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第二章 ソラ・ルデ・ビアスの書架とは?
第21話 疾風の
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2人が荷物を取りに行ったり、一旦家に帰るなどをしている間、セレスは久しぶりに書架で一人になった。
ミカゲはコレットの護衛と言う事で共にコレットの家に向かったのだが、多分そのままコレットの家でお茶でも飲んだり何か食べたりしているうちに、時間が経って泊って行きなよ!と言う方向になって行くと思うので、多分今日は帰らないだろうとセレスは踏んで、前もってミカゲにその様な事になりそうだったらアタシに遠慮無く泊まってこい!と言っておいたりしていた。
朝食やデザートの片付けは、セレスがやっておくからと言ってグレアラシルやミカゲの手を借りる事は無かった。
と言うか、彼らが洗った方が断然早いのだが、それをやってもらうと今度は出かけて行く時間が無くなったり、また性懲りも無く毎日やってくるウザい嫌がらせの様なソルフゲイル軍魔導士と鉢合わせ層だったので、やんわりと断って早く用事を済ませて来る様にしたのだ。
案の定、セレスが皿洗い等々を終わって昼寝でもしようか?と思った時間帯に、またいつもの嫌がらせ?的な輩が書架の呼び鈴を鳴らす。
いつもはドアを普通に開けて入って来るのに今日はしおらしいな?と思いながら、台所から出入り口までの間にある本棚のジャングルをすり抜けて進む。
何十年?も全く片付けられていない本を横目に見ながら、「あとで!必ず片付ける!」と心の中で叫びつつセレスは進んだ。
しばらくするとドアの入り口に、見慣れた背格好の人物が立っている。
セレスはちょっと苦笑いしながら、書架の入り口のドアを開けた。
「なんだよ!久しぶりだな~ニーアーライル!元気そうで何よりだ!」
ドアの前には、まるでウサギの様な長い耳をした獣人の少女が居た。
身長はセレスと同じ位の160メルテ位だったが、長い耳が頭の上に鎮座しているので実際には180メルテ位の威圧感?を感じる。
髪の色は銀色に近い金色で、どこかの国の軍服の様な服装をしていた。
「や!久しぶりセレス。本当に何年会ってないのか?って位に久しぶりだね。」
言いながら、ニーアーライルと呼ばれた少女は書架の中に入った。
見た目は15歳位だが、多分この年齢は少女の真の年齢には匹敵しないだろう。
ニーアーライルが書架の中に入るとセレスは、書架のドアに鍵をかけて本日は店じまいの看板を下げる。
そして魔法で厳重にロックして、ソルフゲイルの厄介な魔導士が来ても開けられないまたは、書架の位置を把握出来ない様にした。
それを見ていたニーアーライルは、
「助かるよ。」
と言って笑顔になった。
セレスはニーア―ライルを書架の奥のダイニングキッチンに招き入れ、今日来た理由を尋ねる。
話のお供には、ミカゲが焼いたクッキーと、セレスが淹れると何故か美味しくなくなるコーヒーが置かれていたが、今回はグレアラシルのアドバイス通りに淹れてみたので、多分大丈夫だろう?と思いながらセレスはコーヒーをすすった。
「お!イケる!!」
セレスがコーヒーが美味いと舌鼓を打っているのをみて、ニーアーライルもカップに口を付けた。
「ぉおお!!マジ!!これはイケる!!」
セレスと同じ反応をして、コーヒーの美味しさを確かめた。
「え?どーしたんすか本当、セレスのコーヒーは不味いって言う代名詞は返上して、これからは美味しいコーヒーも飲めるカフェ書架にするのもアリっすよ!」
と、やたら絶賛している。
「こんなに美味しいんだったら~今度リテラも連れてきてイイっすか?」
と今度は友達を連れて来たいと言うニーアーライルに対してセレスは、
「いや、まだまだ修行中の身だ。もう少し練習して、いつでも美味しいコーヒーが淹れられる様になったら連れて来てくれ!」
と、断った。
断られたニーアーライルはと言うと、「へいへい、分かりましたよ~」と言いながら、クッキーを食べてはコーヒーを飲んでいた。
久しぶり過ぎる馴染みの友の来訪に少々浮足立っていたセレスだったが、今何故?この時期に急に?と言う疑問が先立ってきた。
「そーいやニーアーライル、久しぶりに会えて嬉しいんだけど、今日ここに来た理由はただ遊びに来ただけじゃないよな?」
そう言って、セレスはコーヒーを飲んだ。
セレスは今の一口でコーヒーが半分以下になってしまったので、ポットに残っているコーヒーを注ごうとする。
その光景を眺めていたニーアーライルは、一言ぽそっとこう言った。
「ルキソミュフィアとソルフゲイルが戦争をする。」
そう言って、うつむいた。
泣いている様にも見えた。
セレスは一瞬ポットを落としそうになったが、かろうじてテーブルの上に置く。
カップにはまだコーヒーは注がれていなかった。
「何で?どうして?また銀狼族の魔力が欲しいのか?あの国は?」
と、ニーアーライルに詰め寄ると、彼女は顔をセレスに向けて予想外の事を言った。
「世界樹の守護竜を狩る気なんだ。」
そういってまた、顔を伏せた。
自分にはどうする事も出来ないと、力不足なんだと呟きながらテーブルに突っ伏した。
「ちっ!世界樹の守護竜か・・・連中、なんでそんな厄介なヤツに目を付けたんだ・・・・・・」
セレスはソルフゲイルの考えを読み切れていない自分に苛立った。
腹立たしくも感じていた。
出来る事なら、銀狼族は全員保護して魔界に送り込みたい気分にもなったが、それを彼らは望まない。
そして今回は守護竜を捕獲したい様だ。
どこまでも私利私欲な国なんだろう。
しかしその望みは、断固として阻止しなければならないと、セレスは心に誓っていた。
「厄介な問題だな・・・アタシも助太刀して一緒に戦いに行きたい所だけど、今アタシは陰ながらこの国の王って事になっていて、更にこのメルヴィレッジ南端にある世界樹の守護者もやっていてさ、容易にこの土地を離れる事が出来なんだよ。」
と、助けたい意思を伝えながらその助けになれない理由を告げる。
ニーアーライルは、
「うん、知ってる。セレスも結構な重責を背負ってるよね。ウチの長老様みたいな~よりも大変そうだよ。」
と言って笑った。
「済まないな。」
そう言うセレスに対しても、首を横に振ってその厚意だけを受け取っていた。
「とりあえず、ボクはこの世界に散っている銀狼族の中でも特に疾風の技を使える人を集めてから、ルキソミュフィアに行って策を練ろうと思ってる。」
そう言いながらもう、その目は祖国を守らんとする軍人の目に変わっていた。
「本当、ニーアーライルは銀狼族の中では結構な年長者な方なのに頑張るね~疾風の技、まだソルフゲイルには知られてないんだろう?」
セレスがニーアーライルを褒めながら、ニーアーライル特有の業の事を聞いた。
「これからバレるかも知れないけど、ソルフゲイルでこの技を使える者は存在していないから、多分まだルキソの民が一瞬で消失しても信じられないかも知れないけどね!」
と、これから行う策の一端を暴露する。
「あ、これはまだ秘密だよセレス、ミカゲにも言ったらダメだよ!」
ペロっと舌を出しながら、セレスに口止めした。
セレスは、
「まぁ、あんまり危険な事はしない様に~って言っても聞かないと思うけど、でも、本当にヤバくなったら世界樹経由で何かメッセージ残しておいてくれ。そしたらアタシは、アタシに出来る最大限の事をやってニーアーライルの所に飛んでいくからさ!」
そう言ってニーアーライルの肩を叩いた。
『ニーアーライル』
かの、トトアトエ戦役の唯一の連れ去られなかった銀狼族の生き残りであり、蒼壁の大陸で疾風の技を使える銀狼族4人のうちの一人である。
第二章 完
ミカゲはコレットの護衛と言う事で共にコレットの家に向かったのだが、多分そのままコレットの家でお茶でも飲んだり何か食べたりしているうちに、時間が経って泊って行きなよ!と言う方向になって行くと思うので、多分今日は帰らないだろうとセレスは踏んで、前もってミカゲにその様な事になりそうだったらアタシに遠慮無く泊まってこい!と言っておいたりしていた。
朝食やデザートの片付けは、セレスがやっておくからと言ってグレアラシルやミカゲの手を借りる事は無かった。
と言うか、彼らが洗った方が断然早いのだが、それをやってもらうと今度は出かけて行く時間が無くなったり、また性懲りも無く毎日やってくるウザい嫌がらせの様なソルフゲイル軍魔導士と鉢合わせ層だったので、やんわりと断って早く用事を済ませて来る様にしたのだ。
案の定、セレスが皿洗い等々を終わって昼寝でもしようか?と思った時間帯に、またいつもの嫌がらせ?的な輩が書架の呼び鈴を鳴らす。
いつもはドアを普通に開けて入って来るのに今日はしおらしいな?と思いながら、台所から出入り口までの間にある本棚のジャングルをすり抜けて進む。
何十年?も全く片付けられていない本を横目に見ながら、「あとで!必ず片付ける!」と心の中で叫びつつセレスは進んだ。
しばらくするとドアの入り口に、見慣れた背格好の人物が立っている。
セレスはちょっと苦笑いしながら、書架の入り口のドアを開けた。
「なんだよ!久しぶりだな~ニーアーライル!元気そうで何よりだ!」
ドアの前には、まるでウサギの様な長い耳をした獣人の少女が居た。
身長はセレスと同じ位の160メルテ位だったが、長い耳が頭の上に鎮座しているので実際には180メルテ位の威圧感?を感じる。
髪の色は銀色に近い金色で、どこかの国の軍服の様な服装をしていた。
「や!久しぶりセレス。本当に何年会ってないのか?って位に久しぶりだね。」
言いながら、ニーアーライルと呼ばれた少女は書架の中に入った。
見た目は15歳位だが、多分この年齢は少女の真の年齢には匹敵しないだろう。
ニーアーライルが書架の中に入るとセレスは、書架のドアに鍵をかけて本日は店じまいの看板を下げる。
そして魔法で厳重にロックして、ソルフゲイルの厄介な魔導士が来ても開けられないまたは、書架の位置を把握出来ない様にした。
それを見ていたニーアーライルは、
「助かるよ。」
と言って笑顔になった。
セレスはニーア―ライルを書架の奥のダイニングキッチンに招き入れ、今日来た理由を尋ねる。
話のお供には、ミカゲが焼いたクッキーと、セレスが淹れると何故か美味しくなくなるコーヒーが置かれていたが、今回はグレアラシルのアドバイス通りに淹れてみたので、多分大丈夫だろう?と思いながらセレスはコーヒーをすすった。
「お!イケる!!」
セレスがコーヒーが美味いと舌鼓を打っているのをみて、ニーアーライルもカップに口を付けた。
「ぉおお!!マジ!!これはイケる!!」
セレスと同じ反応をして、コーヒーの美味しさを確かめた。
「え?どーしたんすか本当、セレスのコーヒーは不味いって言う代名詞は返上して、これからは美味しいコーヒーも飲めるカフェ書架にするのもアリっすよ!」
と、やたら絶賛している。
「こんなに美味しいんだったら~今度リテラも連れてきてイイっすか?」
と今度は友達を連れて来たいと言うニーアーライルに対してセレスは、
「いや、まだまだ修行中の身だ。もう少し練習して、いつでも美味しいコーヒーが淹れられる様になったら連れて来てくれ!」
と、断った。
断られたニーアーライルはと言うと、「へいへい、分かりましたよ~」と言いながら、クッキーを食べてはコーヒーを飲んでいた。
久しぶり過ぎる馴染みの友の来訪に少々浮足立っていたセレスだったが、今何故?この時期に急に?と言う疑問が先立ってきた。
「そーいやニーアーライル、久しぶりに会えて嬉しいんだけど、今日ここに来た理由はただ遊びに来ただけじゃないよな?」
そう言って、セレスはコーヒーを飲んだ。
セレスは今の一口でコーヒーが半分以下になってしまったので、ポットに残っているコーヒーを注ごうとする。
その光景を眺めていたニーアーライルは、一言ぽそっとこう言った。
「ルキソミュフィアとソルフゲイルが戦争をする。」
そう言って、うつむいた。
泣いている様にも見えた。
セレスは一瞬ポットを落としそうになったが、かろうじてテーブルの上に置く。
カップにはまだコーヒーは注がれていなかった。
「何で?どうして?また銀狼族の魔力が欲しいのか?あの国は?」
と、ニーアーライルに詰め寄ると、彼女は顔をセレスに向けて予想外の事を言った。
「世界樹の守護竜を狩る気なんだ。」
そういってまた、顔を伏せた。
自分にはどうする事も出来ないと、力不足なんだと呟きながらテーブルに突っ伏した。
「ちっ!世界樹の守護竜か・・・連中、なんでそんな厄介なヤツに目を付けたんだ・・・・・・」
セレスはソルフゲイルの考えを読み切れていない自分に苛立った。
腹立たしくも感じていた。
出来る事なら、銀狼族は全員保護して魔界に送り込みたい気分にもなったが、それを彼らは望まない。
そして今回は守護竜を捕獲したい様だ。
どこまでも私利私欲な国なんだろう。
しかしその望みは、断固として阻止しなければならないと、セレスは心に誓っていた。
「厄介な問題だな・・・アタシも助太刀して一緒に戦いに行きたい所だけど、今アタシは陰ながらこの国の王って事になっていて、更にこのメルヴィレッジ南端にある世界樹の守護者もやっていてさ、容易にこの土地を離れる事が出来なんだよ。」
と、助けたい意思を伝えながらその助けになれない理由を告げる。
ニーアーライルは、
「うん、知ってる。セレスも結構な重責を背負ってるよね。ウチの長老様みたいな~よりも大変そうだよ。」
と言って笑った。
「済まないな。」
そう言うセレスに対しても、首を横に振ってその厚意だけを受け取っていた。
「とりあえず、ボクはこの世界に散っている銀狼族の中でも特に疾風の技を使える人を集めてから、ルキソミュフィアに行って策を練ろうと思ってる。」
そう言いながらもう、その目は祖国を守らんとする軍人の目に変わっていた。
「本当、ニーアーライルは銀狼族の中では結構な年長者な方なのに頑張るね~疾風の技、まだソルフゲイルには知られてないんだろう?」
セレスがニーアーライルを褒めながら、ニーアーライル特有の業の事を聞いた。
「これからバレるかも知れないけど、ソルフゲイルでこの技を使える者は存在していないから、多分まだルキソの民が一瞬で消失しても信じられないかも知れないけどね!」
と、これから行う策の一端を暴露する。
「あ、これはまだ秘密だよセレス、ミカゲにも言ったらダメだよ!」
ペロっと舌を出しながら、セレスに口止めした。
セレスは、
「まぁ、あんまり危険な事はしない様に~って言っても聞かないと思うけど、でも、本当にヤバくなったら世界樹経由で何かメッセージ残しておいてくれ。そしたらアタシは、アタシに出来る最大限の事をやってニーアーライルの所に飛んでいくからさ!」
そう言ってニーアーライルの肩を叩いた。
『ニーアーライル』
かの、トトアトエ戦役の唯一の連れ去られなかった銀狼族の生き残りであり、蒼壁の大陸で疾風の技を使える銀狼族4人のうちの一人である。
第二章 完
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