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第17話 敵?味方?
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「あの~、保護していただきありがとうございます。そろそろ家へ帰りたいです。お世話になっている食堂のゴードンさん、コレットさんが心配してると思うので…」
「いやいや、まだ犯人は捕まっていないんだ。それにまた誰かに狙われるかもしれない。我が家にいたほうが安全だ。食堂には連絡を入れるから安心して、ここで過ごすとよい。」
「そうよ、ツムギさん、私と一緒に暮らしましょう。お姉様ができたようで嬉しいわ。そうだわ、お父様、ツムギさんを私の義姉様にしてはどうかしら?私がジルベール様へ嫁いだら、親戚を養子に迎えるんでしょ?その方のお相手に。賢者様がお義姉様なんて、自慢できるわ。賢者様が親戚なんて、きっとラウンド辺境伯様も喜ばれるはずよ。」
「うむ。ティナ、それはよい考えだ。」
「そうでしょ。お父様。」
「まあまあ二人とも気が早いこと。これからのことは……彼女の能力を確かめてから決めればいいわ。」
伯爵夫人ジョセフィーヌがしっとりと微笑む。
とても優しげで美しい笑みだが、底知れぬ怖さを感じる。
「今日は客室でゆっくり休んでもらいましょう。ツムギさん、明日からおいおい話を聞かせて下さいね。ミリア、お客様を案内してさしあげて。」
「はい、奥様。」
侍女と思わしき女性に連れられて入った部屋は、淡いピンク色の壁紙に白い家具。
真ん中に置かれたソファーまで白く、汚してしまうのではと心配だ。
小さな女の子が好みそうなかわいらしい内装の客室である。
私はもっとシンプルなほうが落ち着くんだけどな。
「お湯の用意ができました。こちらへどうぞ。」ミリアさんに促され、お風呂へ。
世話をしようとする彼女へ断りを入れ、一人でお湯に浸かる。
あー生き返る。
伯爵は本当にゴードン夫妻へ連絡してくれるのだろうか。
私には確認しようがない。
お風呂からあがると、肌触りのよい着替えが一式準備してあった。
そんなにすぐ準備できるもの?
予め用意してあった?
「では、ツムギ様、私はこれで失礼いたします。何かご用があれば、いつでもこのベルでお呼びください。」
部屋に置かれたベルを指差す。
「私がベルを鳴らすと、うるさくてみんな眠れないのではないの?」
「いえいえ、心配には及びません。ベルトラン様方の部屋は離れておりますし、今 客室を使用されているのは、ツムギ様だけです。ベルの音に気づくのは私ども使用人だけ。お気遣い不要にございます。」
なるほど。いいことを聞いた。
「まぁ、そうなの。それなら安心ね。ところで警備はどうなっているの?私は不安で…」
「そうでございましたね。ツムギ様は怖い思いをされたのですから、さぞ不安でございましょう。この部屋の扉の前に警備が一人、あとは邸の入口と門の前に二人ずつ。だからご安心ください。」
「まぁ、しっかりと守られて安心ね。おかげでぐっすりと眠れそう。ミリアさん、いろいろありがとう。」
「いえ、ゆっくりとお休みください。」
彼女は部屋から出ていった。
「いやいや、まだ犯人は捕まっていないんだ。それにまた誰かに狙われるかもしれない。我が家にいたほうが安全だ。食堂には連絡を入れるから安心して、ここで過ごすとよい。」
「そうよ、ツムギさん、私と一緒に暮らしましょう。お姉様ができたようで嬉しいわ。そうだわ、お父様、ツムギさんを私の義姉様にしてはどうかしら?私がジルベール様へ嫁いだら、親戚を養子に迎えるんでしょ?その方のお相手に。賢者様がお義姉様なんて、自慢できるわ。賢者様が親戚なんて、きっとラウンド辺境伯様も喜ばれるはずよ。」
「うむ。ティナ、それはよい考えだ。」
「そうでしょ。お父様。」
「まあまあ二人とも気が早いこと。これからのことは……彼女の能力を確かめてから決めればいいわ。」
伯爵夫人ジョセフィーヌがしっとりと微笑む。
とても優しげで美しい笑みだが、底知れぬ怖さを感じる。
「今日は客室でゆっくり休んでもらいましょう。ツムギさん、明日からおいおい話を聞かせて下さいね。ミリア、お客様を案内してさしあげて。」
「はい、奥様。」
侍女と思わしき女性に連れられて入った部屋は、淡いピンク色の壁紙に白い家具。
真ん中に置かれたソファーまで白く、汚してしまうのではと心配だ。
小さな女の子が好みそうなかわいらしい内装の客室である。
私はもっとシンプルなほうが落ち着くんだけどな。
「お湯の用意ができました。こちらへどうぞ。」ミリアさんに促され、お風呂へ。
世話をしようとする彼女へ断りを入れ、一人でお湯に浸かる。
あー生き返る。
伯爵は本当にゴードン夫妻へ連絡してくれるのだろうか。
私には確認しようがない。
お風呂からあがると、肌触りのよい着替えが一式準備してあった。
そんなにすぐ準備できるもの?
予め用意してあった?
「では、ツムギ様、私はこれで失礼いたします。何かご用があれば、いつでもこのベルでお呼びください。」
部屋に置かれたベルを指差す。
「私がベルを鳴らすと、うるさくてみんな眠れないのではないの?」
「いえいえ、心配には及びません。ベルトラン様方の部屋は離れておりますし、今 客室を使用されているのは、ツムギ様だけです。ベルの音に気づくのは私ども使用人だけ。お気遣い不要にございます。」
なるほど。いいことを聞いた。
「まぁ、そうなの。それなら安心ね。ところで警備はどうなっているの?私は不安で…」
「そうでございましたね。ツムギ様は怖い思いをされたのですから、さぞ不安でございましょう。この部屋の扉の前に警備が一人、あとは邸の入口と門の前に二人ずつ。だからご安心ください。」
「まぁ、しっかりと守られて安心ね。おかげでぐっすりと眠れそう。ミリアさん、いろいろありがとう。」
「いえ、ゆっくりとお休みください。」
彼女は部屋から出ていった。
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