【完結】賢者ではありませんが、私でいいのでしょうか?

青井 海

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第24話 初めての

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最初に、みんなに私の動きを真似てもらい、ストレッチ。
動く前に体をほぐしてないとね。
できるだけ怪我しないように。

鬼を決める方法は『じゃんけん』にした。
みんな初めてのじゃんけんに興奮した。
簡単でわかりやすく、勝敗がはっきりする。
さすがに6人ではなかなか勝敗が決まらず、3人ずつの2組に分かれ、組で負けた2人のじゃんけんで最弱決戦。
最弱=鬼とした。

じゃんけんが初めてならば、代わるものがあるのか聞いてみたが、ないらしい。
それでは困るだろうと思ったが、主従関係や年齢の上下などで、上に立つ人の意見で決定するそうだ。
なるほど。

鬼ごっこの会場は庭園。
樹木や噴水の周りを回ったり、大きな岩陰に隠れたり、ただ走り回るだけではない。
リズことクリスティナ様だけは休憩時間を長く取れるルールにしたが、彼女は負けず嫌いだった。
初めの休憩で「みんなと一緒でいい。」と長く休まなかった。
息が苦しいが、早くみんなと遊びたかったようだ。

だが、そのせいか彼女ばかり鬼の標的となり、彼女が一番鬼になっていた。
悔しがる彼女。いい傾向だ。
運動神経の良し悪しはあるだろうが、すぐにみんなと同じように走り回れるようになるだろう。
私は、負けず嫌いなほど、成長すると思っている。

慣れてきたら、鬼ごっこもルールが追加されたり、どんどん変化していく。
子供は頭が柔らかいから、いろんな発想がでて、もっともっと楽しくなる。

男の子であるロランとオーブは足が早く、鬼に捕まらない。
これでは面白くない。
意見が出て、鬼が走り出す前に10数える時、彼ら2人は目を閉じてグルグル回ることになった。
目が回り、しばらくはフラフラ。
まっすぐ走れない。
これで彼らが捕まることも増えてきた。

一緒に遊んだことで、みんなすぐに仲良くなった。
子供はすごいなと思う。
すぐに仲良くなっちゃうんだから。

『鬼ごっこ』は好評だった。
遊びの時間が終わりを告げると、「まだ遊びたい!」との大合唱がおこるほど。

みんなは周りの了承をもらったとはいえ、仕事を抜けている。
気持ちはわかるが、延長は認められない。
また私の動きを真似て、終わりのストレッチとする。
次に集まる日時を確認した後、速やかに解散した。

リズもゼーゼーと息を切らし、汗だくになりながらも、楽しそうに笑っている。
本当にいい笑顔だ。
こんな風に友達と遊んだのは初めてだろう。「まだ遊びたい!」の大合唱に参加していた。


休憩を挟んだとはいえ、彼女もかなり走っていた。
普段はあまり使わない筋肉を使ったことだろう。
もちろん私も。
これは筋肉痛になるな。
今夜のお風呂では、じっくりマッサージしておこう。
マッサージについては、クリスティナ様の侍女にもミリアから伝えてもらう。

あー、久しぶりに思いっきり走ったよ。
楽しかったぁ。


    
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