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第一章 ライカンスロープとの決戦
第7話 ライカンスロープとの対戦1
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「グングニル?これは・・・伝説級の武器ですよ・・・どこぞの世界の王が使ったと言われる・・・」
眩い光の中から出現したかつての英雄の武器を目の当たりにしたコレットは、目を輝かせた。
先程まで、ただの銀色の金属の玉だったものが、セレスの手の上で3人分の魔力を練られて込められて、古の伝説の武器の魂を定着させたのだ。
「と言っても、完全にグングニルの魂を定着させるまでには至って無くてね、今回でグングニルと会うのは3回目だったりするんだけど、未だに時間制限の縛りからは抜け出せずに居るんだコレが。」
と、セレスは残念そうに肩をすくませながらグングニルをミカゲに渡す。
そして、
「制限時間も顕現させてから小一時間と短いしな~、せめて2時間位は持続させられるようにならないと、まともな戦闘で使う事すら出来やしない半端な召喚錬成魔法だったりするから、まだまだ改善と研究が必要な魔法なんだよな~。」
と言って頭を抱えた。
そうこうしているうちに、セレスの目でも怪しい人影が目視出来る程に近づいている事に気が付いた。
「やっこさん、アタシの目にも映る位の距離に来ているよミカゲ、後はグングニルで仕留めちまいな!」
ニッカリと白い歯を見せながら笑って、セレスはミカゲに合図した。
当のミカゲは?と言うと、驚異的な運動能力を行使して、かの礼拝堂と思しき建物の屋根の方まで駆けて上って行って、ライカンスロープだと例の言う男を待ち伏せている。
空を見上げると、先程までは厚い雲で覆われていた筈の夜空から天空の星々がチラリチラリと見え隠れしていた。
これはもうすぐ雲が晴れて、二つの月が顔を出すのも時間の問題だろう。
魔力で顕現させた武器を、自分の名で縛って使役する様に仕向けていた様だったにも関わらず、アッサリとミカゲに手渡したのを不思議に思ったコレットはセレスに、
「あの武器、セレスさんが使うんじゃなかったんですね?」
と問うと、
「アタシはもっぱら魔法を使う側でね、戦いとかナントカ身体を使う方はミカゲの方が専売特許って感じなのさ、何せアイツは・・・・っと、今は秘密だ。」
口に手を当てて、何かを言うのを封じ込める。
コレットはこれもかなり気になったが、セレスに無理強いして今聞かなくても多分近いうちに話してくれる機会が訪れるだろうと予感していた。
「さて、ヤツが来たようだね~、ミカゲもかなりの戦闘態勢だ。アタシもそろそろ救援魔法でも仕込んどくかな。」
かなり楽しそうに新しい魔法を仕込み始めるセレスを前にして、コレットは何も出来ずに居た。
と言うのも、コレットの目には追手の男の姿が全く見えていなかったからなのだ!
「私の目、悪いんでしょうか?全然追手が見えないんですけど・・・・」
セレスに下がってなと言われて言われるままにセレスの後ろに下がったコレットは、この戦闘では自分には何も出来ないのか?と悲観した。
すると、その心を読んだかの様にセレスが、
「コレットは水魔法が得意なんだろう?ミカゲが傷ついたら水魔法の回復魔法をかけてやってくれ!」
と言って来た。
コレットは、この戦闘では何も出来ないかも知れないけど、誰かの助けにはなるかも知れない事を理解した。
「セレスぅ!ヤツが来たち!!」
ミカゲが礼拝堂の屋根の上で叫ぶ。
「来たね来たね!久しぶりだよ、ライカンスロープのアイツ。賞金稼ぎギルド以来だね~グレアラシル君!」
セレスは、近づいてくる男をそう呼んだ。
まるで、昔馴染みの友人に久しぶりに会った様な口ぶりだった。
眩い光の中から出現したかつての英雄の武器を目の当たりにしたコレットは、目を輝かせた。
先程まで、ただの銀色の金属の玉だったものが、セレスの手の上で3人分の魔力を練られて込められて、古の伝説の武器の魂を定着させたのだ。
「と言っても、完全にグングニルの魂を定着させるまでには至って無くてね、今回でグングニルと会うのは3回目だったりするんだけど、未だに時間制限の縛りからは抜け出せずに居るんだコレが。」
と、セレスは残念そうに肩をすくませながらグングニルをミカゲに渡す。
そして、
「制限時間も顕現させてから小一時間と短いしな~、せめて2時間位は持続させられるようにならないと、まともな戦闘で使う事すら出来やしない半端な召喚錬成魔法だったりするから、まだまだ改善と研究が必要な魔法なんだよな~。」
と言って頭を抱えた。
そうこうしているうちに、セレスの目でも怪しい人影が目視出来る程に近づいている事に気が付いた。
「やっこさん、アタシの目にも映る位の距離に来ているよミカゲ、後はグングニルで仕留めちまいな!」
ニッカリと白い歯を見せながら笑って、セレスはミカゲに合図した。
当のミカゲは?と言うと、驚異的な運動能力を行使して、かの礼拝堂と思しき建物の屋根の方まで駆けて上って行って、ライカンスロープだと例の言う男を待ち伏せている。
空を見上げると、先程までは厚い雲で覆われていた筈の夜空から天空の星々がチラリチラリと見え隠れしていた。
これはもうすぐ雲が晴れて、二つの月が顔を出すのも時間の問題だろう。
魔力で顕現させた武器を、自分の名で縛って使役する様に仕向けていた様だったにも関わらず、アッサリとミカゲに手渡したのを不思議に思ったコレットはセレスに、
「あの武器、セレスさんが使うんじゃなかったんですね?」
と問うと、
「アタシはもっぱら魔法を使う側でね、戦いとかナントカ身体を使う方はミカゲの方が専売特許って感じなのさ、何せアイツは・・・・っと、今は秘密だ。」
口に手を当てて、何かを言うのを封じ込める。
コレットはこれもかなり気になったが、セレスに無理強いして今聞かなくても多分近いうちに話してくれる機会が訪れるだろうと予感していた。
「さて、ヤツが来たようだね~、ミカゲもかなりの戦闘態勢だ。アタシもそろそろ救援魔法でも仕込んどくかな。」
かなり楽しそうに新しい魔法を仕込み始めるセレスを前にして、コレットは何も出来ずに居た。
と言うのも、コレットの目には追手の男の姿が全く見えていなかったからなのだ!
「私の目、悪いんでしょうか?全然追手が見えないんですけど・・・・」
セレスに下がってなと言われて言われるままにセレスの後ろに下がったコレットは、この戦闘では自分には何も出来ないのか?と悲観した。
すると、その心を読んだかの様にセレスが、
「コレットは水魔法が得意なんだろう?ミカゲが傷ついたら水魔法の回復魔法をかけてやってくれ!」
と言って来た。
コレットは、この戦闘では何も出来ないかも知れないけど、誰かの助けにはなるかも知れない事を理解した。
「セレスぅ!ヤツが来たち!!」
ミカゲが礼拝堂の屋根の上で叫ぶ。
「来たね来たね!久しぶりだよ、ライカンスロープのアイツ。賞金稼ぎギルド以来だね~グレアラシル君!」
セレスは、近づいてくる男をそう呼んだ。
まるで、昔馴染みの友人に久しぶりに会った様な口ぶりだった。
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