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第9話 初めてのお客様
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侍女アンナの仕える奥様の名前は、シャロン・クリード辺境伯夫人。
アルト王国の平和を守っている影響力のある辺境伯の夫人だ。
侍女アンナを、母の元へ連れていく。
我が家の家族は、銭湯を試すため、全員集合しているのである。
母の話によると、シャロン様は母の遠縁の親戚にあたり、歳も近い。
もし我が家への滞在が知られたとしても、親戚が銭湯のことを知り、遊びに来ていると誤魔化すことができるのだ。
内密に療養したいクリード辺境伯家としては、最適だろう。
シャロン様がエッセン領でよければ、我が家で療養してもらおうと決まった。
お風呂は体にはいいが、決して治療効果があるわけではないことをしっかりと伝えておく。
早速 アンナと御者に銭湯を試してもらう。
2人とも気に入ってくれたようだ。
翌日、療養先候補を絞り終えたアンナと御者はクリード辺境伯へ戻っていった。
数日後、クリード辺境伯からエッセン伯爵へ手紙が届いた。
シャロン様の我が家への滞在が決まったのだ。
クリード辺境伯家は、夫人の滞在費用とは別に、支援を約束してくれた。
後日、エッセン伯爵邸に、1台の馬車と馬に乗った護衛が到着する。
馬車には、シャロン様と侍女アンナが乗っていた。
まだ営業開始前であるが、長距離の移動でお疲れだろうと、シャロン様とアンナたち使用人に、銭湯を利用してもらう。
初めての他領からのお客様。
ざっくばらんな意見を聞かせてもらう。
「りんごの香りに安らぎ、贅沢な気持ち。」
「体がぽかぼかする。」
「体が楽になった気がするな。」
なかなかの好評価をいただけた。
領民を招いたプレオープンも実施中。
銭湯の受付では、お菓子を販売。
「家族分やお土産として買いたいので、もう少し安いと買いやすい。」との意見があがる。
小さめに作ったお菓子を値段を下げて販売することにした。
プレオープンでわかったこと。
魔力を使い、こっそりとお湯を準備していたが、継続するのは無理がある。
魔力は使わない方法で調整する。
元々 銭湯は川沿いに建てているため、水は川からひいてくるよう設備を追加した。
火も火種を保管し、利用。
掃除は地道に人の力で対応と決まった。
またりんごのお風呂は、りんごの皮などを入れた袋を湯に浮かべたが、子供が袋を開けてしまい中身を出してしまった。
確かに袋が浮かんでたら、何だろうと気になるよね。
袋は開店前に湯からあげる、もしくは、袋を変えるなど考えないと。
貴族と平民では、銭湯の入口と湯船をわけることに決めた。
今夜、父に増築してもらおう。
魔法、便利だよね。
プレオープンで、銭湯を体験した領民たちは、お風呂の気持ちよさにはまり、つぶれては困ると、とても協力的だ。
なかなか順調に進んでいる。
間もなく営業開始。
母から友人たちへ手紙で、銭湯オープンを知らせ、噂を広げてもらう。
さすがは貴族のご婦人方の通信網。
あっという間に、知らせは広がった。
アルト王国の平和を守っている影響力のある辺境伯の夫人だ。
侍女アンナを、母の元へ連れていく。
我が家の家族は、銭湯を試すため、全員集合しているのである。
母の話によると、シャロン様は母の遠縁の親戚にあたり、歳も近い。
もし我が家への滞在が知られたとしても、親戚が銭湯のことを知り、遊びに来ていると誤魔化すことができるのだ。
内密に療養したいクリード辺境伯家としては、最適だろう。
シャロン様がエッセン領でよければ、我が家で療養してもらおうと決まった。
お風呂は体にはいいが、決して治療効果があるわけではないことをしっかりと伝えておく。
早速 アンナと御者に銭湯を試してもらう。
2人とも気に入ってくれたようだ。
翌日、療養先候補を絞り終えたアンナと御者はクリード辺境伯へ戻っていった。
数日後、クリード辺境伯からエッセン伯爵へ手紙が届いた。
シャロン様の我が家への滞在が決まったのだ。
クリード辺境伯家は、夫人の滞在費用とは別に、支援を約束してくれた。
後日、エッセン伯爵邸に、1台の馬車と馬に乗った護衛が到着する。
馬車には、シャロン様と侍女アンナが乗っていた。
まだ営業開始前であるが、長距離の移動でお疲れだろうと、シャロン様とアンナたち使用人に、銭湯を利用してもらう。
初めての他領からのお客様。
ざっくばらんな意見を聞かせてもらう。
「りんごの香りに安らぎ、贅沢な気持ち。」
「体がぽかぼかする。」
「体が楽になった気がするな。」
なかなかの好評価をいただけた。
領民を招いたプレオープンも実施中。
銭湯の受付では、お菓子を販売。
「家族分やお土産として買いたいので、もう少し安いと買いやすい。」との意見があがる。
小さめに作ったお菓子を値段を下げて販売することにした。
プレオープンでわかったこと。
魔力を使い、こっそりとお湯を準備していたが、継続するのは無理がある。
魔力は使わない方法で調整する。
元々 銭湯は川沿いに建てているため、水は川からひいてくるよう設備を追加した。
火も火種を保管し、利用。
掃除は地道に人の力で対応と決まった。
またりんごのお風呂は、りんごの皮などを入れた袋を湯に浮かべたが、子供が袋を開けてしまい中身を出してしまった。
確かに袋が浮かんでたら、何だろうと気になるよね。
袋は開店前に湯からあげる、もしくは、袋を変えるなど考えないと。
貴族と平民では、銭湯の入口と湯船をわけることに決めた。
今夜、父に増築してもらおう。
魔法、便利だよね。
プレオープンで、銭湯を体験した領民たちは、お風呂の気持ちよさにはまり、つぶれては困ると、とても協力的だ。
なかなか順調に進んでいる。
間もなく営業開始。
母から友人たちへ手紙で、銭湯オープンを知らせ、噂を広げてもらう。
さすがは貴族のご婦人方の通信網。
あっという間に、知らせは広がった。
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