【完結】賢者ではありませんが、私でいいのでしょうか?

青井 海

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第11話 敵認定された?

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だんだんティナさんの顔が険しくなっていく。
「どうして?どうしてジルベール様が女性と一緒にいるのかしら?ねぇどうして?」

あっ、今度はジルの腕にしがみついた。
ティナさん離されたばかりなのに、めげないな。

仕草はかわいらしいものの、天使のようなお顔が悪魔になってます。
大丈夫ですか?ジルに見られちゃいますよ?

心配する必要はなかったようだ。
彼女が悪魔のような顔を見せたのは、ほんの一瞬。
すぐに気持ちを立て直したのか、元の天使に戻った。

素晴らしい。
私はスゴいものを見せてもらった。
彼女はジルより少し年下と思われる。
10代前半で、こんな技を身に付けているなんて、貴族怖いな。

「彼女は賢者ではないが、私を助けてくれた恩人だ。これから我が家に客人として招く予定だ。」とジルが告げる。

チッ
今、ティナさん、舌打ちしたよね?
みんな聞いた? 
聞こえた?

ジル、ヒューゴさん、マルクスさんの顔を見回すが、みな平然としてる。
舌打ちに気づいたのは私だけ?
どうして男性陣は気がつかないのだろう。

「そんなのおかしいわ。彼女がジルベール様と一つ屋根の下で過ごすのなら、私も、私も滞在します。」
ティナさん、一つ屋根の下って言い方、変な想像しちゃったじゃないですか。
あなた正気ですか?

「クリスティナ様、さすがにそれは無理かと。スパイア伯爵がお許しになるはずがありません。」マルクスさんが言う。

ティナさんはクリスティナさんと言うのか。ティナは愛称かな。
スバイア伯爵家のご令嬢なのね。

「では、あなたもラウンド辺境伯家への滞在を諦めてくださる?」
そう私に向かい問いかける彼女の瞳は、キラリと挑発的に光っていた。
今、私 睨まれた?

なぜか敵認定されたようだ。
別に私はそんなんじゃないのに。
彼女はジルの近くに、私が居ることが許せないのだろう。

ジルは、ラウンド辺境伯家のご令息。
辺境伯令息だった。

「でも、でも私は行くところがなくて。」と取り乱す私に彼女は言った。
「あなたは賢者様ではない。だったら、ただの平民だわ。食堂で雇ってもらえばいいじゃない。皿洗いなら誰でもできるわ。この国には住み込みで働く場所などいくらでもあるわ。仕事がみつかるまで泊めてもらえる場所もあるのよ。何なら我が家で雇いましょうか?もちろん下働きとして。」

「ティナ、何てことを言うんだ。君はどうしてしまったんだ? 先程も言ったとおり彼女は僕の恩人だ。いずれは働くことになるだろうが、しばらくは我がラウンド辺境伯家でゆっくりしてもらいたい。」

ジルが困ってる。
私は彼とただ一緒に旅しただけだ。
彼を助けたなんて、大層なことは一切していないのだ。

















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