31 / 49
第31話 賢者様は…
しおりを挟む
馬車は森を抜け、領地を抜け、どんどん進んでいく。
結構スピードが出ているにも関わらず、揺れが少なく快適だ。
この馬車は何か違う。
これも賢者様の知識で、改良されたものなのかもしれない。
普通なら、馬の疲れを考慮して、休むであろうタイミングになっても、馬車は止まらず進んでいく。
僕 ジルベールは不思議で仕方がなかった。
僕の知識どおりならそろそろ休憩を入れるはず。
どうして休憩しない?
馬の負担も少ないのか?
ずっと車窓を見ていたが、長い距離を進み、知らない場所まで来てしまった。
馬で後ろをついてきていたマルクス。
こんなに遠いと、馬がダウンしたんじゃないか?
彼はついてきているのだろうかと心配になる。
だが、僕らはこのまま馬車に乗っているしかないのだ。
「ところで、賢者様はどんな人?」
そっか、ツムギは賢者様のことを知らないのか。
「僕が知ってるのは、黒髪に黒い瞳。ゴードンさんの食堂にもあったライスを食べれるようにしたり、トマトソースを作ったらしいよ。他にはいろんな道具を改良して使いやすくしたりするらしい。う~ん、他にもいろいろあるんだろうけどね。全てがみんなに知らされる訳じゃない。」
「そうなんだね。ライスは食べられていなかったの?」
「うん。ライスは勝手にあちこちに生えてる雑草、もしくは動物のエサと思われてた。それを食べれるように加工し、加工方法や調理方法を広めたらしいよ。但し、賢者が直接広めたりはしない。賢者から聞いた者が広めていくんだ。だから、賢者に会った者はあまりいないと聞いたよ。」
ツムギは何か考えているみたいだ。
ーーーーー
(ツムギの考え)
ジルの話からわかることは、
賢者様は、雑草みたいに生えてる状態を見て、お米と気づくなんてすごい。
お米が生えてる状態を知っていて、それを加工できてしまう。
脱穀、精米できるのか。
そして、お米を炊飯器なしで炊ける。
日本の農家さんみたいね。
道具を改良?
どんな道具を改良したんだろう。
やはり農機具だったりするのかな。
器用な人なんだ。
賢者が教えた人が、他の人に広めている。
目立つのが苦手なのか、人前に出たくないのか。
私が、私がと、でしゃばるタイブではないんだね。
優しい人だといいな。
ーーーー
ツムギと話している間に、また森へ入っていた。
静かな森だ。
道は辛うじて馬車が通れるだけ。
自然のまま、あまり開拓されていないようだ。
馬車は徐々にスピードを落としていき、池の畔に建つ小さな一軒家の前で止まった。
僕が先に馬車を降り、ツムギへ手を差し出す。
彼女は僕の手をギュッと握り、馬車から降りた。
後ろを振り返ったが、マルクスは見えない。
休憩せずに進む馬車については来れなかったのか、はぐれてしまったのか…
結構スピードが出ているにも関わらず、揺れが少なく快適だ。
この馬車は何か違う。
これも賢者様の知識で、改良されたものなのかもしれない。
普通なら、馬の疲れを考慮して、休むであろうタイミングになっても、馬車は止まらず進んでいく。
僕 ジルベールは不思議で仕方がなかった。
僕の知識どおりならそろそろ休憩を入れるはず。
どうして休憩しない?
馬の負担も少ないのか?
ずっと車窓を見ていたが、長い距離を進み、知らない場所まで来てしまった。
馬で後ろをついてきていたマルクス。
こんなに遠いと、馬がダウンしたんじゃないか?
彼はついてきているのだろうかと心配になる。
だが、僕らはこのまま馬車に乗っているしかないのだ。
「ところで、賢者様はどんな人?」
そっか、ツムギは賢者様のことを知らないのか。
「僕が知ってるのは、黒髪に黒い瞳。ゴードンさんの食堂にもあったライスを食べれるようにしたり、トマトソースを作ったらしいよ。他にはいろんな道具を改良して使いやすくしたりするらしい。う~ん、他にもいろいろあるんだろうけどね。全てがみんなに知らされる訳じゃない。」
「そうなんだね。ライスは食べられていなかったの?」
「うん。ライスは勝手にあちこちに生えてる雑草、もしくは動物のエサと思われてた。それを食べれるように加工し、加工方法や調理方法を広めたらしいよ。但し、賢者が直接広めたりはしない。賢者から聞いた者が広めていくんだ。だから、賢者に会った者はあまりいないと聞いたよ。」
ツムギは何か考えているみたいだ。
ーーーーー
(ツムギの考え)
ジルの話からわかることは、
賢者様は、雑草みたいに生えてる状態を見て、お米と気づくなんてすごい。
お米が生えてる状態を知っていて、それを加工できてしまう。
脱穀、精米できるのか。
そして、お米を炊飯器なしで炊ける。
日本の農家さんみたいね。
道具を改良?
どんな道具を改良したんだろう。
やはり農機具だったりするのかな。
器用な人なんだ。
賢者が教えた人が、他の人に広めている。
目立つのが苦手なのか、人前に出たくないのか。
私が、私がと、でしゃばるタイブではないんだね。
優しい人だといいな。
ーーーー
ツムギと話している間に、また森へ入っていた。
静かな森だ。
道は辛うじて馬車が通れるだけ。
自然のまま、あまり開拓されていないようだ。
馬車は徐々にスピードを落としていき、池の畔に建つ小さな一軒家の前で止まった。
僕が先に馬車を降り、ツムギへ手を差し出す。
彼女は僕の手をギュッと握り、馬車から降りた。
後ろを振り返ったが、マルクスは見えない。
休憩せずに進む馬車については来れなかったのか、はぐれてしまったのか…
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる