ふわふわとした日常を

青井 海

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1. 人違い

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後ろ姿を見て知り合いと間違え、呼び止めてしまう。
遠くにいる人を知り合いと間違えて手を振る。
よくあることである。

ただでさえ、間違えるのだ。
マスクをつけていると、更に顔がわかりづらい。

私は、冬に感染症が流行っている時、人が多いところへ出かける時には、マスクをつけるようにしている。

花粉の飛散が多い時にも、マスクを。
転んで顔を擦りむいてしまった時にも、マスクをつけていた、

大人になって、顔を擦りむくとは…
急いでいたとはいえ、地面にほんのちょっと飛び出していた小石につまづいた。
そしてマンガのように、バダーンと転び、かなり恥ずかしかった。

マスクをつけていた為、目元だけ。
ケガした範囲は少なくて済んだ。
マスク話で少し脱線しすぎたかな。


先日、外出していると、遠くから「何してるの?」と呼びかける声が聞こえた。

私は一人で外出中。
朝早かったこともあり、周りを歩く人は少ない。
しかも私の周りに誰もいなかった。
誰かに呼びかけたと思われる声は、聞き覚えのないものだ。

まさか自分に呼びかけられたものとは思わず、特に反応しないでいると、見知らぬ女性が私の横からぬっと私の前に顔を出して、覗き込むように私の顔を確認しつつ、
「ねぇねぇ、何してるの?」

私の心の声はこうだ。
(いえいえ、あなたは誰ですか?) 

回り込んで、正面から顔を確認したにも関わらず、人違いと気づかない?
マスクのせいで、顔がよくわからないのだろう。

知らない人との距離としては近すぎて…
パーソナルスペース的に私にはアウト。


私のえっと驚いた顔も、マスクで隠れ、伝わらなかったようだ。
マスクのせいで表情も見えないか…

「何でここにいるの?」と、また横から近距離で話しかけてきた。

この近くに出没しないであろう人と間違えているようだ。

私が言葉を発しないことで、ようやく間違えに気づいたのだろう。
彼女は、何事もなかったように、スススーと離れていった。

「人違いではないですか?」と告げようと、マスクの中で開けられた私の口は、一言も発しないまま閉じられた。

彼女は、連れの女性?と思わしき女性の元へ向かい、話しかけている。
間違えちゃったとでも話しているのだろうか。

マスクをしているが為に、顔がわかりづらく間違えてしまったのだろう。

間違えた彼女も恥ずかしがっただろうが、間違えられた私もボツンと残された感じがして…なんだか恥ずかしかった。

マスクあるあるかもしれない。

私もおっちょこちょいなので、見知った人に声をかける時には、間違えてしまわぬよう気をつけよう。






    
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