47 / 114
第四章 ソルフゲイルの謀略
第47話 宣言
しおりを挟む
どうもベルフォリスとは気が合いそうにないグレアラシルはとりあえず放っておくことにして、セレスは、
「大変報告が遅れましたが、ワタクシセレスは母レオルステイルとミカゲの協力を得て、見事世界樹の守護者の任から解き放たれました!」
と、高らかに宣言した。
高らかに言ったのは、階下でふてくされているグレアラシルの耳にも届く様に~と言う事だったが、大体的に宣言した方が自分もスッキリ爽快な気分になるだろうと踏んで、その様に叫んでみた様だ。
宣言したセレスは、宣言した事に酔って名実ともに世界樹の守護者では無くなった事が明確になった様な気がして、ニヤニヤとした喜びの笑みが止まら描くなっていた。
「因みに、新しい世界樹の守護者は、なんと!このあちしだち!!あちしがこれから先何百年か守護者をやることになったち!」
ミカゲも、セレスの真似なのかそれとも前々からヤル気だったのかは分からないが、同様に大きな声で宣言して腕をぐるぐる回した。
回されている腕に、今まで重々しくいくつもの腕輪の形状をした拘束具が着けられていた筈なのに、一切装着していない事に気付いたコレットは、
「それはそうとミカゲ、拘束具はどうしたの?着けてないと大変なことになるんでしょ?」
あの、拘束具を外して本性と言うか本体を露わにしてしまう可能性があるミカゲの事を心配して、コレットはミカゲに質問した。
それに対してミカゲは、
「もう、全然大丈夫なんだち!実は世界樹が拘束具の役割をしててくれるから、もう拘束具は必要なくなったんだち。」
と、満面の笑みで答えた。
コレットはそれを聞いて安堵して、ようやくミカゲに抱きついた。
そして、角の生えた頭を抱きかかえて、髪をもしゃもしゃになる程に撫でまわした。
「そうだったんだね~ミカゲはこれからセレスさんみたいに自由を失ったり、力が無くなったりするのかな?」
一番の疑問と言うか、今までのセレスの言い分では、世界樹に拘束されてメルヴィレッジから出られないと言うのと、力も吸収されて折角魔界人とエルフのハーフと言う魔力に恵まれた生まれをしているのに、殆ど人間と同じ位の魔法しか使えない100年間を過ごしてきた話を聞いて来たので、ミカゲも同じ様な状況になるのでは?と心配する気持ちが募ったのだ。
このコレットの問いかけにミカゲは、
「実はあちしは、氷炎竜グレアリー・ニーゼンヴォルフって言う竜の種類で、そのお陰で世界樹から力を取られたりメルヴィレッジから出られなくなったりしないんだち。だから、コレットは何も心配する必要なんて無いんだち!」
と、明るく元気良く答えた。
コレットはミカゲの答えに喜び、青い瞳から涙を流した。
「本当に、良かった。セレスさんも力が戻って、ミカゲも拘束具を着けなくても良い身体になって!」
そう言いながら、何度も涙を拭った。
この光景を見ていたソフィアステイルは、見た目は角っ子亜人だが中身が竜でしかも強大な力を持ち過ぎているミカゲが、この国では迫害されたり誰も友達も居ないだろうと踏んでいた考えを、改めざるを得ないなと実感していた。
「驚いた。ミカゲに、ミカゲの事をこんなに心配してくれる友達が居たとはな。」
本当に感心した様子で、ソフィアステイルはミカゲの頭をわしゃわしゃとかき回した。
「ソフィア~、ひどいんだち!あちしは別にどんな境遇でも平気だち。コレットとはつい最近友達になったんだけど、めちゃくちゃイイ子だち。あちしはコレットの事好きだち!」
ソフィアステイルにそう言うミカゲを見て、コレットは急に自信が無くなって行く感覚に襲われた。
自分はそんなに価値のある人間じゃないし、今この書架に集まっている中では人間は私一人だし、皆の役に立てる自信なんて全く無いし・・・・と、自身がこのメンバーの中では一番非力な人類であることが恥ずかしくなってしまっていた。
自分は、こんな所に居ても良いのだろうか?
ミカゲの友達と言うだけで、他は特に何の価値も無い人間だと言うのに・・・・
そんな考えをグルグル巡らせている思考を、ソフィアステイルは早々に読み取っていた。
ソフィアステイルの特技は『慟哭の門』を操る事だけではない。
他の者の思考を読み取る能力にも長けているのだった。
特に人間の思考を読み取りやすいと感じている様で、それで人間との付き合いを希薄にしてきたと言う経緯を持っていた。
自分の価値を見出せなくなっているコレットを見兼ねて、ソフィアステイルは声をかけた。
「コレットと言ったか、お前は何をそんなに悲観している?私から見ればお前はミカゲの心を解放に導いた立役者に見えるぞ?お前は非力でも何でもない、この書架に集う仲間たちの中で、青く煌めく宝石のような存在に見えるのだが?それとも私の目は節穴なのだろうか?」
と、ソフィアステイルの言葉を聞いたコレットは、顔を上げてこの言葉を投げかけた者の顔をしっかりと見据えた。
青い長い髪を三つ編みにして、度の強そうな眼鏡をかけているエルフの女性の姿を、その目に焼き付けた。
「大変報告が遅れましたが、ワタクシセレスは母レオルステイルとミカゲの協力を得て、見事世界樹の守護者の任から解き放たれました!」
と、高らかに宣言した。
高らかに言ったのは、階下でふてくされているグレアラシルの耳にも届く様に~と言う事だったが、大体的に宣言した方が自分もスッキリ爽快な気分になるだろうと踏んで、その様に叫んでみた様だ。
宣言したセレスは、宣言した事に酔って名実ともに世界樹の守護者では無くなった事が明確になった様な気がして、ニヤニヤとした喜びの笑みが止まら描くなっていた。
「因みに、新しい世界樹の守護者は、なんと!このあちしだち!!あちしがこれから先何百年か守護者をやることになったち!」
ミカゲも、セレスの真似なのかそれとも前々からヤル気だったのかは分からないが、同様に大きな声で宣言して腕をぐるぐる回した。
回されている腕に、今まで重々しくいくつもの腕輪の形状をした拘束具が着けられていた筈なのに、一切装着していない事に気付いたコレットは、
「それはそうとミカゲ、拘束具はどうしたの?着けてないと大変なことになるんでしょ?」
あの、拘束具を外して本性と言うか本体を露わにしてしまう可能性があるミカゲの事を心配して、コレットはミカゲに質問した。
それに対してミカゲは、
「もう、全然大丈夫なんだち!実は世界樹が拘束具の役割をしててくれるから、もう拘束具は必要なくなったんだち。」
と、満面の笑みで答えた。
コレットはそれを聞いて安堵して、ようやくミカゲに抱きついた。
そして、角の生えた頭を抱きかかえて、髪をもしゃもしゃになる程に撫でまわした。
「そうだったんだね~ミカゲはこれからセレスさんみたいに自由を失ったり、力が無くなったりするのかな?」
一番の疑問と言うか、今までのセレスの言い分では、世界樹に拘束されてメルヴィレッジから出られないと言うのと、力も吸収されて折角魔界人とエルフのハーフと言う魔力に恵まれた生まれをしているのに、殆ど人間と同じ位の魔法しか使えない100年間を過ごしてきた話を聞いて来たので、ミカゲも同じ様な状況になるのでは?と心配する気持ちが募ったのだ。
このコレットの問いかけにミカゲは、
「実はあちしは、氷炎竜グレアリー・ニーゼンヴォルフって言う竜の種類で、そのお陰で世界樹から力を取られたりメルヴィレッジから出られなくなったりしないんだち。だから、コレットは何も心配する必要なんて無いんだち!」
と、明るく元気良く答えた。
コレットはミカゲの答えに喜び、青い瞳から涙を流した。
「本当に、良かった。セレスさんも力が戻って、ミカゲも拘束具を着けなくても良い身体になって!」
そう言いながら、何度も涙を拭った。
この光景を見ていたソフィアステイルは、見た目は角っ子亜人だが中身が竜でしかも強大な力を持ち過ぎているミカゲが、この国では迫害されたり誰も友達も居ないだろうと踏んでいた考えを、改めざるを得ないなと実感していた。
「驚いた。ミカゲに、ミカゲの事をこんなに心配してくれる友達が居たとはな。」
本当に感心した様子で、ソフィアステイルはミカゲの頭をわしゃわしゃとかき回した。
「ソフィア~、ひどいんだち!あちしは別にどんな境遇でも平気だち。コレットとはつい最近友達になったんだけど、めちゃくちゃイイ子だち。あちしはコレットの事好きだち!」
ソフィアステイルにそう言うミカゲを見て、コレットは急に自信が無くなって行く感覚に襲われた。
自分はそんなに価値のある人間じゃないし、今この書架に集まっている中では人間は私一人だし、皆の役に立てる自信なんて全く無いし・・・・と、自身がこのメンバーの中では一番非力な人類であることが恥ずかしくなってしまっていた。
自分は、こんな所に居ても良いのだろうか?
ミカゲの友達と言うだけで、他は特に何の価値も無い人間だと言うのに・・・・
そんな考えをグルグル巡らせている思考を、ソフィアステイルは早々に読み取っていた。
ソフィアステイルの特技は『慟哭の門』を操る事だけではない。
他の者の思考を読み取る能力にも長けているのだった。
特に人間の思考を読み取りやすいと感じている様で、それで人間との付き合いを希薄にしてきたと言う経緯を持っていた。
自分の価値を見出せなくなっているコレットを見兼ねて、ソフィアステイルは声をかけた。
「コレットと言ったか、お前は何をそんなに悲観している?私から見ればお前はミカゲの心を解放に導いた立役者に見えるぞ?お前は非力でも何でもない、この書架に集う仲間たちの中で、青く煌めく宝石のような存在に見えるのだが?それとも私の目は節穴なのだろうか?」
と、ソフィアステイルの言葉を聞いたコレットは、顔を上げてこの言葉を投げかけた者の顔をしっかりと見据えた。
青い長い髪を三つ編みにして、度の強そうな眼鏡をかけているエルフの女性の姿を、その目に焼き付けた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
スコップは多分武器ではない……
モモん
ファンタジー
大地はすべてを生み出す母……、そんな思いから生まれた作品です。母なる大地が何を与えてくれるのか、一つのケースがここにあります。
……いや、違うだろ! そういう作品じゃねえぞ! ……などという反論は受け付けていませんので、ご了承くださいませ。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる