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第31話 賢者様は…
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馬車は森を抜け、領地を抜け、どんどん進んでいく。
結構スピードが出ているにも関わらず、揺れが少なく快適だ。
この馬車は何か違う。
これも賢者様の知識で、改良されたものなのかもしれない。
普通なら、馬の疲れを考慮して、休むであろうタイミングになっても、馬車は止まらず進んでいく。
僕 ジルベールは不思議で仕方がなかった。
僕の知識どおりならそろそろ休憩を入れるはず。
どうして休憩しない?
馬の負担も少ないのか?
ずっと車窓を見ていたが、長い距離を進み、知らない場所まで来てしまった。
馬で後ろをついてきていたマルクス。
こんなに遠いと、馬がダウンしたんじゃないか?
彼はついてきているのだろうかと心配になる。
だが、僕らはこのまま馬車に乗っているしかないのだ。
「ところで、賢者様はどんな人?」
そっか、ツムギは賢者様のことを知らないのか。
「僕が知ってるのは、黒髪に黒い瞳。ゴードンさんの食堂にもあったライスを食べれるようにしたり、トマトソースを作ったらしいよ。他にはいろんな道具を改良して使いやすくしたりするらしい。う~ん、他にもいろいろあるんだろうけどね。全てがみんなに知らされる訳じゃない。」
「そうなんだね。ライスは食べられていなかったの?」
「うん。ライスは勝手にあちこちに生えてる雑草、もしくは動物のエサと思われてた。それを食べれるように加工し、加工方法や調理方法を広めたらしいよ。但し、賢者が直接広めたりはしない。賢者から聞いた者が広めていくんだ。だから、賢者に会った者はあまりいないと聞いたよ。」
ツムギは何か考えているみたいだ。
ーーーーー
(ツムギの考え)
ジルの話からわかることは、
賢者様は、雑草みたいに生えてる状態を見て、お米と気づくなんてすごい。
お米が生えてる状態を知っていて、それを加工できてしまう。
脱穀、精米できるのか。
そして、お米を炊飯器なしで炊ける。
日本の農家さんみたいね。
道具を改良?
どんな道具を改良したんだろう。
やはり農機具だったりするのかな。
器用な人なんだ。
賢者が教えた人が、他の人に広めている。
目立つのが苦手なのか、人前に出たくないのか。
私が、私がと、でしゃばるタイブではないんだね。
優しい人だといいな。
ーーーー
ツムギと話している間に、また森へ入っていた。
静かな森だ。
道は辛うじて馬車が通れるだけ。
自然のまま、あまり開拓されていないようだ。
馬車は徐々にスピードを落としていき、池の畔に建つ小さな一軒家の前で止まった。
僕が先に馬車を降り、ツムギへ手を差し出す。
彼女は僕の手をギュッと握り、馬車から降りた。
後ろを振り返ったが、マルクスは見えない。
休憩せずに進む馬車については来れなかったのか、はぐれてしまったのか…
結構スピードが出ているにも関わらず、揺れが少なく快適だ。
この馬車は何か違う。
これも賢者様の知識で、改良されたものなのかもしれない。
普通なら、馬の疲れを考慮して、休むであろうタイミングになっても、馬車は止まらず進んでいく。
僕 ジルベールは不思議で仕方がなかった。
僕の知識どおりならそろそろ休憩を入れるはず。
どうして休憩しない?
馬の負担も少ないのか?
ずっと車窓を見ていたが、長い距離を進み、知らない場所まで来てしまった。
馬で後ろをついてきていたマルクス。
こんなに遠いと、馬がダウンしたんじゃないか?
彼はついてきているのだろうかと心配になる。
だが、僕らはこのまま馬車に乗っているしかないのだ。
「ところで、賢者様はどんな人?」
そっか、ツムギは賢者様のことを知らないのか。
「僕が知ってるのは、黒髪に黒い瞳。ゴードンさんの食堂にもあったライスを食べれるようにしたり、トマトソースを作ったらしいよ。他にはいろんな道具を改良して使いやすくしたりするらしい。う~ん、他にもいろいろあるんだろうけどね。全てがみんなに知らされる訳じゃない。」
「そうなんだね。ライスは食べられていなかったの?」
「うん。ライスは勝手にあちこちに生えてる雑草、もしくは動物のエサと思われてた。それを食べれるように加工し、加工方法や調理方法を広めたらしいよ。但し、賢者が直接広めたりはしない。賢者から聞いた者が広めていくんだ。だから、賢者に会った者はあまりいないと聞いたよ。」
ツムギは何か考えているみたいだ。
ーーーーー
(ツムギの考え)
ジルの話からわかることは、
賢者様は、雑草みたいに生えてる状態を見て、お米と気づくなんてすごい。
お米が生えてる状態を知っていて、それを加工できてしまう。
脱穀、精米できるのか。
そして、お米を炊飯器なしで炊ける。
日本の農家さんみたいね。
道具を改良?
どんな道具を改良したんだろう。
やはり農機具だったりするのかな。
器用な人なんだ。
賢者が教えた人が、他の人に広めている。
目立つのが苦手なのか、人前に出たくないのか。
私が、私がと、でしゃばるタイブではないんだね。
優しい人だといいな。
ーーーー
ツムギと話している間に、また森へ入っていた。
静かな森だ。
道は辛うじて馬車が通れるだけ。
自然のまま、あまり開拓されていないようだ。
馬車は徐々にスピードを落としていき、池の畔に建つ小さな一軒家の前で止まった。
僕が先に馬車を降り、ツムギへ手を差し出す。
彼女は僕の手をギュッと握り、馬車から降りた。
後ろを振り返ったが、マルクスは見えない。
休憩せずに進む馬車については来れなかったのか、はぐれてしまったのか…
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