【完結】賢者ではありませんが、私でいいのでしょうか?

青井 海

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第23話 遊びましょう

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そうと決まれば、ジョセフィーヌ様へ許可を取りに行く。
もちろん、事前にミリアから話を通してもらっている。

クリスティナ様の勉強やレッスンに差し支えのない、昼食後からお茶の時間までの間で調整することになった。

みんなの持ち場の上司には、ジョセフィーヌ様から話を通してもらえ、週2日、お茶の時間の前1時間を遊びに使えることが決まった。

私も最近あまり体を動かせず、お腹周りが気になり出してたんだよね。
スベイア伯爵家は、裕福なようで料理がすごいんだもん。
残すなんてもったいない。
一人暮らしで節約生活を送っていた私には考えられない。

初めての集まりには、声をかけた全員が集まってくれた。
伝えてあったとおりに、動きやすいズボン姿。
「パンツで。」と言うと、「えっ、下着?」と返ってきた。
ここでは、パンツは下着。
ズボンと言わないと伝わらなかった。

クリスティナ様は乗馬の時のズボンである。
まったくよれてなく、新品に見える。
乗馬しているのか怪しいものだ。

次回までにもっと庶民的な洋服を準備してもらおう。
彼女は汚れても気にしないだろうが、私たちは気になる。
お高いんだろうなと思うと、汚れた手で触れるのに躊躇する。

やはりみんなクリスティナ様との距離の取り方に戸惑っている。
お仕えするスベイア伯爵家のご令嬢だもんね。

「では、遊ぶ時間だけのルールを決めます。」
私は予めルールを書き出した紙を広げて見せる。
文字を書くのは苦手なので、私が話したことをミリアに書き出してもらった。

〈ルール〉
 主従関係を持ち出さない。
 年齢差を持ち出さない。
 名前や愛称で呼び合う。
 決める時は多数決をとる。
 勝ち負けを引きずらない。
 遊びへの参加を強制しない。
 ケンカは時間内に終わらせる。
 
ざっと思い付いたのは、これだけ。

「他にルールにして欲しいことがあれば、思い付いた時に遠慮せずに言って欲しい。今日は初めてだから、私が遊びを提案していい?」

私の言葉にみんな頷いてくれた。

呼び名は、
ロラン、オーブ、エメ、ミリア、ツムギはそのまま。
クリスティナは長いので、愛称でティナにしたいところだが、伯爵や夫人の前で間違って呼んだら大変だ。

遊びの時間以外に、間違って呼んでしまって誤魔化せるよう『リズ』でどうかと聞いてみた。
クリスティナ様も「『リズ』もいいわね。」と気に入ってくれたようだ。
みんなもうん、うん、頷いている。

ロランが「リズ」と呼んでみて、照れている。女性を愛称で呼ぶのは初めてだったのかな。
みんなも恥ずかしそうにしながらも、各々を呼んでみている。

私が提案したのは、『鬼ごっこ』
ルールがわかりやすいし、なかなかの運動量になると思う。
ただ伯爵家の庭は広いので、動いていい範囲を決めた。

おそらく極端に体力のないリズは、特別にみんなより2分多く休憩が取れるようルールを追加してもらった。
これもみんなと差がなくなれば一緒に戻す条件付きだ。



 





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