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第30話 無事でよかった
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ツムギがみつかった。
食堂へ帰ってきた。
知らせを受けた僕 ジルベールは、スノーに飛び乗り、ゴードン夫妻の食堂へ急いで向かう。
食堂へ駆け込むと、彼女は夫妻とともに、のほほ~んと朝食を食べていた。
僕を見て、キョトンとする彼女。
彼女は大丈夫なのか?
あちこち触って確かめる。
見える場所に怪我はなさそうだ。
ふと彼女の顔を見ると、真っ赤になっている。
具合でも悪いのか…
心配になり、彼女の両腕をギュッと掴むと、ヒューゴとマルクスが入ってきた。
彼らは息を切らし、焦って追いかけてきたようだ。
「突然居なくならないでください。」とマルクスが怒り、
「また居なくなるのかと焦りました。」とヒューゴがほっとした顔をしている。
僕は彼らに心配ばかりかけてるな。
気を付けないと。
そんなことを思っていると、
何故だかみんなの視線を感じる。
しかも生温かい視線。
ん? んー。
僕はあちこち触りすぎたか?
ツムギの腕を掴んでいた手をゆっくりと外す。
マルクスがツムギに警備兵の詰所へ証言へ行くよう伝えている。
彼女が食堂へ戻るまで、心配で心配で、待たせてもらうことにした。
証言を終え、帰ってきた彼女は元気がなく、少し震えているように見えた。
怖かったことを思い出してしまったのかもしれない。
そっと近づき、よしよしと頭を撫でる。
2歳年上で、しっかり者の彼女。
そんな彼女が不安そうに震えている。
「大丈夫だから。」と言い聞かせ、彼女の震えが治まるまで、僕は頭を撫で続けた。
数日後、たまたま僕が様子を見に、食堂を訪れていたところ、賢者様の遣いと名乗る者が食堂へ現れた。
ツムギが賢者と間違えられ事件に巻き込まれたことが、賢者様の耳に入ったらしい。
賢者様は、事件を聞き、心を痛め、ツムギに会いたがっているそうだ。
本当に賢者様の遣いなのか、疑わしい。
また彼女が拐われるのではないかと不安になる。
ツムギは「賢者様に会いたい。会いに行く。」と言う。
ゴードン夫妻は、心配そうにしながらも、彼女の意見を尊重するようだ。
彼女には危機感がないのかと怒りたくなる。
だが、もしそれが本物の賢者様なら…
彼女は賢者様に会いたがっていた。
このチャンスを逃すと、もう会えないかもしれない。
「わかった。僕もついていく。」
「はぁー、あなたはまた危ないことに足を突っ込まなくても…」護衛のマルクスの呟きが聞こえた。
そのまま賢者様の遣いが用意した馬車へと乗せられるツムギに、待ったをかける。
「ツムギはこっちに。」
手を伸ばし、スノーに乗る僕の前に座らせようとしたが、今日の彼女はワンピース姿。
仕方なく諦め、スノーを詰所へ預け、彼女とともに馬車へ乗り込む。
馬車の後ろからマルクスが馬に乗ってついてきている。
彼が居れば、心強い。
食堂へ帰ってきた。
知らせを受けた僕 ジルベールは、スノーに飛び乗り、ゴードン夫妻の食堂へ急いで向かう。
食堂へ駆け込むと、彼女は夫妻とともに、のほほ~んと朝食を食べていた。
僕を見て、キョトンとする彼女。
彼女は大丈夫なのか?
あちこち触って確かめる。
見える場所に怪我はなさそうだ。
ふと彼女の顔を見ると、真っ赤になっている。
具合でも悪いのか…
心配になり、彼女の両腕をギュッと掴むと、ヒューゴとマルクスが入ってきた。
彼らは息を切らし、焦って追いかけてきたようだ。
「突然居なくならないでください。」とマルクスが怒り、
「また居なくなるのかと焦りました。」とヒューゴがほっとした顔をしている。
僕は彼らに心配ばかりかけてるな。
気を付けないと。
そんなことを思っていると、
何故だかみんなの視線を感じる。
しかも生温かい視線。
ん? んー。
僕はあちこち触りすぎたか?
ツムギの腕を掴んでいた手をゆっくりと外す。
マルクスがツムギに警備兵の詰所へ証言へ行くよう伝えている。
彼女が食堂へ戻るまで、心配で心配で、待たせてもらうことにした。
証言を終え、帰ってきた彼女は元気がなく、少し震えているように見えた。
怖かったことを思い出してしまったのかもしれない。
そっと近づき、よしよしと頭を撫でる。
2歳年上で、しっかり者の彼女。
そんな彼女が不安そうに震えている。
「大丈夫だから。」と言い聞かせ、彼女の震えが治まるまで、僕は頭を撫で続けた。
数日後、たまたま僕が様子を見に、食堂を訪れていたところ、賢者様の遣いと名乗る者が食堂へ現れた。
ツムギが賢者と間違えられ事件に巻き込まれたことが、賢者様の耳に入ったらしい。
賢者様は、事件を聞き、心を痛め、ツムギに会いたがっているそうだ。
本当に賢者様の遣いなのか、疑わしい。
また彼女が拐われるのではないかと不安になる。
ツムギは「賢者様に会いたい。会いに行く。」と言う。
ゴードン夫妻は、心配そうにしながらも、彼女の意見を尊重するようだ。
彼女には危機感がないのかと怒りたくなる。
だが、もしそれが本物の賢者様なら…
彼女は賢者様に会いたがっていた。
このチャンスを逃すと、もう会えないかもしれない。
「わかった。僕もついていく。」
「はぁー、あなたはまた危ないことに足を突っ込まなくても…」護衛のマルクスの呟きが聞こえた。
そのまま賢者様の遣いが用意した馬車へと乗せられるツムギに、待ったをかける。
「ツムギはこっちに。」
手を伸ばし、スノーに乗る僕の前に座らせようとしたが、今日の彼女はワンピース姿。
仕方なく諦め、スノーを詰所へ預け、彼女とともに馬車へ乗り込む。
馬車の後ろからマルクスが馬に乗ってついてきている。
彼が居れば、心強い。
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