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第7話 分け合う
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美味しいとわかり、俄然 やる気になる私。
「ジル、果物集めは私に任せて。」
私は黒い肩掛けバッグから紐付きビニール袋を取り出した。
買い物時の袋が有料となり、私はナイロン製折りたたみ袋と紐付きビニール袋を持ち歩いている。
紐付きビニール袋は果物を入れるのにちょうどよかった。
摘み取った果物を入れたビニール袋に川の水を入れ、優しく洗う。
ビニールの口を絞って、水だけをチョロチョロと流せば、そのまま果物を保管できちゃう。
後でジルと一緒に食べよう。
そう思いつつ、何粒か私の口へ消えていった。
慌てて同じだけジルの口元へ運ぶ。
ジルはそんな私に、声を圧し殺して笑っている。 器用だな。
なぜ音を立てないように気をつけているかと言うと、今いる川にも魚が泳いでいるのだ。
あっでも逃げられてしまった。
私が近くで動いたから、魚に気づかれてしまったのだろう。
さっきまでいた魚は、もうどこにも見えない。
「ジル、ごめんなさい。」
「いいよ。仕方がない。それにここにはカマドがあるわけじゃない。火起こしも大変だ。それよりも先へ進んで、休める場所を探そう。」
ジルの優しさに涙が出そうだ。
さっき集めた赤い果実を二人で分けあって食べる。
お腹いっぱいとは程遠いが、甘酸っぱくて美味しいと元気が出る。
少しだけ疲れが軽くなったような気がする。
スノーへ乗ろうとするが、やはり上にあがるのは厳しい。
苦戦する私をみかねたジルが「捕まって。」と私を引っ張りあげてくれた。
ジルの手は私よりも大きくて固かった。
ゴツゴツしている。
私を引っ張りあげるなんて、意外と力があるんだな。
馬での移動に、少し慣れてくると背中に彼の体温を感じて、妙に意識してしまう。
たまに、彼のお腹、私のお腹が空腹を訴え、ギュルギュルと鳴る。
初めて自分のお腹がなった時には、それはもう恥ずかしかった。
だが、あまりにも鳴り続けると、恥ずかしいを通り過ぎ、もう乾いた笑いしか出ないよね。
何かそのまま食べられそうな果実をみつけたら、私が彼に確認。
だが、そう食べられそうなものはみつからない。
大事に食べていたクッキーと飴も底をついた。赤い果実も食べきってしまった。
私では、森にあるもので、食べれるもの、食べられないものを見分けられない。
見分けるためには、実際、口に入れて確かめるしかない。
こんなところで痺れて動けなくなったら、目もあてられない。
私にサバイバル生活は無理だ。
私たちはこのままこの世界とお別れなのだろうか。
途方にくれる私の前に、
「はい、ツムギ。」彼が魚を持ち帰ってくれた。
私はただ地面に座り込んで、ぼーっとしていた。
彼は食料を探してくれていたのに。
「ジル、果物集めは私に任せて。」
私は黒い肩掛けバッグから紐付きビニール袋を取り出した。
買い物時の袋が有料となり、私はナイロン製折りたたみ袋と紐付きビニール袋を持ち歩いている。
紐付きビニール袋は果物を入れるのにちょうどよかった。
摘み取った果物を入れたビニール袋に川の水を入れ、優しく洗う。
ビニールの口を絞って、水だけをチョロチョロと流せば、そのまま果物を保管できちゃう。
後でジルと一緒に食べよう。
そう思いつつ、何粒か私の口へ消えていった。
慌てて同じだけジルの口元へ運ぶ。
ジルはそんな私に、声を圧し殺して笑っている。 器用だな。
なぜ音を立てないように気をつけているかと言うと、今いる川にも魚が泳いでいるのだ。
あっでも逃げられてしまった。
私が近くで動いたから、魚に気づかれてしまったのだろう。
さっきまでいた魚は、もうどこにも見えない。
「ジル、ごめんなさい。」
「いいよ。仕方がない。それにここにはカマドがあるわけじゃない。火起こしも大変だ。それよりも先へ進んで、休める場所を探そう。」
ジルの優しさに涙が出そうだ。
さっき集めた赤い果実を二人で分けあって食べる。
お腹いっぱいとは程遠いが、甘酸っぱくて美味しいと元気が出る。
少しだけ疲れが軽くなったような気がする。
スノーへ乗ろうとするが、やはり上にあがるのは厳しい。
苦戦する私をみかねたジルが「捕まって。」と私を引っ張りあげてくれた。
ジルの手は私よりも大きくて固かった。
ゴツゴツしている。
私を引っ張りあげるなんて、意外と力があるんだな。
馬での移動に、少し慣れてくると背中に彼の体温を感じて、妙に意識してしまう。
たまに、彼のお腹、私のお腹が空腹を訴え、ギュルギュルと鳴る。
初めて自分のお腹がなった時には、それはもう恥ずかしかった。
だが、あまりにも鳴り続けると、恥ずかしいを通り過ぎ、もう乾いた笑いしか出ないよね。
何かそのまま食べられそうな果実をみつけたら、私が彼に確認。
だが、そう食べられそうなものはみつからない。
大事に食べていたクッキーと飴も底をついた。赤い果実も食べきってしまった。
私では、森にあるもので、食べれるもの、食べられないものを見分けられない。
見分けるためには、実際、口に入れて確かめるしかない。
こんなところで痺れて動けなくなったら、目もあてられない。
私にサバイバル生活は無理だ。
私たちはこのままこの世界とお別れなのだろうか。
途方にくれる私の前に、
「はい、ツムギ。」彼が魚を持ち帰ってくれた。
私はただ地面に座り込んで、ぼーっとしていた。
彼は食料を探してくれていたのに。
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