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(番外編・ふぁんぼサンプル)'21はぴば!佐光さん
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※本文一部抜粋
'21 はぴば✩佐光さん!
俺は今、とてもウキウキワクワクしている。
なぜなら、今日11月13日は俺の大好きな佐光さんの誕生日だからだ!
そもそも所謂セフレである俺が、なんで自分の無頓着な佐光さんの誕生日を知れたかというところから、教えてやろう。
この間、佐光さんのお店にサプライズで遊びに行ったら受付のマリコちゃんがいて、俺にこっそり「そういえば佐光ちゃんの誕生日、今月の13日よ。好きなんでんしょ?何かあげたら?」と言ってくれたのだ。
それを聞いた俺はウッキウキワックワクになった。なったのだが、如何せん。
俺には友人と呼べる者がいないので、誕生日をお祝いしたことが無い。
表情が一瞬で変わった俺を察してマリコちゃんが、「あたしが一緒に選んであげよっか?」と頭を撫でてくれたのが始まり。
俺とマリコちゃんは翌日、佐光さんに内緒でショッピングモールに来た。
俺はアルバイトをしていなかったので、お金はマリコちゃんが出してくれてしまった。
でも、何だかそれは切なくて寂しくなったし情けなくなったので、何かバイトを始めようかなぁと考え中。
それはそれとして、プレゼント選びは大分難航した。
だって人に選んだことがないし、何より佐光さんは自分のことなんっにも喋んないんだもん。
佐光さんが好きそうなものとか、欲しい物とかなんにも分かんない。
好きな色さえ知らない。
「佐光ちゃんはねェ……」
それはどうやらマリコちゃんも一緒らしい。
佐光さんの好きなものを語ろうとしたらしいけれど、途中で言葉につまり誤魔化し笑いをしていた。
佐光さんは誰にも自分の話をしていないようだ。
「まあでもほら!こたちゃんから貰ったものならきっと何でも喜ぶわよ!ね!」
無駄に励まされ、そこまで落ち込んでなかった俺はちょっと落ち込んだ。
けれど来たからには何か選んで帰りたいので、俺とマリコちゃんはとりあえず香水ショップを覗く。
「あ、でも佐光ちゃんて優男な風貌だし香水つけてそうだけど意外とつけてないのよネ」
そんなマリコちゃんのセリフで次はアクセサリーショップに向かった。
「あ!忘れてた。佐光ちゃん、施術者だからアクセサリー系はずっとはつけてらんないのよォ」
これまたダメだった。
次は紳士服売り場に行ってみた。
「そういえば佐光ちゃんは同じデザインの決まった服しか着ないのよねェ。いっぱいあるとめんどくさいみたい」
お次は靴屋。
「佐光ちゃん、革靴嫌いなのよネ」
ネクタイ。
「スーツ着ないしねェ」
メガネ。
「度が分かんないわネ」
全滅だった。
「前々から思ってはいたけど、佐光ちゃんって本当どうやって生きてきたのかしらネ」
「マリコちゃんも知らないんだ」
「所詮ビジネスパートナーだからねェ。佐光ちゃんが取っかえ引っ変え別の可愛い男の子を連れ込んでるのは何回か見かけてはいるけど」
なんてこったい。
「でも安心して!こたちゃんに出会ってからこたちゃん以外の男の子はいなそうよ!」
“いなそう”
居ないわけではなさそうだ。
それよりプレゼントはどうしたらいいのだろうか。
あげて捨てられても苦しいしなぁ。
「ねェここまで連れ回してこんな事言うのアレなんだけど、」
マリコちゃんは申し訳なさそうに俺を見て言う。
「ううん。なぁに?」
「プレゼントはさ、こたちゃんがいいんじゃない?」
「うん?」
だから選びに来ているじゃないか、と言ってしまいそうだったけど、マリコちゃんの言ってる意味が違うのが何となくわかる。
それは、つまり?
「プレゼントは、こたちゃん自身、なんてのはどう?なんか1番喜びそうな気がしてきた」
半ば呆れたような顔をするマリコちゃんに俺は「ええー!」と目を丸くする。
「絶対ないよ!」
「え、なんで?」
マリコちゃんも目をぱちくりさせて俺を見た。
「だって俺、恋人じゃないもん。ラブラブならまだしも、俺なんか貰ったって1番捨てられるよ!」
元気いっぱい満点笑顔で言えば、マリコちゃんはむす、と顔を顰めた。
「こたちゃん。そんなふうに佐光ちゃんに言われてるの?」
「?言われてないよ?」
「じゃあ、こたちゃんが勝手にそう思ってるだけ?」
勝手も何も、皆そうだったし、佐光さんだって恋人にはしてくれないし、好きとも言われないから、事実だろう。
「こたちゃんは可愛くていい子よ。だから自分のこと、大切にしてあげてね。自分の1番の親友は自分なのヨ」
マリコちゃんは不思議な人だ。
価値が無いから愛されていないのに、何でそんなことを言うのだろう。
悪い気はしないけれど、不思議な気持ちになった。
「よし!やっぱプレゼントはこたちゃんにしよう!そうと決まったらこたちゃんを飾り付けなきゃね!」
「え!?本当に俺なの!?」
マリコちゃんは俺の声なんて聞かずに、腕をつかみずんずん引っ張って行った。
[newpage]
そうして飾り付けられたのが今の俺。
鏡で見たけど、中々の別人だった。
いつも寝癖そのままな頭は綺麗にセットされて、傷んでた髪も綺麗にしてもらってて、服もとてもいいものをマリコちゃんがプレゼントしてくれた。
まるで俺がお誕生日みたいな気分だ。
そうして仕事でいない佐光さんより早く家に帰ると、ドアノブに紙袋がかかってた。
中を覗くと、メモ紙と包み紙にくるまれた箱が入っていた。
『佐光、おたおめー。
特別にコレ、こたろーと使っていーぜ♡」
そんなメッセージがかかれていたので、慌ててしまい紙袋と共に部屋に入った。
後で俺から渡そう。
佐光さんきっとお誕生日は忘れてるだろうから。
飾り付けされた俺は、いつものエプロンを身にまといスーパーで買ってきた、比較的佐光さんが好きそうなメニューを作って帰りを待つことにした。
[newpage]
19時を少し過ぎた頃、佐光さんが音を立てて帰ってきた。
小綺麗な俺は何となく落ち着かなくてリビングを行ったり来たりしていたが、その音を聞いて慌てて玄関に飛び出した。
「うわ、ビックリした」
突然飛び出した俺に驚いた佐光さんは、のんびりゆっくりそんな台詞を吐く。
「おかえり!佐光さん!」
「うん。ただいま……あれ、琥太朗。そんな服持ってたの?」
服に無頓着な佐光さんが何故か俺の服にいち早く気づいてくれた!
俺は嬉しくなって思い切り首を縦に振る。
「うん!あのな、マリコちゃんが買ってくれたんだ。どう?」
「ふぅん。なんで?誕生日?」
誕生日はアンタだよ、とはとりあえず言わないでおこう。
「誕生日じゃない!なあ、どう?」
今の俺は綺麗な佐光と並んで歩けるほど、小綺麗だと思う。
「良いんじゃない」
「まじ!やった!」
そんな在り来りな台詞だとしても嬉しい。佐光さんは俺の喜びも他所に「ねえ退いて。お腹減った」なんて言うのでとりあえず退いた。
リビングに入った佐光さんは口数が少ないのに今日は「わあ、何これ」なんて言っている。
「佐光さんがいっぱい食えるやつだけ作った!どう?どう?」
佐光さんの周りをぴょんぴょこ飛び跳ねながら聞きまわると、佐光さんは僅かに鬱陶しそうにする。
「……なんで?今日何かあったの?」
「うん!」
「何があったらこんな量になるの」
ちょっと怒ってる……?
佐光さんは少食だから本当はもっと少なくしようって思ったんだけど、いっぱい食べてもらいたいものがあって作りまくったら物凄い量になってしまった。
佐光さんは自分が誕生日だって分かってないみたいだから、余計に煩わしいのかもしれない。
「あのな、今日……えっと、」
何となくピリついた佐光さんに「お前誕生日だぜ!しかもプレゼントは俺だぜ!」なんて言いづらい。物凄く。ものすごーく。
だからモジモジ言い淀んでいると、佐光さんは黙って待ってくれているものの雰囲気はあまり良くなかった。
「……今日、佐光さんの誕生日……だから」
「……誕生日?」
案の定、佐光さんは目を丸くして俺を見たあと、料理たちを凝視した。
おずおずと佐光さんの隣にいき、佐光さんの袖をギュッと掴む。
怒りませんように、嫌われませんように、と思いを込めて。
「佐光さん忘れてると思って……俺、マリコちゃんからたまたま聞いたんだ。そんでいつもお世話になってるから……なんかお返ししたくて……でも俺お金ないし佐光さんが何好きかも分かんなくて……」
俯いてぼそぼそ喋ると暫く黙っていた佐光さんが僅かに動いて、ぽんって俺の頭に手を置いた。
「なるほどね。だからこんなに沢山あるんだ」
ぱっと顔を上げると佐光さんの雰囲気はいつもの無な感じに戻っていた。
「じゃあその綺麗な格好も俺のため?」
「!うん!!マリコちゃんがな買ってくれたんだ!」
「へぇ。髪もセットしてもらったんだ?」
「うん!」
「それで?」
「え?」
佐光さんは僅かに口角を上げて俺の顔を覗き込む。
「そんなに身支度整えて、目的が無いわけじゃないよね?」
も、目的……って、それっていうのはつまり……。
「……マリコに綺麗にしてもらってどうするつもりだったの?そのままお風呂はいって寝ます、ってわけじゃないよね」
にっこり笑われるが、やっぱり言い出せず、俺はソファに置いておいた志場さんからの紙袋を持って佐光さんに押付けた。
「こ、これ!!志場さんからプレゼント!ドアノブかかってたから!」
ぎゅっと目を瞑って押し付けると、佐光さんは怪訝そうな顔で紙袋を受け取り中を見る。
ガサゴソ音がして箱の包み紙が破ける音がし、俺も佐光さんの隣にいって一緒に箱を見た。
「……」
包み紙が破かれ、箱が出てくると、それはもう本当に……どこで買ってきたんだろうと思うような物でした。
「琥太朗と使えだって」
いつもより楽しそうにニヤける佐光さん。
俺は目線を逸らす。
「そ、それより!ご飯食お!冷めちゃうから!な!」
「……まあいいけど」
ちょっと不満げな佐光さんだったけれど、不機嫌てほどでは無さそうだった。
俺はああでもないこうでもないと、佐光さんに話しかけながら、言い出すタイミングをいつにするかはかりかねていた。
やっぱり自分が誕プレ……なんて言えない。
俺からの誕プレはさっきの夕飯って事にして風呂はいって寝よう。そうだそうしよう。
食器を片している時そう思いたった俺はリビングで寛いでいる佐光さんの元へ行こうと手を拭ったその時、
「琥太朗」
ふわり、と仕事終わりで消毒と僅かに他人の匂いが移っている佐光さんの香りが強くそばにある。
ぎゅ、と後ろから抱き締められ体温を感じさせられれば、俺の心臓は破裂しそうなほど鳴っていた。
「お前からは何貰えるの」
「……、」
佐光さんの掠れた低い声が耳元で囁く。
耳にあたる温かい息とその声の低さは、いつも致している時にしか感じないものなのに。
なんで。いま。
「まさか、何も無いなんて言わないよね」
面白そうに言うその声音に、俺はからかわれているのだと気づくも、心臓がドキドキしすぎて何も返せない。
「……ねえ、琥太朗」
「…りょ、」
僅かに声を絞り出すと、佐光さんは「ん?」と聞き返す。
「りょ、りょーり!俺からはさっきの夕飯がプレゼントだから!俺、こういう時何あげたらいいか分かんなくて、とりあえずご飯、に、した……だ、だから、も、もうない、おめでとう、佐光さ……っ、ぁ!」
振り向かずに言いきろうとしたけれど、モゾモゾと佐光さんの手が服の中に入ってきて、思わず体を震わしてしまう。
「……ま、まって、さみ、つさ……」
「自分で自分の体綺麗にして偉いね、琥太朗。後ろもちゃんと準備してあるんだ」
くちゅり、と後孔に触れられ、仕込んでいたローションがとろりと溢れ出してしまう。
その感覚に腰が抜けずるりと床に倒れ込む。
それを後ろから佐光さんが支えてくれた。
「ね、琥太朗。”本当の”プレゼント、ちょーだいよ」
「んぅ、ぁ……っ、ふ」
耳をわざとらしくねぶられたらもうどうしようも無かった。
泣き出したい程に恥ずかしい。なんでこんなに恥ずかしいのかと思えば多分、俺から誘った事がないからだ。
求められるままに足を開き受け入れてきた。
求められなければ求めない。
そうやって過ごしてきたのに、今は自分から抱かれたいと告げなくてはならない。
瑛の時だって求めた事なんて無かったのに。
心臓が破裂しそうで苦しい。
けれどそれと同時に、触れてほしくて疼く体も苦しい。
「……こたろー?」
甘く優しい佐光さんの声は俺の体も心も溶かしてしまう。
ああもうほんとうに、この声も這いずる平たくてかたい手も、ぜんぶぜんぶぜんぶ、
大好きだ
「……佐光さんへの、俺からの……プレゼントは……”おれ”……です」
佐光さんは俺の台詞に目を細める。
「何していいの」
その言葉に俺は佐光さんに抱きつき、顔を埋める。
くぐもって聞こえづらいくらいの粗は許して欲しいと思う。
「……すきに、して……して、ください」
続きは甘々えっち♡ここから読めます>https://ig7g3040.fanbox.cc/posts/2995396?utm_campaign=manage_post_page
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'21 はぴば✩佐光さん!
俺は今、とてもウキウキワクワクしている。
なぜなら、今日11月13日は俺の大好きな佐光さんの誕生日だからだ!
そもそも所謂セフレである俺が、なんで自分の無頓着な佐光さんの誕生日を知れたかというところから、教えてやろう。
この間、佐光さんのお店にサプライズで遊びに行ったら受付のマリコちゃんがいて、俺にこっそり「そういえば佐光ちゃんの誕生日、今月の13日よ。好きなんでんしょ?何かあげたら?」と言ってくれたのだ。
それを聞いた俺はウッキウキワックワクになった。なったのだが、如何せん。
俺には友人と呼べる者がいないので、誕生日をお祝いしたことが無い。
表情が一瞬で変わった俺を察してマリコちゃんが、「あたしが一緒に選んであげよっか?」と頭を撫でてくれたのが始まり。
俺とマリコちゃんは翌日、佐光さんに内緒でショッピングモールに来た。
俺はアルバイトをしていなかったので、お金はマリコちゃんが出してくれてしまった。
でも、何だかそれは切なくて寂しくなったし情けなくなったので、何かバイトを始めようかなぁと考え中。
それはそれとして、プレゼント選びは大分難航した。
だって人に選んだことがないし、何より佐光さんは自分のことなんっにも喋んないんだもん。
佐光さんが好きそうなものとか、欲しい物とかなんにも分かんない。
好きな色さえ知らない。
「佐光ちゃんはねェ……」
それはどうやらマリコちゃんも一緒らしい。
佐光さんの好きなものを語ろうとしたらしいけれど、途中で言葉につまり誤魔化し笑いをしていた。
佐光さんは誰にも自分の話をしていないようだ。
「まあでもほら!こたちゃんから貰ったものならきっと何でも喜ぶわよ!ね!」
無駄に励まされ、そこまで落ち込んでなかった俺はちょっと落ち込んだ。
けれど来たからには何か選んで帰りたいので、俺とマリコちゃんはとりあえず香水ショップを覗く。
「あ、でも佐光ちゃんて優男な風貌だし香水つけてそうだけど意外とつけてないのよネ」
そんなマリコちゃんのセリフで次はアクセサリーショップに向かった。
「あ!忘れてた。佐光ちゃん、施術者だからアクセサリー系はずっとはつけてらんないのよォ」
これまたダメだった。
次は紳士服売り場に行ってみた。
「そういえば佐光ちゃんは同じデザインの決まった服しか着ないのよねェ。いっぱいあるとめんどくさいみたい」
お次は靴屋。
「佐光ちゃん、革靴嫌いなのよネ」
ネクタイ。
「スーツ着ないしねェ」
メガネ。
「度が分かんないわネ」
全滅だった。
「前々から思ってはいたけど、佐光ちゃんって本当どうやって生きてきたのかしらネ」
「マリコちゃんも知らないんだ」
「所詮ビジネスパートナーだからねェ。佐光ちゃんが取っかえ引っ変え別の可愛い男の子を連れ込んでるのは何回か見かけてはいるけど」
なんてこったい。
「でも安心して!こたちゃんに出会ってからこたちゃん以外の男の子はいなそうよ!」
“いなそう”
居ないわけではなさそうだ。
それよりプレゼントはどうしたらいいのだろうか。
あげて捨てられても苦しいしなぁ。
「ねェここまで連れ回してこんな事言うのアレなんだけど、」
マリコちゃんは申し訳なさそうに俺を見て言う。
「ううん。なぁに?」
「プレゼントはさ、こたちゃんがいいんじゃない?」
「うん?」
だから選びに来ているじゃないか、と言ってしまいそうだったけど、マリコちゃんの言ってる意味が違うのが何となくわかる。
それは、つまり?
「プレゼントは、こたちゃん自身、なんてのはどう?なんか1番喜びそうな気がしてきた」
半ば呆れたような顔をするマリコちゃんに俺は「ええー!」と目を丸くする。
「絶対ないよ!」
「え、なんで?」
マリコちゃんも目をぱちくりさせて俺を見た。
「だって俺、恋人じゃないもん。ラブラブならまだしも、俺なんか貰ったって1番捨てられるよ!」
元気いっぱい満点笑顔で言えば、マリコちゃんはむす、と顔を顰めた。
「こたちゃん。そんなふうに佐光ちゃんに言われてるの?」
「?言われてないよ?」
「じゃあ、こたちゃんが勝手にそう思ってるだけ?」
勝手も何も、皆そうだったし、佐光さんだって恋人にはしてくれないし、好きとも言われないから、事実だろう。
「こたちゃんは可愛くていい子よ。だから自分のこと、大切にしてあげてね。自分の1番の親友は自分なのヨ」
マリコちゃんは不思議な人だ。
価値が無いから愛されていないのに、何でそんなことを言うのだろう。
悪い気はしないけれど、不思議な気持ちになった。
「よし!やっぱプレゼントはこたちゃんにしよう!そうと決まったらこたちゃんを飾り付けなきゃね!」
「え!?本当に俺なの!?」
マリコちゃんは俺の声なんて聞かずに、腕をつかみずんずん引っ張って行った。
[newpage]
そうして飾り付けられたのが今の俺。
鏡で見たけど、中々の別人だった。
いつも寝癖そのままな頭は綺麗にセットされて、傷んでた髪も綺麗にしてもらってて、服もとてもいいものをマリコちゃんがプレゼントしてくれた。
まるで俺がお誕生日みたいな気分だ。
そうして仕事でいない佐光さんより早く家に帰ると、ドアノブに紙袋がかかってた。
中を覗くと、メモ紙と包み紙にくるまれた箱が入っていた。
『佐光、おたおめー。
特別にコレ、こたろーと使っていーぜ♡」
そんなメッセージがかかれていたので、慌ててしまい紙袋と共に部屋に入った。
後で俺から渡そう。
佐光さんきっとお誕生日は忘れてるだろうから。
飾り付けされた俺は、いつものエプロンを身にまといスーパーで買ってきた、比較的佐光さんが好きそうなメニューを作って帰りを待つことにした。
[newpage]
19時を少し過ぎた頃、佐光さんが音を立てて帰ってきた。
小綺麗な俺は何となく落ち着かなくてリビングを行ったり来たりしていたが、その音を聞いて慌てて玄関に飛び出した。
「うわ、ビックリした」
突然飛び出した俺に驚いた佐光さんは、のんびりゆっくりそんな台詞を吐く。
「おかえり!佐光さん!」
「うん。ただいま……あれ、琥太朗。そんな服持ってたの?」
服に無頓着な佐光さんが何故か俺の服にいち早く気づいてくれた!
俺は嬉しくなって思い切り首を縦に振る。
「うん!あのな、マリコちゃんが買ってくれたんだ。どう?」
「ふぅん。なんで?誕生日?」
誕生日はアンタだよ、とはとりあえず言わないでおこう。
「誕生日じゃない!なあ、どう?」
今の俺は綺麗な佐光と並んで歩けるほど、小綺麗だと思う。
「良いんじゃない」
「まじ!やった!」
そんな在り来りな台詞だとしても嬉しい。佐光さんは俺の喜びも他所に「ねえ退いて。お腹減った」なんて言うのでとりあえず退いた。
リビングに入った佐光さんは口数が少ないのに今日は「わあ、何これ」なんて言っている。
「佐光さんがいっぱい食えるやつだけ作った!どう?どう?」
佐光さんの周りをぴょんぴょこ飛び跳ねながら聞きまわると、佐光さんは僅かに鬱陶しそうにする。
「……なんで?今日何かあったの?」
「うん!」
「何があったらこんな量になるの」
ちょっと怒ってる……?
佐光さんは少食だから本当はもっと少なくしようって思ったんだけど、いっぱい食べてもらいたいものがあって作りまくったら物凄い量になってしまった。
佐光さんは自分が誕生日だって分かってないみたいだから、余計に煩わしいのかもしれない。
「あのな、今日……えっと、」
何となくピリついた佐光さんに「お前誕生日だぜ!しかもプレゼントは俺だぜ!」なんて言いづらい。物凄く。ものすごーく。
だからモジモジ言い淀んでいると、佐光さんは黙って待ってくれているものの雰囲気はあまり良くなかった。
「……今日、佐光さんの誕生日……だから」
「……誕生日?」
案の定、佐光さんは目を丸くして俺を見たあと、料理たちを凝視した。
おずおずと佐光さんの隣にいき、佐光さんの袖をギュッと掴む。
怒りませんように、嫌われませんように、と思いを込めて。
「佐光さん忘れてると思って……俺、マリコちゃんからたまたま聞いたんだ。そんでいつもお世話になってるから……なんかお返ししたくて……でも俺お金ないし佐光さんが何好きかも分かんなくて……」
俯いてぼそぼそ喋ると暫く黙っていた佐光さんが僅かに動いて、ぽんって俺の頭に手を置いた。
「なるほどね。だからこんなに沢山あるんだ」
ぱっと顔を上げると佐光さんの雰囲気はいつもの無な感じに戻っていた。
「じゃあその綺麗な格好も俺のため?」
「!うん!!マリコちゃんがな買ってくれたんだ!」
「へぇ。髪もセットしてもらったんだ?」
「うん!」
「それで?」
「え?」
佐光さんは僅かに口角を上げて俺の顔を覗き込む。
「そんなに身支度整えて、目的が無いわけじゃないよね?」
も、目的……って、それっていうのはつまり……。
「……マリコに綺麗にしてもらってどうするつもりだったの?そのままお風呂はいって寝ます、ってわけじゃないよね」
にっこり笑われるが、やっぱり言い出せず、俺はソファに置いておいた志場さんからの紙袋を持って佐光さんに押付けた。
「こ、これ!!志場さんからプレゼント!ドアノブかかってたから!」
ぎゅっと目を瞑って押し付けると、佐光さんは怪訝そうな顔で紙袋を受け取り中を見る。
ガサゴソ音がして箱の包み紙が破ける音がし、俺も佐光さんの隣にいって一緒に箱を見た。
「……」
包み紙が破かれ、箱が出てくると、それはもう本当に……どこで買ってきたんだろうと思うような物でした。
「琥太朗と使えだって」
いつもより楽しそうにニヤける佐光さん。
俺は目線を逸らす。
「そ、それより!ご飯食お!冷めちゃうから!な!」
「……まあいいけど」
ちょっと不満げな佐光さんだったけれど、不機嫌てほどでは無さそうだった。
俺はああでもないこうでもないと、佐光さんに話しかけながら、言い出すタイミングをいつにするかはかりかねていた。
やっぱり自分が誕プレ……なんて言えない。
俺からの誕プレはさっきの夕飯って事にして風呂はいって寝よう。そうだそうしよう。
食器を片している時そう思いたった俺はリビングで寛いでいる佐光さんの元へ行こうと手を拭ったその時、
「琥太朗」
ふわり、と仕事終わりで消毒と僅かに他人の匂いが移っている佐光さんの香りが強くそばにある。
ぎゅ、と後ろから抱き締められ体温を感じさせられれば、俺の心臓は破裂しそうなほど鳴っていた。
「お前からは何貰えるの」
「……、」
佐光さんの掠れた低い声が耳元で囁く。
耳にあたる温かい息とその声の低さは、いつも致している時にしか感じないものなのに。
なんで。いま。
「まさか、何も無いなんて言わないよね」
面白そうに言うその声音に、俺はからかわれているのだと気づくも、心臓がドキドキしすぎて何も返せない。
「……ねえ、琥太朗」
「…りょ、」
僅かに声を絞り出すと、佐光さんは「ん?」と聞き返す。
「りょ、りょーり!俺からはさっきの夕飯がプレゼントだから!俺、こういう時何あげたらいいか分かんなくて、とりあえずご飯、に、した……だ、だから、も、もうない、おめでとう、佐光さ……っ、ぁ!」
振り向かずに言いきろうとしたけれど、モゾモゾと佐光さんの手が服の中に入ってきて、思わず体を震わしてしまう。
「……ま、まって、さみ、つさ……」
「自分で自分の体綺麗にして偉いね、琥太朗。後ろもちゃんと準備してあるんだ」
くちゅり、と後孔に触れられ、仕込んでいたローションがとろりと溢れ出してしまう。
その感覚に腰が抜けずるりと床に倒れ込む。
それを後ろから佐光さんが支えてくれた。
「ね、琥太朗。”本当の”プレゼント、ちょーだいよ」
「んぅ、ぁ……っ、ふ」
耳をわざとらしくねぶられたらもうどうしようも無かった。
泣き出したい程に恥ずかしい。なんでこんなに恥ずかしいのかと思えば多分、俺から誘った事がないからだ。
求められるままに足を開き受け入れてきた。
求められなければ求めない。
そうやって過ごしてきたのに、今は自分から抱かれたいと告げなくてはならない。
瑛の時だって求めた事なんて無かったのに。
心臓が破裂しそうで苦しい。
けれどそれと同時に、触れてほしくて疼く体も苦しい。
「……こたろー?」
甘く優しい佐光さんの声は俺の体も心も溶かしてしまう。
ああもうほんとうに、この声も這いずる平たくてかたい手も、ぜんぶぜんぶぜんぶ、
大好きだ
「……佐光さんへの、俺からの……プレゼントは……”おれ”……です」
佐光さんは俺の台詞に目を細める。
「何していいの」
その言葉に俺は佐光さんに抱きつき、顔を埋める。
くぐもって聞こえづらいくらいの粗は許して欲しいと思う。
「……すきに、して……して、ください」
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