【完結】落ちぶれてやるものか！伯爵令嬢、銭湯始めます。

第18話 幸せに

私は、匡にずっと守られてたんだ…
「匡、ありがとう。」

ランスが匡だと知り、接し方に戸惑う。
ランスは、今まで通り変わらない。
ランスと匡では、容姿も性格も違う。
不思議な感じ。

私の様子が変なことを見かねたランスが、一気に言い放った。

「あ～もう、めんどくさいな。リーゼ様、一度しか言わないので、よく聞いてくださいね。この世界には、泉も匡もいません。俺は、庭師兼護衛のランスです。リーゼ様は、リーゼ様の幸せを考えてください。レオン様は、辺境伯のご子息。前婚約者アラン様にも、引けを取りません。あの方となら、きっと幸せになれます。」

「ランスはずるい。」と私が言うと、
「仕方ない。あんなことになったけど、匡にとっての泉は特別だったんだ。」と、ランスが切なそうに笑う。
その時、ランスの笑顔が一瞬だけ、匡に見えた気がした。
そうか、もう匡も泉もいないんだ。
なんだか、心がすーっとした。

クリード辺境伯騎士団の取り調べにより、リーゼたちの馬車を襲撃したのは、ソプラノ王国の者たちであることがわかった。

フォックス男爵が捕まり、焦った彼らは、辺境伯家から出てきた馬車に女性が乗っていることを知り、人質にするつもりだったらしい。

ラックス侯爵、フォックス男爵は捕まった。
アランとアリスも無事ではいられないだろう。
それに、リーゼの母マリアの連絡網により、ご婦人方には『アランがアリスいじめの冤罪をリーセに被せ、婚約破棄を企てた。』との噂を流してある。
噂といったが、本当にあったことだ。
問題ないだろう。
社交界は、アラン、アリスに厳しい目を向けることだろう。
いや、もう社交界にいられないかもしれない。

いろいろなことが落ち着き、リーゼ一行は、エッセンへ無事帰ってきた。
すぐにクリード辺境伯家から婚約の申し出があり、エッセン伯爵家は喜んでその申し出を受けた。

レオンとリーゼは、周りがじれったくなるような逢瀬を重ね、婚姻。

強くたくましいレオン。
彼は、昼、クリードの為に忙しく動き回るリーゼを上手く手のひらで転がし、夜はしっかりとガッチリと自分の腕の中に囲いこむ。

リーゼは、今　クリードで幸せな時を過ごしている。
あちこちへと、走り回りながら…

おわり