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第二章 ソラ・ルデ・ビアスの書架とは?
第16話 衝撃の事実
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その話かー・・・と呟きながらセレスは溜息をつき、コーヒーカップに残っていたコーヒーを一気に飲んだ。
かなり面倒臭い話の様で、腕組みをして目をつむる。
そして頭の中でひと段落した後、話し始めた。
「実はこの話、非常に長くなるんだ。それでも良ければ聞いてくれ。このソラ・ルデ・ビアスの書架にはこの大陸にはあまり存在していない魔法の魔導書が所蔵されている。その中には、魔導士なら喉から手が出る程欲しい魔法がてんこ盛りさ。でも、何でそんな貴重なる魔法が多いのか?って言う疑問が生じて来るよな?コレットも、あの書棚に入ってる本を見てちょっとオカシな感じがしただろう?」
セレスは、コレットが書棚から持ってきたであろう本を膝の上に乗せたまま食事をしていたのを見て、これは本の事を質問攻めにされるだろうな?と思って、先手を打って魔導書の話をし始めたのだ。
「そうです!さっき少し立ち読みさせてもらって、でも気になって1冊持ってきた本の著者が、何とセレスさんで!これって、セレスさんが魔法の研究をしていてそれで書いた本なんですよね?」
コレットは興味津々でセレスに問いかける。
セレスは首を横に振りながら、
「いや、アタシは全然魔法の研究なんてしてないよ、アタシが昨日の戦闘で使った魔法なんて、元々使いやすいように既にまとまっていた魔法でね。武器錬成の魔法だけは少し興味があったからアタシが少し研究してみた所もあるんだけど、それ以外は殆どオヤジの持ってた魔導書をこの世界の言葉で書き直しただけの本なんだよ。」
と言った。
「ええっとスミマセン姐さん、オヤジって誰ですか?普通にお父さんって事でイイんですかね?」
口をはさんできたのは意外にもグレアラシルで、オヤジと言う単語に恐れ慄いている様だった。
「あ、ああーー!そうか、成程ね!グレは婿志願した手前、アタシのオヤジに挨拶でもしないと~と思ったわけだ。」
考えを見抜かれたグレアラシルは、また恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
「いやいやいや~~、無理でしょ!アイツに会うのは普通の人間では無理。ライカンスロープなんて、アタシらから見たら人間と同じよ。」
と言ってセレスは笑う。
「アタシらから見たら人間と同じ」と言う言葉に違和感を覚えたコレットは、
「え?それってセレスさんは全然人間から遠く離れた種族の人って事になるんですか?」
と質問する。
「まぁ、そうなるね。追々バラすのも面倒だからこの際言っちゃうけど、アタシとミカゲはこの世界の人間じゃない、この世界から見た異世界である魔界から来てるんだ。」
セレスの言葉を耳にしたコレットとグレアラシルには、少なからず戦慄が走った。
魔界?
魔族とか魔物とかが溢れる混沌とした闇の世界?
そんな所がセレスの故郷だと言うのか?
「まぁまぁ、アタシは完全に魔族って訳でも無くて、でも全然人間からは程遠いけど、メルヴィレッジには存在しないエルフの血を引いてる言わば、魔族とエルフのハーフって所なんだけどね。」
ご飯に夢中なミカゲを除いた2人は、まるで言葉が出ない。
一体何を質問すればいいのか分からなくなっていた。
「で、オヤジは完全なる魔族なんだけど、魔界の王でも何でも無くて魔界の街の一角で、この書架みたいな古本屋をやっていたんだ。ただ好奇心が非常に旺盛な人でさ、ある日この世界~蒼壁の大陸に出られる空間のひずみを見つけてしまった。思い立って入ってみると、そこはもう蒼壁の大陸の当時メルヴィレッジでもトトアトエでもない、何でもない国に出てしまっていたんだ。」
と、話を一旦区切った。
するとミカゲが、
「あちしはその頃魔王の御影の職をクビになったばかりで、竜だけ売ってるペットショップでオヤジさんに買われたんだち。その後はオヤジさんにくっついて世界中を旅したんだち~楽しかったんだち~!」
と言って、昔の記憶を辿った。
「魔王の御影の話、ソルフゲイル軍の人の1人が語ってましたが・・・あれは真実だったんですね。でも一体どこでその情報を知り得たんでしょう、それとももしかしてミカゲ?あなたが昔その事実を色んな人に話して回ったとか?」
コレットはふと思い出して、ミカゲに問いかける。
すると、
「あ!コレット、よく分かったんだち!そーなんだち!あちしがこの身体になった時に自己紹介のつもりで昔、色んな人に喋っちゃったんだち。でもオヤジさんにはメッタ刺しにされる位怒られたんだち・・・・」
と、何となく予想していたような答えが返ってきたので、コレットは深いため息をついて右手を額に当てた。
「と言う感じで、アタシはある程度大きくなった頃にこの世界に連れてこられた。それから~~・・・・・何年経ったかな?この世界と魔界とでは、時間の感覚が丸っきし違うんでな、慣れるまでにかなりの時間がかかったよ。」
「ええ?そんなに時間の過ぎ方とか違うんですか?」
「そうなんだよ、向こうじゃ1年は36ヶ月もあって1ヶ月の日数も36日。一方この世界では基本的に1ヶ月は30日で1年は13ヶ月だろ?だからアタシらこの世界では、約3年に1回しか歳を取れないって計算になるんだよ。」
とセレスは言って、お茶をすすった。
かなり面倒臭い話の様で、腕組みをして目をつむる。
そして頭の中でひと段落した後、話し始めた。
「実はこの話、非常に長くなるんだ。それでも良ければ聞いてくれ。このソラ・ルデ・ビアスの書架にはこの大陸にはあまり存在していない魔法の魔導書が所蔵されている。その中には、魔導士なら喉から手が出る程欲しい魔法がてんこ盛りさ。でも、何でそんな貴重なる魔法が多いのか?って言う疑問が生じて来るよな?コレットも、あの書棚に入ってる本を見てちょっとオカシな感じがしただろう?」
セレスは、コレットが書棚から持ってきたであろう本を膝の上に乗せたまま食事をしていたのを見て、これは本の事を質問攻めにされるだろうな?と思って、先手を打って魔導書の話をし始めたのだ。
「そうです!さっき少し立ち読みさせてもらって、でも気になって1冊持ってきた本の著者が、何とセレスさんで!これって、セレスさんが魔法の研究をしていてそれで書いた本なんですよね?」
コレットは興味津々でセレスに問いかける。
セレスは首を横に振りながら、
「いや、アタシは全然魔法の研究なんてしてないよ、アタシが昨日の戦闘で使った魔法なんて、元々使いやすいように既にまとまっていた魔法でね。武器錬成の魔法だけは少し興味があったからアタシが少し研究してみた所もあるんだけど、それ以外は殆どオヤジの持ってた魔導書をこの世界の言葉で書き直しただけの本なんだよ。」
と言った。
「ええっとスミマセン姐さん、オヤジって誰ですか?普通にお父さんって事でイイんですかね?」
口をはさんできたのは意外にもグレアラシルで、オヤジと言う単語に恐れ慄いている様だった。
「あ、ああーー!そうか、成程ね!グレは婿志願した手前、アタシのオヤジに挨拶でもしないと~と思ったわけだ。」
考えを見抜かれたグレアラシルは、また恥ずかしそうに両手で顔を覆う。
「いやいやいや~~、無理でしょ!アイツに会うのは普通の人間では無理。ライカンスロープなんて、アタシらから見たら人間と同じよ。」
と言ってセレスは笑う。
「アタシらから見たら人間と同じ」と言う言葉に違和感を覚えたコレットは、
「え?それってセレスさんは全然人間から遠く離れた種族の人って事になるんですか?」
と質問する。
「まぁ、そうなるね。追々バラすのも面倒だからこの際言っちゃうけど、アタシとミカゲはこの世界の人間じゃない、この世界から見た異世界である魔界から来てるんだ。」
セレスの言葉を耳にしたコレットとグレアラシルには、少なからず戦慄が走った。
魔界?
魔族とか魔物とかが溢れる混沌とした闇の世界?
そんな所がセレスの故郷だと言うのか?
「まぁまぁ、アタシは完全に魔族って訳でも無くて、でも全然人間からは程遠いけど、メルヴィレッジには存在しないエルフの血を引いてる言わば、魔族とエルフのハーフって所なんだけどね。」
ご飯に夢中なミカゲを除いた2人は、まるで言葉が出ない。
一体何を質問すればいいのか分からなくなっていた。
「で、オヤジは完全なる魔族なんだけど、魔界の王でも何でも無くて魔界の街の一角で、この書架みたいな古本屋をやっていたんだ。ただ好奇心が非常に旺盛な人でさ、ある日この世界~蒼壁の大陸に出られる空間のひずみを見つけてしまった。思い立って入ってみると、そこはもう蒼壁の大陸の当時メルヴィレッジでもトトアトエでもない、何でもない国に出てしまっていたんだ。」
と、話を一旦区切った。
するとミカゲが、
「あちしはその頃魔王の御影の職をクビになったばかりで、竜だけ売ってるペットショップでオヤジさんに買われたんだち。その後はオヤジさんにくっついて世界中を旅したんだち~楽しかったんだち~!」
と言って、昔の記憶を辿った。
「魔王の御影の話、ソルフゲイル軍の人の1人が語ってましたが・・・あれは真実だったんですね。でも一体どこでその情報を知り得たんでしょう、それとももしかしてミカゲ?あなたが昔その事実を色んな人に話して回ったとか?」
コレットはふと思い出して、ミカゲに問いかける。
すると、
「あ!コレット、よく分かったんだち!そーなんだち!あちしがこの身体になった時に自己紹介のつもりで昔、色んな人に喋っちゃったんだち。でもオヤジさんにはメッタ刺しにされる位怒られたんだち・・・・」
と、何となく予想していたような答えが返ってきたので、コレットは深いため息をついて右手を額に当てた。
「と言う感じで、アタシはある程度大きくなった頃にこの世界に連れてこられた。それから~~・・・・・何年経ったかな?この世界と魔界とでは、時間の感覚が丸っきし違うんでな、慣れるまでにかなりの時間がかかったよ。」
「ええ?そんなに時間の過ぎ方とか違うんですか?」
「そうなんだよ、向こうじゃ1年は36ヶ月もあって1ヶ月の日数も36日。一方この世界では基本的に1ヶ月は30日で1年は13ヶ月だろ?だからアタシらこの世界では、約3年に1回しか歳を取れないって計算になるんだよ。」
とセレスは言って、お茶をすすった。
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