【完結】落ちぶれてやるものか!伯爵令嬢、銭湯始めます。

青井 海

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第3話 前世を思い出す

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本に埋もれてしまった私。
駆けつけた母 マリアと、今でも我が家に仕えてくれている執事 トマスに、助け出された。

「大丈夫ですか、お嬢様。目を覚まして下さい。」
トマスの声が聞こえる。

「リーゼ、しっかりして。」
グズグズと泣きながら語りかける母。

「リーゼ、すまなかった。早く目を覚ましておくれ。」と、父 リカルドの声。
金策で駆け回っていた父。
リーゼのことを聞きつけ、慌てて帰宅したようだ。

う~ん。ん?
目を開けると、ベッドに横たわる私の手を心配そうに手握る母と弟の姿。
その後ろには、父と、トマス、マーサの姿が見える。

あれ?
なぜみんな私の部屋にいるの?
私は眠っていたの?
何が起こったのか、わからない。

いたたっ。
手にズキズキ、ヒリヒリと痛みが走る。
腕を持ち上げると、赤くなり、所々に傷がある。

何があったのか、母が話してくれる。
そっか、本が上から降ってきて、私は気を失っていたんだ。

状況は理解した。
それでも何か違和感を感じる。
父 リカルド
母 マリア 
弟 ルーカス
執事 トマス 
侍女 マーサ の顔をじっと見る。
変な感じ。

私は、リーゼ
ん? リーゼ?

私は、森川 泉(もりかわ いずみ) 29歳 独身OL

結婚間近の彼の部屋で、浮気相手と鉢合わせ。
泣きながら引き返した私は、階段を踏み外し…
「いずみ、あぶない!」と、彼の声が聞こえた。
そこからは記憶がない。
痛い思いをしたんだろうか…

これは前世の記憶なのだろうか。
今、私は17歳のリーゼ・エッセン。
外見もかなり違う。

そんなことを考えていると、
「リーゼ、辛い思いをさせてすまない。アランくんのことは忘れてくれ。」と父が言った。

前世を思い出した私。
アランの態度は、有り得ない。
困っている婚約者を助けようともせず、放り出すなんて。
しかもいじめの冤罪までかけられた。
酷すぎる。

そんな相手とは、信頼関係なんか築けない。
「お父様、わかりました。アランとは婚約解消でお願いします。ただ誓っていじめはしていません、それだけは信じて。」
私は、痛む腕を押さえながら、訴えた。

「わかった。いじめは認めない。婚約は解消で交渉してくる。」と、父は私を信じてくれた。

それから、ラックス侯爵とエッセン伯爵で話し合いが行われた。
いじめの事実確認が取れないこと、ラックス侯爵家にはエッセン伯爵家に受けた恩があること、からエッセン伯爵の主張が認められた。

婚約破棄でなく、婚約解消となり、違約金、慰謝料は発生しないことが決まった。

無事にアランとの婚約が解消され、スッキリした。
しかし、このままでは、借金を抱えたエッセン伯爵家は没落まっしぐら。

何とかしなければ…

































    
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