負けて説明をしていたソラ・ルデ・ビアスだったが、ミカゲの言葉で我に返り、
「そそそ、そうです!我々の目的地は『天空図書館クエル・ストラスファ』です!さささ、行きますよ!」
と、本来の目的を思い出した。
この、親子のやり取りを見ていたグレアラシルとコレットは、
「本当、あの親父さん姐さんには頭が上がらないって言うか、離れていた時の事を本当に申し訳なく思っているんだな~。」
「そうですね。何だか羨ましいです。」
微笑ましくも、羨望の眼差しで見つめていた。
そんな中、青い扉が開かれる。
先導をする書架の主の後ろから、同行メンバーはまたゾロゾロと後ろに付いて歩いて行く。
次なる中継地点は、空に浮かぶ青い星にある大陸、白壁の大陸の第二都市の『スウィスルフェト・ラルム』。
ここに居るメンバーの中では、書架の主以外誰も足を踏み入れた事の無い未知の世界である。
驚きの声を上げたのはコレットで、特に何も感じてないような視線を向けたのはセレスだった。
ミカゲに至っては、いつものパターンとでも言いたげな目を向けながら椅子から立ち上がり、
「分かったち、じゃ行くんだち。」
そう言って他の同行メンバーを促した。
当の書架の主は、
「まずは2階の扉の間に集合~!何か持って行きたいものがある人は早めにね。」
と言って、スタスタと2階へ続く階段を上る。
セレス以下の同行メンバーも、ノロノロとした足取りだったがその後ろに付いて行った。
「え?ええ~?」
この、何とも言えない能動的な行動に付いていけていないコレットだったが、
「まぁ、気にしていても仕方が無いのでな、早々に行って参られよ。」
と、レオルステイルに促されて、最後尾を歩くグレアラシルの後ろに付いた。
コレットがチラりと後ろを振り返ると、ヒラヒラと手を振るベルフォリスとレオルステイルが、にこやかに見送っている。
こう言う、どこか遠くに出かける時って何かしらの準備をしたりするものではないのか?と、今までの経験から来る違和感と言うか、何とも言えないモヤモヤとした気持ちを何とか抑えつつ、コレットは2階の扉の間に着いた。
扉の前では、
「はい、全員揃いましたね!では行きますよ!ちゃんとついて来てくださいね!」
と、どこかの学校の引率の先生のような口ぶりで書架の主が先導して行く。
ついぞ先日、アリエルシアの弓作戦の時に使った扉を今度は、セレス・ミカゲ・ソフィアステイル・グレアラシル・コレットの順で先導の後に続いた。
扉をくぐると、見覚えのある赤い平原に出る。
あの時は周囲を見渡しても特に何があると言う訳でもない平原だった筈なのだが、ソラ・ルデ・ビアスが指差す方向には、小さな小屋が建っているのが見えた。
「知らなかったっち。本当に小屋があったんだちな?」
書架の主の行っていた事が本当だったとミカゲは確認したところで、かなり褒め称えた。
すると、ここしばらく褒められ慣れていない書架の主は、
「なーーーに!!それ程でもあるけどね!!」
と言って偉そうにしたのだが、その瞬間、
「まだ序盤のうちの序盤で何偉そうこいてるんだオヤジ?」
鋭い殺意のこもった視線が背後から刺さったのに気付いた瞬間、先程の引率の先生状態に戻って行った。
しくしくしくしく・・・・
背中は泣いていた。
一番後方から付いてきているコレットは、まさか最前列でこんな親子の熾烈な?戦いが繰り広げられていることなど露知らず、周囲の景色に見とれている。
小屋の左側には、満天の星空の中に青い大きな星が浮いていて、それが今まで楽しく食事をしていた書架や他の国や大陸がある星だと言う事を、頭では理解していても思考が追い付いて行かない状態になっていた。
あの星から扉をくぐるとこの赤い月まで来てしまう原理が、未だに分からない。
セレスの父はそれを難なくこなす魔力を持っている様だが、その理由も未だに見当がつかないでいた。
グレアラシルの後ろから付いて行く足取りが遅れている事にコレット自身が気付かずにいると、
「コレットさ~ん!置いて行かれますよ!」
と、かなり前方に進んでしまっているグレアラシルから声がかかった。
はっとなったコレットは、
「ま、待ってください~~!」
慌ててその背中を追いかけていく。
扉の移動の謎は、また今度聞いてみようとコレットは思った。
「はい!皆さん、ここからが未知の領域だと思いますが、右から2番目のこの青い扉をくぐりますよ。」
意気揚々と説明する父にセレスは、
「と言うか、他の扉は一体どこに繋がってんの?」
と、皆が思っていて口に出せなかった疑問をサラっと投げつける。
娘からの質問とあらば~何でも答えましょう!と言う、お父さんの観点で説明してくれるかな?と他の面々は期待していたのだが、
「ああ~、今はその時ではないので答えられません、悪しからず。」
と、予想外に断られたのでセレスは、
「何だ~、結構ケチなのな~。」
と、子供の様にふてくされて見せた。
それを見ていたソフィアステイルは、
「ここまで偉そうにしていた割に、必要最低限の情報だけしか渡して来ないと言う事は、相当に怪しい所に繋がっていると見えるな。そうだな、例えば魔王の城とかに繋がっている可能性が高いだろうね?」
冷や汗をかきながら、何とか他の扉の秘密を暴かれない様にしていたソラ・ルデ・ビアスの心理の隙間に入り込む様に質問された所で、書架の主は観念した。
「わ、分かりましたよ・・・そうですね、1の扉はソフィアさんの言った通り魔王の城の方に繋がってます。2の扉はあの、スェニストラフト温泉に繋がってますよ。レオルさんが行きたがってたので繋げてみたんです~。」
情けない状態で話を続ける書架の主の姿を見ていたミカゲは、
「はい!そこまでだち!あちし達の目的は、扉の目的地を探る事じゃなかった筈だちよ?」
娘とその叔母の圧力に負けて説明をしていたソラ・ルデ・ビアスだったが、ミカゲの言葉で我に返り、
「そそそ、そうです!我々の目的地は『天空図書館クエル・ストラスファ』です!さささ、行きますよ!」
と、本来の目的を思い出した。
この、親子のやり取りを見ていたグレアラシルとコレットは、
「本当、あの親父さん姐さんには頭が上がらないって言うか、離れていた時の事を本当に申し訳なく思っているんだな~。」
「そうですね。何だか羨ましいです。」
微笑ましくも、羨望の眼差しで見つめていた。
そんな中、青い扉が開かれる。
先導をする書架の主の後ろから、同行メンバーはまたゾロゾロと後ろに付いて歩いて行く。
次なる中継地点は、空に浮かぶ青い星にある大陸、白壁の大陸の第二都市の『スウィスルフェト・ラルム』。
ここに居るメンバーの中では、書架の主以外誰も足を踏み入れた事の無い未知の世界である。
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