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第42話 夜の庭園
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夕飯後、ジルに誘われ、庭園へ向かう。
食堂から出ると、マノンが上に羽織るケープを持ってきてくれた。
肩がほんわりと暖かい。
ラウンド家の庭園は、自然を生かした庭園のようだ。
ジルに手をひかれ、ゆっくりと散策する。
邸宅周りには花木が植えられていて、ベンチや小さなテーブルとイスが置かれている。
外でお茶をするのによさそうだ。
邸宅から離れると、池や小さな小川が流れている。
もしや魚が泳いでいたりして。
旅の途中、ジルが魚をとってきてくれて美味しかったな。
樹木は大きく育ち、木登りできそう。
果実がなる木があったら、果物狩りなんか楽しそう。
幼い頃は、兄弟で木登りしたり、虫を捕ったりして遊んだのかな。
ジルは、森にあった果実にも詳しかった。
よく森で遊んだりしてたのかな。
今度、明るい時間に庭を散策してみよう。
「ベンチに座ろう。」
ジルが座ったので、私も隣に座る。
ーーーーー
ジルが言った『意地悪するな』
これはテオに私を好きになるなとの牽制だったらしい。
普通は私との婚約に反対していて、追い出すための意地悪かと思うじゃない?
ラウンド家とスペイア家の領地は隣り合っており、子供たちはよく一緒に遊んでいた。
スペイア家の子供といえば、クリスティナ様ね。
幼馴染みだから、親しげだったのか。
テオドール君がクリスティナ様に意地悪ばかりしていた為、彼女はテオドール様を避け、ジルのところへ逃げてきていた。
そっか、ジルは優しいから、クリスティナ様は…
でももう昔のことよね。
クリスティナ様には、セドリック様という婚約者がいる。
『意地悪するな』が、好きになるな?
テオドール君はクリスティナ様が好きだった?
テオドール様にも意味は伝わってないと思う。
私は年上だよ。
ないない。そんな心配いらないよ。
それに男の子が好きな子に意地悪するのは幼い頃だよね?
ジルは天然? 心配性?
ーーーー
「ツムギ、ツムギが引っ越してきてくれて本当に嬉しい。これからはずっと一緒に居られるね、部屋が隣ならよかったのに。」
熱を帯びた瞳でみつめられる。
「えっ、隣?」
いやいや、隣は婚姻を済ませてからだよね。
その言葉の意味を思い浮かべた私は、全ての肌が真っ赤に染まる。
「うん、隣。 どうしたの? 首まで真っ赤だよ? ツムギが僕の色に染まったね。」
ジルは真っ赤になった私を見て、嬉しそうだ。
ううっ。
何てことを言うんだ。
これじゃ意識せずにいられないじゃない。
「ツムギ、好きだよ。大切にするから、ずっと僕の傍にいてね。」
強く強く抱きしめられる。
ちょっと、ちょっと、苦しいよ。
軽く胸を叩いて抗議したら、少し隙間ができた。
やっと息ができる。
目を瞑り大きく深呼吸していると、顎を持ち上げられて…
瞼にチュッ
ほっと力が抜けたところで、頬にチュッ
そして次こそは唇?と構えたところで、鼻先にチュッ
な~んだと安心したところで…ようやく唇が重なった。
もしかして目を瞑ったから?
私からおねだりした感じ?
そして焦らされた?
キャー、なんてことだ。
ジルを見上げると、彼は嬉しそうに笑っていた。
食堂から出ると、マノンが上に羽織るケープを持ってきてくれた。
肩がほんわりと暖かい。
ラウンド家の庭園は、自然を生かした庭園のようだ。
ジルに手をひかれ、ゆっくりと散策する。
邸宅周りには花木が植えられていて、ベンチや小さなテーブルとイスが置かれている。
外でお茶をするのによさそうだ。
邸宅から離れると、池や小さな小川が流れている。
もしや魚が泳いでいたりして。
旅の途中、ジルが魚をとってきてくれて美味しかったな。
樹木は大きく育ち、木登りできそう。
果実がなる木があったら、果物狩りなんか楽しそう。
幼い頃は、兄弟で木登りしたり、虫を捕ったりして遊んだのかな。
ジルは、森にあった果実にも詳しかった。
よく森で遊んだりしてたのかな。
今度、明るい時間に庭を散策してみよう。
「ベンチに座ろう。」
ジルが座ったので、私も隣に座る。
ーーーーー
ジルが言った『意地悪するな』
これはテオに私を好きになるなとの牽制だったらしい。
普通は私との婚約に反対していて、追い出すための意地悪かと思うじゃない?
ラウンド家とスペイア家の領地は隣り合っており、子供たちはよく一緒に遊んでいた。
スペイア家の子供といえば、クリスティナ様ね。
幼馴染みだから、親しげだったのか。
テオドール君がクリスティナ様に意地悪ばかりしていた為、彼女はテオドール様を避け、ジルのところへ逃げてきていた。
そっか、ジルは優しいから、クリスティナ様は…
でももう昔のことよね。
クリスティナ様には、セドリック様という婚約者がいる。
『意地悪するな』が、好きになるな?
テオドール君はクリスティナ様が好きだった?
テオドール様にも意味は伝わってないと思う。
私は年上だよ。
ないない。そんな心配いらないよ。
それに男の子が好きな子に意地悪するのは幼い頃だよね?
ジルは天然? 心配性?
ーーーー
「ツムギ、ツムギが引っ越してきてくれて本当に嬉しい。これからはずっと一緒に居られるね、部屋が隣ならよかったのに。」
熱を帯びた瞳でみつめられる。
「えっ、隣?」
いやいや、隣は婚姻を済ませてからだよね。
その言葉の意味を思い浮かべた私は、全ての肌が真っ赤に染まる。
「うん、隣。 どうしたの? 首まで真っ赤だよ? ツムギが僕の色に染まったね。」
ジルは真っ赤になった私を見て、嬉しそうだ。
ううっ。
何てことを言うんだ。
これじゃ意識せずにいられないじゃない。
「ツムギ、好きだよ。大切にするから、ずっと僕の傍にいてね。」
強く強く抱きしめられる。
ちょっと、ちょっと、苦しいよ。
軽く胸を叩いて抗議したら、少し隙間ができた。
やっと息ができる。
目を瞑り大きく深呼吸していると、顎を持ち上げられて…
瞼にチュッ
ほっと力が抜けたところで、頬にチュッ
そして次こそは唇?と構えたところで、鼻先にチュッ
な~んだと安心したところで…ようやく唇が重なった。
もしかして目を瞑ったから?
私からおねだりした感じ?
そして焦らされた?
キャー、なんてことだ。
ジルを見上げると、彼は嬉しそうに笑っていた。
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