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第26話 顔合わせ
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ジョセフィーヌ様に気に入られ、スペイア伯爵家でも立場がぐっとあがったようだ。
賢者様と間違えられていることもあり、最初から待遇は良かった。
だが、最近はまるで本当の娘のようにかわいがられている気がする。
「ツムギ様、この後は、奥様と共に庭園でお茶をする予定になっております。」
「わかったわ。ミリア。」
「では、ツムギ様はこちらへ。」
鏡の前に座らされる。
いつも朝起きると、ミリアが髪を整え、化粧を施してくれる場所だ。
どういうこと?
不思議に思っていると、
「お茶には、奥様の他にお客様がご一緒なさるそうですよ。ですので、衣装も着替えるよう言われております。」
あら、そうなんだ。
お客様がいるのに、私も居ていいの?
ミリアはクリーム色の可憐なドレスを運んできた。
今でもかなりの衣装がクローゼットに入っている。
私には分相応とはいえないほど。
それなのに、また新たなドレスを用意してくれたの?
あまりの待遇に不安になる。
今までは私が何も持ってないから準備してくれたのだと思うようにしていた。
でもこのドレスは、いつも着ているドレスよりも高価だと感じる。
生地なんて全くわからないのだが、ミリアのドレスを扱う様子だったり、実際身につけた時の着心地だったり。
なぜだかソワソワする。
ジョセフィーヌ様の元へ向かうと、クリスティナ様の姿はなく、見知らぬ男性を紹介された。
スペイア伯爵家の親戚にあたるクローブ子爵令息セドリック様 19歳。
クリスティナ様がどこかへ嫁いだ場合、彼がスペイア伯爵家の養子に入る予定だそうだ。
3人でテーブルについたが、ジョセフィーヌ様は私に彼を紹介した後、「あとは二人でゆっくり話して。」と立ち去ってしまった。
えっ、すぐに放置?
これはいわゆるお見合い?
挙動不審な私を見たセドリック様は戸惑っているよう。
「もしかして何も聞かされていませんでしたか?」
「はい、何も。」
「そうかぁ~、参ったな。」と頭に手をやる。
そう言っているが、参った顔はしていない。
確かに戸惑いはしたが、状況を理解し、どうすべきか決めたのだろう。
セドリック様は細身で背が高い。
柔らかそうな茶色の髪に茶色の瞳。
甘い顔で、さぞかし女性にモテモテだろう。
頭の回転もよさそう。
「確認してもいいかな? 君はスペイア伯爵家に残るつもり?」
「えっ。」
「僕がどう動くかは、君次第なんだけど。」
あー。
「スベイア伯爵の跡継ぎはまだ確定ではない。君はジョセフィーヌ様に気に入られている。僕はどうすればいいと思う?」
距離を詰められ…ドキドキする。
彼は自分の魅力をわかっている。
ううっ。たじたじになってしまう。
「ごめんなさい。別の人を探してください。」
そう言うのが、いっぱいいっぱいだった。
賢者様と間違えられていることもあり、最初から待遇は良かった。
だが、最近はまるで本当の娘のようにかわいがられている気がする。
「ツムギ様、この後は、奥様と共に庭園でお茶をする予定になっております。」
「わかったわ。ミリア。」
「では、ツムギ様はこちらへ。」
鏡の前に座らされる。
いつも朝起きると、ミリアが髪を整え、化粧を施してくれる場所だ。
どういうこと?
不思議に思っていると、
「お茶には、奥様の他にお客様がご一緒なさるそうですよ。ですので、衣装も着替えるよう言われております。」
あら、そうなんだ。
お客様がいるのに、私も居ていいの?
ミリアはクリーム色の可憐なドレスを運んできた。
今でもかなりの衣装がクローゼットに入っている。
私には分相応とはいえないほど。
それなのに、また新たなドレスを用意してくれたの?
あまりの待遇に不安になる。
今までは私が何も持ってないから準備してくれたのだと思うようにしていた。
でもこのドレスは、いつも着ているドレスよりも高価だと感じる。
生地なんて全くわからないのだが、ミリアのドレスを扱う様子だったり、実際身につけた時の着心地だったり。
なぜだかソワソワする。
ジョセフィーヌ様の元へ向かうと、クリスティナ様の姿はなく、見知らぬ男性を紹介された。
スペイア伯爵家の親戚にあたるクローブ子爵令息セドリック様 19歳。
クリスティナ様がどこかへ嫁いだ場合、彼がスペイア伯爵家の養子に入る予定だそうだ。
3人でテーブルについたが、ジョセフィーヌ様は私に彼を紹介した後、「あとは二人でゆっくり話して。」と立ち去ってしまった。
えっ、すぐに放置?
これはいわゆるお見合い?
挙動不審な私を見たセドリック様は戸惑っているよう。
「もしかして何も聞かされていませんでしたか?」
「はい、何も。」
「そうかぁ~、参ったな。」と頭に手をやる。
そう言っているが、参った顔はしていない。
確かに戸惑いはしたが、状況を理解し、どうすべきか決めたのだろう。
セドリック様は細身で背が高い。
柔らかそうな茶色の髪に茶色の瞳。
甘い顔で、さぞかし女性にモテモテだろう。
頭の回転もよさそう。
「確認してもいいかな? 君はスペイア伯爵家に残るつもり?」
「えっ。」
「僕がどう動くかは、君次第なんだけど。」
あー。
「スベイア伯爵の跡継ぎはまだ確定ではない。君はジョセフィーヌ様に気に入られている。僕はどうすればいいと思う?」
距離を詰められ…ドキドキする。
彼は自分の魅力をわかっている。
ううっ。たじたじになってしまう。
「ごめんなさい。別の人を探してください。」
そう言うのが、いっぱいいっぱいだった。
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